分析化学
Print ISSN : 0525-1931
66 巻 , 2 号
特集:有機微量分析の新展開
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集「有機微量分析の新展開」:技術論文
  • 麻田 新, 吉川 賢治, 櫻川 昭雄, 長嶋 潜
    原稿種別: 技術論文
    2017 年 66 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    牛乳中に多量に含まれているカリウム,マグネシウム及びカルシウムの定量を目的として,除タンパク法の検討及びイオンクロマトグラフィーによる定量法の確立に関する検討を行った.食品に含まれているタンパク質の除タンパク法として,酸添加法,有機溶媒添加法及び限外ろ過について比較検討し,除タンパク法として酸添加法における酸の種類及び添加量の検討を行った.最適条件下における定量下限(S/N=10,注入量: 100 μL)は,それぞれ25 μg L−1(カリウム),53 μg L−1(マグネシウム)及び50 μg L−1(カルシウム)であった.また,2.5~50 mg L−1で3成分とも良好な直線性(R2>0.999)を示した.確立した条件下で,牛乳処理液中の各イオンのピーク面積の再現性{相対標準偏差(RSD),n=10}を調べたところ,それぞれ0.32%(カリウム),0.50%(マグネシウム)及び0.67%(カルシウム)であり,過塩素酸の存在が測定結果に対して影響を与えていないことを確認した.本法を市販の牛乳中のカリウム,マグネシウム及びカルシウムの同時定量に適用し,公定法である誘導結合プラズマ発光分析法による定量値及び食品表示値と比較したところ,良好な相関関係が得られた.本法は,タンパク質を多く含む乳製品中の金属イオンの定量に有効であることが分かった.
  • 板東 敬子, 五十嵐 順悦
    原稿種別: 技術論文
    2017 年 66 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    有機化合物中の硫黄及びハロゲン(フッ素,塩素,臭素及びヨウ素)分析において,あらかじめ燃焼装置内で硫黄及びハロゲンを含む有機化合物を燃焼分解し,ガス化された硫黄酸化物及びハロゲン化物を吸収液に通じて捕集して溶解・回収したのち,これをイオンクロマトグラフで定量する自動分析装置が開発されている.硫黄が共存する化合物中の臭素及びヨウ素の分析値については,異常値が得られることがこれまでに度々指摘されてきた.当該装置に著者らが開発した流通装置を接続して検討を行ったところ,許容誤差範囲内(計算値±0.3% 以内)の良好な分析値が得られることが判明し,5元素同時分析法を開発できたので報告する.
  • 長嶋 潜, 出羽 好
    原稿種別: 技術論文
    2017 年 66 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    自動燃焼・イオンクロマトグラフィー(IC)システムはオートサンプラー,試料燃焼炉,吸収ユニット及びICより構成されている.これまでに3種の機種を開発したが,本報では有機微量元素用システムに改良を加え,有機化合物中のハロゲン及び硫黄の高速一斉分析法を検討した.装置面では,キャリヤーガスをアルゴン(ヘリウム)・酸素混合ガスから清浄空気に切り替え,分析コストの低減化を図るとともに,燃焼とクロマト展開時間のスケジュールを調整し,連続測定における分析時間を大幅に短縮した.分析面では,4種ハロゲンと硫黄を含む標準試料(NAC-st4)を開発し,有機検量線法により計5元素(F, Cl, Br, I, S)の検量線は,相関係数(r2)0.999以上を示した.本法は高い感度を示すことから,微量(試料量: 1.0~10 mg)及びさらに超微量(0.1~1.0 mg)試料に適用し,一時間当たり5~6検体を有機元素分析法の許容誤差内(0.3%)で処理することができた.
年間特集「光」:ノート
  • 朝本 紘充, 長嶋 恭介, 中釜 達朗, 齊藤 和憲, 南澤 宏明
    原稿種別: 年間特集「光」:ノート
    2017 年 66 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    We developed an easy-to-use analytical method for amyloid fibrils by high-performance liquid chromatography (HPLC) with post column fluorescent labeling. Thioflavin T (Th T), which was used widly as a labeling agent for amyloid fibrils, is a traditional probe for the confirmation of amyloid fibril formation. Although the traditional fluorescence spectroscopy measurements are used for monitoring the aggregation reaction, they have no applicability to separation analysis of the amyloid fibrils. In order to understand the fibril formation process, the development of an efficient method that enables to separate and detect the amyloid fibrils is required. In this work, Th T labeling of amyloid fibrils in 1 mM hen egg white lysozyme (HEWL) solution was performed following separation of different-sized amyloid fibrils in a PTFE tube (5000 × 0.50 mm i.d.) as a separation field. The fluorescence was monitored at 485 nm, with the maximum excitation wavelength at 435 nm. The novel method's sensitivity for the detection of amyloid fibrils was high and compared well with the traditional fluorescence spectroscopy measurements. In addition, the developed method detected more than 5 peaks within 20 min under the optimum separation conditions. These results suggest that this analytical method is used to understand the amyloid fibril formation process.
報文
  • 今井 昭二, 山本 祐平, 佐名川 洋右, 耒見 祐哉, 黒谷 功, 西本 潤, 菊地 洋一
    原稿種別: 報文
    2017 年 66 巻 2 号 p. 95-113
    発行日: 2017/02/05
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    2008年~2014年冬季において西日本の四国・高知県の吉野川資源保養林である梶ヶ森山頂(標高1400 m)で採取した新鮮な樹氷及び雪の化学組成(Na+, NH4+, K+, Mg2+, Ca2+, F, Cl, NO2, Br, NO3, PO43−, SO42−)及びPb,Cdを測定した.同日に発生した樹氷と雪の[Pb]–[Cd]プロットにおいて同一起源を示す強い正の相関性(r2=0.9665,[Pb]/[Cd]=35±1.9)があり,[Pb]/[Cd]値は山東省の排出量比(37)に近かった.[Pb]又は[Cd]の[nss-SO42−]に対するプロットでは雪において良好な正の相関性があったが樹氷では良くなかった.雪での相関関係を基に樹氷の[Pb]濃度から計算された[nss-SO42−]値以上に過剰量を含む樹氷もあった.これは中国遼寧省南部での石炭燃焼と異なる起源からの影響を示唆している.2014~2012年の樹氷及び2014年~2013年の雪では後方流跡線が遼寧省-吉林省南部,渤海周辺を通過したとき,[Pb]–[Cd]プロットにおいてそれぞれ(r2=0.9038,32±3)及び(r2=0.9173,38±3)の良好な正の相関関係があった.[nss-SO42−]に対するプロットでは,樹氷においてだけ独立した二つの良好な正の相関が得られた.同日採取試料の場合と同様に計算された過剰な[nss-SO42−]は北東中国の都市エアロゾルが影響したものと考えられた.韓国周辺を後方流跡線が通過したときに得られた,正の相関(r2=0.9355,15±2)の[Pb]/[Cd]値は韓国ソウルに近い田舎で採取した冬季エアロゾル中の値(14)に対応していた.
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