分析化学
Print ISSN : 0525-1931
9 巻, 10 号
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  • 安部 靖彦
    1960 年 9 巻 10 号 p. 795-798
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    D.O.P.,T.C.P.,シリコーンオイルKF-96(信越化学工業K.K.製),シリコーンオイルDC703(DowCorning)を固定相とするカラムを用いたガスクロマトグラフィーにより,塩化水素,トリクロルシラン,四塩化ケイ素,三塩化ホウ素,三塩化リンの定性分析をおこなうことができた.固定相によっては最初に試料が加水分解することもあるが,シリコーンオイルではこれは非常に少なく,定量分析に適していると思われる.トリクロルシランと四塩化ケイ素の混合物およびトリクロルシランと三塩化リンとの混合物の定量分析においてもDC-703を使用して,ほぼ満足できる結果を得た.
  • 溶媒抽出法の工業分析への応用(第3報)
    田島 信雄, 黒部 森司
    1960 年 9 巻 10 号 p. 798-800
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アルミニウム合金中の鉄(0.3~2%)を簡単迅速に定量する方法について検討した.その結果,主成分および共存元素からメチルイソブチルケトン抽出によって鉄を分離し,サリチル酸を指示薬としてEDTA滴定することにより,迅速に鉄の定量が可能であることを知った.
    すなわち試料を塩酸および硝酸で分解し,硝酸を追出し,ケイ酸などの不溶性残サをロ別したのち塩酸濃度を6~8Nとして鉄を抽出分離する.水で逆抽出後pHを調整し,サリチル酸を指示薬としてEDTA標準液で滴定する.
    本法によればアルミニウム合金中の鉄を30分以内に±0.01%の精度で定量することができる.
  • 矩形波ポーラログラフによる分析方法の研究(第1報)
    田島 信雄, 黒部 森司
    1960 年 9 巻 10 号 p. 801-806
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    矩形波ポーラログラフを用いて鋳鉄,銑鉄中に含まれている0.005~0.02%の銅,0.0002~0.002%の鉛の定量をおこなった.主成分の鉄共存のままでは,水銀がひどくよごれて測定不能となったり,あるいは再現性が非常に悪くなったりしたので,鉄を6N塩酸酸性からMIBKによって抽出分離後残液のポーラログラムを求め定量した.この分離操作は共存するスズの妨害も同時に除くことができた.
    試料1gを用いてマンガン1%,クロム1%,ヒ素0.1%を含むような試料中の上記含量の銅および鉛を定量できた.鉛0.0005%を含む試料に銅0.1%含有しても,鉛の定量は可能である.本法で用いた支持塩は1N塩酸であり,酸素の影響が現われるので水素を通じて除いた.
    本法の所要時間は,銅および鉛を定量し約40分である.
  • 有機分析試薬の合成とその応用(第1報)
    有川 喜次郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 806-810
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    本定量法はアルミニウムイオンがpH3.7~4.2においてα-メチル-ホルムオーリン-3,3'-ジカルボン酸と反応し,生成する510mμに極大吸収を有する紅赤色を比色する方法である.試薬水溶液は酢酸酸性で360mμに極大吸収がある淡黄~橙黄色を呈する.このアルミニウム錯化合物はアルミノン試薬の場合より易溶性であるから,保護膠質を用いなくても定量が可能である.
    鉄(III)イオンも本試薬により紫赤色を呈するが,あらかじめ塩酸ヒドロキシルアミンで還元しておけば妨害とはならない.
  • 鉄鋼中微量元素定量法の研究(第3報)
    前川 静弥, 米山 善夫
    1960 年 9 巻 10 号 p. 811-815
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    鉄鋼中の微量カルシウムをシュウ酸塩として分離したのち,ポーラログラフで定量する方法を案出した.45Caをもちいて分離法を検討し,操作条件を決定した.本法で二,三のカルシウム脱酸鋼を分析し,0.001~0.03%のカルシウムを再現性よく定量するととができた.カルシウムは鋼塊中に偏在するのでサンプリングはとくに注意を要する.
  • 8-hydroxyquinolineの金属錯塩のホットアトム効果について(第1報)
    海老原 寛, 吉原 賢二
    1960 年 9 巻 10 号 p. 815-821
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    8-hydroxyquinoline(オキシンと略す)の銅,ニッケルおよびマンガンのSzilard-Chalmers効果について調べた.無水のオキシン塩にJRR-1(中性子東密度~1011n/cm2・sec)中で中性子照射をし,これをクロロホルムに溶解してから種々のpHの緩衝溶液とふりまぜ,Szilard-Chalmers効果によって錯塩の結合からはずれた金属原子を水層に抽出した.放射能測定によって水層への抽出率を定め,水相中のその金属イオンの総量を定量して濃縮係数を出した.
    64Cuについては抽出率9%(pH11の緩衝溶液)および15%(15Nアンモニア水)を得,濃縮係数はそれぞれ231および244を得た.65Niについては0.5N水酸化ナトリウム溶液で抽出して抽出率81%,また濃縮係数は105という値を得た.なおニッケルターゲットから(n,p)反応で生成する58Coを分離する方法についても述べた.56Mnの場合はpH9で抽出率10%,また濃縮係数は103を得た.
  • 高分子量アミンによるイオン交換抽出の研究(第9報)
    中川 元吉
    1960 年 9 巻 10 号 p. 821-825
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    有機溶媒に溶かした高分子量のアミンによるスズ(IV)と鉛の抽出分離について研究した.アミン溶液はN-ラウリルトリアルキルメチルアミン(Amberlite LA-2)の10%キシレン溶液を用いた.
    スズ(IV)は5~9M塩酸から溶媒層によく抽出される(抽出率96~98%)が,8M以上の塩酸からの鉛の抽出率は1%以下であった.したがって水層の塩酸濃度を7~8Mとしてスズ(IV)を鉛から抽出分離することができた.溶媒層に抽出されたスズ(IV)は0.5M硝酸30mlで3回逆抽出すれば水層に振りもどすことができた.
    この分離法を銅合金中のスズと鉛のポーラログラフ分析法に応用してよい結果が得られた.
  • 電量滴定法による微量ホウ素の定量(第2報)
    飯沼 弘司, 吉森 孝良
    1960 年 9 巻 10 号 p. 826-829
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    終点決定に光度測定法を用いた電量滴定法を,マンニットを使用するホウ酸の中和滴定に応用して,1~50γのホウ素につき満足な結果を得た.使用する指示薬はメチルレッドを用いた場合によい結果が得られ,またその溶液の添加量などの条件を定めた.つぎにこの結果をホウ素鋼中のホウ素の定量に応用した.すなわち試料溶液中のホウ素を,メタノールを用いてメチルエステルとして蒸留し,多量の鉄と分離したのち,蒸留物中のホウ素を電量光度滴定法によって定量して好結果を得た.
  • 中島 篤之助, 福島 弘之
    1960 年 9 巻 10 号 p. 830-836
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    酸化トリウム中のホウ素,カドミウム,鉄,マンガンなど17種の微量元素の定量分光分析に担体蒸留法を適用した結果について報告する.担体としては塩化銀を用い,混合量は2%の方がS/N比はよいが,再現性の点では4%の方がよい.分析感度,精度,濃度範囲はTable IIIにまとめてある.担体としての塩化銀と酸化ガリウムの差についても検討した.市販の高純度酸化トリウムおよび金属などについて分析をおこなった結果についても述べた.
  • 斎 加実彦, 長尾 三省
    1960 年 9 巻 10 号 p. 836-840
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    鉱石中の亜鉛および鉛を交流ポーラログラフ法により定量することを検討した.亜鉛は1M塩化カリウム,鉛は1N塩酸支持電解質を用いて定量し,良好な結果が得られた.これらの方法によれば直流ポーラログラフ法に比較して,鉄,銅あるいは鉛の影響が少ないので,化学的分離操作は少なく,迅速に分析し得られる.なお直流,交流ポーラログラフ法の両法による分析値は一致した.
  • 斎 加実彦, 井出 浅次, 峯平 明美
    1960 年 9 巻 10 号 p. 840-844
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    矩形波ポーラログラフ法により粗銅,銀地金,金属セレン中のテルルを定量することをこころみ,支持電解質としてリン酸を選び,銅ならびに銀との分離法として水酸化鉄共沈法,,セレンの分離はセレンを揮散させる方法を用いることとした.1.5Nリン酸支持電解質においてテルルの波高と濃度との関係,他元素の影響などについて検討の結果分析方法を設定し,実際試料に利用し直流ポーラログラフ法と比較の結果分析値は両者一致し,本法では少量火で分析し得られ分析所要時間も短縮し得られた.
  • 臭素-メタノール前処理による含硫鉄鉱石中酸化鉄の定量(第1報)
    大倉 与三郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 845-848
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    従来からきわめて困難なものの一つに数えられている,イオウ含有量の高い鉄鉱石中のFeOとFe2O3の定量法を検討し,誤差の原因であるイオウを,FeOやFe2O3と無関係にあらかじめ除いておければ,残サ中のFeOとFe2O3とを正しく求めることができると考え,臭素一メタノール溶解法を適用することとした.本報ではまず,FeOとFe2O3を含む各種鉱石のほか,硫化鉄や各種硫酸塩を処理して,臭素-メタノールに対する挙動をしらべた.その結果,鉄の酸化物,とくに化学的に不安定なFeOを侵さずに,イオウ化合物だけを完全に除くことは,この方法では無理であるが,鉄のイオウ化合物を,主として鉄鉱石中でもっとも普通に広く存在していると考えられる,硫化鉄のみに限れば10%臭素一メタノール冷溶液で1時間攪拌処理し,十分所期の目的を達し得ることがわかった.
  • 臭素-メタノール前処理による含硫鉄鉱石中酸化鉄の定量(第2報)
    大倉 与三郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 849-852
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    従来から困難であると考えられている,イオウ含有量の高い鉄鉱石中の酸化鉄の定量法を確立するため,臭素-メタノール溶解で前処理する操作を考えた.前報ではこの前処理に対するイオウ化合物の挙動をしらべたので,本報では酸化鉄の挙動をしらべ,これらの結果から分析操作を決定し,これを鉄鉱石試料に適用し,磁鉄鉱についてはいずれも満足すべき結果の得られることがわかった.
    前報と一緒にして総括すると,イオウ含有量の高い鉄鉱石中の酸化鉄は,JIS法によっては定量困難である.それで当研究室で以前から用いてきた臭素一メタノール溶解法を適用することとし,鉄鉱石中に存在して酸化鉄定量に誤差をおよぼすと考えられるイオウ化合物および酸化鉄について,臭素-メタノール溶液に対する挙動をしらべた.その結果,硫酸塩はかなり難溶であるが,硫化鉄も硫化マンガンも10%臭素-メタノール冷溶液による前処理で事実上溶けさり,また目的成分たる酸化第一,第二鉄とも,この前処理によって事実上影響は受けないで残留することがわかった.
    これらの検討の結果,10%臭素-メタノール冷溶液により1時間攪拌する前処理の後に,残サを通常のJIS法に準じて処理して酸化第一,第二鉄を求める分析操作を確立し,これによっていくつかの実際試料を定量し,そのなかで扱ったイオウ含有量の高い磁鉄鉱試料では,いずれも本法操作で得た結果から2Fe(II)/Fe(III)-1の関係が成立して,本法が満足すべきものであることを知ることができた.
  • 舟阪 渡, 小島 次雄, 藤村 一美
    1960 年 9 巻 10 号 p. 852-857
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ナフタリンスルホン酸は塩化ナトリウムの酸性溶液中において弱酸性カチオン交換樹脂Amberlite IRC-50(CG-50)に強く分子吸着される.たとえば塩化ナトリウムの濃度が4N,pH3.3の場合,α-スルホン酸の分布係数K4はほぼ33,β-スルホン酸のそれはほぼ70となる.アニオン交換樹脂を用いた場合には両者のKdにほとんど差がないが,上記のように分子吸着を利用したときには,Kdに大きな差がみられ,これまで定量的に分離することが困難であった両者をクロマトグラフ的に分離することができるようになった.すなわち,種々検討した結果,上記のカチオン交換樹脂を用い,11×225mmのカラムによって40℃においてpH3.30,4NのNaC1溶液を展開剤として用い,両者を定量的に分離することに成功した.
  • 若松 茂雄
    1960 年 9 巻 10 号 p. 858-861
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    鉄鋼試料を硝酸で分解したのち,二酸化マンガンとともにスズを沈殿させて,大部分の鉄その他から分離する.さらに共沈してきた微量の鉄をアスコルビン酸で還元したあと,メチルイソブチルケトンでスズを抽出して,鉄その他を完全に分離する.スズを含む有機溶媒相にオキシン溶液を加えてスズを呈色させ,390mμにおける吸光度を測定しスズを定量する.
  • 坂井 節雄, 鈴木 圭一, 森 元, 藤野 睦夫
    1960 年 9 巻 10 号 p. 862-864
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    芳香族一級アミンの呈色試薬としてしばしば,p-ジメチルアミノベンズアルデヒド(以下DABと略す)が用いられているが,われわれは側鎖に二重結合1個をもつp-ジメチルアミノシンナムアルデヒド(以下DACと略す)を用い,主として芳香族アミンとの呈色を検討した結果,DACはDABに比べて感度が大であり,かつ深色的に呈色し,これを利用して定性,定量が可能なことが確かめられたのでここに報告する次第である.
  • 春木 達郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 865-869
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    カラム出口が大気圧に保たれる通常のガスクロマトグラフィーと,これが大気圧以下に減圧される減圧ガスクロマトグラフィーとを,カラムにかかる圧力降下を一定にした状態で比較実験して考察した結果,減圧ガスクロマトグラフイィーは,通常のガスクロマトグラフィーに比し,(1)常圧に換算したキャリヤーガス流量は減少する,(2)リテンション・タイムは短縮されない,(3)試料の気化に要する時間は短縮されないことを明らかにした.さらに(4)理論段数は一般に低下する,(5)充填剤の寿命は短くなる,(6)ガス流路におこる漏洩はベースライン変動の原因になる,などの点をあわせ考えるとディテクタ-における蒸気濃度が若干高くなるほかは,減圧ガスクロマトグラフィーは,通常のガスクロマトグラフィーよりも一般に劣っており,高沸点物質に対しても有効ではないと考えられる.
  • 高純度物質中の微量不純分の分析方法に関する研究(第3報)
    宮本 益夫
    1960 年 9 巻 10 号 p. 869-873
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    高純度金中のAgの分析法を研究した.Auは酢酸エチルによる抽出と塩酸ヒドロキシルアミンによる還元によってAgの定量に妨害なく除去できることがわかった.この実験はAgの放射性同位元素を用いて非常に都合よくおこなうことができた.Agはこの分離法と組み合わせてジチゾン法により簡便に定量できた.
    試料を王水で分解して塩酸溶液となし,Auはまず酢酸エチルで大部分を抽出し,次に塩酸ヒドロキシルアミンで還元析出させてほぼ安全に除く.この残液からジチゾンによる抽出および塩化ナトリウム溶液による逆抽出によってAgを単離し,これをふたたびジチゾンを用いて吸光光度定量する.
    この方法により3~4hrで,1gの試料から約0.5ppmまで定量することができる.
  • 電位差滴定法における電極(双金属)の選択について(第8報)
    上野 幸三, 太刀川 哲平
    1960 年 9 巻 10 号 p. 873-877
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    セリウム塩法によるヒドロキノンの電位差滴定法を双金属電極(Pt-W,Pt-Pd,Pt-AuおよびPt-Ag)を用いて,塩酸,硫酸および過塩素酸酸性溶液中でおこない,これらの組合せの滴定曲線ならびに終点における電位変化(ΔEV)の大きさを求め,かつ,酸の種類ならびに濃度の影響につき考察し,滴定条件を比較検討した.Pt-Auを除く,3組合せはいずれも逆火L字形滴定曲線を示し,終点において電位は急激に上昇した.しかし,Pt-Auについては塩酸酸性の場合は上の3組合せと同様の滴定曲線を示したが,硫酸および過塩素酸酸性の場合は,終点を正しく指示するが電位は不安定で,かならずしも同じ形を示さなかった.一般に終点におけるΔEVは塩酸酸性の方がほかの酸の酸性の時よりも大きかった.Pt-Agは塩酸酸性の場合のみ終点が遅れて現われた。したがって,使用にあたっては注意を要する.全般的に,4組合せのうち,Pt-WおよびPt-Pdがよく,Pt-AgおよびPt-Auがそれらについだ.本法によりヒドロキノン3~25mg/50mlを直接定量できる.
  • 山添 文雄, 今井 次郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 877-883
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    石灰窒素と尿素との混合肥料や,酸や加熱処理による石灰窒素変成品などの水溶成分のうち,シアナミド誘導化合物であるジシアンジアミド,グアニルウレア,グアニジンおよびメラミンをそれぞれ分別定量する目的で,これらの成分が他成分と共存する場合の妨害影響を検討した.まずメラミンはシアヌール酸とメラミンシアヌレートを形成させ,この沈殿を酢酸酸性にてロ過秤量し,またグアニジンはあらかじめカルシウムを炭酸塩として除去したのち,アンモニアアルカリ性にてピクリン酸とグアニジンピクレートを形成させて定量し,一方微酸性にてメラミン,グアニジンおよびグアニルウレアの三者をピクレートとして沈殿秤量し,これらより差引計算によりグアニルウレアの量を求めた.またジシアンジアミドはアセトンにて抽出したのち,硝酸にて硝酸グアニルウレアに変成し,これをピクレートとして定量した.これらの方法によれば,四成分を他の主成分ならびに副成分共存の影響なく,それぞれ分別定量することができる.
  • 溶媒抽出法の工業分析への応用(第4報)
    田島 信雄, 黒部 森司
    1960 年 9 巻 10 号 p. 884-886
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    著者らは先にメチルイソブチルケトンによってスズ基バビットメタルの主成分であるスズ,アンチモンを抽出分離し,鉄を定量する方法を発表したが,この抽出法による分離は従来おこなわれている臭素酸による揮発法に比べてはるかに簡単迅速である.今回はこの抽出法によってスズ,アンチモンの分離をおこなったのち,鉛をジチゾンーベンゼン抽出により比色定量する方法について検討したので報告する.
  • 斎 加実彦, 西野 一雄
    1960 年 9 巻 10 号 p. 886-889
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    銅アノード・スライムの主成分は鉛,銅,ビスマス,アンチモンで,このほかセレン,テルル,銀ならびに微量の金などをふくんでいる.この試料の分析は製品,原料などのような正確度ならびに精度を要さない場合が多い.この種の試料の鉛,銅,ビスマス,アンチモンを定量する場合,各元素を分離したのち,たとえば鉛は1:EDTA法,銅はアンモニア錯塩による吸光光度法,ビスマスは直流ポーラログラフ法あるいはヨウ化カリウムによる吸光光度法,アンチモンは直流ポーラログラフ法あるいは容量法などを利用すれば相当の手数を要する.交流ポーラログラフ法の利用により分析の簡易化を検討し,好結果を得たので報告する.
  • 楢崎 丁市, 川村 信一郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 889-891
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    著者らはソラマメのヘミセルロースB1構成糖として一種のメチルペントースの存在を発見し,この糖をペーパークロマトグラフィーおよび粉末ロ紙カラムクロマトグラフィーにより分離し,各種呈色反応の分光光度計による検討,ペーパークロマトグラフィーによるRfの測定,溶媒拡散法による2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの合成などの実験結果からこの糖をフコースと推定した.
    ペーパークロマトグラフィーなどで比較的容易に,かなり純粋に分離できる微量の糖の確認のためには,呈色反応の特異性を利用するのが有用であると考え,さらに,自然界に分布の広いメチルペントースであるフコースとラムノースの呈色反応を比較し,フェノールー硫酸反応によりフコースの確認ができることを知ったので報告する.
  • 石原 義博, 古賀 守孝, 平沢 武男
    1960 年 9 巻 10 号 p. 891-893
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    亜鉛の黄血塩滴定法において電気的に滴定終点を知る方法として,JIS M 8124「鉱石中の亜鉛の分析法」には電位差滴定が採用されている.個人差が少なく精度が高い点で優れた方法であるが,この方法は滴定中黄血塩の加量と電位を記録し,黄血塩単位量当りの電位差の変化,すなわちΔV/Δccがもっとも大きい点を求めねばならないので,多少手間がかかり,また亜鉛の量が少ない場合は電位差の飛躍が小さく終点がわかりにくい.筆者らは定電圧分極電流滴定法(dead stope end pointmethod)を用いることを検討し,鉱石中の亜鉛の分析に利用し満足な結果を得たのでその概要を述べる.
  • 木村 健二郎
    1960 年 9 巻 10 号 p. 894-900
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 武内 次夫, 鈴木 正巳
    1960 年 9 巻 10 号 p. 901-904
    発行日: 1960年
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
  • 降水および落下塵中の人工放射性物質の分析法
    坪田 博行
    1960 年 9 巻 10 号 p. 905-909
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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