生体の心臓が神経性因子, 液性因子等の多くの制御システムによってコントロールされていることは広く知られており, 例えば交感神経系が刺激されれば心臓の鼓動は早くなるし, 副交感神経系が刺激されれば, 脈は遅くなる. また各種のホルモン等の液性因子の影響も重要であり, 循環血液量等は腎機能等を介した液性因子の影響が大きい. しかしながら現在の人工心臓は, これらの制御因子から独立であり, 生体の需要にあわせたコントロールは行われていない. そのような原始的な人工心臓制御ではQOL(quality of life)も含む多くの問題を残すことは自明であり, 本稿では, かかる視点から生体信号を応用した生理的な人工心臓制御について概説する.
抄録全体を表示