フェルミ衛星(旧名GLAST衛星)は,日本チームが参加する国際協力で開発された大面積ガンマ線望遠鏡(LAT)を搭載し,全天を観測し続けている.2008年8月の運用開始から一年間,観測から多くの発見が生まれると共に,ガンマ線観測結果が電波からX線など他波長帯の観測結果と関連する場合が多いことが判ってきた.本解説では,これまでに発表された成果の中から,ガンマ線で輝くパルサーの発見,宇宙電子陽電子線,銀河系ガンマ線放射の測定,ガンマ線バースト中の高エネルギー成分の検出,活動銀河核の進化とガンマ線背景放射に関する研究などを紹介する.運用開始以来の観測データは,NASAからすでに公開されており,教育研究活動に生かしてほしい.
抄録全体を表示