QCDの正式英語名はquantum chromodynamicsで, 色つきクォークの量子場の力学という程の意味ですが, 量子色力学という訳語が広く使われています. QCDはクォークとグルオンの相互作用によって素粒子現象を説明しようとするのですが, QCDを現象に使おうとすると, ハドロン内のクォーク・グルオンの閉じ込め, また散乱されたクォーク・グルオンのハドロンへの転化, という極めて難しい問題にぶつかります. 現在のQCDテクノロジーは, このクォーク・グルオンのレベルとハドロンのレベルの両者の橋渡しに対してはほとんど無力で, QCDドグマで用を済ませているのでありますが, 救世主が現われるまで素粒子屋大衆の信仰をつなぎとめ得る正統派ドグマであるのかを, 主として実験的検証という側面から考えてみたいというのが, このお話のネライです.
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