アルドース還元酵素は糖尿病合併症の発症の要因の一つと考えられてきた。種々の化合物がアルドース還元酵素を阻害することがわかっており、経口投与で活性を有する阻害剤を目ざして長年が研究なされてきた。いくつかの化合物が臨床試験まで進んだが、現在市販されているものはわずか一つだけである。糖尿病合併症治療薬の種類が限られているため、アルドース還元酵素の三次元構造が決定されてから、本酵素の阻害剤を探索する合理的なアプローチが適用されてきた。本レビューでは、既存の阻害剤について概観した後、アルドース還元酵素とその複合体の分子モデリングならびにstructure-based drug discoveryといった合理的アプローチについて述べる。
バクテリオロドプシンのL→M→N反応において、プロトンの移動が、通常とは逆の方向にも起こりやすい構造を見い出す研究をab initio 計算によって行った。その一例は、シッフ塩基に直結している水分子のO 原子と、シッフ塩基のN原子とを結ぶ直線が対称面に含まれる場合に、Asp85とAsp96とがCs対称を満たしている構造である。この構造では、L→M→N反応とN→M→L逆反応の可逆的なプロトン移動が容易に起こり得る。