分析化学
Print ISSN : 0525-1931
7 巻, 5 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 尾崎 知良
    1958 年 7 巻 5 号 p. 275-283
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    微量フェノール類の分析は高分子工業のみならず,工場廃水問題の上から近年特に重要となり,比濁法および種々の吸光光度法が研究された.そのうちp-ニトロアニリン法,ニトロソ化法,4-アミノアンチピリン法の光電比色分析への応用につき,各種フェノール類を用いて検量線の側より比較検討した.それぞれ517,420,517mμの波長フィルターを用いたが,2ppm以下では4-アミノ法が,フェノール混合物の分析についてはニトロソ化法,操作の容易さの点ではp-ニトロアニリン法が優れていることがわかった.さらに4-アミノ法については0~50ppmの濃度範囲でも試薬濃度を10%とすれば充分分析でなることを知った.従って精度,迅速の両面から総合すると4-アミノ法が水中微量フェノール分析法として最も適している.
  • 北川 公, 柴田 則夫
    1958 年 7 巻 5 号 p. 284-287
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ニッケルをジメチルグリオキシム錯塩となし,クロロホルムで抽出し吸光光度定量するときの諸条件を明らかにする目的で本研究を行い,つぎのことを見出した.
    すなわち,(1)ニッケルジメチルグリオキシム抽出の際のpHは5~9がよい.(2)光度定量に適当な波長は370~380mμである.(3)ジメチルグリオキシム試薬は大過剰に使用しても影響はない.(4)抽出したクロロホルム溶液は非常に安定である.(5)共存元素の影響をしらべた結果,ニッケル0.20mgにたいし,銅は0.2mg以上,コバルトは5mg以上,クロムは20mg以上,マンガンは100mg以上共存すると定量に支障をきたす.アルミニウム,ビスマス,カドミウム,鉄,モリブデン,亜錯,スズ,アンチモン,チタン,バナジウム,タングステンは500mg存在しても影響はほとんどない.(6)銅の影響を除くには,抽出液をジメチルグリオキシムを含む酢酸アンモニウム+アンモニア水で数回処理するとよい.
    なお実際に鉄鋼,アルミ合金,銅合金中のニッケルの定量に応用した結果,きわめて満足すべきものであることを示した.
  • X-ray Diffractometerによる工業分析法の研究(IV)
    橋詰 源蔵, 萩野 友治, 小林 正光
    1958 年 7 巻 5 号 p. 287-292
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    縮合リン酸塩のうちとくに無定形物質を含みやすいもの,すなわちNaPO3-Na5P3O10系のX-ray Diffractometer(X線回折計)による定量分析法を検討した.
    NaPO3-Na5P3O10系では,無定形状態のものを加熟処理することにより結晶性のNaPO3とNa5P3O10の混合物が得られ,その結果組成を内部標準物質法(Internal Standard Method)で決定することにより原試料の推定あるいは晶質管理の一手段とするものである.
    結晶形は安定性,処理の容易さ,回折線の強度などを考慮してNaPO3(I)およびNa5P3O10(I)を選び,したがって加熟処理は500~550℃でおこない,また標準物質(Intemal Standard)としては,あまり適当なものとはいえないがCaSO4・1/2H20をもちいた.測定値の再現性は±5%程度であった.加熱処理時間を検討した結果,NaPO3(I)は結晶化速度が大凄く,500℃1時間程度で十分な精度を期待で選るが,Na5P3O10(I)は2時間以上,とくにその量が少ないほど長時間加熟することの必要性をみとめた.なお二,三の実例について応用し興味深い結果を得た.
  • 阪上 正信
    1958 年 7 巻 5 号 p. 292-296
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ウランの簡便な微量定量法としてのペーパークロマトグラフィーを検討,改良し,再現性および感度に望ましい結果を得た.すなわちあらかじめペーパー上に待機させたフェロシアン化カリウムの前線において,酢酸エチルに抽出,上昇してくるウランを逐次反応呈色させ,その呈色線を標準系列のそれと比較し定量する.本法によりペーパー上0.02γのウランも検出し得るので,1gの固体試料または1lの試料水中の10-2~10-6gのウランを定量し得た.なお本法においては鉄,銅その他の妨害もなく,誤差も±30%以内にとどまり,再現性,保存性を確保し得る.ウランの地化学探鉱,鉱床での分布の研究,さらに精密分析の予備手段として有効である.
  • 連続電量滴定装置の研究(その3)
    高橋 武雄, 桜井 裕
    1958 年 7 巻 5 号 p. 296-300
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    連続電量滴定法の終点指示方式に電流滴定法を適用すると,その滴定曲線は直線的になる.よって,本装置のごとき増巾器から直接,電解電流をとりだす装置でも,試料濃度と電解電流との関係は直線的になる.また動作点における電圧感度も試料濃度に関係なく常に一定である.このため本装置の過渡現象を調べるにも好都合である.電流滴定の指示電流を抵抗をとおして電圧としてとりだすので,その抵抗値をかえることにより電圧感度を自由に選択することができる.
    本報では電流滴定法を利用した連続電量滴定法の原理を説明し,電位差滴定法を終点指示方式に採用した場合の差異および長短をのべるとともに,亜砥酸の稀薄溶液を試料とした臭素滴定をおこなった.その結果,亜砒酸の濃度と電解電流との関係はまったく直線性がなりたち,さらにその再現性も良好であった.
  • 柳沢 三郎, 関 道治, 渡辺 芳一, 中村 茂, 守谷 文雄
    1958 年 7 巻 5 号 p. 301-304
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    重水製造の現場分析用として迅速簡便な熱伝導式分析装置を製作した.
    従来熱伝導法では測定困難であった0.1%附近め分析を可能にした.
    抵抗体にはサーミスターを使用して,感度を上げ,精度を±0,02%にすることがでさた.
  • 硝酸および硝酸繊維素中の窒素定量法研究(第1報)
    村上 徹朗
    1958 年 7 巻 5 号 p. 304-309
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    中和滴定法によって硝酸繊維素中の窒素および硫硝混酸中の硝酸が迅速にかつ精度よく定量できた.
    試料をアルゴン気流中で6~8N塩酸々性で硫酸第一鉄とともに煮沸すると酸化窒素を生成し亜酸化窒素の副生は認められなかった.この酸化窒素ガスを水酸化ナトリウム溶液で洗い,つぎに酸素および過酸化水素で酸化して硝酸とし,N/10水酸化ナトリウム標準液で滴定した.
    本法を硝酸繊維素中の窒素の定量に応用すると,従来の諸法に比較して試料が短時間で完全に分解され,所要時間30~40分間で標準偏差0.02%以内で定量できた.また本法によって,硫硝混酸中の硝酸が共存する硫酸の影響なく精度よく定量できた.
  • 若松 茂雄
    1958 年 7 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    従来酸性溶液中の遊離のホウ酸は加熟その他の処理によって非常に揮発しやすいと信ぜられている.このためにホウ素の定量にあたっては分析操作に種々な制限が加えられる.金属その他のなかの微量のホウ素の吸光光渡法による定量が困難であるとされている原因の一つはここにあると考えられる.よって著者はこの点について検討した結果,酸性溶液中の遊離のホウ酸は加熱その他の処理によって揮発することのないことをたしかめた.そしてこれによってホウ素の定量を困難にしている原因の一つを除去することができた.
  • 1958 年 7 巻 5 号 p. 319a
    発行日: 1958年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
  • 1958 年 7 巻 5 号 p. 319b
    発行日: 1958年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
  • 吉川 春寿
    1958 年 7 巻 5 号 p. 320-333
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    今回は定量法および分劃法の題目について取上げた.生体内の燐酸化合物の種類は雑多であり,なお現在未知の化合物竜すくなくないと思われるので,燐酸化合物の分離法や定量法には未解決の問題がはなはだ多い.
    滴定法とか,比色法とか,燐酸化合物の定量には多数の定量法が提出されているが,生理化学的の研究のためにはどのようなものが適しているか選択するのは,そう容易なことではない.さらに要望されているのはその分劃定量法であるが,昔からおこなわれているのは,加水分解の難易とか,各種熔媒に対する溶解度の差異による分劃沈澱とかによる方法であって,これらには不満足な点が多い.もちろん,研究目的によっては,これで十分であり,あるいはまたこの方が適している場合もあるが,無批判に従来の方法を踏襲すると重大な誤りをおかすおそれがあるから,このような方法にたいしては十分な検討を加えておかなくてはならない.
    酵素を利用する定量法は特異性においてすぐれているので,ある特定の化合物の定量をしたり,またその生体内での行動を追求するにはもっとも信頼すべき結果をあたえるものとして期待される.ただ酵素標品の純度とか,その安定度とかにいろいろ注意すべき点があるので,これを応用するにあたっては,十分に経験者の指示を受けなければならないとおもう.
    最近,さかんにもちいられるようになったクロマトグラフ法は分劃法としてすぐれており,ことに32Pを使用する場合にはこれが絶対に必要となることがすくなくない.しかし,なにぶんにも使われはじめてから年月をへていないので,改良すべき点,検討すべき点がはなはだおおく,これまた経験者の知識が貴重な示唆をあたえるであろう.
    この意味でこのシンポジウムで討議されることが土台となって,多くの研究者によって将来,燐酸化合物の生理学的意義に関する研究がわが国で大いに発展するよう,希望するのである.
  • 1958 年 7 巻 5 号 p. 333
    発行日: 1958年
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
  • 加藤 多喜雄
    1958 年 7 巻 5 号 p. 334-336
    発行日: 1958/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    溶液から析出した沈澱は,こしやすい粒子であること,目的以外の成分を不純分として含んでいないこと,一定な組成に導き得られるものであることなどが,定量分析では必要になつている.定性分析においても,沈澱がこのような諸性質を備えていて差支えないし望ましいことでもある.
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