環境情報科学論文集
Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
選択された号の論文の59件中51~59を表示しています
  • 本田 裕子
    p. 285-290
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,アンケート調査結果の比較を通じて,野生復帰事業および対象種に対する住民意識の特徴を明らかにするものである。考察の結果,以下を導き出すことができた。それぞれの住民は野生復帰を肯定的に捉えていた。豊岡や佐渡では,「地域のシンボル」という認識が確立されつつある。新たな実施地である野田や越前では「環境にとっていい」という捉え方であった。一方で野生復帰の責任主体について,「誰も担わなくていい」や,実施主体の行政機関,「市(行政)」とする回答が総じて多かった。自らが野生復帰および対象種の生息を支える意識は,今後の事業展開を考えれば重要である。市民参加を土台とした「地域のシンボル」化が望まれる。

  • 日本と韓国の国民意識の比較分析
    白井 信雄, 李 秀澈
    p. 291-296
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    再生可能エネルギーによる地域再生には,エネルギーの自治,ネットワーク,地域経済の自立,エネルギー危機対応,気候変動緩和,非常時の安全安心,人の活力といった側面がある。それらへの期待に関する日本韓国の国民意識を把握するアンケート調査を行い,比較分析を行った。この結果,日本では,女性を中心にして,リスク対応的に再生可能エネルギーによる地域再生を期待していること,また自然尊重思想の高さが地域再生への期待を規定するといった特徴があることが抽出された。韓国では,地域経済や科学技術の発展という面から再生可能エネルギーによる地域再生を期待している傾向が得られた。

  • 平岡 俊一
    p. 297-302
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,現在,地域再生可能エネルギー事業に関連した中間支援活動を展開している国内外の3組織を対象に実施した事例調査をもとに,それらの活動内容を明らかにした上で,中間支援組織が地域再エネ事業において担っている機能について考察を行った。調査対象の中間支援組織は,具体的な事業案の作成と提案,事業を実施する主体に対するノウハウ提供や作業代行,情報交換会や研修会の開催などの取り組みを行っていた。これらを踏まえると,地域再エネ事業において中間支援組織は,①調査研究・提言,②助言・ノウハウ提供,③ネットワーキング・コーディネート,④教育の4つの機能を担っていると整理することができた。

  • 浦上 健司
    p. 303-306
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    近年,寒冷地での住宅向け地域熱供給システムへの関心が高まっている。しかし,わが国には高度成長期に整備され,今日までに衰退した当該システムが複数存在している。そのため筆者らは事業を廃止した道営北広島団地の事例を中心に,今後の普及に関わる課題を抽出した。その結果,エリア内での接続義務のないこと,公共的な施設での不採用,地域熱供給に対する住民の理解の欠如の3 つの問題が明らかになった。また,北広島の衰退には重油高騰も関わっていた。当該システムの再構築と普及のためには,上記の課題を克服し,併せて再生可能エネルギー等の地産燃料を使用する必要があると考察する。これは地域振興に効果をもたらすことにも繋がる。

  • 吉岡 剛, 松橋 隆治
    p. 307-310
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    2012 年7月から開始された固定価格買取制度により,特に太陽光発電の導入が進んでいるが,地域によっては系統接続制約の問題が発生している。この解決策としてFIT 制度が改正され,「無制限・無補償の出力制御」が行われることで,系統接続可能量が増大することができることとなった。しかし,発電事業者にとっては事業リスクが高まることが懸念される。そこで,将来のキャッシュフローを固定しなければ評価できない従来型のDCF 法ではなく,将来の不確実性要因を確率分布によってモデル化して評価するモンテカルロDCF 法により太陽光発電事業のIRR 及びDSCR を算出し,出力制御が事業性にどのように影響を与えるかを定量的に評価した。

  • 岩見 麻子, 木村 道徳, 松井 孝典, 馬場 健司
    p. 311-316
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,農業と防災の分野における気候変動適応策に関するオンライン熟議実験の発言録に対するテキストマイニニングによって,議論されたトピックを把握し,両分野を統合した熟議構造の可視化を試みた。その結果,「気候変動の要因」や「農業適応策」「災害リスク」など11 のトピックが抽出された。 また,ネットワークグラフを用いてトピック間の関係性を可視化した結果,両分野において「気候変動の認知」や「気候変動の要因」を中心とした議論が展開されていたことを明らかにすることができ,さらに参加者の当初の認識が議論の内容に影響を与えることが示唆された。

  • 中村 洋, 松本 安生
    p. 317-322
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では動画を用いた情報提供により地球温暖化に対する認識がどのように変化するかを明らかにするため,Web 調査とグループインタビューを行った。この結果,地球温暖化の影響に関する動画はWeb サイトよりも,地球温暖化の影響を実感しにくい20 歳代には地球温暖化の影響を擬似的に体験する機会となり,地球温暖化の影響に関する認識を高めることや,地球温暖化のリスクに対するイメージとして明確さや確実さを高めることが示唆された。また,地球温暖化への適応に関する動画はWeb サイトよりも,20 歳代の自らの適応行動への認識を高める一方で,40 歳代では地域での適応策への認識を高めることにつながることが明らかになった。

  • 小林 貴 , 坂本 将吾
    p. 323-328
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,鉄道踏切における一時停止義務の廃止による環境負荷物質(CO2,NOx,PM)排出量の削減効果を検討した。一時停止義務廃止について2つのケースを設定し,交通量と列車間隔の異なる踏切における環境負荷物質の削減率を算出した。その結果,すべての環境負荷物質について,一時停止無・徐行有では交通量300 台/h以上・列車間隔3分未満の踏切において10% 以上,また,一時停止無・徐行無ではすべての交通量・列車本数の踏切において20%以上,最大70%程度,現状からの削減率が見込めることを示した。PM は交通量による削減率の変化が大きいなど,CO2,NOx,PM では削減率の高い踏切の条件(交通量・列車間隔)が異なることを示した。

  • 伊坪 徳宏, 今井 茂夫, 和田 充弘, 鴨沢 卓郎, 岡野 公美, 牧野 直樹, 正畠 宏一
    p. 329-334
    発行日: 2016/11/28
    公開日: 2016/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    国内生産量が年間50 億枚(2015 年)を超える大人用紙おむつは,使用後は,ほとんどが焼却処理され,リサイクルされていないのが現状である。本研究では,使用済み大人用紙おむつのリサイクル処理について,ライフサイクルアセスメント(LCA)手法を用いて,地球温暖化,水消費,土地利用の影響領域における環境負荷を算定し,焼却処理と比較を行った。リサイクル処理は,焼却処理と比較し,温室効果ガス排出量が約3割削減され,使用済み紙おむつの1トンあたりの処理に必要な水消費量は 6トン,土地利用は約180 m2a 削減されるという結果が得られた。

feedback
Top