日本セトロジー研究
Online ISSN : 2434-1347
Print ISSN : 1881-3445
最新号
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  • 資料
    関谷 伸一
    2024 年 34 巻 p. 1-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/13
    ジャーナル オープンアクセス
    イルカの胸ビレは方向舵としての役割があるが,その具体的なメカニズムについては未だに詳しく解明されていない.胸ビレの動きとsteering機能がどのような関係にあるかを明らかにするために,木製イルカ模型を用いた遊泳実験を行った.模型の胸ビレはポリ塩化ビニール製で,その長軸は腹側に約45°傾き,かつ後方に約45°振られた状態とし,ボルトを用いて本体に取り付けた.この状態を胸ビレの中立位とした.このボルトはイルカの上腕骨に特徴的な総結節(大結節と小結節が融合したと考えられている)に相当する.ボルトの長軸を胴体の水平面に合わせ,胴体の前後軸に対し直交する位置に固定し,かつ回転できるようにした.このボルトを外旋すると胸ビレの先端は前方に振られ(前方スイング),逆に内旋すると後方に振られた(後方スイング).胸ビレの前方スイングは胸ビレの前縁(橈側縁)の上昇を伴い,逆に後方スイングは前縁の下降を伴った.胸ビレの位置を,中立位,前方スイング,後方スイングの3通りとし,左右それぞれを組み合わせた9通りの胸ビレ位置の違いによる遊泳実験を行った.その結果,左右とも中立位の場合本体は水平直進,左右とも後方スイングでは潜水,左右とも前方スイングで浮上した.左右で異なるスイングの組み合わせの場合は前方スイング側に旋回し,片側のみスイングした場合はスイング側に旋回した.すなわち,胸ビレ基部のボルトの回旋によって胸ビレのスイング運動が起こり,左右の胸ビレのスイング運動の組み合わせによって模型本体の進行方向が決定された.したがって本遊泳実験の結果は,胸ビレ基部の回旋運動とその結果引き起こされる胸ビレのスイング運動がイルカ模型のsteering機能に関係していることを示唆している.
  • 短報
    中村 潤平, 柏木 伸幸, 伊藤 大介, 大竹 郁花, 能登 文香, 西田 伸, 田島 木綿子, 山田 格
    2024 年 34 巻 p. 9-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    2023年1月31日から2月9日にかけて鹿児島県薩摩半島西岸に4個体の鯨類が漂着し,コビレゴンドウ Globicephala macrorhynchus と同定された.コビレゴンドウはこれまで鹿児島県内においてはトカラ列島以南の島嶼域からのみ記録されていたため,本研究で確認された4個体は鹿児島県本土における本種の初記録となった.
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