茶業研究報告
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1954 巻, 4 号
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  • 暖冬時における茶幼芽の耐寒性
    原田 重雄, 渡辺 明, 加納 照崇
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 1-5
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.昭和28~29年の暖冬に際し,切枝を低温処理して幼芽の耐寒性の品種間差異につき調査した。
    2,腋芽は頂芽に比し耐寒性がやや強かつた。また品種間の差異は大きく,暖冬時の1月25日の調査では,みよしが最も弱く,U21(3倍体)及びやまとみどりは強かつた。萠芽期の3月30日及び4月8日の調査では,幼芽の耐寒性は急激に弱くなり,品種間ではみよし,あさつゆが最も弱く,やまとみどりが最も強かつた。冬芽で強い方であつたあさつゆ,たまみどり等が春芽ではやや弱い方に入り,冬芽で弱かつたべにほまれが春芽では強い方に入つたのは,春期における芽の活動状況の違いによると思われるが,中にはやぶきたのように春芽の発育が盛んなのにもかかわらず,耐寒性の比較的強いものもあつた。
    3,冬芽における耐寒性の品種間差は,昨年度の冬期間に成葉につき調べた耐寒性の強弱とかなりよく一致し,暖冬年でも冬芽の耐寒性の品種相互間の関係は,平年とそれほど変るものではないように思われた。
    4.頂幼芽の搾汁屈折率は耐寒性とかなり密接な関係を持ち,春になり芽の発育が進むほど屈折率は低く耐寒性は弱くなり,また冬芽・春芽のいずれの場合にも,屈折率の低い品種ほど耐寒1性が弱い関係が見られた。
    5.暖冬下における幼芽は,発育がかなり促進されても,萠芽期の春芽に比すれはなお耐寒性が著しく強かつた。これはいくら暖冬とはいつても,芽の生理的活動は春の萠芽期の芽に比すればなお著しく微弱なためであろう。しかし圃場で冬芽に2割四外の被害を認めた場合もあり,みよしは特に被害芽が多かったから,幼芽の耐寒性については,今後品種選択等の場合に充分注意さるべきであろう。
  • 塘 二郎, 淵之上 康元, 山根 弘子
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 6-9
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶葉細胞の水及び溶質に射する透過性の測定が,耐寒性の検定法として利用できるかどうかを知るために,一,二の実験を行つた。
    1.耐寒性の強弱と水及び溶質透過性の大小とはよく一致し,耐寒性の強い品種ほど原形質復帰に要する時間は少い。
    2.滲透価は低いにかかわらず,耐寒性の強い3倍体品種の透過性を測定すると,2倍体品種に比較して滲透価の割に復帰に要する時間は短い。
    3.簡易な透過性の測定法として,やぶきたを基準とした一定濃度の溶液に一定時間浸漬して,その復帰度合を調べることによつて耐寒程度を検定することができる。
    このように本法は相当確実な耐寒性の検定法として利用しうるものと考えられる。
  • 福村 秀一, 梶木 貞義, 志礼 治
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 9-14
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.各種除草剤の効果を比較試験した。
    2.カラスビシャクは地下に球茎を持つ多年生草木であるため,地下部が枯死しても,球茎の枯死せぬ限り新芽が再生する。地上部を枯死させるには,デグラス,2,4-D(アミン),亜砒酸,フェニール酢酸水銀,ロダンアンモンは2,4-D(ソーダ塩)よりも効果が大きかつた。球茎を枯死させるには,最も効果のあつた2,4-D(アミン)で,反当29kgの撒布で53.33%の殺滅率であつた。しかしこの使用量は経済的でない。他の除草剤ではあまり効果力蔭なかつた。
    3.茶樹(4年生分生樹)に対する除草剤の使用限界は反当11kgで,2,4-D(ソーダ塩),M.C.P,ロダンアンモン,X.L283は被害を生じ,特に前二者では枯死するものがある。他のクロレートソーダ,デグラス,塩素酸カリ,亜砒酸及びWeedone crsb grass killerは無害であつた。
    4.茶幼苗圃へのデグラスの撒布は2.1kgで30%も枯死した。即ち幼苗圃の雑草防除にデグラスの使用は困難のように思われる。
    5.大根を用いての除草剤の薬害及び残効を発芽数,茎長,根重,新鮮重について調査した結果,2,4-D,M.C.P及びX.L283を除く,クロレートソーダ,デグラス,D.K,ロダンアンモン,亜砒酸,フェニール塩化水銀,塩素酸カリ,フェニール酢酸水銀及びWee〓one crab grass killerは除草剤撒布後10日になれは,薬害が認められない。
  • 特に茶葉熟度の影響
    鳥井 秀一
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 15-23
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.茶葉の収量は摘採日の優かの違いによつても大いに変動があるので,これを修正しなければ正しい収量を表わすことができない。
    2.たまみどり品種園で,枠摘みによるサンプリングの一様性の検定を行つたデータから,茶葉の収量には茶芽の出開度と芽数が密接な関係を有することを知つた。
    3.そこで出開度と芽数による修正(それらの平均と摘採適期における)を乾物収量と生鮮収量について計算し,同時にこれら修正の効果を試料の分散或は変異係数の減少より検討した。
    4.収量の修正は出開度或は芽数による単回帰よりも,両者の重回帰による修正の方が効果が大きい。修正による変異係数の減少は次表の如くである。
    これによると,この調査では単回帰の場合は芽数による修正の方が出開度による修正よりもやや有効のようである。レかし試験の性質や条件が変ると,芽数による修正が効かなくなつたり,または修正しない方がよかつたり,或は芽重などの他の因子の修正が必要となつたりする場合が予想せられるが,いかなる場合でも出開度による修正を省いてよい場合は考えられない。
    5.摘採適期の収量の推定値と信頼限界を求め,これをこの場合の試料の最も合理的な収量値とした。
  • 南川 仁博
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 24-29
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.第1世代幼虫の脱皮回数を再調査し,6~7回を行うことを確めた。第1報と綜合して考察するに,第1世代の幼虫は5~7回脱皮を行うが,或は第2世代のように8回行うことがあるかも知れない。
    2.第1世代幼虫を成虫になるまで,25℃,75%RHで飼育した。その所要日数は53-61日で,第1世代の自然温度のものより約1ヵ月,第2世代より12~20日少く,また6~8回脱皮を行つた。
    3.雌蛾の蔵卵数を60頭について調査した。平均373.5最多454粒で,産卵数よりも遙かに多い。また産卵終了後の蔵卵数を10頭について調査した。平:均81.3%,最多292,最少58であつた。
    4.野外にて採集の卵塊の卵粒数を調査した。第1世代の69卵塊の平均卵粒数は173.5,最多304,最少65,第2世代の60卵塊の平均卵粒数は195.7,最多368,最少12であつた。
    5.台湾産との生態的比較を行つた,台北では年5回の世代を重ねるが,金谷では年2回発生,台北産は5回脱皮を行うが,金谷では5剛8回,金谷の第1化期の雄成虫形は台北の夏形,金谷の第2化期の雄は台北の冬形である。
    6.卵寄生蜂にはクロタマゴバチの1種とキイロタマゴバチの2種があつて,前者は第1世代で38.4%,第2世代で8.7%,援者は第1世代で0.3%,第2世代で0.5%の寄生率を示した。また前者はチャドクが以外の昆虫に寄生することはまだ知られていないが,後者はチャドクガ以外17腫の昆虫卵に寄生し,特にコカクモンハマキ,チャハマキ,レイシムシ等の有効な敵虫である。
  • 斎藤 哲夫, 植田 熊治
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 30-37
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    パラチオン剤によるコカクモンハマキ防除に必要なご,三の問題について圃場試験を行つた。
    1.パラチオン剤はコカクモンハマキに対レて極めてすぐれた効果を示レ,現在使用されている有機燐殺虫剤のうち最もすぐれた効力を有していた。
    2.パラチオン乳剤は0.04~0.02%の濃度で反当1-2石撒布すれば十分な効果が期待できる。なお水和剤は乳剤と効果が変らないが,粉剤は若干劣るようである。
    3.6斗式等量ボルドウ液並びにヂネブ水和剤500倍液に混合直後撒布しても,殺虫効力は低下しなかつた。
  • 刑部 勝
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 38-43
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.茶のアカダニを茶業部圃場で,5日毎に古葉を摘みとつて成虫,若虫,幼虫及び卵に分けてルーペで数えた。
    2.アカダニの棲息密度は春及び秋に高く,春は秋より一層高かつた。
    3.アカダニの世代の所要日数は野外と室内では異なり,室内で示されたような温度との関係は認められなかつた。
  • 茶の浸出液の比電気傳導度
    桑原 穆夫, 鈴木 幸隆
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 43-46
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    葉たばこで実験した赤池重男氏の電導度の測定による品質の鑑定は,茶の品質について,特に困難と考えられていた滋味鑑別の科学的な根拠として利用できるように思われたので,実験を行つた。その結果は,限られた試料のため結論を出すまでに至らなかつたが,浸出液の濃度や滋味とは相当潔い関係があることがわかつた。これがため電導度は,茶の品質の研究に当つて,有効な因子として利用できる可能性も大きいように思われた。
    なお,この実験は秦野たばこ試験場の御好意と御協力殊に終始御指薄を賜わつた赤池重男氏によるところが大きく,ここに記し厚く御礼申上げると共に,助力せる製茶第一研究室員諸氏の労も多とし感謝する。
  • 品種茶葉の地域変異について
    鳥井 秀一, 古谷 弘三, 太田 勇夫, 金沢 純
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 47-64
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 1949~1951年の3ヵ年にわたり1,2,3番茶期に鹿児島,静岡,埼玉より採集した品種やぶきた(緑茶用)及びべにほまれ(紅茶用)の茶葉を分析し,更にそれら茶園土壌の熱塩酸可溶成分を定量して,化学成分の地域変異を調べた。
    2. 分析項目は全窒素,可溶窒素,カフェイン,タンニン,熱湯可溶分,粗繊維,粗灰分及びそのアルカリ度で,それらの分析値より不溶窒素,カフェイン以外の可溶窒素及び窒素成分間の比率,熱湯可溶分中の可溶窒素成分及びタンニンの比率を算出した。
    3. 茶葉化学成分の含量は,年度,品種,産地,茶期を要因として分散分析を行つた結果,各成分の主要因に対するF値の有意性は次の如くであつた。
    4. 年度による変異については,可溶窒素,力フェイン,粗繊維・灰分は1950年に最も多く,1951年が最少で,タンニンとアルカリ度はこれと反対の傾向を示した。また全窒素,不溶窒素,残余可溶窒素は1949年が最も少かつた。年度による変異は気象条件が大きな影響をもつものと考えられるが,この試験で得られた気象データ(午前10時の気温及び地温の旬間平均値,降水量と日照時間の旬間合計量)の範囲では,明確な関係は求めることができなかつた。
    5. 品種による差は,窒素分についてはやぶきたは不溶窒素多く,べにほまれは可溶窒素が多いが,これは後者がカフェインに富むからである。全窒素に対する比率もこれと同じ傾向である。茶の旨味成分を含む残余可溶窒素の総可溶窒素に対する比率及び熱湯可溶分中の割合は,いずれも緑茶向のやぶきたに多いのは好ましいことであるが,やぶきたの残余可溶窒素はその絶対量及び対可溶分比ともに,春茶より夏茶になると減少が甚だしく,これがやぶきたの夏茶の品質が春茶に比べてかなり見劣りのする事実の説明にもなるであろう。その他やぶきたに多いものに組繊維灰分のアルカリ度があり,べにほまれに多い成分にタンニン,熱湯可溶分があるが,紅茶向品種のべにほまれがタンニンに富み,またその対可溶分比の大きなことももつともなことである。
    6. この試験の主目的とした茶葉化学成分の地域差については,土壌条件が最も影響すると考えられる灰分とそのアルカリ度に顕著な有意藍を示したことと,窒素成分がそれら相互の比率とともに何ら有意差を示さなかつたこととが注目される。茶葉の窒素成分は施肥量によつて変るが,この試料については各地と為特別な肥培管理法をとつていないと考えられるから,日本の主要産茶県の南,北限とその中央部から得た茶葉の窒素成分に地域差が認められなかつたことは,茶樹優良品種(特に緑茶向)を広める上に好都合なことと思われる。何となれば,緑茶の品質はその全窒素量と高度の相関を持つことが従来の成績から明らかであるから,産地により茶葉の窒素含有量に差のないことが望ましい。
    鹿児島産の茶葉の特長はタンニン,粗繊維が多く,灰分とそのアルカリ度が少く,特に1番茶め灰分の少い傾向があつた。タンニンの熱湯可溶分に対する比率は他の2ヵ所よりも極めて大きく,この比率は春茶では産地差が少いが,夏茶殊に2番茶に産地差が大きくなつて,南方の産地ほどタンニン比率が高いことが認められた。従つて従来の試験成績から,紅茶用原料としてはタンニン含量の多い茶葉が好適なことが知られていることから,タンニンの絶対量と対可溶分比の大きい南方産地が紅茶の生産には有利であると考えられる。
    次に埼玉産のものは鹿児島産と全く反対の傾向を示し,タンニン,粗繊維が少く,灰分が他の2ヵ所より最も多く,殊に夏茶の灰分が多い傾向があつた。また埼玉の茶園土壌は燐酸とマンガンが著しく多かつたが,土壌成分と茶葉灰分或はそのアルカリ度との関係は,土壤の鉄と茶葉灰分及び土壌のアルミナと茶葉灰分のアルカリ度の間にそれぞれ+0.903,+0.960の相関々係を得たのみであつた。
    静岡産の茶葉の性質はほぼ鹿児島産と埼玉産の中間と認められるが,灰分のアルカリ度が最も大きく,殊に1番茶にこの傾向が著しかつた。
    7. 茶葉成分の茶期差については,茶期間の気象条件と茶樹自体の生理状態の差異が影響するものと考えられるが,それは灰分のアルカリ度が特に3番茶に大きな値を示す他,いわゆる春茶と夏茶の間の差が明瞭で,夏茶の中の2,3番茶間には差がなく,2,3番茶の性質はほとんど同じものと考えてよいようである。即ち春茶は窒素成分が多く,タンニン,粗繊維が少いが,夏茶はちようどこれと反対の性質であつて,従来の分析成績とも同じ結果を示した。
    8. 分析試料となつた茶芽の生育量は地域差が極めて顕著であつて,芽長,芽重とも埼玉産が最も大きく,静岡産が最小であつた。そして春芽は夏芽よりもよく伸びたが,一般に芽のよく伸びた時の摘芽は重いということができる。
  • 坂本 裕
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 65-67
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    The nephelometric method for estimating tea catechins in the tea leaves reported by Oshima and Nakabayashi wass modified by substituting the standard for D-catechin solution. (100mg./100cc), and a conversion table obtained by this new method was shown in Table 2.
  • 土壤団粒について
    高橋 恒二, 森田 昇
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 68-72
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    As YODER'S method was not available to analyze the soil aggregate of the Makinohara diluvial upland soils, the method was modified as follows :
    The dry sieving apparatus has 2 sieves (6 and 2.5mm.), and the wet sieving apparatus consists of 4 sets of 4 sieves (2, 1. 0.5 and 0.1 mm.), the latter is operated for 60 min., with 6 cm. of amplitude and 20 reciprocations per min.
    By above-mentioned method, the aggregate was analyzed of the Makinohara brown soil and "Kuroboku" sampled from an uncultivated land as well as from a tea garden.
    The soil mass and the soil aggregate were perfectly separated and determined by wet sieving of the residual finer part after dry sieving of 2.5 mm.
    The aggregate thus determined was water-stable and indicated the physical structure of the Makinohara diluvial soils clearly.
  • 上野 健二
    1954 年 1954 巻 4 号 p. 73-76
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1954 年 1954 巻 4 号 p. 76-80
    発行日: 1954/10/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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