環境情報科学論文集
Vol.17(第17回環境研究発表会)
選択された号の論文の67件中1~50を表示しています
  • 野村 恭子, 松橋 隆治
    専門分野: その他
    p. 1-6
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    環境省のCDM植林事業のFS調査の8プロジェクトを対象に、環境保全効果と事業収益性の評価をおこなった。プロジェクトの期間、面積など諸条件によって発揮する効果は異なるが、4~1,733千トンCO2の範囲の削減量を発揮し、削減効率は年間0.3千~82.5千トンCO2であった。炭素クレジットCERの価値は価格変動やアカウント方法に影響を受けるが、CER収入を含めることでNPVは上昇し、事業の収益性を向上させることを確認した。CDM植林事業がもたらす生物多様性保全機能、水源涵養機能などの地域の環境保全効果に着目し、定量評価、経済的評価の研究課題を整理し、それらを含めた事業評価の必要性について論述した。
  • 鳥居 厚志
    p. 7-12
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    四国地方の176断面の森林土壌調査・分析データを用いて、森林土壌の孔隙解析結果から6項目の保水指標を算定し、立地環境要因との関係を解析した。6項目の保水指標は、相互に強く関連していた。176箇所の保水容量(=小・中孔隙量)の平均値(±標準偏差)は、147(±54)mmで、従来の報告に比べると小さかった。保水指標と立地環境要因との関係を解析した結果、各要因の影響について、以下のように判断できた。土壌母材は6項目の保水指標すべてに対しての影響が強かった(変成岩>堆積岩)。土壌型、土層深、樹種は相互に関連して特定の保水指標に影響していた(湿性土壌>乾性土壌、深>浅、スギ人工林>ヒノキ人工林)。斜面傾斜と林齢の影響は認められなかった。
  • 佐藤 力, 大塚 生美, 趙 賢一, 小泉 武栄
    p. 13-16
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    都市における身近で連続した緑の生育基盤であり、貴重な歴史的土木遺産でもある玉川上水の素堀りの水路法面は、崩落が進み、水路としての機能や文化財としての価値が低下することが懸念されていた。本研究は、この法面崩落の基本的要因が「霜柱」、「降水」、「風」、「日照」、「地形」であるということと、法面や平坦部に生育する樹木が崩落の進行を早めるという作用が起きていることを解明した。これにより、水路法面を今後維持していく上での樹木管理の方針として、法面部分に生育する樹木の生育状態により伐採の優先順位を示した。なお、実際の管理では、地域住民の意見を反映して総合的に判断することが重要である。
  • 北アルプス八方尾根蛇紋岩地を事例として
    土田 勝義, 尾関 雅章
    p. 17-22
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    北アルプス北部の八方尾根は中部山岳国立公園に含まれるが、スキー利用が盛んで1998年の長野冬季オリンピックでは滑降競技会場ともなった。八方尾根に分布する蛇紋岩上には特殊な植物相、植生の発達が知られ、夏季に訪れる者も多い。そのため、八方尾根の登山道周辺では、その人為的影響や自然特性により植生の荒廃がすすんだ。この登山道荒廃地で、1998年より長野県および地元ボランティアにより、表流水処理とジュートネットおよび土嚢による土留めを用いた植生復元工が施されてきた。これらの植生復元工区において、植生の回復経過を調査したところ、植被率の増加はみられたものの、復元工施工から4年後においても十分な植生の復元は認められなかった。
  • 茨城県水戸市近傍を対象として
    桑原 祐史, 木村 誉, 小柳 武和, 志摩 邦雄
    p. 23-28
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    近年、都市内緑地の重要性が高まってきている。しかし、都市とその近傍における緑地を対象として、面的分布の長期変化と変動傾向を継続して調査することは少ない現状にある。この点に関する情報を整備することは、各種都市計画を策定してゆく際の事前情報として重要と考える。本研究では、水戸市中心部とその近傍を対象として、大正時代より図面が蓄積されている国土地理院発行1/25,000地形図を用い、1970年から2000年までの3年度を対象として経年的な緑地域(生産緑地含)変化とその変動傾向を図化した。結論として、緑地の細分化および緑地域の南西方向への減少傾向と、偕楽園公園および那珂川斜面緑地の重要性が確認された。
  • 木本 久美子, 柳井 重人, 丸田 頼一
    p. 29-34
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、今後の病院の緑化の方向性について検討するために、東京都区部において、病床数100床以上を有する病院を対象に、敷地条件調査及び緑化実態調査を実施した。その結果、病院敷地の緑被地率の平均が14.6%であること、地上部においては空地の確保が緑量と多様なタイプの緑被地の確保につながること、屋上部に緑被地を有する病院は10%程度で、多くの場合、その規模も狭小であること、今後、量的な緑化水準を考える際には、敷地規模別に検討していく必要があること等が把握された。
  • 熊谷 樹一郎, 石澤 秀和, 川勝 雄介
    p. 35-40
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    都市内の緑地の現況を把握するには、まず広い範囲から調査した上で、地域間での特徴を比較できることが必要である。近年では、ポケットパークなどの小規模な緑地整備を推進する傾向にあることから、調査対象として緑地の総面積だけでなく、散在する状態も同時に把握することが重要となる。本研究では、緑地の分布状態を広域的に分析する方法を開発した。具体的には、緑地の散在する状態を数値化する指標としてエントロピーが有効であることを示すとともに、典型的な分布状態を表す標準データを新たに定義し、これらを基準として地域ごとに緑地の分布状態を類型化できることを示している。
  • 花芽の成長過程に着目して
    松本 太
    p. 41-46
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、埼玉県熊谷市において、都市の温暖化(ヒートアイランド)がソメイヨシノの開花に及ぼす影響について、花芽の成長に着目し、植物生態的な観点から調査を行った。その際、ソメイヨシノの花芽の成長過程を6段階で評価することを試みた。さらに熊谷市の都心部、郊外部におけるソメイヨシノの花芽の成長と気温との関係を解析した。その結果、ソメイヨシノの花芽の成長は熊谷市の中心部で早く、郊外部で遅い傾向がみられた。その要因としては、都市気候すなわちヒートアイランドの影響で、中心部、郊外部において、日々の積算気温の推移に局地差が生じ、それがソメイヨシノの花芽の成長過程における局地差に影響を与えていることと考察した。
  • 新宿御苑周辺市街地を例として
    高野 武将, 成田 健一, 三上 岳彦, 菅原 広史, 本條 毅
    p. 47-52
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    さまざまな建物で囲まれた複雑な街路空間の熱・放射環境の実態を把握することは、ヒートアイランドの研究を進める上で重要なポイントである。本研究では、新宿御苑を対象とした緑地影響把握の観測の一環として行った自動車による周辺市街地移動観測のデータを用い、現実の街路空間における気温の変動特性について考察した。また、同時に測定した街路空間の日射と長波放射、ならびに路面温度の変化についても解析し、建物影響を受けた市街地における実態を明らかにした。さらに、自動車の表面温度についても考察し、車体温度が路面温度とは大きく異なる温度レベルと時間変化を示し、街路空間の熱環境を考える上で無視できない存在であることを示した。
  • 地形を考慮した3次元ボックス風の推定方法
    山藤 憲明, 福岡 義隆, 北山 正文
    p. 53-58
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    大気汚染物質の拡散シミュレーションに必要な予測技術として、点データから空間データを推定する方法を検討した。シミュレーション対象エリアを含む広域エリア内3地点の1年間の気象データを、代表気象パターン(モード)に分類し、処理データ量を低減させた後に、べき法則と有限要素法を用いて、対象エリアの3次元空間全ボックスの水平風ベクトルを推定する方法を示した。次に、地平面を含むボックスについて、地形データから得られる地形の傾きと方向による効果を水平風に与え、3次元風のベクトルを推定する方法を示した。示した方法のうち、実データを用いて気象モード解析を行った結果を原始データと照合し、実務への適用性について検討した。
  • 大橋 唯太, 玄地 裕, 亀卦川 幸浩
    p. 59-64
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    東京都心の街区内で形成される気温分布の特徴を調べる目的で、2002年夏季において神田、日本橋の2街区で地上気温の多地点観測をおこなった。街区内の気温は、オープンスペースの露場で測定されたAMeDAS気温よりも一日を通して高く、日中は場所による気温の違いが大きい一方、夜間になると1℃以内の差で一様に近づいた。交通量が少ない街区の中では、日向日陰の形成が日中の気温分布の非一様性化に深く関わっていた。一方で、観測街区を取り囲む幹線道路沿いの気温は、平日には街区平均気温よりも昼夜問わず高くなっており、交通量が多いことに伴う自動車排熱の影響を強く受けていることが、日本橋街区を対象とした主成分分析より示唆された。
  • 鄭 会勲, 王 秀峰, 矢沢 正士
    p. 65-70
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    都市及び都市近辺地域の荒地の細分化とその分布特性を明らかにするため、広域札幌圏を対象に衛星データを用いて荒地の細分化に対応した土地被覆分類を行うためのアルゴリズム開発を行った。正規化植生指数(NDVI)とその分散幅(NDVI Range)から、自然的荒地2タイプと人工的荒地1タイプを識別できた。さらに分光特性が畑地類似の人工的荒地1タイプを、非統計処理により識別し、4つに細分化された荒地分布を含む土地利用図を作成した。また広域札幌圏における自然的荒地と人工的荒地の分布状況を比較し、大規模工業団地の造成が進んだ地域で人工的荒地の割合が大きいことを明らかにした。
  • 沢田 治雄
    p. 71-76
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    可視・近赤外および中間赤外を用いて積雪域を判別する指標S3をSPOT衛星Vegetationセンサの10日間合成データに適用した。地表観測において障害となる雲、その他のノイズは季節変動モデル処理(LMF処理)によって衛星データから削除した。地上データとして、日々のアメダスの積雪深データを利用し、SPOT衛星の10日間合成データと同様のアルゴリズムで対応する積雪データを作成した。このアメダスデータの処理によって、積雪日数が約30日以下の箇所では積雪が把握できないことが分かった。SPOT衛星データと地上データとの相関係数は0.90となったが、衛星データの方が過大推定となる傾向が確認された。一方、数ヶ月間の積雪のある場所でも衛星データでは識別できないことがあった。
  • 「すまいエリア・サーチ」を事例に
    坂本 愛, 福井 弘道, 長坂 俊成
    p. 77-82
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    居住環境評価支援システムとは、WebGISを基盤として、居住環境を構成する多様な環境プロフィール情報を幅広く公開し、入出力の双方向性や探索性を活かしつつ、個人の環境選好に基づいた環境評価プロセスを支援するシステムである。本研究は、その実用化を目指した事例研究として、都市基盤整備公団の物件情報とリンクしたシステム「すまいエリア・サーチ」を開発し、東京都区部を対象に、モニターによる利用調査を実施した。本稿では、利用調査における登録評価条件や地図操作のログ情報を用いて、モニターの環境選好傾向や居住環境評価におけるGISの支援状況及び影響について分析を行った。これにより、ディベロッパーと居住環境選択意思決定者を対象とした本システムの有用性評価を試みる。
  • 江東区木場の連続した街区における分析・考察
    木村 敏浩, 黒岩 孝, 坂口 浩一, 松原 三人, 大内 宏友
    p. 83-88
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    フラクタル次元を用いた分析は、事象や形状の複雑さを定量的に測る事が可能であり、建築・都市計画分野の研究にも応用されつつある。本研究では、研究対象地域を江東区木場の永代通り沿いとし、認知領域の広がり(認知的特性)と、地理的要因を主とする物理的環境(形態的特長)である街区の複雑性との関係性について、3次元情報を包含する陰影画像を用いたフラクタル次元解析、画像相関によって分析した。結果、フラクタル次元と認知強度は、逆相関の傾向を示した。また、建築物の配置、形態や高さが複雑さとして反映され、永代通り南北間における心理量としてのエッジ形成に影響を与えていると考えられる。
  • 山口 高明, 王 秀峰, 谷 宏, 矢沢 正士
    p. 89-94
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    石狩川下流域の水田地帯を対象に、地上生育データ、アメダスデータおよび衛星データから収量予測モデルを構築した。この発育モデルと衛星データから推定した草丈を使用する収量モデルで構成されている。またNOAA/AVHRRを用いてNDVIから草丈を推定する関係式も作成した。発育モデルで推定した幼穂分化期は実測値と比較して3.5日の遅れ、出穂期は3.6日の遅れであった。収量モデルについて地上生育データを用いた場合とNOAA/AVHRRデータを用いた場合について推定精度を調べた。それぞれ5.6%と12%の推定精度であった。さらに、NOAA/AVHRRを用いて対象地域のメッシュ単位の推定収量分布図を作成した。
  • 篠崎 高志, 下村 彰男, 伊藤 弘
    p. 95-100
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    従来の公園利用状況調査は、調査員数の制約などから、選定された主な施設や地点における調査結果を足し合わせて公園全体の利用状況としてまとめるといった把握に留まっていた。現在一般に普及しているハンディGPSは、携帯するだけで時空間の位置情報が記録でき、従来の調査法の課題を補完する役割が期待される。本研究は、実際にハンディGPSを使用して公園利用者の移動軌跡を記録する調査を行い、ハンディGPSを使用した調査の特徴をまとめ、課題を見出した上で、その有効性について、実際の調査手順の簡便性、費用と得られるサンプル数、コンピューターへの入力作業やアウトプットまでに要する手間などに関する検討を行った。
  • 高山 範理, 辻 華欧利, 下村 彰男
    p. 101-106
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本論では、中景域の森林景観を構成する単位である樹冠の織りなす肌理(テクスチュア)に着目し、?48名の被験者に対して見え方による森林景観の分類実験を行い、最終的に森林景観を5グループに分類した。?各グループの代表的な写真に対して、濃度ヒストグラム法を用いて、分散・歪度・尖度を指標にテクスチュアの状態の解析・分類を試みた。?最後に?と?の結果の関連性の検討を行った。その結果、定量的な分類の指標として特に分散・歪度が有効であり、被験者の分類結果は各指標からなる座標空間上に特徴的に配置する傾向があること、定量的な観点から森林景観の分類を行うための分析・整理軸として、テクスチュアが有効である可能性が示唆された。
  • 後藤 厳寛, 杉田 幹夫
    p. 107-112
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    薪炭林や農用林として活用された二次林や草地は、一般に1960年頃に起こった燃料革命や科学肥料の急速な普及によって利用・管理が行われず林分が放置されたために荒廃したと認識されている。今回の調査結果から、山間部では、既往研究で認識されている上記の荒廃要因のほかに、生活様式や生業活動の変化による資源利用の減少や林床の非管理によると考えられる林内生物資源の減少、集落から離れた場所に位置していた山腹の畑や急勾配の傾斜地畑での耕作放棄に始まる林道の恒常的な管理放棄といった理由が、森林や草原など二次的な自然環境の荒廃に影響したものと考察した。
  • 家電製品を対象としたケーススタディ
    伊坪 徳宏, 稲葉 敦
    p. 113-118
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    LCAは製品等の環境評価ツールとして定着しつつあるが、企業での意思決定のためには経済情報も加味した手法開発が望まれている。LCCはライフサイクルの観点から費用を算定するが、環境影響による経済損失を計上しない。本研究では、LCIAとLCCの双方を統合したFCAの導入の意義を検証するために冷蔵庫を対象にケーススタディを行った。代替フロンを利用した環境指向型製品は従来製品よりLCCは高かった。一方で、代替フロンに転換した製品は環境影響の低減に寄与するため社会コストが低かった。FCAの実施により両者のトレードオフについて比較でき、社会コストの低減効果が大きい環境指向型製品の有用性を見出すことができた。
  • 藤見 俊夫, 浅野 耕太
    p. 119-122
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、CVMにおいて調査者が提示した仮想シナリオと異なる主観確率を回答者が想定することによって評価額にもたらされるバイアス(主観確率バイアス)について実証的に検討した。評価対象財としては熊本地域の地下水を選んだ。検討の結果、主観確率の違いは評価額に有意な影響を与えており、主観確率バイアスの存在が示された。また、主観確率バイアスを修正した評価額と修正しない評価額には平均値で約2.5倍、中央値で約4倍の違いが見られた。
  • 後藤 惠之輔, アーメド K.S. サロワロ ウッデン, 小島 治幸
    p. 123-128
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、仮想市場評価法における、自由回答意見の支払い意思額への影響について、諫早、長崎、北九州で行った諫早干拓事業の環境影響評価データから検討したものである。研究方法は、自由回答意見をカテゴリ別に集約化し、本事業の問題点を抽出するとともに、住民の意識と支払い意思額の関係について、統計分析より評価を行った。その結果、自由回答意見の集約より、諫早干拓事業が各都市に与える影響、問題点、責任者の所在、解決法の項目で、諫早と長崎、北九州の間に、大きな誤差があることが分かった。本研究の成果として、仮想市場評価法での自由意見を用いた分析により、支払い意思額のみでは明らかに出来ない住民意見が抽出できること、また自由意見の住民や政策執行者への提供が行える結果であることが確認できた。
  • 本間 勝, 廣田 裕二, 平 倫明, 川口 有一郎
    p. 129-134
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    土壌汚染が原因となって不動産価値への影響をもたらす心理的嫌悪感(スティグマ)の定量化を試みた。スティグマが汚染源を中心とした同心円状の減衰型をなし、ある一定距離以上になると消滅するという類推に基づきCVM(仮想市場評価法)を用い確認した。その結果、汚染源を最大値として、汚染源から3kmにわたり減衰型の分布を示した。よって、スティグマの分布特性は、汚染源を中心とした同心円状の減衰型をなし、3km超のある地点において、ほぼ収束するという見方が得られた。スティグマが捉えどころのないものという一般的な認識が、土地流動化の阻害の一要因になっているが、本研究によるスティグマの実態解明により、阻害の程度を低減させることが期待できる。
  • 宇久島における生活環境評価から見たネットワーク形成への基礎的研究
    増田 有希子, 宮崎 均, 小林 昌史
    p. 135-140
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    離島にはさまざまな制約があるため、本土と同様の生活条件を備えることは極めて困難なことである。本研究は近接した島との相補関係を築くことによって、離島住民の生活向上を図るネットワーク型の計画手法の提案を行うことを目的とする。対象を長崎県宇久島とし、宇久島住民の生活圏、住民による生活環境評価をアンケート調査により把握し、分析を行った結果、島魅力となる可能性のある自然と交流を地域特性としたまちづくりを行うことが有効であるという結論を得た。現在の生活環境を破壊せずに都市的機能を配置することによって、各島の固有性を尊重した地域振興策を提案することが可能となる。
  • 広域にわたる沿岸漁村地域における生活領域のまとまり
    根來 宏典, 大内 宏友
    p. 141-146
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、自然環境と集落とが一体として成り立つ沿岸漁村地域を研究の対象とし、地域住民による環境認知の調査・分析をもとに、沿岸漁村地域における圏域構成を物理的環境や住民の生活行為と、環境認知の対応関係から実証的に検討を行うものである。具体的には、沿岸漁村地域における圏域を地域単位ごとにばらばらにとらえるのではなく、半島全体としての圏域構成を把握するため、地域住民における生活行為の広域にわたる単一圏域相互の関係性に着目し、生活行為ごとの領域単位のまとまりを考察する。
  • 銚子漁港および平潟漁港をケーススタディーとして
    松坂 崇, 佐伯 公康, 坪田 幸雄, 近藤 健雄, 山本 和清
    p. 147-150
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    漁業における就労環境の安全性に関する研究は、漁船、船員についていくつかなされているが、漁港についてのその研究は少ない現状にある。そこで、本研究では漁港における就労環境の評価項目の1つとして、漁港の安全性に着目し、漁港内の危険因子の抽出およびその要因について調査分析を行った。本稿では以下のような結果を得ることができた。漁港における危険因子は大別して3つの因子に集約し抽出することができた。それは「すべる危険」、「車両に関係する危険」、「混雑に関係する危険」である。また、それぞれの危険の要因を考察した。
  • 船曳網漁業を例としたOWAS法および腰部椎間板圧迫力推定法による分析
    加藤 信崇, 木本 正治, 近藤 健雄, 山本 和清
    p. 151-154
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    高齢漁業就業者および新規漁業就業者の両方の身体的負担を軽減することは、失業者が漁業に参入しやすくなることにつながる。そこで、身体負担および身体負担が最も大きい部分を明確にするためにOWAS法および腰部椎間板圧迫力推定法を用いる。2つの方法を用いた結果、身体的負担が最も大きい部分は腰であることがわかった。この腰の負担は大きいため、腰痛発生のリスクは高いという結果が得られた。また、腰への負担は身体と荷物との水平距離および荷物の重量であることが分かった。
  • ピクトグラムの理解度について
    山本 和清, 近藤 健雄, 菅家 英朗
    p. 155-160
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    わが国では高齢化社会を迎え、交通バリアフリー法が制定されるなど、公共を利用した移動の利便性、安全性の向上が促進されてきた。これにより、高齢者の外出が容易となり、高齢者のレジャーのなかでも海洋性レクリエーション活動への参加意欲の向上がみられ、その参加意欲を支えるものとして、モビリティーの確保が重要であり、そのためには個々の施設が円滑につながり、安全かつ自由に行動できるようなサイン整備が必要である。そこで本研究では、海浜空間におけるサイン整備に着目し、海浜公園内のサイン整備状況およびピクトグラムの理解度把握を目的とした。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)案内・誘導・定点機能をもつピクトグラムは、比較的理解度が高いことが把握できた。(2)規制機能をもつピクトグラムでは、内容を理解することは困難であると把握できた。しかし、可能・注意・禁止といった最小限の意味は理解されることが明らかとなった。(3)文字とピクトグラムを一緒に表示することで、サインに注意をひきつけ情報も正確に伝達されることがわかった。
  • 金 鍾悳, 近藤 健雄
    p. 161-166
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    1982年国連海洋法条約(UNCLOS)の採択による海の管轄権の拡大と急激な開発の副作用又は災害を原因とする、沿岸域での環境悪化は沿岸国に新しい沿岸域管理概念を求めている。特に、1992年UNCEDのリオ地球サミットの成果として出されたアジェンダ21の17章では、排他的経済水域を含む海洋・沿岸域の持続可能な開発のために、統合的な海洋及び沿岸域管理の導入を明記し、各沿岸国の責任下に統合的な管理計画とそれを実現させる法制度の整備を求めている。本稿は、日本、韓国、中国の3カ国において沿岸域管理体系を分析し、日本の海岸法、韓国の沿岸管理法、中国の海域使用管理法上の利害関係者構成という観点からその特徴を比較分析した。沿岸域行政体制においては、各国独自の統合的要素が反映されていることが分かった。また、利害関係者構成の分析結果、日本海岸法では都道府県に管理権限が集中されている反面、韓国沿岸管理法では海洋水産部中心の管理体制が構築されていて、中国海域使用管理法では多数の中央政府組織が関連されていることが明らかになった。
  • 生物多様性条約の遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)課題
    林 希一郎
    p. 167-172
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    1992年に採択された生物多様性条約の最も議論の多い課題は、第3の目的である「遺伝資源へのアクセスと遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)」である。本研究では、ABS契約で果たす利害関係者の役割と配分される利益の関係を明ら かにすることを目的に、13のABS事例を比較分析した。この結果、個々の利害関係者の役割などの要因が利益配分メカニズムに影響を及ぼすことが判明した。すなわち、利害関係者はABS契約の中で果たす独自の役割があり、それに応じて受け取る利益に概ねの傾向があると思われることが判明した。
  • 紅葉時期の大雪山国立公園高原地区の沼巡りを事例として
    小林 昭裕
    p. 173-178
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、大雪山国立公園高原地区の沼巡りを事例に、利用動態に関わる要因と調査手法上の問題を検討した。利用者数の把握では、時間尺度として月、日、時で把握された利用動態の特性から調査手法上の課題や必要性を示した。また、個人属性や気象条件、時期、行動の面から、利用動態に変化をもたらす要因を把握した。その結果、日毎の利用者数には気温や時期、規制による影響がみられたほか、入山時間や下山時間、滞在時間では経路や時期、気象による影響がみられた。一方、利用者集団毎の特性や利用動態を記録した入林者名簿と、アンケートで得た内容を照合した結果、利用動態を把握する上でサンプリング調査の手法に関し、改善が必要であった。
  • 市川 尚紀, 鈴木 信宏
    p. 179-182
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    川辺管理用通路への、住民の植木鉢置きや掃除といった庭的活用は、魅力的なまちづくりにつながると思われる。そこでまず、白子川管理用通路に対する東京都と埼玉県の施策を調査した(表2)。次に、幅員や歩車道といった通路要素の中で、違った要素に属する住民たちの、管理用通路の庭的活用に対する意識と行為を調査した(図5)。そして、管理用通路の庭的活用に向けた行政方策立案のための検討要素を吟味して、以下のように整理した:「幅員」、「歩・車」、「川側の玄関・庭」、住民の庭利用や掃除といった「生活行為」、管理用通路と川に対する「住民意識」。
  • 伝統的祭りへの参加実態と意識を通じて
    杉本 容子, 鳴海 邦碩, 澤木 昌典, 岡 絵理子
    p. 183-188
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、大阪市内で市街地に取り囲まれながらも都市開発や戦災を免れた「古集落」を対象とし、伝統的祭りにおける新来居住者の参加を通して持続的コミュニティの形成の可能性を考察することを目的とした。運営代表者へのヒヤリング調査および祭り参加者と周辺居住者へのアンケート調査により、祭りの運営実態および参加の仕組みを明らかにした。その結果、新来居住者は地域の伝統的祭りを継続的に見物しており、その存在を肯定的に捉える傾向があり、見物することによって地域への愛着が生まれふるさとと感じるようになる可能性が考えられることが分かった。
  • 藤田 勝, 清水 浩志郎, 木村 一裕
    p. 189-194
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    地域通貨はコミュニティを実現させるための道具として期待され、急速に普及している。しかしながら、地域通貨といっても、その目的や活動組織、組織の拡張志向性によっても多種多様である。地域通貨のタイプは、特定のテーマに関する活動を行うもの、不特定の財やサービスの交換を目的とするもの、双方の活動を目的とするものに大別されるが、いずれもサービス需要者と供給者のマッチングが重要となる。本研究ではアンケート調査により、全国の地域通貨の状況を把握するとともに、とくに地域通貨の利用促進に大きく影響を及ぼすであろう、財やサービスのマッチングについて、地域通貨活動の活発さと関わりから考察した。分析の結果活発な活動をしている組織において、利用者の相互理解を深めるためのイベントの実施やサービスに関する簡便で詳細な情報提供を行っていることがわかった。
  • 市民参加の場における合意形成のために
    齋藤 和彦
    p. 195-200
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    自然資源管理における利害関係者の合意を模索するために、対立する2者の見解の相違をCognitive Mapを用いて抽出する方法を検討した。分析の素材には、旧建設省・水資源開発公団と霞ヶ浦・北浦を良くする市民連絡会議による霞ヶ浦の管理を巡る論争を用いた。各々の見解は、文献資料をもとにCognitive Mapで表象した。両者の問題理解の相違は、Cognitive Mapおよび、その最小辺有向グラフを用いて包括的・系統的に抽出できた。今後の湖の保全施策に関する見解の相違も、最小辺有向グラフから読み取ることができた。Cognitive Mapの使用は、合意に向けて互いの問題理解を共有する過程で有効であると言える。
  • 朝倉 暁生, 川畑 隆常, 平松 あい, 高野 誠二
    p. 201-206
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    社会の多様化に伴い、環境問題解決の前提として、「多様な立場や価値観への理解」が不可欠となってきている。このための手法として、香[ルプレイング」が注目されており、計画づくりのワークショップなど、一部で取り入れられ効果を上げている。今後は、これをより広く、また多様な形で推進するための知見集積が求められている。そこで本研究では、主に若年層を対象として実施されたワークショップを事例とし、その効果測定を試みた。その結果、このような手法が若年層の関心を惹きつけている一方で、ワークショップづくりのノウハウや人材不足などの課題があり、これをサポートすることが必要であることなどを明らかにした。
  • 坂部 創一, 田中 傑
    p. 207-212
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    従来のテクノ依存症を包括する大学生を対象とした仮想空間依存症指標(VSC-Index)を開発した。調査後の信頼性・妥当性の検証結果は、良好であった。因子の構造分析から、各メディア依存度は相互に関連しながら全体としてVS(Virtual Space)依存度に関与していた。VS依存度の得点が高いほど、生活障害、すなわち生活が不規則で授業に出るのが億劫になり人間関係の悩みも多いという傾向性を示した。さらに、VSC得点はQOL(Quality of Life)得点とやや弱い負の関係を示したが、VSCがもたらすこのような自覚症状の弱さが、VS依存の重症化を加速する。そのため予防対策として、VSC-Indexを利用した自己診断によって、早い段階でVS依存に気づくように導くことを提起した。その結果として、QOLの持続的な向上のための一要因となることが期待される。
  • 三重県環境学習情報センターの事例から
    小川 宏樹, 浦山 益郎
    p. 213-218
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    環境学習によって環境問題解決の行動を確実にするためには、単発的な学習プログラムに加え、その後のフォローアップが不可欠である。本研究では、みえ環境学習セミナーを事例として、PDCAサイクルを用いて人材育成プログラムの設計と評価を行なった。セミナー目標達成度を受講者への調査で評価し、フォローアップの取り組みへとつなげた。その結果、受講者の環境意識や行動の向上へとつながった。さらにフォローアップの機会を与えることで学習の継続性が担保され、受講者にさらなる環境意識や行動に変化が見られた。このような変化を促すためには、自らが指導者の立場に立つ、修得知識や技術が活用できる内容を取り入れた有効であった。
  • 三番瀬における活動プログラム主催者の安全管理について
    石野 大輔, 近藤 健雄, 山本 和清, 菅家 英明
    p. 219-222
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    現在、環境に対する豊かな感受性や見識を持って行動できる人材の育成を図る環境教育が重要とされる。環境教育は陸域・海域と様々なフィールドで行われている。しかし、海での活動を行うには陸域とは異なる危険が伴うために安全管理が困難などの理由から、海における環境教育は実施されにくい現状にある。本研究では海の環境教育の推進を目指し、三番瀬における環境教育の安全管理の改善点を抽出することを目的とし、安全管理の現状を把握するために文献調査・ヒアリング調査を行った。三番瀬の環境教育の安全管理の改善点として、参加者に対する事前教育の充実を実施する事、主催者間での安全管理に関するミーティングの実施、漁協と学校における連携が挙げられた。
  • 動植物等の自然物の採取に着目して
    富田 将義, 市村 恒士, 黒澤 和隆
    p. 223-228
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、日常的で持続可能な人間と自然との関係を探るため、自然体験の一つである「採取」に着目し、地方中小都市の「採取」の実態を明らかにすること等を目的とした。室蘭市の住民に対するアンケート調査の結果、多くの住民が採取を行えるような生活環境を望んでいること、採取を行っている住民は58%いること、採取場所には都市公園や山林を多く利用していること、採取には多くの効果が期待されていること、採取に対する認識が高い人は、身近な地域において緑化活動等を行っていること、採取を円滑に行うために情報や知識の提供を望んでいること等が把握された。以上を踏まえ、今後の採取を促すための環境づくりへの課題を整理した。
  • 小塚 みすず, 川本 義海, 本多 義明
    p. 229-234
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は自動車の需要と道路供給のバランスを図り、交通の円滑化と環境改善を図る政策的アプローチである交通需要マネジメント(TDM)に着目し、都市の性格がTDM施策の実施に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。そのため、全国都道府県の主要2都市ずつに対し実態調査を行い、都市の性格を示す指標をもとにクラマーのV係数による関連性分析、クラスター分析、そして判別分析を用いて、施策の実施パターンおよび施策の実施に影響を及ぼす都市の性格を分析した。その結果、(1)各施策の実施状況には差があり、環境への効果は二次的効果として意識されていること、(2)「都市規模」、「土地利用」、「都市の履歴」は実施している施策の目的と大きく関連していること、(3)「人口規模」や「戦災の有無」が施策の実施に強い影響を及ぼしていることが実証的に明らかになり、地方都市におけるTDMの適用性検証のための要件を示した。
  • バロン サムエル, 高橋 尚子, 鹿島 茂
    p. 235-240
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では世界における44の主要都市を対象とした国際統計を利用して都市形態が交通エネルギー消費量に与える影響を1980年と1990年の二時点で分析している。その結果、交通エネルギー消費量は人口密度と交通網の形態に影響を受けて変化していることが確認された。
  • 桑原 祐史, 小柳 武和, 志摩 邦雄
    p. 241-246
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    北関東自動車道は、群馬県高崎市から茨城県ひたちなか市に至る全線において事業化された高速自動車国道であり、茨城県内では一部供用が開始されている。このような中、茨城県では自動車道沿線地域に高規格産業拠点の整備・高次都市機能の集積等を促進してゆく計画があり、将来、地域環境(自然・社会)が変化してゆく可能性がある。沿線地域を対象とした諸開発および地域環境情報を整備しておくことは、地域の将来像を議論する上で重要な事前資料になると考える。研究では、沿線開発および地域環境の情報項目の整理および数値化作業を行うとともに、収集範囲の情報間の相互関係から地域開発の今後の留意点を取り纏めた。
  • 前田 恭伸
    p. 247-252
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    現在建設中の第二東名高速道路は、既存の東名高速道路より山側に配置されて計画されているため、その道路排水が下流河川の水質に与える影響が懸念される。そこで本研究では、この高速道路排水が上水道水源に流れ込むある地域を対象に、想定される道路排水の健康影響についてリスクアセスメントを行った。取り上げた物質は重金属、PAH、およびTHMである。その結果、ブロモジクロロメタンについて10-5を超える発がん確率が推定された。また、一部の重金属やその他のTHMについても比較的高いリスクが示されたため、今後の流域全体での水質の監視と管理が必要であることが示唆された。
  • 中口 毅博
    p. 253-258
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、社会構造変化を考慮した民生部門家庭の温暖化対策立案に資するために、家庭におけるエネルギー消費実態を把握し、その要因を特に世帯属性との関連で分析した。アンケート調査によって岩手県と鹿児島県の1世帯あたりの電気・ガス・灯油の平均消費量を算出し、その規定要因を数量化?類分析によって把握した結果、寒冷地域と温暖地域といった気候要因による消費量の差は、灯油消費においては大きいが、ガスや冬の電気においては顕著ではなく、むしろ家族人数や高齢者・乳幼児の所在、在宅時間といった世帯属性が要因となっていることが多いことが明らかになった。一方、建物構造、建て方などは、数量化?類分析によると概して大きな要因とはなっていないことが明らかになった。
  • 今堀 洋子, 盛岡 通
    p. 259-264
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    資源生産性を高めるために、「モノの所有からその機能を利用する社会」に移行するには、モノを提供する側、それに携わる利害関係者、そしてユーザーにもそれぞれ変革が求められている。本研究では、米国で提唱されているサービサイジングという定義及び、サービサイジングの3つのレベル、すなわち、サービス提供、機能提供、製品提供を採用し、特に生活に密着した家電製品を対象として取り上げた。家電リースの社会実験を実施し、まずは、社会実験のスキームを組み立てる過程や、実際にモニターからのアンケート調査から明らかになったことから、家電リースの課題を提示した。更に、課題を踏まえて、家電リースのビジネスモデルの検討及び、家電製品全般の機能提供の可能性を、家電の種類、使い方などから3つに分類し検討した。
  • 岡野 雅通, 盛岡 通
    p. 265-270
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    循環型社会の形成に向けた1つの取り組みである、廃自動車(ELV)を対象としたリサイクルシステムについて、複数主体対応型の環境会計を用いて評価する。ELVは、ASRを中心とした再資源化率向上という目標と共に、回収される鉄スクラップの質が重要な課題となっている。特に自動車の電装系部品に含まれるCuの混入は、鉄スクラップの品位の低下を引き起こす。そこで、より効率的かつ効果的にASRを削減する方法について、既存の技術を元にシナリオを構築した上で、比較評価した。その結果、解体業者での徹底的なCu除去と、破砕後のガス化処理という新たなシナリオを導くと共に、循環型社会の構築を進めるための方策を考察する。
  • 八木田 浩史
    p. 271-276
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    家電リサイクル法において再商品化の対象となっている冷蔵庫、洗濯機、エアコ ン、テレビ(ブラウン管式)の4品目に関して、CO2排出量、廃棄物発生量に着目してリサイクルによる環境影響の削減効果を、LCA手法により評価した。その結果、リサイクルを行うことによって廃棄物発生量は減少するが、CO2排出は増える場合があることを確認した。冷蔵庫に関しては、断熱材フロンの回収の効果をCO2換算して考慮すると、廃棄物発生量、CO2排出量ともに削減される。
  • 山本 祐吾, 盛岡 通, 恒見 清孝, 山崎 裕貴, 吉田 登
    p. 277-282
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    都市活動を支える工業製品の生産や運用、廃棄などに伴う環境負荷排出を低減するには、機器の省エネ化や延命化、使用済み製品の再生利用等によってライフサイクル全体で資源生産性や環境効率を高める製品管理が重要となる。本稿では、まず家庭用冷蔵庫を対象製品として取り上げ、その主要ユニットのリユース適合性や課題などの特性を整理した。その上で、コンプレッサーを対象として、そのリユースとメンテナンスを組み合わせて製品の延命化を図る戦略による環境負荷削減効果の評価を行い、買い替えと使用済み製品のリサイクルを中心とした製品管理に比して、リユースが省資源と省エネの両側面において優位となる局面を導き出した。
  • 根岸 幸夫, 湯沢 昭
    p. 283-288
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/02/17
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、環境問題の中でも身近な課題である家庭ごみの削減問題について検討を行う。そのためには、ごみの排出者である世帯のごみ問題に対する意識、物品の購入行動、リサイクル活動の実態、ごみ分別に対する考え方、およびごみ減量対策に対する考え方について調査分析を行い、物品の購入から排出に至るまでの意識構造を明確にする必要がある。分析の結果、家庭ごみの減量を促進するためには、ごみ収集の有料化や分別の徹底、さらには法的規制の強化だけでは解決することは困難であり、消費生活におけるごみ問題全般についての意識改革が不可欠である。
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