セメント・コンクリート論文集
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71 巻 , 1 号
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耐久性
  • 鎌田 知久, 岸 利治
    2017 年 71 巻 1 号 p. 367-372
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    塩分浸透挙動に支配的な影響を与える要因を解明するため、異なる初期条件に設定したコンクリート供試体を対象に塩水浸せき試験を実施した。その結果、空隙構造が密で、内部が不飽和湿潤状態にある場合だけでなく、空隙構造が粗で絶乾状態にある場合においても塩分浸透の停滞が確認され、空隙構造や含水状態は塩分浸透抵抗性、特に塩分浸透深さに影響を与える要因・条件ではあるが、塩分浸透停滞現象を直接決定づける要因ではないことが明らかとなった。さらに乾燥後に水分を再供給した供試体の結果から、同程度の水分量や空隙率であっても処理方法によって塩分浸透挙動が大きく変化することを確認した。

  • 田中舘 悠登, 羽原 俊祐, 小山田 哲也, 五十嵐 数馬
    2017 年 71 巻 1 号 p. 373-378
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    施工による空気量の低下の対策として、中空微小球による空気の導入が検討されている。練混ぜ時間が中空微小球を添加したコンクリートの空気量およびスケーリング抵抗性に及ぼす影響について検討した。中空微小球の添加量が少ない場合、添加した後の練混ぜ時間が90秒間では、中空微小球の粒径に相当する直径150μm以下の気泡の空気量が2割程度低下し、スケーリング抵抗性の低下が見られた。添加量が多い場合、練混ぜにより直径150μm以下の気泡の空気量が低下するものの、スケーリング抵抗性の低下は軽微であった。空気量およびスケーリング抵抗性の低下は、練混ぜ途中で中空微小球が骨材と接触し破泡したため、生じたと考えられる。

  • 村上 聖, 村上 由祐, 武田 浩二, 佐藤 あゆみ
    2017 年 71 巻 1 号 p. 379-385
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、現場で簡便に施工可能な鉄筋防食工法として、組立て鉄筋にポリマーセメントモルタル(PCM)を吹付塗装する方法の有用性を調べるために、PCM吹付塗装鋼板におけるPCMと鋼板との接着強度および塩水噴霧試験によるPCM吹付塗装の鋼板に対する防錆効果、ならびにPCM吹付塗装鉄筋の両引き付着試験による付着性状およびPCM吹付塗装鉄筋を主筋に用いたRC梁の曲げ性状について一連の実験的検討を行った。その結果として、鉄筋防食工法としてのPCM吹付塗装の有効性が実験的に確認された。

  • 吉川 悟史, 佐藤 嘉昭, 大谷 俊浩, 上田 賢司
    2017 年 71 巻 1 号 p. 386-393
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    フライアッシュ(以下FA)を使用したコンクリートのひび割れ抑制効果については十分な知見が得られていない。本研究では、FAを混和したモルタルを用いて乾燥湿度を変化させた環境下で拘束ひび割れ試験を行い、FAの収縮ひび割れ抵抗性について検討を行った。実験の結果、相対湿度が低いほどひび割れが生じた供試体数が多く、早期にひび割れが発生した。また、FAを混入した調合は、無混入と比較してひび割れが発生した供試体が少なく、ひび割れ発生材齢も遅延した。FAを混和することで乾燥収縮ひずみが小さくなるとともに、モルタルに発生する拘束応力の増加速度も小さくなったため、ひび割れ抑制効果に繋がったと考えられる。

  • 山路 徹, 与那嶺 一秀, 川端 雄一郎
    2017 年 71 巻 1 号 p. 394-401
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    サンゴ骨材中には空隙が多く、加圧吸水によるポンプ圧送性の低下および耐久性の低下が懸念される。本文では、まず実機プラントにおけるポンプ圧送試験を通して骨材の含水状況等がポンプ圧送性に及ぼす影響を評価した。また、この検討に用いたコンクリートを海洋環境暴露試験(3.5年間)に供し、耐久性について検討を行った。その結果、本骨材は常圧下での水中浸漬では骨材内部を飽和させることは困難であり、本特性はポンプ圧送性に大きな影響を及ぼすことが確認された。一方で、一般的な骨材と比べてコンクリートの強度特性や物質移動抵抗性に顕著な差がないことが示された。この理由としては、骨材界面の遷移帯の組織の改善が考えられた。

  • Dahlia PATAH, Hidenori HAMADA, Daisuke YAMAMOTO, Yasutaka SAGAWA
    2017 年 71 巻 1 号 p. 402-409
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    In this study, electrochemical characteristics regarding to corrosion of embedded steel in mortar are experimentally evaluated. The corrosion behavior of steel bar was evaluated through electrochemical techniques, half-cell potential, corrosion current density, and anodic polarization curve. Also, the extent of corroded area of steel bars was measured. Major test variables are chloride content in mortar and water-to-cement ratio of mortar. Chloride content was set either by %-cement mass or total weight of mortar. The result showed that chloride contaminated mortar expressed in total weight of mortar were more readable to evaluate corrosion of steel bar by using electrochemical techniques. In addition, water-to-cement ratio affects electrochemical behavior and corroded area.

  • 横山 勇気, 酒井 雄也, 半井 健一郎, 岸 利治
    2017 年 71 巻 1 号 p. 410-417
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、複数の配合・養生条件にて作製し、屋外に暴露した供試体を対象に、継続的に表層透気試験を実施することで、実環境に置かれたコンクリートの表層透気係数に及ぼす養生および配合の長期的な影響の把握を試みた。その結果、脱型時期や養生による表層透気係数の差は時間の経過とともに減少し、少なくとも脱型から約1年で明確な差は見られなくなった。養生によって初期の含水率は大きく異なるが、材齢の経過に伴い含水率や水和反応の進行程度の差が小さくなることに起因すると考察した。一方、水セメント比による影響は長期的であり、今回の検討の範囲内では少なくとも材齢5年6ヵ月の時点でも影響が残存することを確認した。

  • 石川 嘉崇, 細川 佳史, 林 建佑, 曽我 亮太
    2017 年 71 巻 1 号 p. 418-424
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、環境の違いがフライアッシュコンクリートの長期的な耐久性の変化やフライアッシュのポゾラン反応の進行度に与える影響を評価するため、2009年より日本各地で屋外曝露実験を開始し、10年にわたる曝露供試体のモニタリングを実施中である。本報では、曝露開始から7年までの耐久性モニタリングの結果ならびに7年目におけるポゾラン反応の進行度について取りまとめた。その結果、フライアッシュコンクリートでは、細孔構造が複雑化するため耐久性が向上することや、曝露環境の違いにかかわらず7年という充分な時間の経過により、いずれの曝露環境においてもポゾラン反応は同程度進行することが確認された。

  • 与那嶺 一秀, 山路 徹, 川端 雄一郎
    2017 年 71 巻 1 号 p. 425-431
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    長期間にわたり海水作用を受けたコンクリートの表層には、局所的な膨張を伴うひび割れや脆弱化が生じる場合がある(以降海水劣化)。本検討では、海水劣化の原因を推定するため、暴露試験場において海水劣化の進行した試験体および暴露環境における共通要素を整理し、海水劣化が進行する条件について推定を行った。また、それらを基に海水劣化の発生要因を把握するため、熱力学的相平衡計算により水和物の組成変化を推定し、またそれによる体積変化を比較した。その結果、気温や日射に起因する温度変化や乾湿による空隙水の濃縮に伴うエトリンガイトの溶解・析出の繰返しが海水劣化の原因として作用した可能性があることを考察した。

  • 石川 嘉崇, 佐伯 竜彦, 今岡 知武, 目黒 貴史
    2017 年 71 巻 1 号 p. 432-439
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    フライアッシュ置換率30%の中庸熱セメントを使用したダムコンクリートの供試体を対象として、100年間にわたる長期試験が1960年代より計画され、現在も定期的に試験を継続している。コンクリートの供試体は1960年代から、温度20℃、湿度100%の噴霧養生状態で保管されている。本論文では、ダムコンクリートの長期物性を評価するため、材齢50年まで定期的に実施された試験結果および材齢50年でのコンクリート組織分析に関する検討結果を報告する。'

  • 安藤 陽子, 広野 真一, 久保 善司, 鳥居 和之
    2017 年 71 巻 1 号 p. 440-447
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    反応性骨材を使用し、アルカリを添加したフライアッシュ混入の有無による2種類のPC桁を作製し、屋外暴露試験を行った。さらに暴露後のPC桁からコアを採取して促進膨張試験(促進環境はASTM C 1260)を行った。その結果、屋外暴露の段階ではフライアッシュはASRを充分に抑制したが、その後の促進膨張試験では顕著なASRを生じた。偏光顕微鏡観察の結果、アルカリが内在する状態の暴露試験ではフライアッシュはASRを十分に抑制したが、このときに生じた微細なひび割れから1N・NaOH溶液が浸入し、外来アルカリに対する組織緻密化による浸透抑制効果が得られなかった。なお、組織観察から得られたひび割れ長さ密度が増加すると、超音波伝播速度は低下した。

  • 安藤 陽子, 片山 哲哉, 野口 孝俊, 久保 善司
    2017 年 71 巻 1 号 p. 448-455
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    第二海堡は戦時中、首都東京への敵艦隊の侵入を防ぐための要塞として東京湾に作られた人工島である。第二海堡に使用されたコンクリートの耐久性について建設後100年以上が経過した北側護岸の被覆コンクリート(1889年建造)とカノン砲台を囲う円形周壁のコンクリート(1907年建造)の圧縮強度の測定を行った結果、現在は25N/mm2を超える値であった。15N/mm2程度に想定されていた時代において非常に高い値である。これは水和活性の低いⅡ型ビーライトからなる竪窯焼成の粗粒なセメント粒子を多く含むため、ゆっくりと水和が進行することで徐々に強度を発現してきたことが原因と考えられ、中性化深さが小さいことも同様の原因と考えられる。'

  • 唐沢 智之, 中田 善久, 大塚 秀三, 荒巻 卓見
    2017 年 71 巻 1 号 p. 456-462
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    コンクリートの中性化は、水セメント比、セメントの種類、および湿潤養生期間等の様々な要因により、その進行速度が異なることが知られているが、各種セメントを用いた場合のせき板の存置期間がコンクリートの中性化の進行に及ぼす影響についての研究は少ない。本研究では、各種セメントを用いたコンクリートについて、打込み時期、水セメント比、およびせき板の存置期間を変化させた試験体を作製して促進中性化試験を行い、これらの要因がコンクリートの中性化の進行に及ぼす影響を明らかにした。また、促進中性化試験結果より拡散理論に基づいた解析的な検討を行い、コンクリートの中性化に影響を及ぼす表層部分のコンクリートの範囲を明らかにした。

  • 河野 政典, 中田 善久, 大塚 秀三, 荒巻 卓見
    2017 年 71 巻 1 号 p. 463-469
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    各種セメントを用いた場合のせき板の存置期間が、コンクリートの細孔構造に及ぼす影響について明らかにするため、結合材種類、打込み時期、水結合材比、およびせき板の存置期間を要因とし、壁部材から採取したコア供試体のコンクリート表層部と内部における細孔径分布の測定を行った。その結果、細孔径分布は結合材種類、水結合材比により異なること、表層部ほどせき板の存置期間による細孔構造への影響を受け、せき板の存置期間が短い方が粗大な細孔径の細孔量が多いこと、そしてせき板の脱型時強度が表層部のその後の細孔量に大きく影響を及ぼし、脱型時強度が小さいほど表層部の緻密化が進みにくくなることを明らかにした。

高強度・高流動コンクリート
  • 野村 博史, 野口 貴文
    2017 年 71 巻 1 号 p. 470-477
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    結合材料の特性が低水結合材比ペーストのみならず超高強度コンクリートの練混ぜ性に影響を及ぼすことを明確にすべく、コンクリートの構成相が練混ぜ性に及ぼす影響について検証実験を行った。本研究においてミキサ電流値はコンクリートの練混ぜ状態を概ね反映して推移したことから、これらに基づき練混ぜプロセスを2つの段階に区分すると共に所要練混ぜ時間を計測した。その結果、超高強度コンクリートの練混ぜ性は骨材体積割合の影響を殆ど受けず、同一結合材を用いたペーストの練混ぜ性と変形性の2つに支配されることが実証された。またコンクリートとペーストで練混ぜ性が逆転する現象は、構成相であるモルタルの変形性の違いに起因することが示唆された。

  • 葛間 夢輝, 名和 豊春
    2017 年 71 巻 1 号 p. 478-485
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    側鎖の形態を考慮したポリカルボン酸系分散剤(PC)の吸着モデルを構築し、同モデルを用いて炭酸カルシウム及びα-Al2O3吸着媒に吸着したPCの形態に対する液相中のCaイオン濃度及びPCの化学構造の影響について検討を行った。その結果、液相中のCaイオン濃度の増加に伴い側鎖の占める平面範囲が減少し、液相方向に対して側鎖の伸長が助長される形でPCの形態変化が生じている。側鎖の短いPCに関しては、側鎖同士が疎水的な相互作用により2層に吸着することで、PC単分子による吸着よりも厚い吸着層厚を示した。

  • 竹谷 未来, 田中 健貴, 葛間 夢輝, 名和 豊春
    2017 年 71 巻 1 号 p. 486-493
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    サファイア表面に吸着したポリカルボン酸系分散剤(PC)をAFMにより観察した。さらに、サファイア表面-探針間に働く相互作用力の測定も行った。PEG重合度により吸着形態に違いが生じると示唆されることから、懸濁液中の粒子間に働く相互作用力を考慮した立体障害モデルを用いて吸着形態を検討した。相互作用力としてvan der Waals力、水和力、PCによる立体反発力の総和を評価している。PEG重合度によっては立体障害モデルでは推定出来ないため、グラフト鎖の存在形態等から吸着層厚さによる評価を加えて吸着形態の考察を深めた。結果、グラフトコポリマーは凝集して吸着しているが、PEG重合度により吸着形態は異なることが示唆された。

  • 辻 正哲, 舌間 孝一郎, Pham Van Thai, 河野 亜沙子
    2017 年 71 巻 1 号 p. 494-500
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、高強度で耐久性の高いコンクリートをつくるためにフィラー、セメント、細骨材、粗骨材などの粒度分布を最適化する技術を検討した。なお、鉄筋コンクリートとしての適用を前提としたため粗骨材を用い、中間粒子には結合作用がほとんどないと考えられるものを使用した。実験の結果、セメント粒子よりも小さいフィラーとセメントとの最適容積比、セメントペーストと細骨材の最適容積比、モルタルと粗骨材の最適容積比を求めるという手法により、材齢1週および8週の圧縮強度がそれぞれ94.9N/mm2および111N/mm2で、透気係数が測定表示最少目盛以下かつ凍結融解抵抗性の大きいコンクリートの配合を選定できることが明らかとなった。

  • 舌間 孝一郎, Pham Van Thai, 野上 雄太, 辻 正哲
    2017 年 71 巻 1 号 p. 501-508
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    粒度調整セメントを用いた高強度繊維補強コンクリートで作製した鉄筋コンクリートはりについて実験を行った結果、せん断スパン比が0.75と極めて小さく、せん断補強筋を全く配筋しなくても、軸方向鉄筋の破断を伴う靭性の高い曲げ破壊した。軸方向鉄筋の補強効果はその引張耐力に依存し、急激な耐力低下は鉄筋が破断するまで生じなかった。これは、コンクリート自体の変形追随性が大きく、せん断破壊しなかったことによると推定された。その結果、軸方向鉄筋による補強のみで、橋梁支承構造に適用できる履歴減衰を有するコンクリート充填鋼管ストッパーを開発できる可能性が示された。

繊維補強コンクリート
補修・補強
  • 山田 正健, 櫨原 弘貴, 添田 政司, 久保田 崇嗣
    2017 年 71 巻 1 号 p. 525-531
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    亜硝酸リチウムを予め断面修復材に混和して、断面修復を行った場合には、極めて高い中性化抑制効果を示すことが分かっている。しかし、その抑制機構については、亜硝酸の保水性によるものと解釈されているだけで反応機構は明らかにされていない。そこで本研究では、亜硝酸リチウムを混和した供試体と表面に塗布した場合の供試体を作製し、イオン分析等によって中性化抑制機構の検討を行った。この結果、CO2が侵入した範囲においては、Ca2+とNO2量が減少する一方でLi量が増加しており、Ca(OH)2が消費されたとしてもLiOHの生成によってpHを保持できると考えられ、亜硝酸リチウムの保水効果によるCO2の侵入抑制ではなく、リチウムの働きによる抑制機構が示唆された。

  • 岸良 竜, 前島 拓, 子田 康弘, 岩城 一郎
    2017 年 71 巻 1 号 p. 532-539
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究は、凍結防止剤散布下におけるASRと疲労の複合作用を受けたRC床版の補修方法を検討するものである。実物大RC床版を模擬した供試体に対し、ASR促進養生と輪荷重走行試験を行い、疲労限界に達した後に、ラテックス改質速硬コンクリート(LMC)を用いた部分打替えを施し、再度輪荷重走行試験を行うことで、その補修効果を評価した。その結果、疲労限界時の等価繰返し走行回数を比較すると、補修後は補修前の178倍となり、耐疲労性の向上を確認した。LMCはラテックス混和により引張強度や付着強度などの力学性能が高くなっており、耐疲労性が向上したと考えられた。

  • 阿部 忠, 新田 裕之, 塩田 啓介, 吉岡 泰邦
    2017 年 71 巻 1 号 p. 540-547
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究は展張格子筋を配置しPCM吹付け補強した道路橋カルバートの耐荷力性能および補強効果を検証した。実験には無補強のカルバートと同一条件で製作したカルバートに本提案する展張格子筋を配置し、付着性を高めるためにエポキシ系接着剤を塗布し、PCMを40mm(増厚30mm)吹付け補強したカルバートを用いて静荷重実験を行った。その結果、無補強カルバートの最大耐荷力は464.7kN、補強したカルバートは760.7kNであり、1.64倍の補強効果が得られている。よって、道路橋カルバートの補強法において展張格子筋を配置し、接着剤塗布型PCM吹付け補強は有効的である結果が得られた。

  • 田中 佐愛, 阿部 忠, 塩田 啓介, 中島 博敬
    2017 年 71 巻 1 号 p. 548-555
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究は、RCはりのたわみが支間の1/400になるまで荷重を載荷し、応力履歴を与えた後に鋼板筋を配置してPCM増厚補強したRCはりの耐荷力および補強効果について検証した。その結果、ひび割れ補修後、展張筋または格子筋を配置したRCはりは、無補強RCはりに対してそれぞれ1.61倍、1.59倍に耐荷力が向上した。また、未損傷RCはりに展張筋または格子筋を配置し、PCM増厚補強した供試体と同等な耐荷力が得られた。よって、ひび割れ損傷を受けたRCはりを補修し、本提案した展張筋または格子筋を配置し、接着剤塗布型PCM増厚補強する方法は、応力履歴を受けたRCはりの補強法として有効であるという結果が得られた。

  • 野口 博之, 阿部 忠, 一瀬 八洋, 児玉 孝喜
    2017 年 71 巻 1 号 p. 556-563
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究は道路橋鋼床版の補強材として早強セメントに低収縮型早強性混和材を添加させたSFRCを用い、鋼床版の補強材としての実用性を検証する。その結果、早強セメントに低収縮型早強性混和材を添加させたSFRCは24時間で圧縮強度が36.1N/mm2と要求性能を確保できる材料である。また、凝結時間が長いことから施工性に優れている。疲労実験により、提案するSFRCは鋼床版のたわみの増加を抑制する結果が得られた。以上より、早強セメントに低収縮型早強性混和材を添加させたSFRCは鋼床版の補強材および舗装材として実用性がある。

  • 村上 由祐, 村上 聖, 武田 浩二, 佐藤 あゆみ
    2017 年 71 巻 1 号 p. 564-570
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、水中グラウト材および高靱性グラウト材の開発を目的に、前者に関して水中不分離性混和剤として市販のHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を使用し、HPMCの粘度や混入率がフロー値、水中分離度、気中および水中作製供試体の圧縮強度、水中気中強度比に及ぼす影響、ならびに後者に関してポリエチレン繊維を用い、繊維分散剤としてHPMC混入や酸化チタン浸漬による繊維界面改質処理の有無が繊維補強効果に及ぼす影響について実験的検討を行った。

環境・リサイクル
セメント系固化材
  • 山田 雅一, 中浜 悠史, 道明 裕毅
    2017 年 71 巻 1 号 p. 639-644
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    セメント安定処理工法を今後も広く活用するためには、安定処理地盤の強度・変形特性を正確に把握する必要がある。本論文では、粘土の種類、安定材の種類および安定材の配合条件、安定処理地盤内の応力条件を影響因子として、材齢が約4年までのセメント安定処理粘土に対して系統的な中空ねじりせん断試験による変形特性試験と一軸圧縮試験を行った。両試験結果に基づいて安定処理粘土の初期せん断剛性は一軸圧縮強度で簡易に評価できることを示した。

  • Liang WANG, Kimitaka UJI, Atsushi UENO
    2017 年 71 巻 1 号 p. 645-652
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    At present, not many studies have considered methods to quantitatively evaluate the reaction efficiency of fly ash at different curing temperatures. For high volume fly ash mortar, when the replacement ratio exceeds a certain ‘threshold’ value, the superfluous and ineffective fly ash will no longer react in mortar but simply behave as a fine aggregate. In this study, experiments on mortars with different replacement by fly ash ratios were conducted at different curing temperatures (20, 30, and 50℃), and the amount of Ca(OH)2 and strengths were comprehensively analyzed to determine the threshold value of the effective replacement ratio by fly ash. The results showed that the threshold value of effective replacement ratio can be considered as the turning point of the strength curve with replacement ratio. The threshold value of effective replacement ratio by fly ash decreased with increasing curing temperature, whereas the reaction efficiency of fly ash increased with increasing curing temperature. Meanwhile, the analysis of cement effective coefficient (k value) and basicity was also calculated. Based on the obtained threshold values of effective replacement ratio at different curing temperatures, the formula for the determination of reaction efficiency coefficient of fly ash in the mortar can be determined. The reaction efficiency of fly ash can be described more intuitively and quantitatively.

  • 馬渡 大壮, 庭瀬 一仁, 佐藤 正知
    2017 年 71 巻 1 号 p. 653-660
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
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    福島第一原子力発電所では、放射性汚染水の処理の二次廃棄物として発生するセシウム吸着ゼオライトの処分方法の確立が急務となっている。本研究では、セメント固化技術の実現性検討に向け、ゼオライトを混入したセメント固化体の基礎物性を測定した。実施した試験は、圧縮強さ試験、細孔径分布の測定、電気泳動試験である。固化体は早強セメントとフライアッシュ併用系の配合とし、自己充填によって作製した。結果、ゼオライトを混入した固化体は、廃棄体落下時の飛散や積み上げ時の荷重に対して十分な圧縮強さを有することを確認した。細孔径分布は30nm付近の小さい径に集中し、実効拡散係数は普通コンクリートと同等の結果が得られた。

  • 吉田 宗久, 北村 敏也, 勝嶌 秀之, 近藤 圭介
    2017 年 71 巻 1 号 p. 661-666
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    静岡県東部で富士山を起源とするスコリアを含む火山灰質粗粒土にセメント系固化材を使用したところ、アロフェンが原因となるCr(Ⅵ)溶出の土壌環境基準超過を確認した。大規模な道路土工の現場で現地発生土を有効利用する必要があることから、セメント系改良土からのCr(Ⅵ)溶出を、生石灰添加で抑制する方法を検討した。現地採取した土壌試料を用いて、土壌試料の粘土分とCr(Ⅵ)溶出の関係やCr(Ⅵ)溶出の抑制に必要な生石灰の添加量を検討した。また、現場で実施した試験施工で生石灰添加によるCr(Ⅵ)溶出の抑制効果を確認した。

セメント系新材料
  • 大和 功一郎, 山地 功二, 吉武 勇
    2017 年 71 巻 1 号 p. 667-673
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    耐塩害性が必要とされる海岸付近などの鉄筋コンクリートへの適用を目的として、著者らはBET比表面積13m2/g程度の鉱物質系微粉末の混和材を開発した。本研究では、この混和材を用いた標準養生したコンクリートについて、塩化物浸透抵抗性およびそのほかの耐久性などの基本的性質を調べた。また、これらに及ぼす物理的影響を調べるために硬化体の細孔径分布を調べた。試験の結果、本混和材をセメントに6.5~13%置換した場合、塩化物イオン実効拡散係数が低下することが確認された。細孔径分布は、混和材を使用した場合、直径0.01μm以下の微細な空隙が増加しており、この緻密化が塩化物浸透抵抗性やその他の耐久性の向上に寄与していることが推察された。

その他
  • 友寄 篤, 野口 貴文, 袖山 研一, 東 和朗
    2017 年 71 巻 1 号 p. 674-681
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    結晶質などが混入した天然のシラスを乾式比重選別・粉砕した火山ガラス微粉末の1ヶ月間連続製造において、組成や粒度などの変動が少ないことを示した。抽出した4ロットはいずれもシリカフュームのJISの活性度指数の基準値を満たし、材齢28日ではより高置換でさらに強度増進し、流動性についても安定した実験結果が得られた。地域差の大きいシラスに含まれる火山ガラスの広範囲での物性変動の少なさを指摘し、コンクリート用混和材として火山ガラス微粉末が安定製造される可能性を示した。'

  • 山田 浩嗣, 櫨原 弘貴, 添田 政司, 阿部 稜
    2017 年 71 巻 1 号 p. 682-688
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    フレッシュコンクリートの締固め作業において、最初に振動を与えてから一定時間置いて再び振動を与える再振動締固めが用いられている。しかし、一般的なPC配合における再振動締固めの仕様条件やコンクリートの品質改善効果に関する情報は極めて少なく、感覚と経験に基づいた加振が行われているのが現状である。そこで本研究では、早強、早強+BB、早強+FAの異なる3種類のセメントによって、再振動の施工方法の違いがブリーディング発生量やコンクリートの硬化後品質に及ぼす影響について検討を行った。その結果、再振動を行うことでブリーディング量が増加し、N値貫入深さ100mmのフレッシュ性状の時に再振動を行うのが最も効果的であることが分かった。また、BB、FAを混和したコンクリートの方が再振動による品質への影響が大きいことが分かった。

  • 玉山 豊, 森田 信義, 河野 伊知郎, 伊東 孝
    2017 年 71 巻 1 号 p. 689-696
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本稿では、先ず細径異形棒鋼D4、D5について筆者らが過去に実施した同径の丸鉄線との比較試験結果から、異形棒鋼の付着特性とひび割れ分散性能とその優位性を示した。次にその適用対象となる薄肉のコンクリート二次製品である道路用側溝を例に取り上げ、現行の荷重条件に基づいてこれを3次元に拡張して実際の供用状態を表現し、3次元有限要素法による弾性構造解析を行って側溝の変形および応力状態について考察した。これらの結果により、道路側溝に対するD4、D5の具体的かつ有効な使用方法を提案した。

  • 森島 慎太郎, 山口 信, 張 志成
    2017 年 71 巻 1 号 p. 697-703
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    ポーラスモルタル(POM)の環境対応型建築材料としての用途開発に資するため、細骨材種類、細骨材粒径、空隙率および板厚を変化させたPOM板の基本的吸放湿性能について実験的検討を行った。その結果として、空隙率20%程度以上のPOM板の大多数において調湿性能評価基準を満足する吸湿性能が得られ、特に細骨材として天然ゼオライトを用いたPOM板では等級3を満足する非常に良好な吸湿性能が確認された。しかし、検討対象としたPOM板の放湿性能については良好とは言い難く、その改善を目的とした技術開発が今後の検討課題として考えられた。

  • 山口 信, 森島 慎太郎, 富来 礼次, 岡本 則子
    2017 年 71 巻 1 号 p. 704-710
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    ポーラスモルタル(POM)の音響材料としての用途開発に資するため、POM板の吸音特性に及ぼすPOM層の総厚および背後空気層の有無の影響について検討するとともに、乾式二重床を模擬した木造床の中空部にPOM板を敷設し、それら木造床の床衝撃音遮断性能について実験的検討を行った。その結果として、①POM板の吸音特性は、POM層の総厚を増すことなく背後空気層により制御可能であること、②軽量床衝撃音に対してはPOM板を直接敷設しその総厚を大きくすることが、重量床衝撃音に対してはPOM板背後に空気層を設けることが床衝撃音レベル低減の面でそれぞれ有効であると考えられること等が実験的に示された。

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