分析化学
Print ISSN : 0525-1931
57 巻, 5 号
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分析化学総説
  • 大下 浩司, 本水 昌二
    原稿種別: 分析化学総説
    2008 年 57 巻 5 号 p. 291-311
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    ポリスチレン-ジビニルベンゼン共重合体のような有機合成樹脂やキトサンに代表される有機天然樹脂を基材として用いるキレート樹脂の開発,及び水溶液における金属イオンに対するキレート樹脂の吸着性能を中心に紹介する.また,これらキレート樹脂の分析化学的応用,特に微量元素分析の分野におけるキレート樹脂の活用に関する最近の研究についても取り上げる.本稿ではキレート官能基を導入する基材の性質やキレート官能基の種類,基材の合成方法やキレート官能基の基材への導入方法,pHなどの吸着条件や金属イオンの吸着容量について触れながらキレート樹脂の吸着性能について概観し,微量化学分析の観点から有用と思われる最近の研究内容を中心に紹介する.
総合論文
  • 片山 建二
    原稿種別: 総合論文
    2008 年 57 巻 5 号 p. 313-320
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    時間分解分光法では,物質にパルス光を照射することによって引き起こされる物理的・化学的な応答を計測し,物質の物性や化学反応を解析する.その分光法のひとつとして過渡格子(transient grating,TG)法があるが,測定法や解析方法の困難さのため,一般の研究者が利用するのは難しかった.ここでは,TG法を抜本的に改良した近接場ヘテロダイン過渡格子(near-field heterodyne transient grating)法について概説する.この分光法は,(1)簡易光学系,(2)様々な試料形態に対応可能,(3)広い時間領域(フェムト秒から秒スケール)の測定が可能,(4)屈折率変化の実数部と虚数部の選択的観測が可能であることを特徴とする.幾つかの適用例とともに本分光法の特徴について解説する.
報文
  • 黒木 和志, 宮内 俊幸, 高橋 誠, 田中 渥夫, 盛 秀彦
    原稿種別: 報文
    2008 年 57 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    スギおが屑を濃塩酸処理後,ポリアミンを導入し,木粉を基体とするキレート樹脂を合成し,金属イオンに対する吸着特性の評価を行った.スギおが屑に濃塩酸を加え,約100℃ で4時間処理したのち,洗浄乾燥後ポリアミンと約100℃ で20分間反応させて種々のポリアミンを導入した.ポリアミンの種類によってその導入割合は変化(窒素含有量 : 3.6~8.2%)し,トリエチレンテトラミンで最も高い値となった.金属イオン吸着に関しては,Cu2+及びHg2+はよく吸着するが,その他の金属イオンに対しての吸着は見られず,両イオンに対して高い選択性を示した.吸着pH領域はpH=3~6で,飽和吸着量は0.3 meq Cu2+ g-1-R(乾燥樹脂)であった.交換速度も速く約5分以内で平衡に達し,そのため高速での金属イオン吸着が可能であった.密度は1.20 g mL-1であり,水溶液中で浮くという欠点もなく,カラム操作に十分に対応できるものであった.カラム法により種々の金属イオン共存下,水道水をベースにした試料でCu2+及びHg2+の回収を試みたが,両イオンとも約100 w/w% と良好な結果となった.
  • 手嶋 紀雄, 信田 拓哉, 酒井 忠雄
    原稿種別: 報文
    2008 年 57 巻 5 号 p. 327-333
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    1回の試料注入(ワンショット)でアスコルビン酸(AA)とグルタチオン(GSH)を同時定量するフローインジェクション分析法を開発した.AAは,鉄(III)-1,10-フェナントロリン(phen)錯体を迅速に鉄(II)-phen錯体(λmax=510 nm)へと還元するが,GSHによる還元反応は遅い.本研究ではGSHによる還元反応が銅(II)の共存により著しく加速されることを見いだした.したがって,生成する鉄(II)-phen錯体の吸光度は,銅(II)非共存下ではAAのみの量,銅(II)共存下ではAAとGSHの総量に相当する.これらの反応をダブルフローセルを装着したフローシステムに導入した.その結果,AAはダブルフローセル内の第1セル室で検出され,その後,銅(II)を合流させてAAとGSHの合量を第2セル室で検出することが可能となった.最適条件下でAAは5×10-7から5×10-6 M,GSHは2×10-6~1×10-4 Mの濃度範囲で同時定量することができた.試料処理速度は毎時45試料であった.本法を医薬品及び栄養補助食品中のAAとGSHの定量に応用し,良好な結果を得た.
ノート
  • 山本 政宏, 内山 一美, 保母 敏行
    原稿種別: ノート
    2008 年 57 巻 5 号 p. 335-337
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    Trimethylamine (TMA) is a compound with an unpleasant odor, like ammonia. We previously reported a detection system for trace TMA in ambient air by using a headspace gas-chromatography-surface ionization detector. In this study, a novel denuder sampler coated with titanium dioxide was developed. TMA, which was naturally contained in phosphoric acid used as a collecting solution, was photochemically decomposed by the denuder. Consequently, the denuder greatly reduced the TMA blank level. The detection limit of TMA was 0.004 ppbv for 60 L of an air sample. The analytical results of TMA in the lavatory showed good agreement with the values obtained by the bubbler sampling method.
  • 京谷 智裕, 齋藤 準二, 中根 堯
    原稿種別: ノート
    2008 年 57 巻 5 号 p. 339-344
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/18
    ジャーナル フリー
    A parallel beam X-ray diffraction analysis (XRD) machine equipped with a parabolic multilayer, Soller slit and long horizontal slit has been applied to tubular zeolite NaA (LTA) membranes supported by a porous alumina tube, prepared by hydrothermal synthesis for the dehydration of ethanol. The present XRD is a suitable method used to analyze tubular LTA membranes and give a sharp XRD pattern, because the sample form does not affect the diffraction angles. For lattice-constant measurements, six diffraction lines in the 2θ region of 40∼60° were used, and their diffraction angles were corrected using 220 and 311 lines of silicon powder (NIST SRM640c) as an external standard. The XRD measurements were carried out for LTA membranes after pervaporation experiments of an ethanol/water (90/10) mixture, and the observed lattice constants were 24.573∼24.599 Å, corresponding to the hydrothermal synthesis condition. Thus, the lattice constants of the tubular LTA membranes were first reported.
アナリティカルレポート
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