分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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年間特集「食」: 総合論文
  • 岩崎 雄介, 奥村 真美, 松本 仁見, 安藤 千夏, 亀井 淳三
    原稿種別: 年間特集「食」: 総合論文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 573-581
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    食品には,さまざまな機能性をもった化合物が多く含まれている.そのため,疾病の予防や症状の緩和に寄与する目的として,機能性を付与した食品が多く開発されている.化学物質や食品成分は,無毒性量(NOAEL)や許容一日摂取量(ADI)が設定され,さらに,医薬品は,開発段階において他の物質との相互作用についても詳しく調査されている.しかし,食品成分については,さまざまな成分が含まれているため,単体の安全性は確保されていても,相互作用については,すべてを検証し評価することは困難なものとなっている.そこで本稿では,食品に含まれる抗酸化物質に注目し,相互作用によって生じる活性酸素種及び活性窒素種について紹介する.

年間特集「食」: 報文
  • 渡辺 光, 瀬野 敬, 鈴木 彌生子, 保倉 明子
    原稿種別: 年間特集「食」: 報文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 583-592
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    偏光光学系蛍光X線分析装置を用いて,日本,中国,マレーシア,バングラディッシュ,ミャンマーのアジア5か国の精白米中微量元素の定量を行った.試料調製の際,長粒米(インディカ米)は錠剤成型されにくく,12 tonf/cm2で10分間の加圧の条件が必要であった.二次ターゲット材に,T, Ge, Zrを用いることで,10元素(P, S, Cl, K, Ca, Mn, Fe, Cu, Zn, Rb)が15分の測定で検出され,そのうち6元素(P, Mn, Fe, Cu, Zn, Rb)を検量線法で定量した.これらの6元素の組成と安定同位体比δ13C, δ15N, δ18Oを組み合わせて解析したところ,アジア米の国ごとの特徴が明確となり,それぞれの産地を判別できる可能性が示された.

総合論文
  • 半田 友衣子
    原稿種別: 総合論文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 593-599
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    結晶性配位高分子の金属イオン交換反応は,金属イオン分離や検出だけでなく,新規物質合成経路として研究されている.一般的なイオン交換材料とは異なるイオン選択性を示す系もあり,結晶性配位高分子は興味深いイオン交換反応場であるといえる.そのメカニズムの詳細はいまだ理解されていないが,著者は,配位高分子の結晶構造変化が一つの重要な要因であると考えている.本稿では,ランタノイドイオン(Ln3+)とリン酸系配位子が形成する二つの配位高分子での金属イオン交換を紹介する.一つは,Ce3+とbis(nitrophenyl)phosphate(L1)とが形成する結晶性配位高分子(CeL13)でのLn3+交換(Ln3+≠Ce3+)で,重希土類であるYb3+とLu3+でのみイオン交換反応が進行するという極めて珍しい選択性を示した.二つ目はLa3+とアルカリ金属イオン(M)と1,4-phenylenebis(methylidyne)tetrakis(phosphonic acid)(L2)とが形成する配位高分子(MLaL23)でのM交換で,Kに対する選択性が高いという結果であった.どちらの系も結晶構造変化を伴う反応であり,配位高分子中に2種類の金属イオンが混在することによって配位高分子骨格の構造安定性が変化し,イオン交換選択性に影響するのであろうと推測している.

  • 熊田 怜, 織岡 真理子, Daniel CITTERIO, 蛭田 勇樹
    原稿種別: 総合論文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 601-616
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    蛍光及び生物発光は,高感度かつ即時的な測定を実現できるという特徴から,種々の化学・バイオセンサーのほか,細胞/生体イメージングへの応用が盛んに進められてきた.ここで,特定の分子やイオン,細胞の検出を実現するため,目的物質選択的に発光挙動が変化するプローブの開発が求められる.著者らは,目的の機能に合わせた分子設計を行うことにより,特に低分子型プローブの開発を進めてきた.本稿では,蛍光及び生物発光を利用した低分子型プローブの分子設計指針及びその応用例について,著者らの行ってきた研究例を交えて紹介するとともに,低分子型プローブの更なる機能化に向けた指針について述べる.

報文
  • 加世田 大雅, 蓮田 敬, 秋野 友香, 小池 裕也, 小川 熟人
    原稿種別: 報文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 617-624
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    埋立て処理が可能な放射性セシウム濃度8000 Bq kg−1以下の都市ごみ焼却飛灰について,環境省告示第13号試験及びタンクリーチング試験の溶出試験に基づき,放射性セシウムの水への溶出量を評価した.2種類の溶出試験により得られた溶出液と残渣(ざんさ)から,焼却飛灰中に含まれる放射性セシウムの6割以上が水溶性化合物に付着,または水溶性化合物として存在していると考えられる.焼却飛灰自体の無害化処理は課題であり,処分場に埋め立てられた焼却飛灰からの放射性セシウムの溶出を考慮した前処理として,水洗浄処理を選択した.繰返し溶出処理と連続溶出処理による水洗浄試験の結果から,36時間連続での水洗浄で溶出させることが最も実用的な方法であった.ラドディスク,活性炭ろ紙,プルシアンブルー不織布の3種類の固相ディスクにより,放射性セシウムの分離濃縮を試みた.都市ごみ焼却飛灰を水洗浄した洗浄液中の放射性セシウムの分離濃縮方法としてラドディスクが高い回収率を示した.

技術論文
  • 佐藤 綾子
    原稿種別: 技術論文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 625-629
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    通常の有機元素分析の条件では,CuOを燃焼管充填剤として,He中にO2を添加しながら900℃ か1000℃ で試料を燃焼するが,金属錯体化合物試料を数多く分析すると,高温のため燃焼管が損傷するという問題があった.一方,近年,燃焼触媒としてTiO2を用いてプラスチックを500℃ で分解する方法が実用化しているが,著者は,その方法を参考にして,低温燃焼で有機元素分析を行うための新規充填剤CuO/TiO2を開発した.このCuO/TiO2充填剤を燃焼管に充填し,550℃ の低温で,有機元素分析標準試料,また難燃性の有機フッ素化合物,有機ケイ素化合物,金属錯体化合物,有機リン化合物などについて元素分析実験を行い,その有用性を確認した.さらに,現在普及している全有機体炭素(TOC)分析計では白金充填剤を使用し680℃ で試料を燃焼するが,550℃ でこのCuO/TiO2充填剤を用いることにより,白金を代用できる可能性を示すことができた.一方,本方法ではgraphiteがほとんど分解されないことから,本法と通常の950℃ の高温条件を組み合わせることにより,本法で有機態炭素を,また,高温条件で元素状炭素を分別定量することが可能であることが分かった.すなわち,本法は,次世代カーボン素材のカーボンナノチューブや,カーボンナノファイバー及び新機能ポリマーの研究において,修飾した有機化合物の割合を調べることや,環境における微小粒子状物質中の炭素の分別定量などに広く応用できると予想される.

  • 北澤 和也, 山口 和隆
    原稿種別: 技術論文
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 631-637
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    市販の植物油16点,混合油13点について液体クロマトグラフ─質量分析計/蒸発光散乱検出器(LC-MS/ELSD)を用いて分析し,得られたクロマトグラムの波形パターン解析を行うことによりそれらの識別を行った.MSを用いて植物油の主成分であるトリアシルグリセロール(TAG)を検出し,同時にELSDを用いてTAG組成を反映した特徴を持つクロマトグラムを得た.クロマトグラムの波形パターンについてスペクトル解析ソフトウエアを用いて解析を行ったところ全試料の識別が可能であったほか,混合油については含有する植物油とその混合割合の推定が可能であった.本法は簡便な方法で植物油及び混合油の検出及び識別が可能であったことから,迅速な法科学的識別に有用であると考えられた.

アナリティカルレポート
  • 古閑 豊和, 石橋 融子, 宮脇 崇
    原稿種別: アナリティカルレポート
    2021 年 70 巻 10.11 号 p. 639-647
    発行日: 2021/10/05
    公開日: 2021/12/06
    ジャーナル フリー

    In July 2020, heavy rains caused floods in the Kyushu region, resulting in an accidental spillage of 12 pesticides from a pesticide storehouse upstream of the Chikugo River tributary. In this study, we analyzed the spilled pesticides by a target screening method using GC/MS and LC/MS/MS. Some of the spilled pesticides (iminoctadine,diquat,paraquat) were measured by direct injection using LC/MS/MS. The toxicity of the pesticides to aquatic organisms was assessed by bioassays using algae (Raphidocelis subcapitata), water fleas (Daphnia magna), and fish (Danio rerio) embryos. As a result, no spilled pesticides were detected and no toxic effects were observed on aquatic organisms. The screening method using GC/MS and LC/MS/MS determined chemicals in 1 day, i.e., from sampling to reporting the survey results. The recovery tests of pesticides, using river water in a heavy rain disaster by a target screening method, were at generally acceptable levels (recovery rate: 44-110 %) compared with the target recovery rates (50-150 %). However, the recovery rate of highly hydrophilic pesticides (iminoctadine,diquat,paraquat) was 0.29-0.75 %. Therefore, it is necessary to develop a screening method for hydrophilic substances used in heavy rain disasters.

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