高炉スラグ微粉末を大量に使用したコンクリートのペーストと高炉セメントB種のペーストの炭酸化を促進し、C-S-Hの変質挙動に着目してSEM-EDSや29Si MAS NMR、27Al MAS NMRにより分析した。SEM-EDSの結果から、炭酸化によりスラグやセメント粒子の内部のC-S-HからCaが外部へ移動してCaCO3を生成する機構が明らかになった。この時、C-S-H中のSiとAlは移動せずに保持され、Caが減少しながらSiO4四面体の重合が進んでアルミノシリケートゲルに変化することがNMRにより確認された。
コンクリートの強度発現と初期の湿潤養生期間の関係として、1951年に米国でWalter. H. Priceが発表した論文が代表的で、現在でも多くの文献や教科書に採用されている。本研究では現在の材料を使用して、Priceの論文と同じ初期養生期間の条件でコンクリートの長期材齢における圧縮強度に及ぼす影響を検討した。その結果、初期の水中養生期間が圧縮強度に及ぼす影響では絶えず水中養生した場合に対して材齢5年において、初期の水中養生期間が3日間で70%程度、7日間で75%程度、28日間で80%程度となった。また、初期の水中養生を3日間行うと、長期材齢になると管理強度(絶えず水中養生した材齢28日)と同程度の圧縮強度となった。