ニュートリノの強い透過力を活かした太陽中心からのニュートリノ観測は, 予測よりずっと少ないニュートリノを検出し, 30年以上続く「太陽ニュートリノ問題」をもたらした.この問題は, ニュートリノの性質および標準理論を超えた物理の究明への糸口となり, 素粒子物理の発展に寄与した.問題解決には, 太陽ニュートリノ観測に加え, 神岡鉱山地下のカムランド実験が活躍した.遠方の原子炉からのニュートリノに対し, ニュートリノが減少・復元を繰り返す「ニュートリノ振動」のパターンを観測し, 質量に関するパラメータを精密測定した.さらにそこでは, 理解が進んだニュートリノをプローブとし, 地球や天体を観測する融合研究を目指している.
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