ミクロおよびメゾ多孔体を使って, 相互作用と次元性を制御した
4Heの超流動と
3HeのFermi流体の研究が可能になってきた. 広大な2次元吸着面積を持つヘクトライトでは, 吸着
4Heの超流動は2次元フォノンとロトンによる比熱を示す. このフォノン-ロトン・スペクトルの
4Heの吸着密度に対する依存は, ハードコアを持つ2次元Bose粒子系のスペクトル計算とよい対応がつけられる. 吸着した
3Heの場合は, Fermi液体状態で波数qが0から2k
Fのすべてのモードのスピンゆらぎを生じる. これはq=0で強磁性的なスピンゆらぎを持つバルク液体
3Heとは全く異なった2次元特有のスピン相関である. また吸着
3Heの密度を変化させることにより, 2次元Fermi液体から局在状態への転移も可能である. より低次元の量子液体も, いくつかの多孔体を使って作り出せる. 例えば13A^^。のミクロのケージ(籠)をもつ多孔体を用いれば, その中で量子クラスターを作ることができる. また孔径が20A^^。程度の真っ直ぐにのびたトンネルからなる多孔体を用いれば, 1次元的な量子流体が可能になると考えられる. 孔径18A^^。の1次元多孔体において液体
4He薄膜の超流動転移を観測したところ, 2次元のKosterlitz-Thouless転移温度の13-17倍の高温で超流動転移が起こることを見出した.
抄録全体を表示