原子核はスピンおよびアイソスピンがともに1/2の陽子と中性子からなる量子多体系であり, その構造は様々なプローブを用いて研究されてきた. その結果, 原子核は1粒子運動と多数核子による集団運動が共存する特異な系であることが明らかになっている. 現在, 原子核の全体像を明らかにする上で, 核表面の核子による微視的構造の解明, 大振幅集団運動状態の探索, 核子の核内での内部構造の変化を解明することが重要な課題になっている. さらに, 原子核は宇宙物理等の境界分野での鋭敏な検出器として重用されるが, その検出効率の決定には核構造の情報が不可欠である. 本稿では, これらの課題解明に向け, 大阪大学核物理研究センター (RCNP)・リングサイクロトロンにおいて遂行されつつある研究について述べる.
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