1.北アフリカ市場に輸出される日本茶と中国茶との品質の相違を明らかにするため,1954年に中国茶10点及び日本茶8点を蒐集し,それらの形状,色彩,水色及び化学成分等の調査を行つた。
2.蒐集した試料は両国の茶ともハイソン,.ガンバウダー,チュンミー及びソーミーの4種の玉線茶である。
3.形状については,ガンパウダーを除いては,日本茶のほうが中国茶より粒度が大きく,この差異はチュンミーに著しかつた。次に普通審査により形状を鑑定した結果,中国茶のほうが日本茶より優良であつた。
4,色彩については,I.C.I.表色法によると,両国の茶とも主波長には差は認められなかつたが,明度及び刺〓純度は中国茶のほうが大きかつた。これより中国茶は日本茶より黄色が強く,特にソーミーにこの傾向が著しかつた。
5.水色については,両国の茶とも大差なかつた。
6.両国の茶の化学成分の相違については次の結果が得られた。
i) 中国茶は日本茶より窒素成分,熱湯可溶分,粗灰分,灰分のアルカリ度及び可溶分中の窒素成分の割合が高い。またタンニン含量もガンパウダーを除いては同様の傾向が認められた。
ii) 窒素成分間の比率については,中国茶は可溶窒素が多く,日本茶は不溶窒素が多かつた。
iii) これらの分析結果より,中国茶は日本茶より優秀な原葉で製造されたものであることが推定される。
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