立方晶へロブスカイト型構造を持つ酸化物 Ba
xK
1-xBiO
3 (BKB)は, 遷移元素を含まない酸化物超伝導体としては最高の超伝導転移温度T
c=30K (x~0.7)を示す. 銅元素を含まず二次元性を持たないこの物質の超伝導は, 従来のフォノンを媒介とするペアリング機構で説明できるのだろうか? 最近, BKBにおける電子格子相互作用を電子帯構造に基づいて導出し, 電子格子相互作用に起因する原子間長距離力を取り入れて格子振動を扱い, これらの結果に基づき強結合超伝導理論に従って超伝導状態の種々の性質が詳細に調べられている. この解説では, BKBの超伝導を中心に理論研究の結果を示すと共に, 最近急速に進展した種々の実験の結果を紹介し, この物質の超伝導に関する理解の現状を概観する.
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