分析化学
Print ISSN : 0525-1931
68 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
年間特集「粒」: 報文
  • 平田 岳史, 山下 修司, 鈴木 敏弘, 石田 未来
    原稿種別: 年間特集「粒」: 報文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    ICP質量分析計は金属ナノ粒子の高感度かつ高速な計測手法の一つである.本研究では多重検出器型ICP質量分析計に高時間分解能型イオン検出システムを組み合わせることで,個々のナノ粒子から195Pt/194Pt同位体比及び元素比(Au/Pt比)の分析を試みた.まずサイズの異なるPtナノ粒子から195Pt/194Pt比を測定した.得られた同位体分析精度は統計誤差が支配的であり,ナノ粒子から得られる短時間信号からでも同位体分析が可能であることがわかった.次に液中レーザーアブレーション法(LAL法)を用いて合成したPt-Auナノ粒子のAu/Pt比を本装置で分析を行ったところ,回収されたPt-Auナノ粒子のサイズやAu/Pt元素比がレーザー照射条件(フルエンス)により変化することが明らかとなった.多重検出器型ICP質量分析法は複数の同位体信号を同時に測定する場合でも高い実効積分効率(duty cycle)が得られるため,複数の元素からなる複合系ナノ粒子のサイズ分布分析や元素・同位体組成分析に有効な分析手法になるものと期待できる.

年間特集「膜」: 総合論文
  • 北山 雄己哉, 竹内 俊文
    原稿種別: 年間特集「膜」: 総合論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 89-101
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    均一性の高い親和性と選択性をもつ分子認識材料は,高感度バイオセンサをはじめとした現在の分析科学とその産業への展開において欠かせない材料である.本稿では,この均一性の高い結合特性をもつことが期待される人工分子認識材料を創製する手法として,配向性分子インプリンティング技術について概説する.本手法は,鋳型分子を配向固定化し,制御/リビングラジカル重合によるボトムアップ型ポリマー薄膜形成技術を利用して精密な分子認識空間をもつ分子インプリントポリマー(MIPs)を得るものであり,従来法では発現できない高い親和性と選択性を示す分子認識空間の形成が可能となった.一連の研究で,低分子の生体成分や生物活性物質,また生体高分子であるがんマーカータンパク質や糖タンパク質が標的分子である場合の,それぞれに適した配向固定化方法を提案している.さらに本アプローチは,本稿でまとめた高感度バイオセンサの開発に限らず,高性能アフィニティ分離剤や薬物送達への応用が期待できることから,今後,バイオテクノロジーやナノテクノロジーなど様々な領域への波及効果が期待できる.

年間特集「膜」: ノート
  • 西尾 友志, 古川 真衣, 立石 一希, 勝又 英之, 金子 聡
    原稿種別: 年間特集「膜」: ノート
    2019 年 68 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    In the present work, pH response glasses with excellent chemical durability and small resistance were fabricated, the when lithium concentration in a glass membrane increased, and rare earth metal (Sc, Y and La) oxides were added in the glass. We tried to construct a pH electrode with fabricated pH response glasses, and to evaluate it for the sensitivity, linearity, alkali error and response of tap water. Next, we prepared pH electrode capable of measuring a micro volume (50 μL) by using the optimum pH response glasses. The performance results of the developed pH electrode for a micro volume that satisfied the standard JIS. The developed pH electrode may become commercially available.

総合論文
  • 谷 英典
    原稿種別: 総合論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    遺伝情報を担うDNA/RNAは,すべての生命体において最も基礎となる分子であり,生体試料中のDNA/RNAを分析する技術は医療・環境・食品分野等の幅広い分野において欠かすことのできない重要なツールとなっている.しかしながら,従来の手法には問題点が多いため,これらの問題点を克服する新規分析技術が望まれていた.本稿では,ある種の蛍光色素が核酸のグアニン塩基と相互作用することにより蛍光が消光する現象を利用した,DNA/RNA定量法の開発とその応用及びDNA/RNAに作用する酵素であるヘリカーゼ活性測定法の開発と,その応用について紹介する.さらには,近年著しく注目を集めているタンパク質に翻訳されないRNA: ノンコーディングRNA研究への研究を見据えた,修飾核酸を利用した次世代型の細胞内RNA生成・分解速度測定法の開発とその応用についても併せて紹介する.これらの分析技術を駆使することで,生体分子解析技術の応用及び複雑な生命現象への理解がより一層進むと期待される.

報文
  • 津越 敬寿, 高見 耕三, 三島 有二
    原稿種別: 報文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    GC等の分離工程なしに,試料を昇温加熱した際の発生気体成分を分子量情報ごとに分離検出する分析装置を用いたポリオールエステル油製品の組成解析について報告する.分析装置は,イオン化法として分子イオン検出性能に優れるイオン付着イオン化法を備え,約30 Paの減圧下で昇温加熱するダイレクトインレットプローブと,精密質量での評価を可能とする飛行時間型質量分析計で構成される.減圧下での昇温加熱は,高沸点成分や難揮発性成分も熱分解の影響少なく検出することが可能となる利点がある.市販のポリオールエステル油製品5種類を測定したところ,その分子量情報と構成脂肪酸組成,製品中に含まれる遊離脂肪酸やその他の含有成分の情報を得ることができた.1測定は10~15分程度であり,GC/MSなどでは検出困難な長鎖脂肪酸を構成要素とするポリオールエステル類も明瞭に検出することができた.

技術論文
  • 植木 隆太, 加藤 稜太, 今泉 圭隆, 岩本 洋子, Waqar A. JADOON, 佐久川 弘, 竹田 一彦
    原稿種別: 技術論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    本研究ではテレフタル酸とフェントン反応を利用した河川水中の過酸化水素の定量法について,反応時間を含む分析時間の短縮と亜硝酸イオンによる感度低下の軽減をめどに,分析条件の最適化を行った.本法では過酸化水素と鉄(II) の反応で生成するヒドロキシルラジカルをテレフタル酸と反応させ,ここから生成する2-ヒドロキシテレフタル酸を蛍光検出高速液体クロマトグラフィーで定量した.反応条件を検討したところ,鉄(II) の濃度を高くすると信号強度は低くなるが,反応時間を短縮できることがわかった.また,反応溶液中に硫酸ナトリウムを添加することで,亜硝酸イオンによる感度低下が軽減できることがわかった.最適化された条件下での検出限界は3-5 nmol L−1で,300 nmol L−1の過酸化水素標準溶液の繰り返し精度は0.85% であった.広島県東広島市の黒瀬川において連続観測を行ったところ,過酸化水素の濃度は明瞭な日周変化を示し,14 : 00に最大濃度454 nmol L−1に達し,日の出前に最小値を示した.

アナリティカルレポート
  • 乾 哲朗, 大渕 敦司, 神戸 亮, 中村 利廣
    原稿種別: アナリティカルレポート
    2019 年 68 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2019/02/05
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    The homogeneity and stability of reference materials for the determination of Cd in white and brown rice grains were evaluated using atomic absorption spectrometry (AAS) after HNO3-H2SO4 digestion. Two kinds of rice grain reference materials were prepared by adding 100 g each of white and brown rice grains (both from Niigata prefecture, Japan) to 750 mL of methanol containing 40 μL of 1000 mg L−1 Cd standard solution (40 μg as Cd), and then heating them at 300°C for 1 h on a hot plate to evaporate the solvent. Each rice grain reference material (100 g) was packed in 10 glass bottles (10 g each). The homogeneity of Cd in the rice grain reference materials was estimated by an analysis of the variance after the Cochran test. A total of 9 samples (3 samples each from 3 bottles) were subjected to the homogeneity test. There was no significant difference between the within-bottle and between-bottle variances, indicating that both rice grain reference materials were sufficiently homogeneous. The stability of Cd in the rice grain reference materials was estimated by regression analysis. For a stability study, 6 bottles were stored in the dark at room temperature for a period of 6 months. The rice grain reference materials were stable for 5 months for white rice grain and for 6 months for brown rice grain. Elemental mapping images of the Cd of a longitudinal section of a white rice grain and a brown rice grain, using a micro-X-ray fluorescence instrument, suggested that the added Cd is present in the outer layers of the rice grain reference materials. The rice grain reference materials with a Cd concentration of approximately 0.31 mg kg−1, prepared in this study, can be used for validating the AAS determination of Cd in white and brown rice grains.

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