セメント・コンクリート論文集
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70 巻, 1 号
選択された号の論文の79件中51~79を表示しています
耐久性
  • 田中舘 悠登, 羽原 俊祐, 小山田 哲也, 我満 俊文
    2016 年 70 巻 1 号 p. 371-377
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    凍結防止剤使用時にコンクリートのスケーリング劣化が促進することから、ソルトスケーリングと認識されている。これまでのスケーリング劣化メカニズムの検討では、−5~−10℃の温度域以下ではスケーリングが激しく、それ以上の温度域ではスケーリングが生じないことを見出した。本研究では−5~−10℃の温度域において、ソルトスケーリングに及ぼす冷却最低温度とNaCl水溶液の濃度との関係を詳細に検討した。スケーリングが発生する最高温度をスケーリング温度と定義した。スケーリング温度はNaCl水溶液の濃度によって異なり、NaCl水溶液の凝固点よりも5~6℃程度低いことがわかった。ブライン水(塩水)の凍結時の挙動がスケーリングに関係している可能性があることを示した。

  • 髙橋 慧, 小山田 哲也, 羽原 俊祐, 樊 小義
    2016 年 70 巻 1 号 p. 378-383
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    復興支援道路の1路線である宮古盛岡横断道路の新区界トンネルの覆工コンクリートのスケーリング抵抗性を確保するため、室内試験と実機試験を行い、適切な配合を検討した。室内試験では、空気量に着目した結果、フレッシュコンクリートの空気量を7%とすればスケーリング抵抗性が確保できることが分かった。実機では空気量の損失が懸念されるため、細骨材率に着目して模擬部材への施工実験を行った。その結果、フレッシュコンクリートの空気量を7%とし、強度の低下分の水セメント比を低減したコンクリートは、細骨材率の増加に伴い硬化コンクリートの空気量を確保でき、スケーリング抵抗性の向上が図られることが明らかとなった。

  • 庭瀬 一仁, 菅原 隆, 月永 洋一, 武藤 拓也
    2016 年 70 巻 1 号 p. 384-389
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    積雪寒冷地では、凍結融解作用と融雪剤の散布による複合作用により表面剥離などの劣化現象が生じる。表面からの劣化はコンクリート構造物の美観を損なうばかりではなく、耐久性にも問題となる。本研究は、2種類の透水シートを使った透水型枠工法によって表層部を緻密化し、外部からの劣化因子の侵入を防ぐ方法を取り入れて、凍結融解抵抗性、表層強度、スケーリング抵抗性、空気泡の数や分布に関して実験を行い、透水型枠工法が有効な方法であることを明らかにしたものである。

  • 栗山 友之, 斎藤 豪, 佐藤 賢之介, 佐伯 竜彦
    2016 年 70 巻 1 号 p. 390-396
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では大量のCaO-MgO-SiO2系(Mg系)材料をケイ石微粉末と共にセメントに置換し、オートクレーブ(AC)養生を施した試料についてNa2SO4溶液およびMgSO4溶液浸漬試験を行い、AC養生後の水和生成物および水和生成物の原子の結合状態と耐硫酸塩性とを関連づけて考察することを目的とした。その結果、天然資源のケイ石量を減らしても、Mg系材料を置換することで耐硫酸塩性が大幅に向上した。これは、AC養生により化学的安定なトバモライトの生成とトバモライトと同等のSi-O結合を有したC-M-S-Hなどの生成に起因するものと考察した。加えてMgSO4溶液浸漬においては、Mg系材料の置換と共にある程度のセメント量を確保することで硫酸イオンの浸透が抑制されるものと結論づけた。

  • 河合 研至, 小川 由布子, 坪根 圭佑, 山口 佳紀
    2016 年 70 巻 1 号 p. 397-404
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    コンクリートの硫酸劣化においては、高濃度の硫酸を用いて比較的短期間の浸漬試験結果に基づき、侵食深さなど暴露面付近の劣化性状を評価している研究事例が多い。しかし、劣化によって生成されるFe層付近の変質まで検討している研究事例は少ない。本研究では、劣化が見られる実構造物における硫酸濃度に近いpH=1、pH=2の硫酸を用い、1,600日の長期にわたるコンクリートの硫酸浸漬試験を実施した。その結果、Fe層以深まで硫酸が浸透していることが確認され、酸としての水和物の分解とともに硫酸イオンによる二水石膏の生成が進行していることが明らかとなった。

  • 東 洋輔, 森 寛晃, 多田 克彦
    2016 年 70 巻 1 号 p. 405-412
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は蒸気養生を行ったモルタルの表層品質と耐久性について、混和材の添加と追加養生の効果を評価することである。モルタルの表層品質は、トレント法による表面透気係数、ポロシメーター水銀圧入法による細孔構造から評価した。耐久性は硝酸銀噴霧法およびEPMAによる塩化物イオン浸透抵抗性を評価した。主な結果として、1)蒸気養生後の追加養生は圧縮強度、透気性および塩化物イオン浸透抵抗性を改善した。混和材の添加は塩化物イオン浸透抵抗性を改善した。2)蒸気養生後の追加養生と混和材の添加は細孔構造を緻密化させ、透気性や塩化物イオン浸透抵抗性を改善した可能性がある。

  • 和田 拓馬, 佐伯 竜彦, 斎藤 豪, 山下 将一
    2016 年 70 巻 1 号 p. 413-420
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は個別の構造物における塩害環境の定量的把握のための一検討として、新潟県沿岸部に位置する橋梁の地覆および桁において薄板モルタル供試体を用いた暴露試験を行った。その結果、構造物に到達する飛来塩分量は周辺の地形と気象条件に強く影響を受けること、短期間の暴露試験によって構造物の劣化環境の相対的な厳しさを把握できることを明らかにした。さらに薄板モルタルの暴露試験により、ミクロな塩害環境を評価でき、その定性的な傾向は風速場の解析と一致することを確認した。

  • 水口 和彦, 阿部 忠, 勝呂 翔平
    2016 年 70 巻 1 号 p. 421-427
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は、輪荷重走行による疲労と凍害の複合劣化を受けたRC部材の水セメント比(W/C)の違いが耐疲労性に及ぼす影響について実験より検証したものである。その結果、輪荷重走行と凍害による複合劣化を受けた場合、乾燥状態での等価走行回数に比して、水セメント比57%、50%の供試体でそれぞれ54%、50%の低下が見られた。また、動弾性係数では乾燥状態の供試体に比して23%、16%低下している。劣化診断では輪荷重走行と凍結・融解における融解時の湿潤状態によりセメント成分の溶出が多くスケーリングに至ることから、水セメント比を小さくすることで劣化の進行を抑制できることを明らかにした。

  • 井口 重信, 松田 芳範
    2016 年 70 巻 1 号 p. 428-434
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    フライアッシュを混和材として使用したコンクリートを用いて塩水浸漬試験を実施した。その結果、フライアッシュを用いたコンクリートは、一定期間浸漬したものは一定以深において塩化物イオン濃度が非常に小さくなり、塩化物イオンの浸透が停滞する現象が見られた。また、試験結果より算出した拡散係数および表面塩化物イオン濃度は浸漬時間とともに変化し、これらの時間依存性を適切に評価してFickの拡散方程式に反映させることで、塩化物イオンの浸透停滞現象が説明可能となり、浸透限界深さの予測が可能であると思われる。

  • 倉田 和英, 宮本 慎太郎, 皆川 浩, 久田 真
    2016 年 70 巻 1 号 p. 435-442
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、日本各地に10年間曝露したコンクリートの中性化によるポルトランダイト量の変化と水セメント比の関係について検討した。その結果、中性化の影響を受ける供試体表層部では、カルサイト(以下Cc)の増加量はポルトランダイト(以下CH)の減少量を上回っていたため、Ccの生成にはCH以外の水和物も炭酸化した可能性が考えられた。また、この傾向は水セメント比が大きいものほど顕著であった。さらに、中性化領域のCHは消失するという報告があるが、本研究では、水セメント比60%の供試体では中性化が進行してもCH量の低下はある一定値に収束した。このことから中性化した範囲でCHが完全に炭酸化せずに残存していることが推察された。

  • 宮原 茂禎, 荻野 正貴, 大脇 英司, 中村 英佑
    2016 年 70 巻 1 号 p. 443-449
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    高炉スラグ微粉末をカルシウム系の刺激材で硬化させた環境配慮コンクリートについて20ヶ月間の曝露試験を実施し、室内での促進中性化試験や塩水浸せき試験の結果との比較により、実環境における強度発現、中性化や塩害に対する耐久性を評価した。環境配慮コンクリートは混和材を多量に使用しているにもかかわらず初期強度が高く、長期の強度増進は比較的小さいこと、実環境における中性化速度係数を促進試験結果に基づいて安全側に推定できること、実環境で中性化と塩化物イオン浸透の複合の作用を受ける場合にも高い塩化物イオンの浸透抵抗性を有することが確認された。

  • 湯浅 憲人, 大野 和義, 木村 潤市, 坂井 悦郎
    2016 年 70 巻 1 号 p. 450-457
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    コンクリート製品の高耐久化、長寿命化として、高炉セメントB種にカルシウムサルフォアルミネート系膨張材、またはシリカ質微粉末系高強度材を併用し、常圧蒸気養生を行ったコンクリートの塩害、硫酸、中性化等に対する耐久性について検討を行った。また、併せて製品工場における実機試験を実施し、各種耐久性に優れるとともに、製品製造に支障のないフレッシュ性状かつJIS規格等にて規定される製品性能を有する製品製造が可能となることを確認した。

高強度・高流動コンクリート
  • 野村 博史, 野口 貴文, 相川 豊, 武藤 貴彦
    2016 年 70 巻 1 号 p. 458-464
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    超高強度コンクリートの練混ぜ性に影響を及ぼす結合材料の特性を明らかにすることを目的に、低水結合材比ペーストを対象に種々の実験検討を行った。その結果、結合材が粉体状を呈する段階から表面水分が増加し、造粒し易い結合材ほどペーストの所要練混ぜ時間は短い傾向が認められた。またシリカフューム等の超微粒子は分散の進行に伴い結合材の充填性を高め、結合材は充填性が高いものほど表面水を確保し易いためペーストの練混ぜ性に優れる傾向が認められた。本研究により低水結合材比ペーストの練混ぜ性に対して最も重要な結合材料の特性は、粉体粒子の分散性および充填性であることが示唆された。

  • 田中 健貴, 安藤 雅将, 葛間 夢輝, 名和 豊春
    2016 年 70 巻 1 号 p. 465-472
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    α-Al2O3表面におけるポリカルボン酸系分散剤(PC)の吸着形態について、原子間力顕微鏡を用いて観察を行なった。原子間力顕微鏡で得られた形状像を見ると、液中PC濃度が極めて低い場合PCが独立して吸着していることが確認された。側鎖が短いPCでは、側鎖長よりも大きい吸着層厚さが確認され、ループ型の吸着が起こっていることが示唆された。フォースカーブ測定によると、吸着したPCの立体反発力がα-Al2O3表面近傍に作用する水和力よりも遠方で確認された。de Gennesの提案した吸着モデルと実測したフォースカーブのフィッティングから、ポリマーが柔軟に可動できる最小単位は2.1~2.2nmであり、側鎖長さが短いほど剛直な挙動を示すことが示唆された。

  • 葛間 夢輝, 安藤 雅将, 田中 健貴, 名和 豊春
    2016 年 70 巻 1 号 p. 473-480
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    ポリカルボン酸系分散剤(以下PC)の化学構造に着目して炭酸カルシウム粒子系及びα-Al2O3粒子系におけるPCの飽和吸着量の挙動について比較し、それを格子モデルによって考察した。また、α-Al2O3粒子における表面サイトの割合を変化させた際のPCの吸着挙動について検討した。その結果、主鎖及び側鎖の長さが短いPCほどPCの飽和吸着量が大きくなり、それはPCが吸着した際に粒子表面を占有する面積が小さくなるためだと予想された。更に本研究で行ったpH=6条件でのα-Al2O3粒子におけるPCの吸着挙動が、炭酸カルシウム系の挙動と同じ傾向を示した。

  • 舌間 孝一郎, 野上 雄太, 辻 正哲, 鈴木 孝一
    2016 年 70 巻 1 号 p. 481-487
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    靭性の大きい高強度繊維補強粒度調整セメントコンクリートを充填鋼管ストッパーに適用した場合の力学的挙動について検討した結果、従来の高強度コンクリートを用いた場合に比べて最大耐力を約1.5倍、最大たわみを2倍以上とできることを明らかにした。この効果は、コンクリート自体の変形追随性能が高く、せん断スパン比が1であってもせん断破壊が発生しなかったことにより得られた可能性が高い。この履歴減衰の大きいストッパーを近年開発検討がなされている復元力の大きい瓦形支承と組合わせることによって、経済的でかつ安全性および復旧性に優れた支承構造を開発できる可能性が示された。

  • 宮原 健太, 小田部 裕一, 鈴木 好幸, 石川 伸介
    2016 年 70 巻 1 号 p. 488-493
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    高炉スラグ微粉末を混合した2成分混合セメント、それにフライアッシュを混合した3成分混合セメントを高強度コンクリートに適用し、標準養生と高温履歴を受けた場合の強度性状を比較した。その結果、粗骨材に石灰砕石を使用した場合、高温履歴を受けた場合の強度が標準養生の値を大きく下回った。この現象は、高炉スラグ微粉末を使用したモルタルと粗骨材である石灰砕石との線膨張係数差がもたらす温度上昇下降時の温度ひずみの差、更には温度ひずみ差による粗骨材界面の剥離が原因であることを明らかにした。また、フライアッシュを使用した3成分混合セメントの場合は、高温履歴を受けた場合の強度低下が緩和されることが分かった。

繊維補強コンクリート
  • Pavel TRÁVNÍCEK, Yoto TANAKA, Tatsuya TSUBAKI
    2016 年 70 巻 1 号 p. 494-501
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    Strain hardening cementitious composite(SHCC)material used as external layers on plain concrete specimen as the only reinforcement is considered in this study. By layering, one can create functionally gradient material(FGM)to control crack spacing, localization and opening. As a variable function in this study fracture energy and effect on distribution of layers are examined. Compared to ordinary RC cracks, formation of micro-cracks increases resistance to moisture, gas and salt penetration, the key for durability of cement-based materials. This numerical study uses finite element method(FEM)software, with material model tailored to available SHCC mixture test results. SHCC material model was designed through numerical uniaxial tensile testing, followed by a bending test of a two-layer material composed of one layer of plain concrete and one layer of SHCC. FGM is then created by layering the SHCC of various fracture energy and the obtained crack formation is studied.

  • 伊藤 清志, 阿部 忠, 深川 克彦
    2016 年 70 巻 1 号 p. 502-509
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は、早強セメントに鋼繊維を混入したSFRC床版の実用性を検証するために、輪荷重走行疲労実験を実施し、耐疲労性を評価した。その結果、早強セメントに鋼繊維を配合したSFRC床版はRC床版の等価走行回数に比して64.8倍となった。これは、早強セメントに鋼繊維(両端フック型φ0.6mm、長さ30mm)を1.27Vol.%で混入したSFRCの特性値は、圧縮強度54.3N/mm2、引張強度5.8N/mm2、せん断強度11.3N/mm2と高く、輪荷重走行疲労実験後の床版下面に発生する2方向のひび割れおよびたわみの増加が抑制された結果である。よって早強セメントを用いたSFRC床版は疲労耐久性に優れた床版であり、実用的であると考えられる。

  • 山口 信, 長渡 健之, 森島 慎太郎
    2016 年 70 巻 1 号 p. 510-517
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    スラリー充填繊維コンクリート(SIFCON)の更なる高性能化の可能性について調べるため、直径0.2mm、長さ13mmの極細真直鋼繊維を用いたSIFCONの基礎的力学特性について実験的検討を行った。その結果として、本繊維を用い、尚且つマトリックスを高強度化することにより、170N/mm2以上の圧縮強度と60N/mm2以上の曲げ強度とを両立する超高強度型SIFCONが得られることを示した。また、本繊維を用いたSIFCONは延性にやや乏しいものの、既報の両端フック付き鋼繊維を用いたSIFCONと同等の曲げ靱性を有していることが実験的に確認された。

  • 山口 信, 長渡 健之, 森島 慎太郎
    2016 年 70 巻 1 号 p. 518-525
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    偶発的な爆発荷重の作用を想定した防護設計においては、部材の耐爆性能の確保と併せて、爆発に伴い発生する飛散物の高速衝突に対する部材の耐衝撃性確保が必要となる。そこで、本研究では良好な耐爆性能を有するポリエチレン繊維補強コンクリート(PEFRC)およびスラリー充填繊維コンクリート(SIFCON)を対象に鋼製飛翔体の高速衝突試験を実施した。試験体版厚、飛翔体の質量、直径および先端形状が一定の条件下で飛翔体衝突速度を変化させ、これに伴うPEFRCおよびSIFCONの破壊性状の変化等について考察した。また、実験結果に基づき、PEFRCおよびSIFCONの適用による裏面剥離限界低減効率を示した。

補修・補強
  • 佐藤 あゆみ, 坂上 友紀, 御手洗 駿, 武田 浩二
    2016 年 70 巻 1 号 p. 526-532
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、超高強度繊維補強コンクリート(UHPFRC)を接着剤に用いた接着系あと施工アンカーの引抜き性状および破壊進展機構について、実験および有限要素解析による検討を行った。コンクリートと接着剤(UHPFRC)間の界面要素にせん断付着軟化を考慮した有限要素解析によって、解析結果の引抜き荷重─変位関係およびひび割れ分布は、実験結果と良い対応を示した。さらに界面要素のせん断付着軟化の勾配を緩やかにすることで、引抜きを受ける接着系あと施工アンカーの最大荷重および変形性能を向上できることが示唆された。

  • 阿部 忠, 小森 篤也
    2016 年 70 巻 1 号 p. 533-540
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は、RC床版のPCM下面増厚補強法の界面にプライマー或いは接着剤を塗布した場合の軸方向の引張力および曲げ引張に抵抗する界面の一面せん断強度を検証した。その結果、引張試験では本実験で用いたプライマーおよび接着剤を塗布した場合の引張強度はコンクリートで破断することからコンクリートの強度が顕著となる。また、一面せん断試験では、プライマーAおよびBを塗布した供試体は界面で破壊し、せん断強度の平均は3.97N/mm2、3.09N/mm2である。一方、接着剤K、Nを塗布した場合はPCM側で一面せん断破壊となり、PCMの強度が顕著となる。よって接着剤を塗布することで一体性が確保される。

  • 阿部 忠, 野口 博之, 塩田 啓介, 吉岡 泰邦
    2016 年 70 巻 1 号 p. 541-548
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    RC床版の鉄筋に替わる引張補強材として展張格子筋が開発された。そこで本研究では、RC床版の増厚層内に展張格子筋を配置したSFRC上面増厚補強法における耐疲労性を評価した。その結果、RC床版の等価走行回数を基準に鉄筋と同様なワイヤーメッシュを配置した供試体および展張格子筋を配置した供試体はそれぞれ51.01倍、50.38倍の等価走行回数が得られた。また、SFRCを直接増厚する従来のSFRC上面増厚補強法の2.8倍の補強効果が得られた。よって本提案する展張格子筋を配置した補強法は輪荷重走行疲労実験の結果から耐疲労性が評価され、SFRC上面増厚補強用引張材として有効な材料であると考えられる。

  • 野口 博之, 阿部 忠, 川井 豊, 一瀬 八洋
    2016 年 70 巻 1 号 p. 549-556
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    道路橋鋼床版は車輌がUリブおよび横リブ通過時に負曲げが発生することでデッキプレートにたわみの交番が発生し、疲労き裂が進展する。本研究は、接着剤塗布型SFRC上面補強を施した鋼床版のたわみの低減効果および輪荷重によるデッキプレートの変形を検証した。その結果、接着剤塗布型SFRC上面補強を施すことによりデッキプレートの局部変形およびたわみの交番が抑制された。また、SFRCにより鋼床版の剛性が向上し、Uリブの回転変形が抑制されデッキプレートの応力が低減された。よって接着剤塗布型SFRC上面補強を施すことで鋼床版に発生するき裂が抑制され、デッキプレートの変形が全体変形となると考えられる。

リサイクル
その他
  • 長渡 健之, 山口 信, 富来 礼次, 岡本 則子
    2016 年 70 巻 1 号 p. 564-571
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    ポーラスモルタル(POM)の音響材料としての設計法の構築に資するため、細骨材種類を廃発泡スチロール減容骨材、天然ゼオライトおよび砕砂の3種類で、試験体厚さを15、30、45mmの3水準でそれぞれ変化させ、これら因子がPOMの吸音特性に及ぼす影響について実験的検討を行った。その結果として、適切な細骨材を用いることによりPOMの厚さを増すことなく比較的良好な吸音特性を確保できることが実験的に示された。また、POMの基礎的力学特性を調べるため、各種POMの圧縮特性についても併せて測定し、ポーラスコンクリートを対象とした既往の圧縮特性推定式と本実験データとの対応性について考察を加えた。

  • 村上 由祐, 森下 雅也, 呉 偉棟, 村上 聖
    2016 年 70 巻 1 号 p. 572-579
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究ではパーライト板の木質構成パネル不燃外装材への適用を目的に、外装材として要求される曲げ性能、耐衝撃性能、断熱性能、保水性能および釘打ち性能について実験的検討を行った。その結果としてパーライト板単独ではなく、木質構成パネル外壁に貼り付けることを想定しパーライト板接着合板とすれば、曲げ・耐衝撃性能に対して大きな複合効果が得られること、赤外線ランプ照射試験によりパーライト板は、比較的に大きな断熱性能および保水性能を有すること、また割れることなく釘打ちが可能であり、外装材への適用においてパーライト板の脱落防止にビス留めが有効であることなどが分かった。

  • 友寄 篤, 野口 貴文, 袖山 研一, 東 和朗
    2016 年 70 巻 1 号 p. 580-587
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    微粒分が多い砂質であり、ガラス質シリカであるという細骨材と混和材の両方の性質を持つシラスは、これまでもコンクリート分野における活用が検討されてきた。本研究では、シラスから分級・比重選別により無駄なく多種類の製品を低コストで創出する動きが進んでいることを踏まえ、比重選別された結晶鉱物は細骨材としてJISに適合する可能性を示し、分級した微粉は純度の高いガラス質シリカであることを明らかにした。その上で、それぞれの物性を活かして細骨材及び混和材としての性能を評価し、混和材としては1μmまで粉砕すれば、高強度コンクリートで実用可能な性能を示すことを明らかにした。

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