日本セトロジー研究
Online ISSN : 2434-1347
Print ISSN : 1881-3445
26 巻
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 久志本 鉄平, 落合 晋作, 立川 利幸, 石橋 敏章
    2016 年26 巻 p. 1-6
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/12/04
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    2013年3月20日に山口県下関市角島西岸で発見したバンドウイルカ属(Tursiops sp.) の群れから、背びれ傷跡を用いて10頭の写真識別カタログを作成した。その後、2013年4月18日に山口県長門市川尻で発見した10頭程度の群れのうち、8頭が写真照合により識別番号を付けた個体と一致した。また、協力者より提供を受けた写真情報より、2006年7月25日に長門市青海島北岸で2頭、2014年3月16日に角島西岸で8頭、2014年7月4日、11月23日、11月28日に島根県出雲市多伎町で、少なくとも1頭が識別番号を付けた個体と一致した。さらに、2015年4月24日に長門市青海島で水中撮影された映像から、識別番号を付けた個体が少なくとも2頭確認された。これらのバンドウイルカ属の群れは、背びれの形状やくちばしの形状から、ミナミバンドウイルカ(Tursiops aduncus)であると判定した。このことから、ミナミバンドウイルカの群れが一定期間山口県から島根県にかけての海域を利用していることが示唆された。これまでに、山口県及び島根県内では、バンドウイルカ属の目撃情報は少なく、ミナミバンドウイルカの確認は今回が初めてとなる。今後、情報を蓄積することで、本種の来遊状況や個体の移動など、生態的知見を得ることができると期待される。

  • 石川 創
    2016 年26 巻 p. 7-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル オープンアクセス

    昭和期(1970年代~1980年代)に、スーパーマーケットや地域の祭りなどの集客イベントとして、各地で開催されていた「鯨の解体ショー」について、前報(石川 2014)以降に得られた情報と調査結果をまとめた。鯨の解体ショーは遅くとも1970代初期には流行しており、1980年代も人気は持続したが、商業捕鯨終焉に伴いそれまで使用していた小型ハクジラ類の価格が高騰し、1990年代初頭に消滅したと考えられる。これまでに開催場所が判明した都道府県は、前報の14都府県から21都府県に増加した。開催地の北限は山形市および仙台市で、それ以北の北海道、青森、秋田、岩手の各県での開催記録は見つかっていない。開催地が判明した都府県別の頻度では大阪府が最も多く、他県と比べて報道での発見がほとんどない事から、実際は珍しさに欠けるほど頻繁に開催されていたとも考えられる。鯨の解体ショーの主催者はスーパーマーケット等の大型店舗が最も多く、次いで商工会等の地域団体だった。特に、客足が落ちていた催事や祭を活性化するために鯨の解体ショーを導入した事例では、主催者の予想を上回るほどの反響があった。鯨の解体ショーにおける解体方式は、駐車場など屋外の仮設ステージ、トラックの荷台、および荷台に載せた「枠」と呼ばれるガラス張りの仮設小屋がある。このうち「枠」は、鯨の解体ショーが魚介類販売業にあたるため、保健所による衛生指導で作成されたが、屋外ステージでの解体販売については、保健所の許可を得るのが困難だった事例もあった。鯨の解体ショーを請け負っていた業者はこれまで二業者が判明しているが、他にも業者がいた可能性、またスーパーマーケット等が独自にショーを行っていた可能性も残された。下関鯨類研究室では鯨の解体ショーに関する調査を今後も継続する予定である。

  • 宇仁 義和
    2016 年26 巻 p. 17-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/12/04
    ジャーナル オープンアクセス

    日本の近代鯨類学の草創期における東洋捕鯨株式会社とロイ・チャップマン・アンドリュースの影響を文書資料から調べた。東洋捕鯨の前身会社はナガスクジラとシロナガスクジラについて社内名称を生物学的種に基づいて固定し、それが標準和名として使用されるようになった。アンドリュースはひげ鯨に加え、歯鯨でも日本近海個体について初めて標本の観察から学名を比定した先駆者であった。そのような認識は当時の日本の動物学者も持ちあわせ、永澤六郎教授はアンドリュースと手紙で議論した結果を日本産鯨類の学名比定の論文に反映させていた。東洋捕鯨が社内名称として生物学的種の呼称を使用したこと、アンドリュースが標本を観察して学名を比定したこと、この実践が日本の鯨類学の近代化の端緒となった。

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