固体触媒の作用は単に反応速度を促進するだけでなく反応の選択性を著しく変える. このような作用がどのようにして働くのか. この問題は, 「触媒作用」というものがエネルギー問題, 環境問題などを含み化学工業の大半の反応において決定的に重要な役割を果している現実の重さを思う時, 余りに未開発の状態である. しかし, 近年, 電子分光その他有力な武器が現れ, 普及し, 表面を直接調べられるようになってこの分野は急速に動き始めた観がある. 固体表面における化学反応が触媒作用といかに結びつき, その固体が「触媒」になりきるか, いくつかの例を挙げながら概括的説明を加えてみる.
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