分析化学
Print ISSN : 0525-1931
9 巻, 1 号
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  • EDTAによる硫酸イオンの定量(第3報)
    入谷 信彦, 田中 共生
    1960 年 9 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    リン酸および硫酸イオンを含む混合試料についてリン酸イオンをリン酸マグネシウムアンモニウムとして沈殿分離し,この沈殿中のマグネシウムをEDTA標準液で滴定しリン酸イオンを定量する方法,さらにこの沈殿をこしわけたロ液中の硫酸イオンを前報で報告したPb(NO3)2-EDTA法を用いて定量する方法について実験条件を検討した.この方法によりそれぞれ1~50mgのリン酸および硫酸イオンの混合試料を定量し満足すべき結果を得た.
  • 田中 善正, 山本 セツ
    1960 年 9 巻 1 号 p. 6-8
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ジエチルジチオカルバミン酸銅の四塩化炭素溶液を指示薬として微量のシアンイオンを硝酸第二水銀溶液で滴定する方法を考案した.すなわち滴定の途中は滴加した水銀イオンはシアンイオンと結合して指示薬と反応しないが,すべてのシアンイオンがシアン水銀となる量以上に硝酸水銀を滴加すると指示薬と水銀イオンが反応して指示薬溶液の脱色が起り終点を知ることができた.本法によれば0.0001M硝酸第二水銀溶液を用い30~140γのシアン化カリウムが簡易かつ正確に定量できた.ハロゲンイオンおよび有機物は本定量法を障害したが,試料を酒石酸酸性となし蒸留した留液について本法を試み障害なくシアンイオンを定量することができた.
  • 田中 善正, 山本 セツ
    1960 年 9 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    青紫色のジフェニルカルバチッド水銀紙は中性ないしアルカリ性でシアンイオンによって赤色を呈する.試料をミクロガス発生器にとり重炭酸ナトリウムを加えて加熱し,発生するガスを水酸化ナトリウム溶液で湿した試験紙に接触させると,シアンイオンの存在で試験紙が赤変し0.05γのシアンイオンまで検出することができた.硫化物は類似の反応を呈するが硝酸カドミウムを加えるとその障害が除去できた.またこの試験紙の変色した部分の長さはシアンイオンの量に比例し,その長さをはかることにより簡易に1~10γのシアンイオンを定量することができた.本定量法は硫化物,フェリシアン化物,ヨウ化物の共存で誤差を生じたが前二者は硝酸カドミウムの添加によって後者は蒸留によって障害を除くことができた.また本法は裁判化学的な試料についても実施することができた.
  • ステロイドの呈色反応(第1報)
    長沢 佳熊, 渡辺 俊雄
    1960 年 9 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ステロイドに対し硫酸を用いる呈色反応,すなわち,単なる硫酸反応;Woker法,Scherrer法,Libermann-Burchard反応,Salkowski反応,Lifschütz反応をおこなうとき,その呈色は順次に変化するが,これをガラス毛細管中でおこない,ただちに融閉すると,その呈色が安定化する,また,その変化した呈色物質を毛細管に移し,融閉すると,その色が安定化し,いずれの場合も1~3ヵ月後において,そのままで保たれるものがある.Scherrer法を,小試験管中で炭酸ガス気流上でおこなった場合は,空気中でおこなった場合より呈色が少し安定化する.
    ガラス毛細管中で以上のような反応をおこない融閉し,長時日放置すると,ある場合には種々の呈色体が同時に1本の毛細管中にあらわれる(Fig.1,2参照).これらの現象を利用すると,各種のステロイドの同定に大いに役立つ.
  • ステロイドの呈色反応(第2報)
    長沢 佳熊, 渡辺 俊雄
    1960 年 9 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ステロイドに対する硫酸呈色反応およびScherrer法による呈色反応で,経時変化によって退色した後でも,水銀灯をフィルタによって透過した360mμの光線で照射すると,螢光が著明に認められるものがある.この螢光の段階的経時変化状態は,その段階における反応物をガラス毛細管に封じておけば,封管しないものよりかなり安定化してその螢光を保つことができる.
  • 若松 茂雄
    1960 年 9 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    試料を過酸化ナトリウムによって溶融分解したのち,融塊を温水で溶解しロ過する.ロ液の一部を採り,塩酸を加えて微酸性とする.これに塩化アンモニウム溶液,酒石酸溶液および塩化バリウム溶液を加える.pHを8.6~9.2に調節し,20℃以下に冷却してホウ素を沈殿させる.この沈殿をロ別,強熱して重量法によってホウ素を定量する.
  • 神谷 庄造
    1960 年 9 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    芳香族および脂肪族の1,2級アミンは二硫化炭素と反応して,それぞれ異なった化合物を生成し,.これらは2,6-dibromoquinonechlorimideとそれぞれ特有の呈色反応をおこなうから,1,2級アミンを識別することができる.すなわち,(1)芳香族第1級アミンはチオ尿素誘導体となり,持続する赤紫色,(2)脂肪族第1級アミンはジチオカルバミン酸塩となり,赤色を呈しただちに脱色するか,または黄色を呈する.(3)脂肪族第2級アミンは相当するジチオカルバミン酸塩となり黄色を呈する.またメチル(エチル)アニリンは同様にして緑色.ジメチル(エチル)アニリンは二硫化炭素と反応しないで徐々に青色のインダミン色素をつくる.アミノ酸類は水およびピリジンの1滴を加えて反応させれば赤色となる。芳香族第1級アミンにては感度がややおとり,また一般に-M効果をもつ置換基のある芳香族第1級アミン,および酸アミド態のアミノ基は陰性である.
  • 高木 友雄, 柳田 勇
    1960 年 9 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    強リン酸-ヨウ素酸分解法による窒素定量は従来水溶性無機物および普通の有機物について発表されたが,カルシウムシアナミドのように不純物としてアセチレンガスを発生する物質については従来の方法では測定できない.よって別個の操作法を研究した.
    すなわち試料を一定量の強リン酸と予備加熱して溶解し,試料より発生する不純物ガスと強リン酸中の空気を追放し,冷後ヨウ素酸カリウムを加えて加熱測定する.別に一定量の強リン酸をとり,これにヨウ素酸カリウムを加えて加熱し,強リン酸中にブランクとして含まれるアンモニァを炭酸ガスブランクとともに測定して差し引くこととした.ケルダール法で数時間を要するが本法では操作時間25分以内である.測定平均値はケルダール法にほとんど一致する.
  • 舟阪 渡, 小島 次雄
    1960 年 9 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    パラニトロフェノール,2,4-および2,6-ジニトロフェノール,2,4,6-トリニトロフェノールをペーパークロマトグラフ法およびロ紙電気泳動法によって分離することを試みた.ペーパークロマトグラフ法ではクエン酸緩衝液で緩衝化したロ紙を用い,同様の緩衝液を含むアミルアルコール-ベンゼンで展開するか,または酢酸ナトリウム水溶液で処理したロ紙を用い,アミルアルコール-ベンゼン-酢酸で展開すれば分離は良好である.ロ紙電気泳動法ではpH3.2~3.6の酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液を用い,500Vで1.5時間泳動をおこなえば,分離が完全であることを確かめた.
    2,4-ジニトロフェノール中の2,6-ジニトロフェノール,2,4,6-トリニトロフェノールを定量する目的でカラム電気泳動法について検討を加え,0.25%の2,6-ジニトロフェノール,2,4,6-トリニトロフェノールの定量が可能であることを確かめた.
  • 安盛 善一, 西村 隆雄
    1960 年 9 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    硫酸中の鉛の矩形波ポーラログラフ法による頂点電位は硫酸濃度が高くなるほど陰電位にずれ15M硫酸中では鉛波は水素波と重なり不明瞭となる.10M硫酸中では鉛の溶解度はあまり大きくないが,鉛の頂点電位における蓄電器電流が非常に小さいので低濃度の鉛波でも明瞭に検出できる.この場合の鉛の波高の温度係数はとくに大きく,しかも20℃以上に加温した場合一定の波高に達するのに長時間を要する.分析条件としては硫酸濃度は10M,温度は40℃に選び,電解瓶を恒温水に挿入して20分間水素を通気してのちポーラログラムをとることとした.これによって1級試薬硫酸および工業用硫酸について鉛を定量した結果,それぞれ0.026ppmおよび0.52ppmの値が得られた.
  • 連続電量滴定法の研究(第2報)
    高橋 昭
    1960 年 9 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/15
    ジャーナル フリー
    さきに報告した連続電量滴定装置は,自動制御部を含んだ装置であるので,動作条件が適当でないと記録が不安定になる.すなわちハンチングをおこして濃度不変の試料に対しても周期的に変動した記録結果を示し,安定な記録が得られない場合がある.そこでこの装置の動作特性を自動制御理論によって解析した.その結果,安定な記録を得るためには,電解電流変化速度および反応終点の検知電極部分の容量を小さくし,また発生用電解液および試料の流量を大きくすればよく,とくに流量の増加は効果的であることがわかった.実際にこれらの条件を種々変えて記録の特性を調べたが,解析によって得られた結果が実証された.
  • 渡辺 四郎
    1960 年 9 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    鉄鋼中の微量ビスマスの定量が要望され種々研究した結果,主成分である鉄を第二鉄とし濃塩酸溶液で酢酸アミルにより抽出して微量ビスマスよりのぞき,抽出残液を硫酸にて蒸発乾固し塩酸を除き,硫酸酸性6.5Nにてヨウ化カリウム溶液を加えてビスマスをヨウ化物とし過剰のヨウ素を次亜リン酸ナトリウム溶液にて還元し,ヨウ化ビスマスをイソアミルアルコールで抽出し,波長450mμにおける吸光度を測定してビスマスを定量する.このような方法により種々の実際試料を分析した結果,0.001%程度のビスマス含有試料でも簡易に定量することができた.
  • 浜口 博, 黒田 六郎, 吉田 盛行, 小沼 直樹
    1960 年 9 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1960/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    硝酸イオンの紫外部吸収帯(302mμ)を利用する示差吸光光度法による遊離硝酸および硝酸イオン定量の分析的諸条件を検討した.対照液,試料溶液の濃度をそれぞれc1,c2とし,吸光度をArとすれば,
    c2=c1+1/7.86×Ar
    により,c2を求めることができる.対照液の濃度としては,実用上0.3N程度の硝酸あるいは硝酸塩溶液を用いるとき,最大精度がえられる.0.5N程度(NO3-として約30mg/ml)までベールの法則が成立する.本法は中和滴定ほどの精度を必要としないような場合の硝酸濃度の検定,主成分的濃度において存在する硝酸イオンの定量に適用すれば,非常に迅速かつ便利である.
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