環境情報科学論文集
Vol.25(第25回環境研究発表会)
選択された号の論文の80件中1~50を表示しています
  • 渡邊 一仁
    p. 1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では無給餌養殖業にLCA を適用し,ホタテガイ(地まき式,垂下式),コンブ,ワカメを対象としたインベントリ分析をおこなった。その結果,各業種のCO2 排出原単位は,ホタテガイ(地まき式)が848.8kg-CO2 /百万円,ホタテガイ(垂下式)が1,125.0 kg-CO2 /百万円,コンブが1,809.5 kg-CO2 /百万円そしてワカメが1,364.4 kg-CO2 /百万円であった。CO2 排出量の主な発生要因はいずれも直接的な燃料消費であった。一方,燃料消費が大きい工程は業種により異なっており,業種ごとの削減可能性を検討した。また,産業連関分析との比較により,今回調査した業種の傾向と位置づけを考察した。
  • -日産100L規模での事例
    桧尾 亮一, 松岡 浩史
    p. 7-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年,いくつかの自治体ではゴミ減量化や資源循環の観点から廃食用油利用によるBDF燃料化が行われている。本研究では稼働中のBDF化リサイクルシステムで得られた実測データを基にLCA手法を用いて二酸化炭素排出量の算出を行った。評価対象は廃食用油をBDF処理した場合と焼却・下水処理する場合を想定し算出した。BDF燃料のライフサイクル二酸化炭素排出係数としては1.34~1.65kgCO2 /Lと算出され,軽油の2.78kgCO2 /Lと比較すると41~52%程度の二酸化炭素排出量削減効果があったと考えられた。また,当該地域での一人当たりの年間削減量としては最大で約265gCO2 /年となった。
  • 盛岡 通, 尾﨑 平, 山本 司
    p. 13-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    人口減とごみ量の減少が予想される全国のごみ焼却施設に質問紙を送り,施設の維持管理,長寿命化やコスト縮減の様子を調べた。廃棄物の発生・処理量を削減する目標は達成されているが,発電量やリサイクル量の目標設定やその達成管理は十分に組み入れられていないことが明らかになった。また,災害時や事故時の廃棄物等の受け入れで相互に協力はなされているが,現段階においては,施設の処理能力を広域的かつ効率的に活用するシステムを構築する取組みは弱い。ごみ量が減じる時に予想される低負荷運転時への対応は,第一に運転炉数・時間数の見直しであり,その後は,同一市域(組合)内において施設が複数ある場合と,ない場合により,対応策のプロセスフローが異なることを見出した。
  • 堀口 健, 伊坪 徳宏
    p. 19-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    生物多様性の保全への企業の参画が求められる中,各企業では自社のサプライチェーンを通じた生物多様性との関わりを把握する取り組みが始まっている。ライフサイクルアセスメント(LCA)は,製品のライフサイクルやサプライチェーンを通じて発生する環境負荷を定量的に評価するために,企業で多く用いられてきた。しかし,LCAの評価事例の多くは気候変動に注目したものであり,生物多様性への影響に着目した研究は少なかった。そこで,本研究では,産業連関分析を用いて単位あたりの生産活動に伴う土地の占有面積を推計することを試みた。さらに,この原単位を用いて日本における1年間の消費活動による土地利用面積を推計した。
  • 木科 大介, 大木 宜章, 高橋 岩仁, 大森 将希
    p. 25-30
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,亜臨界水処理を利用したメタン発酵による有機性廃棄物のガス化効率の向上を目的としている。そこで,本報告では,亜臨界水処理の最適処理条件を求めるべく,模擬生ごみを試料とし,処理温度条件の違いによる有機物分解特性およびメタン発酵のガス化特性について検討を行った。その結果,有機物分解は,温度を上昇させると分解効率が高かった。しかし,メタン発酵では,亜臨界水処理温度の上昇に伴うガス化効率は見られず,100℃および150℃で高いガス発生量となった。したがって,メタン発酵のガス化効率における,亜臨界水処理の最適処理条件は100℃から150℃であるといえる。
  • 恒見 清孝
    p. 31-36
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    製品使用時のプラスチック添加剤の放散速度を求めるために,準揮発性有機化学物質のために新たに開発されたマイクロチャンバー法を用いて,PVC樹脂からの可塑剤およぴ家電製品に使用されるHIPSやPC/ABS樹脂からの難燃剤の放散速度を実測した。そして,高温時における樹脂中のプラスチック添加剤の加熱減量データを入手して,活性化エネルギーを用いて放散速度を求めることを検討した。その結果,実測では検出できなかった難燃剤についても放散速度を椎定することができた。
  • 西尾 紀一, 北野 慎一, 吉野 章
    p. 37-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    回収体制にそれぞれ特色を持つ3自治体を取り上げ,地域を横断した比較・検討を行うことにより,自治体による廃食用油BDF 事業の回収実態と今後の展望について明らかにした。その結果,3 自治体にかかる事業負担の大きさと,家庭系廃食用油の回収率と回収率に最も影響を及ぼす条件を導出することができた。また,3 自治体において,回収拠点を1 拠点増やした場合(1,000 世帯当たりに対して)のベネフィットとコストの比較と考察を行った。
  • 小川 宏樹, 浦山 益郎
    p. 43-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    三大都市圏の人口動態と人口増減地域の分布特性を明らかにするため,2000,2005 年の国勢調査地域メッシュ統計データを用いて分析を行った。人口増加率が高い関東圏では再都市化傾向が見られたが,中京圏や近畿圏ではその傾向は弱かった。また,人口増減地域の分布特性では,都市圏全体の人口動態によらず,人口増加メッシュは都市圏中心部ほど集塊率が高く,面的な集塊地域を形成する。一方,人口減少メッシュは,集塊率が低く,総じて大きな集塊地域は形成されにくい。また,人口減少傾向にある都市圏では,人口減少地域の中心市周辺部や都市圏外縁部で,人口増加メッシュと減少メッシュがモザイク状に分散する様子が確認できた。
  • 内田 晋, 渋澤 博幸, 櫻井 一宏, 水野谷 剛, 徐 峰, 氷鉋 揚四郎
    p. 49-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,東日本大震災の被災地である岩手県,宮城県,福島県3 県の生産額および粗付加価値額が,他都道府県の最終需要によってどのような影響を受けるか,都道府県多地域産業連関表を用いて分析を行った。被災3 県と他都道府県との地域的影響は,周辺県など近距離地域による誘発効果が強く,特に同じ東北地方の消費による効果が大きかった。また産業部門に関しては,被災地における第三次産業や他県の製造業の誘発効果が大きいことがわかった。これらの情報は,地域的・産業的な視点から他地域の消費活動を通じた被災地の間接的震災復興支援を効果的に実施するための有益な情報として活用されることが期待できる。
  • 岩見 麻子, 大野 智彦, 木村 道徳, 井手 慎司
    p. 55-60
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,公共事業計画策定過程の議事録をテキストマイニングを用いて分析するために,語の出現段落数の変動係数を用いた分析対象語の選定手法を開発することを試みた。開発した手法を既存のTFIDFとともに淀川水系流域委員会の議事録に適用した結果,同委員会における議論内容を把握することに関して,既存手法に対する開発手法の優位性を示すことができた。
  • 尾﨑 平, 盛岡 通, 山本 司
    p. 61-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物施設の広域化やエネルギー回収等の施設の高度化の計画を円滑に進めるには,市民意識に合致した計画内容,計画策定手順であることが必要である。そのため,現状の廃棄物問題・施設に関する市民意識,イメージと今後の廃棄物行政の施策方針への意向と態度について質問紙調査を行った。廃棄物問題・施設に関する意識,イメージとして,1)処理場の嫌悪感・立地への判断,2)補償的行為への選好,3)ごみ問題の解決と対策の認識への反応,を取り上げ,市民を分類した結果,廃棄物行政の転換に保守的な人と革新的な人の違いが明確になり,その態度を説明できる変数を示した。また,廃棄物,資源循環政策上で施策転換を図る際に,合意形成を得る上で困難な項目を見出した。
  • 情報フィードバックやあいさつ活動の効果
    森 康浩, 大沼 進
    p. 67-72
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    地域コミュニティとの関わりが薄いとされる単身者向け共同住宅の居住者を対象に,ごみの不適正排出・分別改善に向けたアクションリサーチを行った。チラシや張り紙などの情報掲示のみ条件,それに加え,調査員によるあいさつ活動条件,排出マナーが改善されたという情報のフィードバック条件という3条件を用意し,疑似実験的にこれらが行動改善に与える効果について比較した。その結果,どの条件もアクション中は適正排出・分別行動が高まったが,アクション終了後,情報フィードバック条件以外では,不適正排出率がまた増加した。他の居住者も実行していると思えるアクションの重要性を考察した。
  • 稲岡 美奈子
    p. 73-78
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    改正容リ法における全国の市町村と事業者との費用負担の総額と比率(2008 年度)を,市町村の費用負担が一般廃棄物会計基準によって把握できるという新しい条件で調べた。PET ボトルでは事業者の負担はほとんどゼロで市町村が260 億円程度,プラスチック製容器包装ではそれぞれ500 億円程度の負担という結果を得た。この状態は,使用済み製品の適正処理責任を生産者に移すというOECD ガイドライン・マニュアルの「拡大生産者責任」と整合性がなく,ドイツ,ベルギー,フランスの実情とも非常に異なることが分かった。容リ法の費用負担の改善による使用量削減インセンティブの強化と追加の政策によるプラスチックごみ削減の可能性を考察する。
  • 孫 穎, 渡邉 雅士, 宮寺 哲彦, 藤田 壮, 平野 勇二郎
    p. 79-84
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,環境効率指標を用いて,廃棄物,エネルギー消費,有害化学物質を対象に,エコタウン都市の川崎市における産業部門別,環境負荷別の環境効率を算出し,国との比較を行う。地域産業の特徴を明らかにし,地域産業の環境効率に影響を与えた要因の分析を行った。その結果,川崎市の主要産業の石油・石炭製品業では全ての環境負荷について,化学製品業ではエネルギー消費及び有害化学物質について全国を上回る環境効率であった。一方,運輸業などの中堅産業の環境効率は全国を下回る傾向にあることが判明した。さらに,川崎市の産業全体の廃棄物と有害化学物質の環境効率が全国を上回る一方,エネルギー消費が全国水準以下にあることも判明した。
  • 有賀 健高
    p. 85-88
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    アメリカでは大豆のエネルギー利用が注目されている。エネルギーのための大豆利用が増えれば,日本では大豆油に利用される遺伝子組み換え大豆(non-GMO)だけでなく,食物用として消費される非遺伝子組換え大豆の価格が高騰することが懸念される。本研究では共和分の手法を用いて非遺伝子組換え大豆及び遺伝子組み換えも含めた一般大豆がアメリカの石油及びエタノールといったエネルギーと価格の面で関係性を持つかどうかを検証した。研究では,non-GMO大豆及び一般大豆とアメリカのエネルギー価格の間には価格連動性がないことが明らかとなり,現状では,アメリカのエネルギー市場が日本の大豆市場に影響を与えていないということがわかった。
  • 赤道原則の採択前後に着目した分析
    杉本 卓也, 森 紀将, 原科 幸彦
    p. 89-94
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,民間金融機関における世界的な環境社会配慮確認のガイドラインである赤道原則の採択による我が国の銀行における環境配慮確認の制度的枠組みの変化を,「確認基準」「確認手続き」「確認体制」「確認のタイミング」に着目し,明らかにした。分析の結果,赤道原則の採択により,各銀行で行内ガイドラインが策定され,「確認基準」「確認手続き」が明確に規定されたことが明らかとなった。「確認体制」については,環境配慮確認の業務を担当する専門部局が設置されていた。また,「確認のタイミング」については,事業案件によっては,事業計画策定の早い段階から銀行が関与することで早期からの環境配慮確認が可能となっていることが明らかとなった。
  • 山本 清龍
    p. 95-100
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    一部の山岳地では増える登山者に応じて,環境保全のための費用の負担のあり方が大きな問題となっている。そこで,本研究では,富士山を研究対象地として,環境保全協力金制度について取り上げ,①協力金制度に対する登山者の賛否とその理由について把握,整理し,②自然公園の利用実態を参照しつつ協力金制度導入上の論点と課題の整理を行うこと,の2 点を目的とした。その結果,①制度の趣旨,②公園の価値,③負担の方法など7 つの論点に整理できた。最後に,環境保全協力金制度を導入する際の課題を,富士山の利害関係者が議論すべき内容,方向性の視点によって3 つに整理した。
  • 村上 一真
    p. 101-106
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    森林環境税の必要性判断に係る意思決定プロセスを,市民へのアンケート結果に基づき,共分散構造分析により明らかにするとともに,森林への関心水準等の高低が,意思決定プロセスに与える影響の違いを,多母集団同時分析により検証した。結果,森林環境税導入の効果と行政への信頼が森林環境税受容に係る判断要因になること,行政への信頼要因よりも森林環境税の効果要因のほうが影響力が大きいこと,地域の森林に関する低関心群および低行動群は,高関心群および高行動群に比べて,相対的に行政への信頼要因の影響が大きくなることを示した。
  • 長谷川 路子, 吉野 章
    p. 107-112
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    多様な企業の環境配慮活動を,その経営的持統性を考慮し,環境マーケティングとして分類することを試みた。「企業の環境影響に対する市場の関心度」と「環境を軸とした差別化の可能性」から,環境マーケティングの目標を4つに分類した。これに従い,日本の企業の環境配慮行動の先進的事例を分類した結果,その多くが規範的範囲内で行われているものであり,次に,革新的な環境配慮型製品やサービスの提供で差別化を図っている事例が多かった。こうした中で,企業理念と整合的な活動を行い,環境ブランドとしての地位を築いている企業も少ないながら存在した。また,各タイプによって,とられるコミュニケーション手法が明確に異なっていた。
  • 永野 亜紀
    p. 113-118
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は先進的NPOでは知識や情報量をコントロールする主導的立場の行為者が組織マネジメントに関して高い意識を保持するのではないかと推察し,バイオマスを軸に地域再生を目指すNPO法人21世紀の真庭塾を対象として関係するアクターから成るネットワークの中心性と組織マネジメントに関する意識の関係性について分析をおこなった。分析の結果,ネットワークにおける中心性と組織風土,価値観,組織学習の変数間に関係性がみられた。真庭のケースでは自由な雰囲気の組織風土,価値観,組織学習に関係する組織マネジメントが重視されていたことが示された。
  • 清水 耕平, 松田 香穂里, 中村 修
    p. 119-124
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,環境マネジメントシステム(以下EMS)を構築運用する高校において,運用方法の工夫等に注目し,EMS による教育効果の検証とそれに及ぼす影響の強いEMS のありかたを調べることで,今後の「EMS のありかた」を見出すことを目的とした。手法として,全国のEMS 構築運用校の担当者に対してアンケートを配布し,「教育効果」に影響の強い「EMS のありかた」を調査した。結果,EMS 導入校にとって継続した方がよいシステムとして「教職員担当者」「外部審査」,見直しをした方がよいシステムとして「教職員委員会」「外部発信」,追加対策を検討した方がよいシステムとして「全校勉強会」「監査員育成」「外部講習会」「外部交流」が,明らかとなった。
  • 吉川 直樹, 天野 耕二, 島田 幸司
    p. 125-130
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    わが国の食料消費に伴い直接・間接に発生する環境負荷への,過去および将来の人口・世帯構成変化の影響を定量的に評価するため,家計支出データを用いて,世帯・個人属性別に二酸化炭素排出量を推計し,過去の変化要因と将来シナリオの分析を行った。結果として、過去10 年間の環境負荷の変化に対しては,高齢化や単身世帯増加の要因が大きく,環境負荷原単位の変化による寄与は相対的に小さかった。将来シナリオ分析の結果、2030 年の家計食料消費に伴う二酸化炭素排出量は,2000 年比で3~14%増加すると推計された。そのうち最も中庸的なシナリオでは,将来の人口減少によるマイナスの寄与と,人口・世帯構成の変化,所得増加のプラスの寄与の3つが,それぞれ同等程度の効果を有する推計結果となった。
  • 導入と拡大の成功要因
    TAHIR Akino , 吉田 充夫, 原科 幸彦
    p. 131-136
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    スラバヤは人口270万人を擁し,最も環境管理が進んでいる都市である。同市では日量2,185トンのごみ発生総量の25%に対して,コミュニティ・ベース方式の廃棄物管理(CBWM)を導入することにより,2006~2008年に最終処分量を10%削減した。本稿では,スラバヤにおける参加型プログラム(Green and Clean Program)を事例として,CBWMの導入がいかに拡大していったのかについて検討する。そして,廃棄物管理的要素(参加,技術,財政,管理,制度),アクター的要素(コミュニティ,行政,民間),時間的要素,スペース的要素(近隣,市)といった多元的な観点から,導入と拡大の成功要因を抽出する。
  • 京都府北部に位置する3自治体の全農業集落を対象としたマルチレベル分析
    福島 慎太郎, 吉川 郷主, 西前 出, 小林 愼太郎
    p. 137-142
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    既往研究においては,一般的信頼と特定化信頼は阻害関係にあるとされてきた。本研究では,京都府北部に位置する3自治体全ての農業集落地域の全世帯を対象にした質問紙調査結果(7,828サンプル)に対して,これら2種類の信頼の相互関連をマルチレベル分析を行って検討した。その結果,2種類の信頼は個人内部では正の関連を有しているが,個人と集落間の関連は有していないことが明らかとなった。また,同種類の信頼は個人と集落間で正の関連が確認され,地域全体の信頼の特性に類似する形で個人の信頼が形成されていることが確認された。今後,地城内住民に対する特定化信頼を保持させたまま,一般的信頼も形成する社会関係の転換を目指すことが望まれる。
  • 山下 良平
    p. 143-148
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,都市近郊地域のコミュニティバス事業に着目し,事業の意義として地域社会に対する波及効果を評価することを目的とした。コミュニティバスは利用者が空間を共有し,様々な情報交換を行う場であるという見方から,ソーシャルキャピタル概念を用いた評価を試みた。分析の結果,コミュニティバスの利用を通じて,特に付き合いが深い人間関係以外の地域住民へと信頼感が拡張し,また地域の連帯感を強く意識するようになる傾向が明らかとなった。これらの効用によって,住民同士による協働活動の効率性改善が期待されるが,その効果は限定的であり,情報伝達や新たな社会的ネットワークの創出については,有意な効果はみられなかった。
  • 藤居 良夫
    p. 149-154
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年,急速な経済発展を遂げている中国の地方都市では,密集市街地の形成や市街地のスプロール化などに伴う生活環境の問題が顕在化しており,将来,都市計画の立場から生活環境の向上が求められる。本研究では,河北省廊坊市の都市計画区域を対象として,地域住民へのアンケート調査を行い,住民の生活環境の評価構造と住民ニーズを把握して,今後の都市計画のあり方について考察した。その結果,生活環境の評価構造は生活快適性,共同体結合性,自然環境性の3つの因子から構成されること,土地被覆状態が生活環境評価に影響すること,生活決適性に対する住民ニーズが高いことなどがわかった。
  • 岐阜県恵那市恵南地域のまちづくり実行組織を事例として
    萩原 和, 星野 敏, 橋本 禅, 九鬼 康彰
    p. 155-160
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,どのような社会ネットワーク(以下SN)構造が,組織間信頼に影響するかについて検証した。その結果,組織間信頼の醸成には,SN構造指標の特定の項目が作用することが認められた。これらの要因を解釈すると,住民自治組織の内外の組織間信頼の醸成には「特定の団体の出次数の増加」,「近接中心性の向上」,「拘束度の緩和」の大きく3つの点に注意して組織再編を進めることが有効である。
  • 小島 仁志, 大澤 啓志
    p. 161-166
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年普及する在来種による都市緑化の推進においては,緑化地となる都市域の住民に対し,緑化植物の主な出自元(本報では里山域)の存在を意識させ,その保全の重要性を啓発することも必要である。このような背景のもと,都市域の高校生13 名を対象に,都市域と緑化植物の出自元とを連動させた交流プログラムを試みた。具体的には,在来種緑化に関する座学と緑化ユニットの製作体験,利用植物の苗木出自元での交流体験,さらに交流体験後に緑化植物や出自元への意識変化の評価,を行った。アンケート結果などから,在来種緑化への理解や参加意欲が深まり,また緑化ユニットを通して現地の文化や景観等を想起する高校生もいたことから出自元との繋がり感を得る事ができたといえる。
  • 嶋田 喜昭
    p. 167-172
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年わが国では,ペット(犬猫)飼育数の増加に伴い,三大ペット公害(鳴き声,悪臭,不衛生)をはじめとするさまざまな問題が発生している。本研究は,名古屋を事例とした住民意識により,特に犬の飼育を考慮した際の都市環境の改善のための課題を検討したものである。まず,ペット飼育に関わる問題や法令など,わが国のペット飼育を取り巻く現況を把握した。次に、名古量市・北名古屋市の住民を対象とした意識調査を実施し,犬の飼育実態や,犬の飼育に関連した都市施設ならびに政策に対する必要意識等を分析した。そして,街路や公園内の各種施設のニーズやその費用負担に対する意識,また重視されている政策等を示した。
  • 環境税を財源として
    稲垣 雅一
    p. 173-178
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究においては,環境教育投資の財源として環境税を導入したモデルを構築し,現在偏重型選好を有する個人の枯渇性資源消費に及ぼす環境教育の効果について分析を行った.その結果,現在偏重の度合が大きいほど初期において過剰な消費が行われるが,環境税導入による環境教育投資によって過剰消費を緩和させることを明らかにした.また,環境税導入による環境教育は,個人行動の変容による社会厚生の改善と,所得減少による社会厚生の減少というトレードオフの関係を有する2つの効果があることを明らかにした.さらに,数期間にわたる個人をそれぞれ別の世代と考えた場合,環境税の導入は世代間の格差を是正する効果があることを示した.
  • 中村 安希, 栗島 英明
    p. 179-184
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    持続可能な社会構築のため,里山を保全し,豊かな自然環境と,人と自然の共生関係を守ることが重要である。里山が失われつつある現代では,市民の里山保全意識を高め,保全行動を促す環境教育が必要である。本研究では,環境教育としての過去の自然体験の効果に注目した。過去の自然体験が里山保全への意識と行動に及ぼす影響を明らかにするため,アンケート調査を実施し,自然体験と行動の関係を共分散構造分析により検証した。その結果,自然体験の蓄積には里山保全行動意欲を高める効果があること,特に,自然とのふれあい体験と農作業体験が直接有効であることがわかった。
  • ゴンボ エンフジャルガル, 錦澤 滋雄, 原科 幸彦
    p. 185-190
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    モンゴルは市場経済移行後,持続可能な開発を推進していくことを政策として定めているが,社会主義時代の政治文化が未だに強いため,環境アセスメント手続きにおける市民参加が十分ではない。本研究では,モンゴルの環境アセスメント制度における市民参加の規定内容を把握し,その実施実態を参加の5段階モデルから評価し,課題について考察することを目的とした。その結果,制度の規定においては情報へのアクセスに不満があるなど「形だけの応答」になっており,実施実態についても「参加が不在」の状況に近いことが明らかになった。
  • 村松 晶子, 井関 崇博, 原科 幸彦
    p. 191-196
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    参加者を無作為抽出により選定する会議は,公平に選定された参加者が討議を行って意見を表明する点で,従来の市民参加会議や世論調査とは異なるものである。無作為抽出の参加者には代替案評価型の会議が適しており,代替案を多面的に検討するプログラムが有効と考えられる。筆者らは沼津市環境基本計画策定の一環として実験的な会議を実施した。考案したプログラムによって,バランス良くかつ多様な論点が出されたかを検証することが本研究の目的である。討議の録音から発言を分析して評価した結果,多様な論点が出されたが,論点の掘り下げは難しく,意見への反論が出ることは少なかった。代替案絞り込みの討議にはさらなる工夫が必要であった。
  • 米村 惣太郎, 中武 禎典
    p. 197-202
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    タコノアシ(環境省レッドリスト準絶滅危惧種)の主な生育地である休耕田でタコノアシを保全するための知見を得ることを目的として,茨城県西田川流域の休耕田・放棄水田でタコノアシの生育状況を調査するとともに基盤条件や管理状況の影響を検討した。その結果,タコノアシの生育場所は土壌含水率が有意に高く,継続調査を行った生育場所の土湿は湿または過湿であった。またタコノアシの生育する休耕田の植生管理として耕起が1 筆で,他では刈取がなされていたが,いずれでもタコノアシは経年的に維持されていた。しかし管理が放棄されると,ほとんどの場合で2,3 年の内に消失した。これらから休耕田でのタコノアシの保全には湿田状態の維持と耕起または刈取による植生管理が必要であると考えられた。
  • 下野 義人, 大藪 崇司, 森本 幸裕, 岩瀬 剛二
    p. 203-208
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    ビオトープ「いのちの森」の開園からの14 年間で発生した菌類は45 科300 種で,担子菌類が283種,子嚢菌類が17 種であった。その内,地上生菌類は186 種で,開園から2 年後の1998 年度から増加を始め,発生種数は開園から5 年後の2001 年度にピークに達した。発生時期は概ね5 月~7 月と9 月~12月であった。公園開設初期には,キツネタケモドキ,ヒメワカフサタケおよびヒメカタショウロが多数発生したが,開園から11 年が経過した2007 年度以降急減した。一方,種数からは,公園開設初期にアセタケ属の種が多く発生し,開園から4 年後の2000 年頃から遷移後期に発生するフウセンタケ属,ベニタケ属が多く発生した。これらのことから地上生菌類相は14 年間に遷移初期が終わり後期への移行が確認された。
  • 芦澤 航, 大澤 啓志
    p. 209-214
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    三浦半島の砂防堰堤が設置されている小河川において,繁殖期を中心にツチガエルRana rugosaの季節消長および産卵状況を把握した。森戸川上流域(800m区間)および大沢谷川(1,500m区間)を対象に,目視個体確認および卵塊数確認を行った。森戸川で延べ354個体,133卵塊,大沢谷川で延べ203個体,152卵塊が確認された。個体の出現は砂防堰堤の上流側に形成される極めて緩やかな流水環境に集中しており,加えて好適な産卵基質となるアズマネザサ等が群生し卵塊も多数見られた。河川内においてこのような環境は,本種の生息のための重要な空間であると推察された。
  • 土光 智子, 陳 文波, 一ノ瀬 友博
    p. 215-220
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    ツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の生息予測分布モデルは有効な生息地管理に役立つ。本研究では,丹沢地域個体群に対するモデルの適用可能性を論じた。モデルの精度検証のため3 種類の現地の在データを集めた。全般的なモデル精度は,正判率が67%~85%であり,これは,本モデルが許容できる転送性を持っており,他の地域個体群にも外挿できることを示唆している。サンプリング方法によって精度が異なったが,1種類のサンプリング方法によって生じたバイアスが原因であると解釈した。モデルには,実際にクマが生息する場所を過小評価する傾向があり,本地域個体群特有の生息地の特性による影響と,里グマと比較して山グマへの高い予測能力があるためと思われた。
  • 村上 和仁, 林 秀明
    p. 221-226
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    成因・種構成の異なる3種のマイクロコズムを用いて,構造面と機能面から生態系機能の比較評価および生態系リスク評価試験法としての有効性の検討をおこなった。その結果,1) Naturally derived 型マイクロコズムでは,系の移転が連続的に生じ,生態系構造が安定しないこと,2) Stress selected 型マイクロコズムでは,P/R比が安定せず,生態系機能が安定的に維持されないこと,3) Gnotobiotic 型マイクロコズムは,機能パラメータ(P/R比)および構造パラメータ(生物相)のいずれにおいてもきわめて高い再現性を示し,標準モデルとしての必要条件を備えているものと考えらえることが示された。これらのことより,Gnotobiotic型マイクロコズムは,移入種問題や汚染物質を対象とした生態系機能に着目した生態系リスク評価を行う上でのツールとして有効であると考えられた。
  • 松本 仁, 今西 亜友美, 今西 純一, 須﨑 純一, 森本 幸裕, 夏原 由博
    p. 227-232
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    巨椋池干拓地(京都府)は,干拓前に豊富な水生植物が自生していた。本研究は,休耕田において湛水を行うことにより,この地において希少な湿地植物が再生する可能性があるかを検討し,微小な比高が湿地植物の発芽や生育に及ぼす影響を検討した。その結果,水位変動のある条件下においてミズマツバ,シャジクモという2 種の希少種の発芽,生育が確認された。出現頻度の高い6 種の出現の有無を,一般化加法モデルを用いて解析した結果,微小な比高の違いが,アゼナ類,アメリカミズキンバイ,タマガヤツリ,アゼガヤの出現に統計的に有意な影響を与えていた。
  • 角道 弘文
    p. 233-238
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    水位変動に伴って露呈・冠水が生じやすいため池の浅場を対象に,トンボ目幼虫の出現状況を把握した。満水時水深35cmの浅場において,抽水植物のカンガレイが生育している10ヵ所の区画を選定した。2010年11月の調査では,大半の区画において調査日2日前まで池底表層が露呈していたにもかかわらず,8種68個体が採集された。このことから,露呈が60日程度に及んだ場合も,水位回復に伴って浅場はトンボ目幼虫の生息場として再び利用される可能性があると考えられる。しかし,水草掴まり型であるイトトンボ科が多く出現した区画では,カンガレイの植生密度は決して高くなかったところであった。
  • 黒田 圭介, 黒木 貴一, 宗 建郎
    p. 239-244
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は空中写真の新たな活用法を提案する目的で空中写真の最尤法分類をGISで試み,以下の結果を得た。1)空中写真にLANDSAT の近赤外域反射率データをコンポジットして最尤法分類すると,そうしないものより平均精度が5%向上した。2)低解像度人工衛星データではミクセル状態となりやすい宅地や道路でも,高解像度なコンポジット空中写真による土地被覆分類図では現実に即した分類結果を得られた。3)この土地被覆分類図の時代間オーバーレイ解析により,森林開発による都市化の様子や,地表面環境に影響された竹の森林への侵入を詳細に捉えることができた。よって,本手法は新たなリモートセンシング解析方法として有効である。
  • 齋藤 和彦
    p. 245-250
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    希少な野生生物の宝庫である沖縄県国頭村の林齢分布を森林簿データで分析した。森林簿の林齢分布は対応する林班図の小班番号が欠落し,表示できなくなっていたが,今回修正して表示可能にした。分析の結果,戦前更新の高齢林分は脊梁山脈とその東側に分布したが,1972 年の本土復帰後,一部で伐採が進んでいた。また,既知の1950 年代に加え,1920 年代半ば~30 年代に更新のピークが現れた。当地の森林の大部分は人手が入っており,人為の影響が少ない林分は保護が必要である。一方,人手の入った領域では過去の人為の影響評価と野生生物に配慮した施業研究が必要である。人為の記録である森林簿は今後も重要な役割を果たすと考える。
  • 堀川 真弘, 津山 幾太郎, 中尾 勝洋, 石井 義朗, 大藪 崇司, 森本 幸裕
    p. 251-256
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    大規模灌漑農業に起因するアラル海の縮小により大幅に干上がった大アラル旧湖底域では,砂嵐防止に向けた植林が検討されている。本研究では,2006 年の現地調査データに基づき,Terra/MODIS の多バンド画像を用いて旧湖底域の土地被覆分類を行い,塩生木本植物群落の分布規定要因について分類樹モデルを用いて解析した。その結果,分布域は旧湖底の24%を占め,それ以外の大半の地域は土壌塩分が高い裸地であった。分布規定要因は主に陸化年数であり,次いで旧湖岸線からの距離であった。また,陸化後15.5 年以上経過しシードソースから近い地域に分布する傾向が明らかとなった。一方,近年干上がった湖底には分布がみられず植林に厳しい条件であると推定される。
  • 大場 真, 藤田 壮, 水落 元之
    p. 257-262
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    森林生態系における物質循環をシミュレーション可能なモデル(BGC-ES)を用いて,森林生態系サービスの主要要素である森林材積と炭素蓄積速度を推定した。対象地域の伊勢湾流域圏における森林データをGIS 化した。BGC-ES は森林施業の効果も評価できるので,標準的な森林管理を続けた場合(管理シナリオ),1990 年以降は管理しない場合(放棄シナリオ)を想定し,1960 年代から2040 年代まで5kmメッシュで評価した。拡大造林以降,森林における材積は増加し,炭素蓄積速度は1980-2000 年代がそのピークであった。しかし将来において放棄シナリオでは,そのサービス量が低下することを示した。
  • 大松澤 季宏, 大木 宜章, 高橋 岩仁
    p. 263-268
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化防止や,化石燃料の枯渇対策から,自然エネルギーの導入が進められている。太陽光発電を代表とする自然エネルギーは,従来利用されずに廃棄されていたものを有効利用するものである。このエネルギーを「必要とする現場で,必要とする電力を確保すること」を目的とした,直接発電と利用のシステム構築を検討した。本研究では,閉鎖性水域における富栄養化を改善すべく,電解法を用いた水質浄化装置の電力を,太陽光発電で賄うこととしシステム化を図った。この結果,従来の電解処理と同様に水質改善効果が認められ,より環境に配慮したシステム構築ができた。
  • 日野 良太, 江種 伸之, 平田 健正
    p. 269-274
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,果樹栽培が盛んな紀の川流域を対象として,物質収支に基づいて既存情報から果樹園における栄養塩類の原単位を算出する方法について検討した.また,その適用性や有用性について考察した。その結果,負荷量解析や河川水質解析に利用可能な原単位を算出できることがわかった。加えて,今回の方法では施肥量に応じた原単位を算出できるため,施肥量管理による栄養塩類の流出抑制といった対策効果の検討も容易になることが示された。
  • 穴澤 活郎
    p. 275-280
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    海岸砂丘の発達によって形成された湖沼と周辺水域の河川水を化学分析し,定量値を統計手法と熱力学的計算を用いて解析した。その結果,水質の支配要因がケイ酸塩-水相互作用であり,飛来海塩の影響は比較的小さなものであることが定量的に示された。
  • 山嵜 高洋, 石川 重雄, 長坂 貞郎, 笹田 勝寛
    p. 281-286
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    水田における窒素の浄化は,浸透型の場合には灌漑水等がある一定以上のT-N濃度であればほぼ比例してT-N除去量が増大し,逆にそれ以下の低濃度の場合には汚濁源として作用すること,すなわち,見かけ上において浄化も汚濁もしない灌漑水の境界点濃度が存在し,それがおおよそ1.5mg/L~2.0mg/Lとされている。ちなみに,T-Pでは0.24mg/L~0.25mg/Lである。本調査研究では,印旛沼水を灌漑用水として浸透掛流灌漑を実施している1.7haの水田において,T-N,T-Pの他にNO3-NとCODについて灌漑水等の境界点濃度を明らかにし,さらに調査水田土壌をカラムに充填して調査結果の再現性を検討した。その結果,既往の成果並びに調査とカラム実験値とが近似し,その再現性,信憑性が確認された。
  • 皮 玲, 中根 周歩
    p. 287-292
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    屋上緑化の普及には,軽量・薄層の緑化土壌基盤の開発が求められているが,この基盤に竹炭を埋設し,土壌保水効果を室内での人工太陽照明を用いたボックス実験で検討した。ボックス内の砂の下に竹炭を埋設し,灌水後,照明下で1週間土壌水分量を追跡すると,竹炭無埋設やプラスチックBB弾を埋設した場合と比較して2~3倍の土壌水分量を保持した。また,竹炭の代わりに木炭とヤシガラ炭を埋設した場合と比較しても,土壌水分量は有意に高かった。竹炭の粒径の違い,竹炭埋設方法の違いによる上壌保水力に明確な差が見られず,さらに炭化温度では,低温の430℃ではやや土壌保水力は低下したが,620℃と780℃では有意な差異はなかった。
  • 石井 秀樹, 斎藤 馨
    p. 293-298
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/08
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では「見沼田圃公有地化推進事業」を事例として,見沼田圃各地に点在する公有地の土地利用と土壌組成の関係性に注目し,地の利にあった土地管理を検討した。見沼田圃の土壌はりん酸が枯渇しやすい黒ボク土だが,地下には大量の植物遺骸が埋没しており腐植が多い。調査の結果,有機物を土壌還元する「見沼田んぼ福祉農園」では,りん酸や加里を充足する土壌システムが形成されている可能性が示唆された。市民活動には,収益性よりも手間・暇をかけ達成感を得ることを目的とする活動も多く,有機物を還元に重きをおいた管理方法は見沼田圃の地の利を活かすとともに,保全活動の魅力を高め,当該事業の持続可能性を高めると考えられた。
feedback
Top