小型の半導体量子ドットは,離散スペクトルを持った電子が,これとほぼ共鳴する単色的な光学フォノンと強く相互作用しているユニークな0次元系である.このため,量子ドット中の電子は,連続スペクトルを持つn >__-1次元の系(量子細線,量子井戸,バルク)の場合のように,非可逆的にフォノンを放出してエネルギー緩和することができない.電子は光学フォノンとコヒーレントに結合してポーラロンを形成するのである.このことは,近年話題になっているフォノン・ボトルネックの問題とも深い関わりがある.本稿では,量子ドットにおけるポーラロンの形成,緩和およびそれが発光特性に及ぼす影響について,最近我々のグループで得られた結果を中心に紹介する.
抄録全体を表示