Chem-Bio Informatics Journal
Online ISSN : 1347-0442
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17 巻
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Original
  • 石原 司, 森 健一, 宗像 亮介, 森友 紋子
    17 巻 (2017) p. 1-18
    公開日: 2017/03/04
    ジャーナル フリー
    本報告では、構造活性相関 (SAR) データベースからのSAR転移、ならびに、引き続く構造推薦に基づく新規医薬候補化合物設計手法について述べる。本法は、1)SAR探索中の化合物群ならびに参照SARデータベースからのMatched Molecular Series (MMS)解析、2)化合物骨格及びSAR類似性に基づく類縁MMSの解析、そして、3)新規化合物の構造発生と協調フィルタリングに基づく活性推算の三段階にて構成される。第二段階では、ネットワーク解析に基づき、直接的あるいは潜在的な類縁MMSの検出が可能となる。本法を血液凝固活性化第十因子阻害剤探索に遡及適用した結果、常法的な定量的構造活性相関手法と比較し、高い精度で化合物活性を推算することが示された。更に、本法により、タンパク-リガンド複合体の構造情報を用いず、SAR情報のみを基に、指定するリガンドの部分構造に代替して同一のタンパクポケット領域を占有する部分構造が推薦されることが示された。
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  • 多田 幸雄, 数野 秀樹, 佐藤 勉, 鈴木 則彦, 江村 智弘, 矢野 伸吾
    17 巻 (2017) p. 19-29
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー
    トリフルオロチミジン(TFT)は抗腫瘍活性を有するが、チミジンホスホリラーゼ(TP)により不活性なチミンに容易に代謝されるので、TFT単独では臨床で満足な抗腫瘍活性を示すことができない。ヒトのTP (HTP) はヒトのピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの主な酵素である。従って、TFTの抗腫瘍活性を維持するにはHTP阻害薬を開発する必要があった。ここでは、SBDDとclassical QSARによるHTP阻害薬のドラッグデザインのプロセスを示す。チミンをシード化合物、5-クロロウラシル(3)をリード化合物として選択した。リード化合物(3)のC6位にイミノ基の導入は阻害活性を向上した。結果として5-chloro-6-[1-(2-iminopyrrolidinyl) methyl] uracil hydrochloride (TPI)を臨床試験候補化合物とした。そして、TAS-102(配合モル比 TFT:TPI = 1: 0.5)はトリフルリジン/チピラシル(ロンサーフ)として日本、欧州、米国で転移性直腸がんの治療薬として認可された。
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  • 佐藤 敦子, 幸 瞳, 渡邉 千鶴, 齋藤 純一, 小長谷 明彦, 本間 光貴
    17 巻 (2017) p. 38-52
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    CYP群により薬物が代謝されることによる薬効の減弱、薬物間相互作用は創薬研究における重要な課題であり、中でもCYP3A4は医薬品代謝への寄与が最も大きい。代謝不安定性の改善に対しては、一般的に脂溶性の低減や代謝部位の変換などが行われるが、求める薬効との両立が難しく、また代謝部位や結合様式を実験的に決定するには大きな労力が必要となる。そのため創薬現場では、薬効を維持しながら代謝を回避し得る効率的な薬物設計と、予測による低コスト化が求められている。CYP3A4は様々な化学構造をもつ化合物を代謝することから、結合ポケットは非常に大きく、その形状も柔軟に変化し、化合物との結合様式予測は非常に難しい。我々はカルバマゼピン (CBZ) を題材とした先行研究において、ドッキング計算から得た複数の結合ポーズを初期構造とした分子動力学 (MD) 計算を組み合わせた代謝部位予測方法を検討した。本手法では、化合物とCYP3A4との結合自由エネルギー値と、化合物の各炭素原子のヘム鉄への近づきやすさから、代謝部位を予測している。さらに、この手法がより柔軟な構造を有する化合物にも適用可能か確かめることを目的とし、トルテロジンを題材とした代謝部位予測を試みた。この研究では、化合物ドッキングポーズからのMD初期構造選択の際にProtein Ligand Interaction Fingerprint (PLIF) とRMSDの2種類のクラスタリング手法を用い、効率的な初期構造選択方法と予測結合様式からの代謝安定化デザインについて議論する。

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  • 木村 周平, 北澤 甲次, 徳久 雅人, 岡田(畠山) 眞里子
    17 巻 (2017) p. 53-71
    公開日: 2017/06/17
    ジャーナル フリー

    遺伝子発現データから有用な情報を抽出する手段の一つとして,遺伝子ネットワークに注目が集まっている.これまでに多くの遺伝子ネットワーク同定法が開発されている.しかしそれらの方法には一般に,多くの偽陽性相互作用を出力するという問題がある.偽陽性相互作用の数を減らすための方法の一つとして,対象のネットワークの性質を事前知識として利用する枠組みがある.これらの枠組みは,対象ネットワークが各相互作用を持つか否かを判断するために,計測された遺伝子発現データと与えられた事前知識を同時に利用する.これに対して本研究では遺伝子ネットワーク同定後に事前知識を利用する新たな枠組み“using a priori knowledge after genetic network inference”を確立する.この枠組みでは事前知識を,既に他の遺伝子ネットワーク同定法によって同定されたネットワークを改善するためだけに利用する.この枠組みに基づき,本研究では複数の事前知識を利用する新たな遺伝子ネットワーク同定法を開発する.提案手法は効果的に複数の事前知識を利用することで,全遺伝子間相互作用に対して自信度を割り当てる.実験において人工的な遺伝子ネットワーク同定問題と実際の遺伝子ネットワーク同定問題に適用することで,提案手法の有効性を確認する.提案手法によって複数の事前知識を利用して改善できる性能は僅かであるが,提案手法の枠組みは多くの遺伝子ネットワーク同定法に適用することが可能であり,それらの手法の性能を改善することができると考えられる.

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  • 古明地 勇人, 沖山 佳生, 望月 祐志, 福澤 薫
    17 巻 (2017) p. 72-84
    公開日: 2017/07/30
    ジャーナル フリー

    一本鎖DNA、結合タンパク質、両者の複合体の三種類の分子系それぞれについて、陽溶媒(explicit solvent)で水和して、フラグメント分子軌道法(FMO)を行った。目的は、これらの分子系の電子状態への水和の影響を調べることと、それにより、FMO計算の適切な条件を見つけることである。そのために、それぞれの分子系について、溶媒の厚みを変えた水和構造のシリーズを作り、MP2/6-31G*でFMO計算を行った。そして、溶質部分の電荷、溶質の内部エネルギー、溶質‐溶媒間相互作用エネルギーを、溶媒の厚みの関数として算出した。これらの物理量は、三つの分子系すべてにおいて、溶媒の厚み6Åで、ほぼ収束した。それは、系の電荷の中和の有無には、ほとんど左右されなかった。つまり、水和第1層と第2層が、溶質分子の電子状態に決定的な影響を持っていて、それより外の溶媒やイオンの影響は小さいことが示された。今回の結果は、別の分子種に関する既往研究と一致している。以上の結果と、安全係数を考慮すると、今回の分子系のFMO計算には、8Å程度の厚みの溶媒があれば十分と判断できる。

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  • 中村 真也, 大村 理恵, 仲西 功
    17 巻 (2017) p. 93-102
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー
    ペプチドワクチン療法は、人間が本来持つ免疫の力でがん細胞を攻撃し、排除するというがん免疫療法の一つである。この治療法では、投与されたペプチド断片ががん細胞のマーカーとしてヒト白血球抗原(HLA)に結合して提示され、この複合体をT細胞受容体が認識してがん特異的キラーT細胞が活性化されることで、がん細胞を攻撃する。T細胞受容体は多種多様な抗原に応答できるように無数に存在するが、HLAは各個人に固有の配列と構造である。したがって、ペプチド断片とHLAとの安定性を精度よく予測することが重要となる。これまでに、統計的あるいはバイオインフォマティクスを用いた手法や、分子モデリングと理論計算を組み合わせた分子間相互作用による解析など、さまざまな方法が報告されている。理論化学的なアプローチは、精度が高くなると期待される一方で、モデリングや計算に莫大な時間を要する。そこで、本研究では計算に要する時間を極力抑える方法として、ペプチド側鎖コンフォメーションのモデリングにrotamerサーチを、活性予測法にCOMBINE解析法を用い、その予測精度を検討した。ベンチマーク用のデータとして、バイオインフォマティクス法による予測ツールBIMASで用いられた81個のペプチド断片のデータを用いて予測精度の検証を行い、BIMASとの比較を行った。その結果、Q2が0.5以上となる予測モデルを構築することができ、また、BIMASでは大きく実験値からはずれていた2個のペプチド断片の活性も良好に予測できていた。さらに、ペプチド断片の認識に重要となるHLAのアミノ酸残基を同定し、これらの多くは実験データと一致した。
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  • 垣内 綾乃, 伊藤 志穏, 奥山 聡, 古川 美子, 水間 俊
    17 巻 (2017) p. 103-109
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    柑橘類に含有する3, 5, 6, 7, 8, 3’, 4’—ヘプタメトキシフラボン (HMF)は、脳神経栄養因子産生促進や抗炎症作用を持つことが報告されているが、その体内動態は不明である。そこで、HMFの体内動態に関する最初の研究として、ヒト血清アルブミン(HSA)への可逆的結合性について検討した。その結合実験およびさらなるHMFの体内動態研究のために先ず、簡便なHPLC測定法を確立した。UV検出器を備えたHPLCシステムと定組成の移動相溶媒を用いた。測定(分析)単位内の真度は、1から100μMのHMF濃度において、97.2 から101.6%であり、精度は1.60%以下であった。また、測定(分析)単位間の真度は、1から100μMのHMF濃度において、97.1 から104.5%であり、精度は2.24%以下であった。HMFのHSAへの可逆的結合は平衡透析法により検討した。4.6%HSAへのHMFの結合率は、HMF濃度の上昇にともない、約70% から 55%へと減少した。この可逆的結合の濃度依存性は、HSA分子上にHMFの特異的結合部位があることを示唆している。本研究で確立したHPLC測定法は、現在、腸管吸収などのHMF体内動態研究に使用している。

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  • 幡生 あすか, 原田 雅史, 高橋 由武, 渡辺 俊輔, 阪本 健也, 岡本 晃典, 川下 理日人, 田 雨時, 高木 達也
    17 巻 (2017) p. 112-124
    公開日: 2017/12/12
    ジャーナル フリー

    アルツハイマー病 (AD) およびパーキンソン病 (PD) は罹患者数の多い神経変性疾患であり、その早期診断及び治療法の開発や重要な課題である。SPECT (single photon emission computed tomography) は放射性トレーサーを用いて局所脳血流を可視化する事でADやPDの診断に利用される。そこで診断支援を目指して局所脳血流画像を基にサポートベクターマシンを用いてADとPDの分類を行うモデルの構築を試みた。対象は診断のため脳SPECT撮像が必要となり、その後AD又はPDと診断された68例 (AD: 24例、PD: 44例) である。それぞれの被験者について123I-IMP投与30分及び3時間後に撮像された2種類の脳SPECT画像を解析データとした。まず画像に対し片側t検定によりp値が0.01以下のボクセルを抽出し、それらを脳葉ごとにグループ化した。次にグループ化されたボクセルに対し変数増加法を実施し、分類に重要な脳部位を探索した。分類にはサポートベクターマシンを用いた。その結果、変数増加法により選択されたモデルの正答率はトレーニングセット98.1%、テストセット78.6 %であった。初期部位にはFrontal lobeが選択され、早期像と後期像の両方を含む合計13部位がモデル構築に用いられた。選択された部位はADまたはPDで血流低下が報告されている部位と概ね一致していた。これらの結果よりADとPDの分類に際して早期像に加えて後期像を用いることにより分類精度が向上する可能性が示唆された。

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Communication
  • 齊藤 奈英, 多田 幸雄, 岡部 隆義, 長野 哲雄
    17 巻 (2017) p. 30-33
    公開日: 2017/03/30
    ジャーナル フリー
    偽性低アルドステロンII型は、WNK1 [with no K (lysine) protein kinase-1]あるいはWNK4に起因する非常に稀な常染色体優性遺伝疾患として知られている。これらのセリン-スレオニンキナーゼは、ATP結合サイトのすぐ後ろにバックポケットがあるという特徴的な構造をしている。さらに、グリシンリッチループにあるリジン残基(WNK1のLys233)は、活性に重要な役割を果たしていることも知られている。本研究において、我々は、WNK特異的阻害剤を創成するためのリード候補化合物を探索するため、WNK1のバックポケットと約9000化合物のフラグメントライブラリーとのドッキングシミュレーションを実施した。我々は、結合スコアに基づいてバックポケットと相互作用してヒンジ領域とは相互作用しないリード構造として、β-テトラロン(化合物5)を選択した。次に、バックポケットとβ-テトラロンとの予測できる4つのドッキングパターンに基づいて、Lys233と水素結合を形成することが予測される4つの誘導体化合物A-Dをデザインした。これらの誘導体化合物は、ドッキングシミュレーションにおいてLys233と選択的に相互作用することが示され、選択的なWNK阻害剤を開発するための潜在的リード化合物であると考えられる。
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  • 齊藤 奈英, 多田 幸雄, 岡部 隆義, 長野 哲雄
    17 巻 (2017) p. 34-37
    公開日: 2017/04/08
    ジャーナル フリー
    偽性低アルドステロンII型は、常染色体優性遺伝疾患であり非常に稀な家族性高血圧症である。これは、WNK1 [with no K (lysine) protein kinase-1]あるいはWNK4の機能亢進に起因するとされている。これらのWNKは、多くのキナーゼに存在するβ3 strandのリジン残基がシステインに置き換わっており、また、ATP結合サイトのすぐ後ろにバックポケットがあるという特徴的な構造をしている。したがって、この特徴的なバックポケット及び活性に重要な役割を果たしていることも知られているグリシンリッチループにあるリジン残基(WNK1のLys233)と相互作用する化合物は、WNK1及びWNK4の選択的阻害剤であることが予測される。本研究では、フラグメントライブラリー化合物及び競合結合アッセイを用いて、ヒンジ領域ではなく、バックポケットと選択的に相互作用する化合物を選択した。得られた化合物は、1,3-イソキノリンジオールと4-メチル1,3-イソキノリンジオールであった。これらの化合物にプロトンドナーとなる置換基を導入すると、Leu369 (WNK1) に水素結合し、WNK1及びWNK4に対する選択的な阻害剤を得るためのシード化合物となると予想される。
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Opinion
Obituary
  • 石川 智久, 湯田 浩太郎, 多田 幸雄, 小長谷 明彦
    17 巻 (2017) p. 110-111
    公開日: 2017/12/04
    ジャーナル フリー

    藤田稔夫氏(ふじた・としお=京都大名誉教授、医農薬化学)が今年8月22日午前11時47分、病気のため京都市内の病院で死去されました。享年88歳。昨年10月には京都大学で開催された第44回構造活性相関シンポジウムで米寿をお祝いしたところでした。藤田先生はCorwin Hansch教授(米国)と共に定量的構造活性相関の方法を確立され、医薬農薬などの多方面で分子設計に多大な影響を与えてきました。さらに、藤田先生はEMIL (Example-Mediated Innovation for Lead Evolution)の方法を開発して、人工頭脳(AI)に基づく創薬分子デザインの可能性を追求されてこられました。藤田先生の先進的な考えとアプローチは私どもの模範とするところです。この追悼文をもって藤田稔夫先生の偉業をかみしめつつ、ご冥福をお祈り申し上げます。

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