近頃結晶内電子と格子振動の相互作用における摂動論第二近似での効果が議論の対象にとりあげられている. (1) (2) (3) 神谷氏及び野上教授の論文では, 電子が格子振動の場 (以下熱量子場と呼ぶ) に対してデルタ凾数的な源となつている様にして計算が行われている.この近似を用い電子-光子場等の場合と平行な形で, 結晶内電子-熱量子場を取りあつかい, 熱量子場を媒介とする電子間の相互作用を形式的に計算する.以下の計算の主なる目的は, 神谷氏 (1) が古典的な方法で出された結果に摂動論の通常の方法によつて到達することにあつた.
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