物理学の幅広い分野で,コンピュータを用いて,数多くの重要な結果が得られてきた.しかし,スーパーコンピュータといえども,計算能力,メモリ容量がまだ足りず,思うような計算ができない問題が数多く残されている.モデルを簡単化するか,近似を導入するか,計算精度が不十分でも我慢するか,研究者は各々工夫をしているのが実情である.このような状況に鑑み,計算物理学研究センターが筑波大学に全国共同利用施設として設置され,スーパーコンピュータの能力を遙かに凌駕する超並列計算機を開発製作するプロジェクトが進展している.この超並列計算機CP-PACSを用いて,素粒子,宇宙,物性物理の未解決の重要な問題を研究する予定である.さらに,センターには,並列計算機QCDPAXがすでに稼働しており,素粒子物理学を研究している.ここでは,なぜこのようなプロジェクトが始まったか,なぜ超並列計算機なのか,どのような事に苦労したか,しているか,どのような物理の結果が得られているか,これからどのような物理を目指しているのか,などを解説する.
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