近年, ペロブスカイト型マンガン酸化物の研究者の間では, 「相分離現象」が注目を浴びている. これは, 低温でマンガン酸化物の試料が複数の電子・磁気相に分離する現象である. 本稿では, この「相分離現象」に対して, 格子構造的な側面からメスを加える. そして, この現象と二元系合金における二相共存との違い, また, この現象とマンガン酸化物の絶縁体金属転移との関係を明らかにする.
一方, マンガン酸化物を代表とする強相関電子系の秩序変数は電子濃度
nである. したがって, 二元系合金の二相共存の類推から電荷分離が期待できる. この新規な電子相の実現の可能性について, 最新の実験データを基に考察する.
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