分析化学
Print ISSN : 0525-1931
7 巻, 11 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 硝酸または硝酸繊維素中窒素定量法研究(第2報)
    村上 徹朗
    1958 年 7 巻 11 号 p. 681-684
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Lunge窒素計法で発生した酸化窒素を硫酸第一鉄溶液で処理し,酸化窒素を除去し残留ガスを得た.残留ガス量は硫酸第一鉄溶液を煮沸して用いるときはいちじるしく少なかった.残留ガス中の成分を質量分析によってしらべたところ大部分は窒素であり,そのN2/Ar比は約50で硫酸第一鉄溶液を煮沸して用いても変りがなかった.このN2/Arは濃硫酸中および水中の溶存ガスのそれに近いので吸収による酸化窒素の分離を行って不純分をしらべると誤差が大きいことが明らかになった.炭酸ガスは直接重量法で求められ窒素計での使用硫酸濃度94.5,98%とも同じであったが,ガス中に亜硫酸ガスは検出できなかった.
  • 硝酸または硝酸繊維中窒素定量法研究(第3報)
    村上 徹朗
    1958 年 7 巻 11 号 p. 685-690
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Lunge窒素計ガスを液体酸素で冷却凝縮させ,不凝縮部を分け,残者を-130℃で蒸発させ中間部を得,さらに残留物を凝縮部とし3部に分けた.この3部を質量分析してLmge窒素計ガスの組成を求めた.炭酸ガス量は窒素計使用硫酸94.5,98%とも同じで重量分析値によく一致した.一酸化炭素量は使用硫酸が98%になると繊維素の分解がおこるためかいちじるしく増加した.ガス中の窒素は使用硫酸が94.5,98%ともそのN2/Ar比が硫酸中の溶存ガスのN2/Arの44に一致し,窒素量は溶存窒素が放出されたものとした値に一致した.よってLunge窒素計ガス中の窒素は副反応による生成物でないことが明らかになった.亜酸化窒素が確認され,これが還元時の副反応生成物で0.22%であったが使用硫酸が98%になると0.4%.に増加した.試料が硝酸カリウムのときは発生ガス中に炭酸ガス,一酸化炭素がないという差があった.
  • 河村 文一, 並木 博
    1958 年 7 巻 11 号 p. 691-695
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アセチレン中のリン化水素を迅速に定量するたこめに,モリブデン青による吸光光度法を研究した.試料ガスを臭素水溶液中に通じ,リン化水素を酸化してリン酸イオンとし,過剰の臭素は亜硫酸ナトリウム溶液を滴下して還元したこのち,モリブデン青法によってリン酸イオンを定量してリン化水素の含有量を求め,満足すべき結果を得た.
    この方法によれば,25~50mlの試料ガスを使い,約15分でリン化水素を定量することができる.
  • 青木 文雄, 矢島 聖使, 黒沢 敏夫
    1958 年 7 巻 11 号 p. 695-699
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2010/02/15
    ジャーナル フリー
    入荷後約2年を経た,核分裂生成物を適当に稀釈し,ガンマ線シンチレーションスペクトロメーターで波高値の分布を調べ,試料中に含まれるCe-Pr-144,Ru-Rh-106,Cs-Ba★-137を確認した.更に陽イオン交換樹脂で大別し,波高値の分布図における光電ピークの面積から,上記核種およびZr-Nb-95の放射能強度の比を求め,冷却期間を2.5年と推定した.Zr-Nb-95は少量のため,樹脂で分離することにより確認された.
  • ポーラログラフによる冶金分析法の研究(第5報)
    美浦 義明
    1958 年 7 巻 11 号 p. 699-702
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ポーラログラフによりアルミニウム地金およびアルミニウム合金中の銅および鉄の同時定量法について研究した.試料は水酸化ナトリウム溶液に溶かし,硫化ナトリウム溶液を加えて銅および鉄などを硫化物として分離してのち,最後に0.5M-エチレンジアミン酒石酸+0.1M-ピロリン酸塩(J. Dolezal and P. Hofman: Chem. Listy, 48, 1325, 1954)を基礎液として用い銅および鉄を同時定量した.検量線法および絶対定量法を用いて定量したこが,両者ともに化学分析値とよく一致した良好な結果をえた.分析所要時間70~80分で,CuおよびFeの含有量約0.01%まで定量できる.
  • 益子 安, 細谷 昇, 秋本 稔
    1958 年 7 巻 11 号 p. 702-706
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    従来のHeyrovsky微係数ポーラログラフ回路を改良し,ΔEを外部乾電池より対極側回路にあたえる方式をおこなったところ,好結果をえた.本回路で微係数ポーラログラムを記録した結果はつぎのとおりである.
    (1)回路の平衡を取ったのちにΔEを回路に附加しても,電流計零点は移動しない.
    (2)回路の平衡が完全で,滴下電極が良好であるならば微係数ポーラログラムからは,滴下によるパルス電流が消える.
    (3)波形は波頂電位に関して左右対称である.半波電位と波頂電位は,IR電圧降下および記録計の時定数による遅れを補正すれば一致する.
    (4)波頂電流値の再現性は充分にあり,濃度とは直線関係を持つ.
  • 小田 仲彬, 久保 正二
    1958 年 7 巻 11 号 p. 707-711
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    チタン中の塩素の定量に関する従来の諸法を工業的実用の見地から比較検討し重量法の迅速化につき研究した.その結果分析の感度や精度を劣化せしめない迅速重量法を確立した.すなわち溶解酸は弗酸20cc/試料5g,酸化用硝酸は20cc/試料5gがそれぞれ適し塩化銀の熟成促進には遠心分離,撹拌がこの順に有効であることを認めた.また塩化銀の濾過~乾燥にミクログラスフィルター,小型乾燥器を用いることにより,従来の重量法に比してきわめて迅速かつ簡易に行い得ることを明らかにした.
    本法はチタン中の全塩素の定量法として約100%の回収率を示し,分析精度は変動係数(σ%)で約5%,定量下限は0.005%である.また分析時間は従来のいずれよりも速く約40~70min/1試料である.
  • 武内 次夫, 早川 福蔵
    1958 年 7 巻 11 号 p. 712-716
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    特級試薬ベンゼン中に微量含有されている飽和炭化水素類の定性,定量をガスクロマトグラフィーを使用して研究した.トリクレシルホスフェート,あるいはカーボワックスの液相を保持せしめたカラムを使用し,展開気体として水素ガスを使用してそれぞれのガスクロマトグラムを得た.ベンゼンのピークがあらわれるより以前に四つのピークを得た.次に含有を予想される飽和炭化水素類の純粋物を少量ずつベンゼン試料に添加して同じ条件のもとにガスクロマトグラムを測定し,保持時間が一致してピークの高さの高揚される物質から不純物の定性を行った.定量法は試料に内部標準物質としてエチルエーテルを一定量添加してガスクロマトグラムを測定し,それぞれの不純物とエーテルとのピークの高さの比と重量比との関係を表わす検量線から含有量を定量する方法をとった.分析結果の一例として正ヘプタン0.16%,シクロヘキサン0.08%,メチルシクロヘキサン0.07%,正ヘキサンおよび未決定一不純物それぞれ少量を含有していた.試料の冷却分別結晶法によって上記ガスクロマトグラフィーでは不純物含有の検知できない程度の最純ベンゼンを得た.
  • 神谷 庄造
    1958 年 7 巻 11 号 p. 717-718
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 三浦 喬, 尾関 昌男
    1958 年 7 巻 11 号 p. 718-720
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 矢島 聖使, 四方 英治, 山口 千鶴子
    1958 年 7 巻 11 号 p. 720
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 矢島 聖使, 四方 英治, 山口 千鶴子
    1958 年 7 巻 11 号 p. 721
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 村田 義夫, 笠岡 成光
    1958 年 7 巻 11 号 p. 721a-724
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Fe-CO系の反応については鉄鋼滲炭反応やFischer-Tropsch反応などに関連して研究が発表されており,近来とくに各種炭化鉄の生成とその結晶構造や磁気的性質などがかなり細詳に研究されている1).
    炭化鉄類の分析法としては,X線および電子回折法2),熱磁気的方法3)などが発表されているが,特殊な設備が必要であり,また各種の酸化鉄が共存する場合には満足な結果を期待することが困難である.著者らはさきに含鉄試料中の金属鉄と酸化鉄類との分離定量法について報告したが,さらに還元鉄と一酸化炭素との反応で生成する遊離炭素,炭化鉄(過炭化鉄),金属鉄および酸化鉄類などを比較的簡易に分離定量する方法について検討したので報告する.
  • 垣花 秀武, 村瀬 武男, 加藤 清
    1958 年 7 巻 11 号 p. 725-732
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 斯波 之茂
    1958 年 7 巻 11 号 p. 732-736
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ヒ素の分析は元来この元素が人体に対して毒性を有することからしてとくにその微量の検出あるいは定量を必要とすることが多く,ために微量分析の方法についても古くから研究が行われており多数の報告がある.
    Marsh法1),Bettendorff法2),Gutzeit法3)などはその代表的なもので,一般に知られている方法であるが,なかでもGutzeit法はこれが発表されて以来多くの人々によって改良が加えられており,今日ではヒ素の微量分析法として最も多く利用されている.Gutzeit法は要するにヒ素化合物より発生機の水素によってヒ化水素を発生させ,これと重金属塩との呈色反応を利用するものであるがGutzeitが1879年に発表した方法は硝酸銀溶液でしめしたロ紙にヒ化水素を触れさせて呈する黄色の度合を比較するものであった.これより先,塩化第二水銀溶液が同じくヒ化水素によって着色することが報告4)されており,これをヒ素の微量分析に応用する提議がFlückiger5)によってなされた.ついで1907年Hefti6)によって塩化第二水銀溶液でしめしたロ紙を用いる方法の研究がなされ(Hefti法と称する),同年Sanger,Black7)は塩化第二水銀のアルコール溶液を細長いロ紙にしませて細い管に入れ,これにヒ化水素を通し着色した部分の長さを比較して定量を行った(Sanger法と称する).この頃Goode,Perkin8)によって塩化第二水銀のかわりに臭化第二水銀を使用する方法が提案された.これはSmith9)によって支持され,この臭化第二水銀法は米国の公式分析法として採用されるにいたった.
    このたび日本ソーダ工業会技術委員会がきめたヒ素試験方法は微量分析小委員会(構成メンバー20名)においてGutzeitの改良法について,現在これに準拠しているJIS10),日本薬局方11),衛生検査指針12),アメリカ薬局方13),Rosin14),A.C.S.15)などの諸方法を参考として検討が加えられ決定を見たものである.その検討されたおもな点は装置の改良,実施上のおもな注意事項など,ならびに合成塩酸,ソーダ灰およびカセイソーダ中のヒ素試験方法である.
    日本ソーダ工業会,JIS試薬,日本薬局方など,の装置を挙げた.
    日本ソーダ工業会技術委員会がきめたヒ素試験方法について
  • 松平 順, 室井 要
    1958 年 7 巻 11 号 p. 737-741
    発行日: 1958/11/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    最近水分定量にカールフィッシャー試薬(以下K.F.試薬と略称)が広く使用されるようになったが,この方法は他の水分定量法に比較して常温で容量分析的に迅速かつ正確に測定できる点でますます利用価値が高まりつつある.本試薬は1935年にKarl Fischerが亜硫酸ガス中の水分を定量しようとして次式の反応により生ず
    I2+SO2+2H2O〓2HI+H2SO4……(1)
    る酸を反応系外に除くためにピリジンを加えて反応を定量的に進行させることにより発見された水分定量試薬である.
    その後Mitchell,Smithおよびその他の研究者によって水と試薬との反応機構はつぎのように水1モルとヨード1モルとが反応することが判明した.
    I2+SO2+3C5H5N+H2O→2C5H5N〓+C5H5N〓……(2)
    C5H5N〓+CH3OH→C5H5N〓…(3)
    試薬の組成の割合は種々あるが,一般にはヨード,亜硫酸ガス,ピリジン(1:3:10モル比)と過剰のメタノールより調製されているが,この点についてもいろいろと研究され全成分を混合したものは急激に力価(試薬1ccに対応する水のmg数)を低下するので,試薬成分を
    A液(ピリジン+亜硫酸ガス+メタノール)
    B液(ヨード+メタノール)
    に分離し,使用の際混合するもの,あるいはA液中に試料を溶解し,B液で滴定するようにしたもの,またはPeter(米)らはメタノールのかわりにメチルセロソルブを用い試薬の安定性を計った単液品,およびBelcher(英)らはヨードのかわりに臭素を用いて,臭素,亜硫酸ガス,クロロホルムの三成分からなる安定な単液試薬を調製するなどともに力価の安定性を計っている.また国内市販の単液品K.F.試薬SSもこの目的に沿って調製されている.しかし力価安定な単液試薬も永久に力価が固定されたものでは無くわずかながら力価が低下して行くので,常に力価の検定に心掛けねばならない.
    著者らはたびたび各方面からこの力価検定について問合せを受けるので,この際従来の種々の検定法とともに現在われわれが使用して推奨できる方法も紹介し,かつ検定上の諸注意事項をあわせて以下に述べる.
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