日本先天異常学会会報
Online ISSN : 2433-1503
Print ISSN : 0037-2285
11 巻, 4 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1971 年 11 巻 4 号 p. Cover1-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1971 年 11 巻 4 号 p. App1-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1971 年 11 巻 4 号 p. Toc1-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 武藤 義信
    原稿種別: 本文
    1971 年 11 巻 4 号 p. 159-169
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
    筆者はさきに30±1℃の高温水中でヒキガエル幼生を飼育すると指・趾の欠損的異常が生ずるが,このような異常は指・趾骨ばかりでなく中手・足骨の欠損的な異常にもとづくことをあきらかにした(Muto,1969a,b,1970a,b).その後筆者はこのような高温水に空気ポンプで通気して飼育をおこなうと,一般に幼生の出水孔が小形となったり閉鎖したりするが,このような幼生の足には通気しなかった場合よりも著しい欠損的な趾異常が生ずるのに,中足には特に異常が認められないことを発見した(Muto,1971).このたびこのような趾異常を有するほぼ変態の終りに達した13個の幼生の足骨格をしらべた結果つぎのことがわかった.すべての幼生の足にみられる短趾はおもに趾号数の減少によるもので,ときに趾骨の発育不全やゆ合にもよることがわかった.発育不全趾は趾号数の減少と趾骨の発育不全が重なっておこる場合と,趾骨の完全な欠除による場合とがあった.欠趾には外見的に完全な欠趾と,かすかに肚の基部が認められる場合とがあったが,1例を除きすべて完全に趾骨の欠除によるもので,中足骨の欠除しているものはなかった.中足骨においては,ときに第1中足骨が軽度の発育不全を示すものがあった以外は特に欠損的な異常はなく,この点は通気しない高温水中で飼育した幼生における場合と著しく異なっていた.なお小形の足根骨すなわち中央附骨,第1および第2+3小路骨には欠除やゆ合などの異常がしばしば認められた.以上のように肚の欠損的異常は趾骨の欠損的異常のみによるもので,中足骨の異常にはほとんどよらないことがわかったが,このような現象の原因としてはつぎのような推測が可能のように思われる.高温による欠損的な指・趾異常の形成は高温にもとづく組織への酸素の供給不足によるものでなかろうか.奇形形成の「感受期」の初期においては通気によって酸素の供給は促進され,したがって高温の催奇形効果は相殺されるが,「感受期」の後期においては鰓蓋の完全閉鎖ばかりでなく,出水孔の小形化や閉鎖がおこるために著しい呼吸困難が生じ,組織への酸素の供給不足は特に著しくなり,高温の催奇形効果は増大する.このようにして足骨格の最後の時期に形成される趾骨が著しい欠損的な異常をきたしたのでないかと想像される.
  • 村上 氏廣, 井上 稔
    原稿種別: 本文
    1971 年 11 巻 4 号 p. 171-177
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
    Olneyは過剰のグルタミン酸ナトリウム(MSG)をマウス乳仔に与えると,視床下部に変化がおこることを明らかにし,また妊婦が大量のMSGを摂取した場合には胎児の中枢神経に傷害がおこるのではないかという疑問をもった.そこで大量のMSGを妊娠母体に皮下投与した場合の胎仔の脳の状態について,マウスをもちいて実験した.MSGをOlneyの方法に準じて,生後2〜4日のCF#1マウスに1mg/g皮下投与し,処理して3時間・6時問後の脳の状態について光顕的に観察したところ,いずれもOlneyの記載同様,視床下部弓状核の細胞に核濃縮と基質の疎鬆化をみとめた.そこで妊娠17日あるいは18日のCF#1マウス母獣に5mg/gのMSGを皮下投与し,主として3,6,24時問後の胎仔の脳を観察した.その結果処理して3時間,6時問後の胎仔のうち,妊娠17日処理群では24例中7例,妊娠18日処理群では27例中16例に脳の傷害がみつかり,出現頻度は18日処理群のほうが高かった.脳に傷害を受けた例では,視床下部腹内側核と弓状核の細胞に明らかな核濃縮がみとめられたが,基質の疎鬆化は乳仔での実験の結果ほど顕著ではなかった.妊娠17日処理群では弓状核よりむしろ腹内側核に傷害の顕著な例が多いようであったが,妊娠18日処理例では腹内側核,弓状核共に多くの傷害をうけた細胞がみとめられた.これらの中には海馬や手綱核にも同様の傷害があった例も多く,また第3脳室下部の上衣に傷害のみとめられた例もあった.このような所見はgoldthiogiucoseによる脳傷害によく似ていた.妊娠17日,18日処理群とも,処理24時問後には傷害のある胎仔はみつからなかったが,修復されて痕跡がなくなったのか,最初から傷害がおこらなかったのかまだあきらかでない.さらにMSGに対する感受性や,傷害のおこる部位が脳の発達の過程によって変化するものかどうか,詳しい研究がまたれている.
  • 星野 清
    原稿種別: 本文
    1971 年 11 巻 4 号 p. 179-188
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
    脊髄裂は無脳症と同様,神経管の閉鎖不全により成立するという考え方が一般に認められているが,一且閉鎖した神経管が破裂することにより成立するという考え方もあり,その形態形成機序には複雑な過程があると考えられる.そこで,脊髄裂の形態形成機序を実験的に明らかにするために,Wistarラットの妊娠8日にtrypanblue水溶液40mg/kgを腹腔内に注射し,胎生10〜20日の各発生段階の胚・胎仔に成立した脊髄裂を外形的および組織学的に観察した.胚・胎仔の死亡率は胎生10日から13日まで漸上抑しそれ以後は増加しなかった.脊髄裂の成立頻度は胎生10日で最高で,胎生13日まで漸減するがそれ以後は変化しなかった.これらの結果より,胎生13日まで生存した脊髄裂をもつ胚はそれ以後胎生末期まで生存可能であると考えられる.脊髄裂の形態形成過程の早期である胎生10〜12日における外形観察では,脊髄裂には嚢腫状のものと嚢腫状でないものとの二つの型がみとめられ,大部分が前者であった.胎生10〜12日の嚢腫状の脊髄裂は外形的には脊髄嚢瘤として観察されたが,嚢腫は披裂反転した神経管で形成され,その内部に出血のある場合とない場合があった.胚の発育に伴なって,嚢腫中の血液ないし液体は徐々に吸収され嚢腫が小形化し,胎生13日以後では嚢腫状の脊髄裂はほとんどみられなかった.披裂反転し露出した神経組織では,胎生17日頃までは表面から退行変性が進行したが同時に脊髄としての発育・分化も進行した.しかしそれ以後は退行変性が発育・分化を上まわり,胎生20日では表面に退行変性におちいった神経組織をわずかに残したspina bifida apertaの状態が観察された.胎生11および12日では嚢腫状でない脊髄裂が少数ながら観察された.これらの例の形態形成機序は上述した出血ないし液体貯留を伴なった嚢腫状で始まるものとは異なるが,胎生13日以後では両者の差異は明瞭ではなかった.かようにtrypanblue投与でラット胎仔に成立する脊髄裂の形態形成機序は単純ではなく,月台生末期の形態は同様でも早期の観察では二つの異なった形成過程がみとめられた.
  • 池田 高良, 岡本 直正, 佐藤 幸男, 宮原 晋一, 上野 武久
    原稿種別: 本文
    1971 年 11 巻 4 号 p. 189-202
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
    先天性腫瘍についてはいくらかの報告があるが,主として小児期の悪性腫瘍について論及されており,胎生期の腫瘍についての報告は少い.われわれは部門開設以来2160体の胎児・新生児屍の剖検を行なったが,その内25体に腫瘍がみいだされた.先天性腫瘍の分類はMorisonによったが,本研究ではCholis-tomaおよび顕微鏡的な微小なものは除外し,肉眼的腫瘤に限っている.胎児例19,新生児例(生後7日まで)6であった.腫瘍の種類は,甲状線嚢腫6例,卵巣嚢腫3例,小腸嚢腫十舌脂肪腫1例,胆嚢線維腺腫1例,子宮頸部ポリ・プ1例,皮膚乳頭腫1例,皮膚血管腫1例,後頭部〜胸部リンパ管腫7例,横隔膜血管内皮腫1例,神経芽細胞腫2例,甲状腺腫1例であった.これらの腫瘍は良性の性格を示すものが多く,血管内皮腫および神経芽細胞腫の例にも転移はみとめられなかった.腫瘍と奇形の合併は25例中16例(64%)にみられ,奇形の数は延ベ111で奇形合肝舳こついてみると1個体平均7.0の奇形がみられたことになる.この値は前回の集計結果,奇形例212体中奇形数延べ439(平均2.1)に比べて著しく高値を示している.この事は腫瘍発化が奇形を複雑化する事を示唆している.奇形の種類は泌尿生殖器系に最も多く,心・血管系,骨伽系,消化器系に比較的多くみられた.個々の奇形合併例についてみると,腫瘍が奇形またはその部分症と考えられる例がある.例えば,小腸嚢腫は重複腸管の軽症のものとして,舌脂肪腫は兎唇・口蓋裂による欠損部分を覆う代替物として,また,皮膚乳頭腫は羊膜元奇形の一部分症として考えることもできる.腫瘍と臓器系列奇形と,関連をみると,リンパ管腫では胸部臓器発育不全と泌尿生殖器奇形を合併することが多い.リンパ管腫に伴う心血管系異常は左心系発育不全,原始心臓,小型心のごとき発育不全を示す例が多い.この事はリンパ管腫による機械的刺戟により発育不全を惹起した事を示唆している.一方,甲状腺嚢腫を伴うD_1-trisomy症候群,胆嚢線維腺腫を伴うE_1-trisomy症候群の如き染色体異常例では部分的大血管転換やEisen-menger複合の如き心の構造異常を示した.この事は染色体上の多くの遺伝子が腫瘍および奇形に作用している事を推測させる.しかし,リソバ管腫に合併した泌尿生殖器の異常のように,発生学的に比較的遠隔な部位の異常の発生機序については本研究では明らかにされなかった.その他の腫瘍については例数が少いために明らかな臓捲奇形との関連性はみいだされていたい.しかし,卵巣嚢腫および甲状腺腫の症例では得体の内分泌異常との関連性が存在すると考えられた.われわれの症例中,文献的に比較的稀な腫瘍は横隔膜にみいだされた血管内皮腫と胎児期にみられた神経芽細胞腫であった.以上,先天性腫瘍の発生は奇形発生と関連が深い事を示唆するとともに,先天性腫瘍の生後の変化については今後研究を続けるべきことを述べた.
  • 武藤 義信
    原稿種別: 本文
    1971 年 11 巻 4 号 p. 203-213
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
    Xenopusの胚芽を細胞分裂阻害剤で処理すると趾の欠損的異常が生ずるが,この原因としBretscher(1949)Tschumi(1954)などは細胞分裂の阻害による中胚葉の量の不足をあげている.筆者(Muto,1969a,b,1970a,b)はさきにヒニガユル幼生を30±1℃の高温で飼育すると欠損的な指・趾異常が生ずることを報告し,このような異常がBretscherやTschumiが指摘した中胚葉の量の不足に起因するのでないかと考えた.もしこのような考えが妥当であるならば,高温により腋芽の予定骨格中胚葉の細胞分裂の頻度が低下することが推測できる.ヒキガエルの腋芽における最初の前軟骨(precartilage)の形成は篭者の発生段階5におこることはすでに報告した(Muto,1970a)が,発生段階3-5に相当する3日間だけ幼生を30±1℃の高温で飼育すると,例外なく欠損的な趾異常が生ずることがわかったので,これらの発生段階の幼生の腋芽の予定骨格中胚葉の細胞分裂の頻度をしらべた.20±1℃はほば適温とみなされる温度であるが,この温度で幼生を飼育すると,発生段階4において細胞分裂の頻度が他の段階におけるよりも著しく高いことがわかった.このことはこの発生段階において予定骨格中胚葉の最が特に著しく増加することを示すとともに,この時期が肢の奇形成生要因に対する感受性が最も高い時であることを示すようにおもわれる.30±1℃で飼育した幼生ではこのような発生段階4における細胞分裂の頻度の上昇がみられないぼかりでなく,一般に細胞分裂の頻度が著しく低かった.このようなことから,30±1℃で飼育した幼生の腋芽においては,予定骨格中胚葉の量が正常のものに比べて著しく少ないことが推測できる.以上の観察結果から30±1℃の高温は細胞分裂の抑制により肢芽の予定骨格中胚葉の量の著しい低下をもたらし,これが欠損的な趾.指の異常の少なくとも一つの原因になるものと考えられる.
  • 村上 氏廣
    原稿種別: 本文
    1971 年 11 巻 4 号 p. 215-218
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1971 年 11 巻 4 号 p. 219-234
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1971 年 11 巻 4 号 p. 235-236
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1971 年 11 巻 4 号 p. 237-268
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1971 年 11 巻 4 号 p. App2-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1971 年 11 巻 4 号 p. Toc2-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    1971 年 11 巻 4 号 p. Toc3-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1971 年 11 巻 4 号 p. App3-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1971 年 11 巻 4 号 p. Cover2-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1971 年 11 巻 4 号 p. Cover3-
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー
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