キャリア・カウンセリング研究
Online ISSN : 2436-4088
24 巻, 1 号
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原著
  • 前野 良和
    2022 年24 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    メンタルヘルスにおけるスティグマは,精神疾患を持つことに対するスティグマが一般的であるが,他方で心理専門職に助けを求めること自体に対するスティグマが存在している。本研究では,男性陸上自衛隊員の心理専門職へ助けを求めることに対するセルフスティグマと援助要請について,民間企業の就労者と比較して明らかにすることを目的とした。

    研究対象をそれぞれ男性に限定した陸上自衛隊員162名と民間企業の就労者189名とし,セルフスティグマ,援助要請態度,援助要請意図の各尺度を用いて検討した。t検定の結果,陸上自衛隊員は民間企業の就労者よりもセルフスティグマ得点が有意に高く,援助要請態度得点が有意に低かった。多母集団の同時分析では,陸上自衛隊員のセルフスティグマの下位因子である援助を求めることの劣等感と援助を求めることへの不安が,それぞれ援助要請態度を媒介し援助要請意図へ関連した。一方で,民間企業の就労者の援助を求めることの劣等感と援助を求めることへの不安には正の相関があり,援助を求めることの劣等感のみが援助要請態度を媒介し援助要請意図に関連した。これらのことから,男性陸上自衛隊員のセルフスティグマと援助要請の特徴が示された。

資料
  • 原 恵子, 依藤 聡, 清水 康子, 正道寺 博之, 岡田 昌毅
    2022 年24 巻1 号 p. 13-24
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    企業別労働組合の専従役員を対象に,役員経験を通した意識や行動の変容について探索的に検討することを目的とした。企業別労働組合での専従役員経験者16名を対象とした。半構造化面接は9問で構成され,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)で分析され,40概念,15サブカテゴリー,6カテゴリーとして整理された。専従役員としての役割遂行を通した意識や行動の変容は,【受任までの状況・心境】があり,【専従としての役割遂行】が進むなか,【専従としての意識の揺れ】と【組合員との関係性】および【社内外との関係性】が影響を与え,任期後の【現状にも影響】を及ぼすプロセスであった。専従役員として受任後,[専従初期の不安]を覚え[とまどいながらの専従業務]が始まる一方で,「組合員からの励ましや期待」をやりがいに,徐々に[業務推進力の向上]にもつながっていた。任期が進むなか[専従特有の苦労]と[専従としての覚悟]のもと,「組合員の声や課題を代弁」しつつ,「人事側のスタンスに苦労」しながら,[組合活動をリード]し,[対人能力も向上]していた。[社内外の人的サポート」が支えとなり,任期の終盤には[専従経験の意味づけ]が進み[役割をやり遂げ]ていた。専従経験は任期後の[働き方へ影響]し[現業への応用]につながるが,特に[経験の意味づけ]をしながら[役割をやり遂げ]たことや[対人力が向上]していること,および[社内外の人的サポート]が現状に影響を与えていた。

ケース報告
  • 太原 靖一郎
    2022 年24 巻1 号 p. 25-34
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    2020年の新型コロナウイルス感染症(以下,「新型コロナ」)感染拡大の猛威の影響で,職場や家庭,社会の中で,行き場のない不安や戸惑いを感じている人向けに,話に耳を傾け,気持ちや状況を整理する手伝いを目的に2020年6月にコロナ禍における社会貢献活動として,「ほっとキャリアサポート」と名づけた無料キャリア電話相談を立ち上げ実施した。本稿では,その組織立ち上げから運用を報告し考察を加え,同様の社会貢献活動の基礎資料となることを目的とし,この社会貢献活動を通じて得られた結果や課題,運用実態について,組織,社会貢献活動,キャリア支援者の3つの視点からまとめる。本稿の社会貢献活動では,偏りがあり一般化は難しいものの,「リーダーが少人数のチームで心理的安全を保ち運営できたこと」「クライアントに概ね満足頂く支援ができたこと」「キャリア支援者自身の視野の拡大,チーム活動の経験と学び,自身の成長にとって貴重な経験であったこと」や,社会貢献活動自体を実施できたことは次につながる一定の成果であったと考える。

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