イオンクロマトグラフィー(IC)による湖水及び河川水中の無機態窒素(亜硝酸イオン,硝酸イオン,アンモニウムイオン)の同時定量を検討した.亜硝酸イオン,硝酸イオンは,分離カラムとしてDDAB(ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド)を平衡吸着させたシリカ一体モノリス型ODSカラム,溶離液として0.5 M塩化ナトリウム+5 mMリン酸緩衝液(pH 5.0)を用いて分離された後に測定波長225 nmで直接検出された.一方,アンモニウムイオンは,ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと1-ナフトールを用いたポストカラム反応による生成物として測定波長710 nmで検出された.試薬濃度,pH,反応コイル長,溶離液の流量等を検討し,測定システムを最適化した.各イオンの検量線は,0~10 mg/Lの範囲で良好な直線性(
R2=0.998以上)を示した.亜硝酸イオン,硝酸イオン,アンモニウムイオンの検出限界値(
S/N=3)は,それぞれ0.2,0.7,2.7 μg/Lであった.繰り返し精度(各イオン濃度0.1 mg/L,
n=5)は,0.15% 以下(保持時間),1.13% 以下(ピーク面積),0.88% 以下(ピーク高)であった.本法を湖水及び河川水中の各イオンの同時定量に適用した.その添加回収率は94~108% であった.
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