磁気廻転効果, gyromagnetic effect の簡単な説明はいろいろの教科書にでているこれらを読むと一応わかつた気にはなるが. 一寸突込まれるとそうわかり易くもない. 例えば Einstein-de Haas 効果と Barnett 効果は逆効果であるとかいてあるものもあるしまた正確に逆ではないが, と断わつているもの (Stoner. p. 232) もある. Einstein-de Haas 効果は磁化変化に伴う磁気担体の角運動量変化に釣合う試料の巨視的角運動量変化を観測するもので, この場合の magneto-mechanital ratio γを
γ=-e/2mcg'
とおいたg'因子と, スペクトル分裂係数gとに, こういう名前をつけたのは Kittel であるが 両者が異なることは古くから指摘されているところである (例えば Van Vleck. p. 256) Barnett 効果で測定されるものも,γであり. g'であるが, 普通の教科書にそこの所を明確に述べているものはない. Barnett 効果と Einstein-de Haas 効果とは実際, reciprocal な効果であるから, これは当然で. その意味でこの小文は教育的な価値以上に取立てていう迄もないことである. 読者を教育しようというのもおこがましいが, 筆者自身にもはつきりしなかつた所があつたので, こゝに覚書きとして記しておくだけである.
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