日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌
Online ISSN : 2189-9568
Print ISSN : 1344-9109
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • Arturo Escandón Godoy, Lorena Rojas Espinoza
    2021 年 32 巻 p. 5-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/25
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    本研究は、日本国内の大学のスペイン語専攻の3年次B1・B2(中級)レベルを対象に、2019年度「スペイン語講読演習科目」のプログラム改革を評価する目的で実施されたものである。本研究では、講読を社会的活動として捉えており、テクストを処理することを目的としたアプローチではない。ここでの講読は参加型であり、学習者の学習履歴によって調整されるものであった。被験者を2つのグループを分け、1つのグループには31名が参加し、もう1つのグループには24名が参加した。まずグラウンデッド理論に基づいてアンケート回答のデーターをコード化し、学習者の3つの講読試験回答のディスコース生産を縦断的に分析した。結論として、内発的モティベーション(世界の理解に関心)を持つ学習者は、外発的モチベーション(言語理解、単語習得、職に就くことに関心)を持つ学習者より、より良いレベルに発展し、成績も向上した。さらに、この授業改善によって、大多数の学習者の講読力が向上した。また、その成長が成績に反映されなかった学習者に至っても、講読力の向上が明らかとなった。従って、今後はダイナミック・アセスメント法を活用することを推奨する。最後に、アイデンティティーの変容に関連付けた内発的モチベーションの変化に対応することによって、今回の授業改革が効果的であり、その目的を達成することができたと結論付けるに至った。

  • Paula Martínez Sirés
    2021 年 32 巻 p. 31-45
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/25
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    本稿は、1890年代のいわゆる「女流文学」で代表的な作家の一人である清水紫琴(1869-1933)を紹介することを目的とする。活動家、エッセイスト、作家であった紫琴は、作品を通じて女性の権利を主張した。明治の文壇に言文一致が導入され始めた頃、女性作家に対する表現の制限を打破するため、紫琴は直接的かつ自然なスタイルで「こわれ指環」(1891)を執筆する。本稿では、『こわれ指輪』の初スペイン語翻訳を通じて、清水紫琴の信念やフェミニズム的な切り口を検証する。

  • Juan Mendoza Pinto, Angelo Castro González
    2021 年 32 巻 p. 47-61
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    本考察は、16世紀から17世紀にかけてのマプチェ文化における銃器の影響、使用、大量生産化について、「ヴァイチャフ」と呼ばれるエリート戦士に焦点を当てて分析したものである。このエリート集団は武器の扱いに優れており、ヨーロッパで考案された火薬兵器に象徴される近代性と正面から闘った。こうした戦いは、ヨーロッパの戦争方法が世界的に拡大・採用された軍事革命の中で起こったものである。従って、今回は文献分析にもとづき、軍事史の観点から考察を行っている。

  • Alberto Monteagudo Canales
    2021 年 32 巻 p. 63-75
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    日本のエンターテインメント文化において、「ソード・アート・オンライン」ほど、国内外から大きな注目を集めている物語世界はない。本考察では、同名のアニメの前半16話分に焦点を当て、文化的にも年代的にも異なるスペイン文学の最高峰『ドン・キホーテデ・ラ・マンチャ』と比較分析する。つまり、アニメの主人公である桐ヶ谷和人が、そのアバターであるキリトに、ときには歪んで、ときには忠実に反映される点で、アロンソ・キハノとその分身であるドン・キホーテの関係をベースに読み解く試みである。さらに、このアニメのキャラクターを分析することで、このアニメシリーズが、スペイン黄金時代のテクストにおいてすでに生み出されていた現実と外見の概念に対する考察を深化することも可能ではないか。このアニメは、スペイン黄金世紀とは異なる社会史的・時間的条件の産物であるにもかかわらず、幅広くバロック的感覚を備えており、日本の大衆文化に慣れ親しんだ観客が、17世紀スペインの文学的形象を再考・再発見する一助となるであろう。

  • Santiago Sevilla-Vallejo
    2021 年 32 巻 p. 77-93
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル オープンアクセス

    Crónica del rey pasmadoは、フェリペ4世が妻の裸を見るために突き当たった様々な障害を描いたものである。当時、教会や政府関係者は、国王が妻の裸をみるという行いによって、新大陸から戻る艦隊の損失と、フランドルでの軍事的敗北につながることを恐れられていた。この小説では、性的タブーを犯さない限り、神がトーテムのように自分たちを守ってくれるという原始的な考え方に支配された宮廷に出入りする面々を描き出している。つまり、ゴンサロ・トレンテは、スペインの不合理な文化的論理を面白おかしく批判するために、歴史的枠組を使ったのである。本論文ではCrónica del rey pasmadonにおけるパロディーを踏まえた心理臨床的なアプローチを実践し、タブー神話の崩壊、そしてアイロニーとの関係を考察する。

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