磁性体であると同時に超伝導体でもあるという画期的な新物質が発見されてから4年あまりが過ぎた. この物質は, 稀土類元素を含む三元の化合物で, 今では磁性超伝導体という名で親しまれている. これまでの精力的な実験研究によって, 磁性超伝導体は従来の磁性体や超伝導体のイメージを越えた数々の風変りな性質をもつことが明らかにされた. 一方, 初めは手探りで進んでいた理論研究もようやく軌道に乗り出して, 磁性超伝導体の素顔がおぼろげながら見えるようになってきた. ここでは, この新しい物質の特異な電子物性に対する現時点での理解を理論研究に重点をおいて紹介する.
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