物理学には, 数値計算上「少数粒子系のシュレーディンガー方程式を精密に解くこと」に帰着する課題が多い.これにより新しい物理的知見が得られる場合もある.この目的に役立つであろう方法の1つとして, 筆者らが提唱し発展させてきたガウス関数展開法を解説する.すべてのヤコビ座標のセットを用い, 各座標のガウス関数の積を基底関数(等比数列レンジ)として全系のハミルトニアンを対角化し固有関数を得る.これにより, 関数空間を十分広く取ることができ, 種々の物理的状況に精度よく対応できる.得られた固有関数を活用して, 散乱状態をも解くことができる.普遍性の高い解法であり, 原子分子からクオーク系の計算にまで適用されてきた.個々の技法の中には, 他の課題にも利用できるものもあろう.
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