茶業研究報告
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1965 巻, 24 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
  • 米元 孝一, 井上 繁, 鮫島 斉, 黒木 史郎, 讃井 元, 安間 舜, 長田 寅之助, 中田 典男
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 1-10
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    A new tea variety for Kamairitya was registred in 1965, and it was named "Yamanami, " This variety was develeped by the Tea Breeding Laboratory, Kawaminami Branch, Miyazaki-Pref. Agr. Exp. Sta., financially supported by M. A. F. "Yamanami" is a progeny of Chinese variety introduced from Hupeh Province, China, and was selected from the natural crossing seeds.
    This variety shows vigrous growing, high yield from young age, strong cold-resistane, and superior qualities of tea. It is a middle season variety, whose plucking time is 3 to 4 days later than that of "Takatiho."
    This variety is available in the Kyushu distict, and is recommended to cultivate in Kagosima, Kumamoto, Miyazaki prefectures.
  • クロロホルム テストおよびタンニン含量と紅茶品質
    勝尾 清, 鳥屋尾 忠之, 家弓 実行, 安間 舜, 松下 繁
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 11-15
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.アッサム種(43系統)と中国種(41系統)を用いて,クロロホルムテスト,生葉らいかい,普通らいかいおよびタンニン含量の測定を行ない,各評点間の相関関係を調べた。
    2.クロロホルムテストの評点とタンニン含量との相関は比較的低い(r=0.370)。
    3.クロロホルムテストの評点およびタンニン含量は,生葉らいかいの発酵評点と高い相関を示し,それぞれr=0.708および0.692である。
    4.クロロホルムテストの評点と普通らいかいの審査評点との相関は,香気とは低い(r=0.377)が他の項目とはやや高く,審査合計とはr=0.445であった。
    5.タンニン含量と普通らいかいの審査評点との相関は,香気とは低い(r=0.386)が他の項目とはかなり高く,審査合計とはr=0.613であった。
    6.クロロホルムテスト・タンニン含量と普通らいかいの審査評点との間で,高い重相関係数(R=0.684)が得られた。
    7.アッサム種と中国種とで大きな差異はみられなかった。
    8.クロロホルムテストは個体選抜のための紅茶品質の早期・簡易検定法として用いられ,タンニン含量を加味すればさらに有効になる。
  • 生葉らいかいの発酵の良否と紅茶品質
    勝尾 清, 鳥屋尾 忠之, 安間 舜, 松下 繁, 家弓 実行
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 16-19
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.アッサム種,中国種およびアッサム雑種を用い,生葉らいかいおよび普通らいかいを行ない,発酵の良否や紅茶品質について相関関係を調べた。
    2.生葉らいかいおよび普通らいかいの発酵評点と,普通らいかいの審査評点との相関はそれぞれかなり高く,とくに殻色との相関はそれぞれr=0.801および0.770で最も高く,審査合計との相関はそれぞれr=0.687および0.666であった。生葉よりも萎凋葉が,発酵評点と香気との間で高い相関を示した。
    3.生葉らいかいと普通らいかいは,発酵評点で著しく高い相関(r=0.911)を示し,紅茶品質でも,各審査項目とも高い相関を示した。
    4.らいかい発酵の良否で紅茶品質を検定するのに必要な最少の生葉量は,10~20gであると考えられる。
    5.アッサム種と中国種とアッサム雑種とで,大きな差異はみられなかった。
    6.10~20gの生葉らいかいの発酵の良否による紅茶品質の検定法は,第一次もしくは第二次個体選抜のための,紅茶品質の早期・簡易検定法として有効である。
  • 赤外線ガス分析計を用いたガス代謝測定装置とそれによるガス代謝測定上の諸問題の検討
    酒井 慎介, 加納 照崇, 中山 仰, 讃井 元
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 20-32
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.赤外線ガス分析計を中心に,新しく構成したガス代謝測定装置を用い,茶樹のガス代謝測定上の基礎的な問題をいつか検討した。
    2.戸外空気中炭酸ガス濃度の日変化は,概して日中低く,間高い傾向を示したが,その較差は他の報告に比し今なかった。また,しめ切った温室内では,晴天の日中,著しい炭酸ガス濃度の減少が認められた。
    3.ほ場ガス代謝測定のため,ビニル袋に貯蔵した空気の炭酸ガス濃度変化を調査した結果,その変化は実験に支障ない程度の小さいものであることが明らかになった。
    4,同化能力測定の場合,測定開始後同化能力が安定した値を示すには比較的長時間を要し,その程度は葉の性質,測定時刻により異なる傾向を認めた。
    5.同化箱通気量および同化箱内平均炭酸ガス濃度と同化能力との関係を調査し,同化箱内平均炭酸ガス濃度と同化能力との間に直線関係が成立することを認めた。
    6.実験材料採取方法と同化能力との関係を調査し,測定時ごとにほ場から採取したものの同化能力は,午後低下することを認めた。あらかじめ暗室に貯蔵した枝ではこのような低下は認められなかった。この結果,切り枝同化能力測定には,測定まで暗室に貯蔵する方法が,安定した結果を得ることを認めた。
    7.葉の受光面と同化能力との関係を調査し,裏面受光の場合,同化能力が低下することを認めた。
    8.土により汚染された葉のガス代謝は,いずれも低下し,同化能力の低下は汚染程度により異なることを認めた。
    9.茎・根など非同化器官のガス代謝能力を測定し,幼木の測定例から非同化器官の呼吸量は個体全呼吸量の約40%を占め,特に細根の呼吸量の多いことを認めた。また,若い緑色の茎は同化能力を有するが,その能力は葉に比しきわめて低いことを認めた。
  • 数種の生育調節物質の茶芽生育抑制作用
    中山 仰, 讃井 元
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 33-48
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    生育調節物質を用いて,茶芽の生育を人為的に制御するための基礎的研究として,茶芽の生育に及ぼす抑制作用について1962~64年に試験した。
    晩秋~翌春の間にフェノキシ系ほか数種の生育調節物質を100~1,000ppmで処理した結果,4月上旬(発芽期)に処理した場合,抑制作用最も著しく,3月上旬処理がこれに次ぎ,1月処理は影響がなかった。3月,4月処理では,新芽の下方の節間が短縮し,葉が小型となったが,その上部は正常に復し生育を続けた。4月処理では落葉が多かった。この結果から一番茶芽の発芽・生育を遅延させるためには,3月~発芽期ごろに処理するのが適当と考えられた。
    これら生育調節物質の夏季の芽に対する影響は一番茶芽の場合と同様に生育の抑制作用が認められた。
    夏の芽を用い摘芽後5日ごとに発芽までの間NAA 200 ppm液を処理した結果,処理の時期によって反応に差異があり,5日後処理区が最も顕著に発芽が抑えられた。
    CCCは一番茶発芽前に処理した場合,影響は少なかったが,発芽後生育末期に至る間に20,000ppmを処理した場合,節間伸長の抑制が認められた。しかし,この濃度では若い葉にはクロロシスなど薬害を生じた。
    MHは前年秋や一番茶発芽期前後に処理した場合,常に芽の生育を抑制し,発芽の不整一や異常葉の発生がみられた。この抑制作用は特に頂芽に対して著しく,そのため側芽の生育が助長される場合がしばしば観察された。このような頂側芽の生育配分の変更は,幼茶樹などの枝数増加に利用が考えられる.
  • 高屋 茂雄
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 48-63
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.おもに2~3年生の茶苗にたいして,種々の接種源を用いて,一連の接種試験を行ない,おもに接種源側の各種条件の発病に及ぼす影響を検討した。また,接種試験の結果から,菌の生態について,二,三の考察を行なった。
    2.二つの接種方法により,各種の培地で培養した病原菌を接種した結果,〔接着法〕により接種を行なった場合は,発病の激しさはフスマ培養菌=イネわら培養菌>煮茶茎培養菌〓り病根の順であった。PDA培養菌でば,ごく軽微な発病しかみられなかった。〔混合法〕により接種を行なった場合にもフスマおよびイネわら培養菌は,10cmばち17gおよび70gの接種で,ほぼ同様に,激しい発病がみられた。PDA培養菌50gでは,ほとんど発病はみられなかった。
    3.6年生および2年生の茶にたいして,イネわら培養菌5本~45本の3~4段階の量の接種源を接種した結果,両試験ともに接種量の多いほど発病は速やかで,激しい傾向が認められた。
    4.イネわら培養日数が10~150日の病原菌を接種源とした場合,それらの間に差異はみられず,いずれも,すべての苗が感染し,ほぼ同等の発病を示した。
    5.白紋羽病菌の分離系統には,病原性に明らかな差異が認められた。いちばん強い病原性を示したのは金谷菌,,ついで市ノ瀬菌と岩江戸菌の順で,吉沢菌は前2者より,さらに,やや劣るように思われ,堀之内菌はきわめて弱い病原性しか示さなかった。
    6.分離後のPDA培養期間の異なる病原菌を接種した場合の発病は,菌の分離系統によって差がみられた。金谷菌は3年間PDA培養を続けた菌も,再分離直後の菌も,ほぼ同様の発病を示したが,岩江戸菌は,1年間PDA培養した菌は発病が少なくなり,2~3年培養を続けたものでは,ほとんど発病しなかった。吉沢菌は,両者のほぼ中聞であったが,PDA培養期間が経過するに従って,徐々にではあるが,発病が少なくなる傾向が認められた。
    7.命根から0~5cm離れた地表面近くの所定の位置に,2種類の接種源を埋め込み,発病を調査した結果,イネわら培養菌では,接種源を接着させたものはもちろん,2cm離れたところに埋め込んでも,ほぼ確実に発病がみられた。り病根を接種源とした場合は,発病は接種源を命根に接着させた場合に限られた。
    8.り病根を接種源とした場合の発病にはムラが多かったが,前年に採取して土壌中に埋めておいたり病根,または,きわめて古く,くち果てているものを接種源とした場合を除いて,白紋羽病に感染直後のり病根~木部まで褐変しているり病根の間には,発病にあまり差がみられないようであった。
    9. 2~3年生の茶苗に対しては,病原菌を培養したイネわら片3~5本を束ねたものを接種源として〔接着法〕により接種を行なうのが適当と考えられる。発病には,菌の系統および分離後PDA上における培養期間の長さなどによって大差があるので,接種にあたっては,特に留意する必要がある。
    10.白紋羽病菌の土壌中における活動および生存には,未分解の粗大有機物が重要な働きをしていることが,接種試験の結果からも認められた。
  • 高木 一夫, 金子 武
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 64-68
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.ハンノキキクイムシ,シイノコキクイムシの胞子貯蔵器官を調査するため,グラムーワイゲルト染色法による切片を作った。両者とも胞子貯蔵器官は前胸と中胸の背板の下部に存在し,左右対称の鞍型の器官であることを確認した。
    2.ハンノキキクイムシ,シイノコキクイムシのアンプロシア菌の形態を調査し,培養胞子,貯蔵胞子の二型の胞子を持つことを認めた。培養胞子は形態的な差はなく,貯蔵胞子でハンノキキクイムシは2~3個の細胞が融合し,シイノコキクイムシでは5~6個の細胞が融合していた。
  • 古野 鶴吉
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 69-73
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    ゴマフボクトウの世代経過,加害習性および防除法.について試験調査を行なった。
    1.本虫は当地方では一世代に1年を要することが確認された。すなわち,9月下旬~10月中旬にふ化した幼虫は新枝条を加害しつつ越冬し,翌春暖かくなるに従い急速に生長して順次下方へ移動する。7月ごろには地ぎわに達し,そのまま根に食入加害する。蛹化は8月から9月上旬に行なわれ,9月~10月上旬に羽化産卵して一世代を終わる。
    2.加害植物として,従来茶のほか16科26種が報告されているが,その他にクチナシ,サンゴジュ,ヒイラギナンテンにも加害することがわかった。また,海におけるゴマフボクトウの加害は品種によって異なることがうかがわれた。
    3,発が終期から7~10日おきに3回,EPN乳剤800倍液を10a当たり200〓散布すると80%程度の防除効果を上げ得ることがわかった。なお,この時期は暖地においては9月下旬~10月中旬に当たる。
    4,秋冬期のせん枝による駆除法について試験した結果,発が終期(9月下句~10月中旬)めせん枝が最も有効で60%程度の駆除効果が期待できる。また,暖地の秋せん枝時期である10月下旬~11月上旬のせん枝でも40~50%駆除できる。
    5.成木園では一番茶摘採直後の台刈りによって平均78.5%の幼虫がせん除され,被害じん大な茶園の回復対策として台刈りが有効であることが確認された。
  • 桑原 穆夫, 竹尾 忠一
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 74-76
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶葉を床にたい積貯蔵する場合の,たい積層内部の温度変化と温度分布を調査した。
    茶葉たい積後,たい積内の温度は7~8時間から12時間にわたって上昇した。たい積層内の温度分布は,たい積の中心から上部が高かく,底部は低くかった。
    茶葉を貯蔵する場合,切れ葉の混入はたい積の温度上昇を大にすることが,その発熱量から示された。
  • 適採した茶葉の呼吸作用
    竹尾 忠一
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 77-79
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    摘採直後の茶葉の呼吸作用について検討した。
    1.茶葉の呼吸作用は温度の影響を受け,5℃での呼吸0は常温(25℃)下での1/4程度に低下することがわかった。またQ10は低温区間ほど大きく5℃から35℃の間では1.7~2.9にあった。
    2.気相の酸素濃度が減少すると呼吸作用は低下するが,その傾印ま10%以下の場合に顕著であった。また,10%以下になると呼吸商は大きくなり,無気呼吸の始まるのを認めた。
    3.気相中の炭酸ガス濃度が5%以上になると,呼吸量は空気中における場合の30~40%減となる。しかし,呼吸商にはあまり大きな変化はなかった。
    4.損傷葉の呼吸作用は活発で,呼吸商も若干低下していた。
    最後に種々ご指導いただいた,鳥井製茶部長,桑原研究室長に感謝する。
  • 貯蔵茶葉の呼吸作用と茶葉成分の変化
    桑原 穆夫, 竹尾 忠一, 西条 了康
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 80-83
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    摘採した茶葉を5,15,25℃下で貯蔵した場合の茶葉の呼吸と茶葉成分の変化を検討した。
    1.茶葉の呼吸量は5℃に2日貯蔵したものは,摘採直後よりも増加するが,その後はしだいに減少し,8日目には始めの70%程度となった。15℃貯蔵では4日目に始めの70%程塵に,また25℃貯蔵では摘採後2日目に60%程度に減少した。
    茶葉の呼吸商は,5℃貯蔵では始めの0.97あったものが8日目に0.90となった。15,25℃貯蔵では2日目には0.81~0.84に低下した。
    2.茶葉の炭水化物は,5℃で貯蔵4日目が残存率約70%,9日目は65.7%であったが,15,25℃貯蔵では2日目には約半分に低下していた。
    3.茶葉の窒素成分の変化をみると,5℃で貯蔵8日目までタンパク質の加水分解に伴う可溶性窒素の増加が,25℃貯蔵に比較してわずかであった。貯蔵3日目で5,15,25℃の貯蔵葉中の各窒素成分を比較してみると,5℃では摘採後とあまり変わらなかったが,15℃ではアミド,アミノ態窒素の増加が目立ち,25℃ではアミド,アミノ態窒素の増加とともにアンモニヤ態窒素の増加も著しかった。
    4,クロロフィル量は5℃貯蔵ではその減少はわずかであった。
    最後に始終ご指導いただいた鳥井製茶部長と,試験を行なうに当たり協力していただいた佐藤技官に感謝する。
  • 摘採葉の酵素力価の変化
    竹尾 忠一
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 83-85
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    摘採した茶葉は,貯蔵中酸化酵素および加水分解酵素力価が変化することを認めた。
    1.カタラーゼ,パーオキシダーゼは,貯蔵中力価が高くなった。カタラーゼの力価の上昇は低温度区ほどおそいが,パーオキシダーゼの力価上昇の時期には温度による差がなかった。また,両酵素とも貯蔵時間の経過とともに力価は再び低下するが,その場合低温区ほどおくれる傾向があった。
    2,ポリフェノールオキシダーゼ力価は,15,25℃区では貯蔵2日目に始めの4倍以上に上昇していたが,5℃区は力価の変動はわずかであった。
    3,プロテアーゼ,インベルターゼは貯蔵中活性化するが,この力価の上昇は低温貯蔵区(5℃)が最も大きかった。
    この酵素力価が貯蔵中に高くなり,貯蔵温度によって力価の変動が酵素によって異なる傾向を示す理由については,各酵素の特性と考えられる。この点についてはさらに検討したい。
    本試験をとりまとめるに当たり,種々御教示いただいた鳥井製茶部長に感謝する。
  • 茶葉内ビタミンCの変化
    桑原 穆夫, 竹尾 忠一, 西条 了康
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 86-89
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    摘採葉内のVCの変化について調べた。
    1. 茶葉摘採後VCの減少が起こるが,この場合損傷部では短時間の間に還元型VCの減少と酸化型VCの増加が著しかった。
    2. 貯蔵中VCは時間の経過とともに減少するが,この変化には温度の影響が大きくて,15,25℃では貯蔵1日目に残存率40%,22%となるが,5℃では貯蔵8日目でもVCの残存率35%を示した。
    3. 貯蔵中のVCの減少には,茶葉内の糖濃度が影響する。このため茶葉に糖をすわせ糖濃度を高めると,VCの減少は抑制される。
    4. 茶葉を凍結した場合,茶葉内のVCは凍結・解凍の過程で著しく減少する。この場合ポリフェールオキシダーゼも活性化している。
    5. 茶葉を高炭酸ガス濃度の気相中で低温貯蔵した場合,貯蔵中のVCの減少は抑制されたが,この茶葉を空気中に取り出すと,VCの酸化が促進される。この原因は茶葉が高炭酸ガス濃度下に置かれたため,生理障害を起こしこれがVC酸化機能を活性化するためと考えられる。
    最後に種々御教示いただいた,鳥井製茶部長に感謝する。
  • 茶葉の貯蔵中における揮発成分の変化と茶の品質
    桑原 穆夫, 竹尾 忠一, 佐藤 哲哉, 西条 了康
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 90-95
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 茶葉を低温貯蔵する際,開放容器では貯蔵8日月には,茶葉水分が減少し28%程度の重量減が起こったが,この容器をポリエチレンで被覆したところ,貯蔵中の水分の蒸発を防ぐことができた。この場合50lの容器に1kgの茶葉を入れ,ポリエチレンフィルムで被覆すると貯蔵8~10日目には,容器内の炭酸ガス濃度は4~5%となった。
    2. 貯蔵葉から造った緑茶で,揮発性酸とエステルの変化を調べた。低温貯蔵区では貯蔵初期一時酸は減少するが,その後再び増加した。エステルは貯蔵中に増加した。いっぽう常温貯蔵区では酸・エステルとも貯蔵2日目では減少した。
    3.揮発性カルポニル化合物とアルコールは,低温貯蔵中茶葉内にしだいに増加していた。この傾向は高炭酸ガス濃度下に貯蔵した区が著しかった。常温貯蔵区もこれら成分の増加がみられた。4.貯蔵葉から紅・緑茶を製造し,その品質を調べた。貯蔵温度と品質の間には大きな関係があり,25℃では2日目,15℃では4日目に変質が香味に認められた。低温貯蔵(5℃)では,貯蔵6日目までは,香味は生鮮な状態を維持しているが,8日目になると,若干香味に生鮮さが減じ,水色もやや赤味を帯びるようになった。最後に本試験をとりまとめるに当たり,種々御教示いただいた鳥井製茶部長に感謝する。
  • 茶葉の貯蔵へのN6-ペンジルアミノプリンの効果
    竹尾 忠一
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 96-101
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    N6-ベンジルアミノプリン処理によって,茶葉の呼吸は抑制された。この呼吸阻害効果はチトクロームオキシダーゼ系による酸素吸収に強く,ポリフェノールオキシダーゼ系による酸素吸収への阻害率は低かった。
    N6-ペンジルアミノプリンの呼吸阻害は,10ppmの濃度では,7~8日を経過するときわめてわずかとなった。
    N6-ベンジルアミノプリン処理によって,茶葉のVC酸化はおさえられた。この効果は5℃貯蔵の場合には,貯蔵6日以降のものに現われ,15℃区では貯蔵2日目のもの,25℃区では1日目のものに現われた。また,低温貯蔵葉を常温下に取り出したのちのVC酸化は,無処理区の場合急速であるのに対し,処理区ではそれがおさえられた。
    N6-ベンジルアミノプリン処理の貯蔵葉から造った茶の品質低下の期日が,5℃貯蔵区では3日,15℃区で1日無処理区よりも延長できた。また,低温貯蔵葉を常温下に取り出したのちの品質低下を,N6-ベシジルアミノプリンは抑制した。
    茶樹へのN6-ベンジルアミノプリン散布の影響は,10ppm程度の濃度では茶葉の熟度の進みを若干抑制する効果が認められるが,薬害は茶樹に認められなかった。
    最後に本試験を行なうに当たり,多大のご援助をいただいた日研化学に厚く感謝する。また,ご教示を受けた名古屋大学瓜谷教授,ご援助.ご指導をいただいた,農林省園芸試験場北尾技官,茶業試験場鳥井,桑原両技官に感謝する。
  • 茶園における土壌理化学性の経年的変化
    前原 三利, 平峯 重郎, 平田 三千男, 江崎 進
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 102-112
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    南九州地方に広く分布する腐植質火山灰土壌の特性とその生成過程を明らかにするため,樹齢別の茶園,普通畑,林地等の各土壌を供試して,茶園における土壌理化学性の経年推移の様相を検討した。その結果を要約すると次のとおりである。
    1 茶園士壌の水分系と透水性には茶園の植生,敷草等の影響がかなり顕著に認められた。
    2 供試茶園では粘土の流脱,集積の事実は認められず,むしろ上層部の粘土含量が増加する傾向がみられ,茶園の植生と敷草等の土壌管理が土壌の風化を促進し,浸食防止に寄与しているように推測される。
    3 茶園の表層部には有機物の集積が認められ,粘土含量の増加と相まって,この部位の塩基置換容量も高かった。
    4 普通畑が茶園に切り替えられると,土壌は急速に酸性化するが,.特に根圏土壌においてそれが著しかった。
    5 茶樹の植栽により置換性石灰,苦土は急速に失なわれ,特に苦土の減耗は著しかった。しかし,カリは普通畑より増加し,いずれも茶園の植生と肥培管理方式の特異性に起因するものと考えられた。
    6 表層部の全リン酸含量は普通畑より茶園土壌に多く,茶園では経年的に増加するが,その増加の割合は有機態より無機態において著しく,特に樹齢の進んだ茶園表層部にはきわめて多量の肥料リンの固定に基づく無機態リン酸の集積が認められ,このためこの部位のリン酸吸収係数とアルミニウムの溶出度を低めている。
    形態別リン酸含量については各土壌間に特別な差異は認められず,いずれもAl型と難溶型が圧倒的に多く,Ca型とFe型は成木茶園の表層部を除き痕跡程度であった。
    しかし,有機態リン酸の層位別分布に関し,茶園では第I層に多いが,普通畑では第II層に多いなどの差異が認められた。
    7 水溶性アルミニウムの溶出量は普通畑,林地に比し,幼木茶園を含めて茶園土壌からの溶出量が著しく多かった。しかし,酢酸および酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液による溶出量は土壌間に大差は認められなかった。また,以上3種のアルミニウム溶出量は既往の報告にみられるそれより著しく多く,これは気象,土壌条件の差異に起因するものと考えられた。
  • 茶園のうね間断面における土壌理化学性の変異
    前原 三利, 平峯 重郎, 平田 三千男, 江崎 進
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 113-121
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    シラス茶園,黒ボク茶園,黒ボク普通畑の3種の土壌を供試して,茶園のうね間断面における土壌理化学性の変化を調べた。
    1. シラスの茶園土壌では著しい粘土流脱が認められたが,黒ボクの茶園土壌では認められず,むしろ普通畑との比較においても上層ほど粘土含量が高かった.
    2. 茶園土壌の酸性化,塩基溶脱は施肥部位に関連してうね間中央部で激しくおこり,株ぎわでは緩慢に進行する経過がシラス茶園によって示され,究極的には全断面に及ぶことが黒ボク茶園によって示された。
    塩基組成について,茶園土壌は普通畑に比べカリに対するマグネシウムの相対含量が著しく低く,茶園における施肥改善の必要性が強く認められた。
    3. シラス,黒ボクの両茶園土壌において,表層,特にその中央部付近には腐植の集積が認められ,塩基置換容量の断面分布は粘土,腐植含量の分布とほぼ対応していた。
    4. シラス茶園土壌のリン酸吸収係数は,上層部が特異的に高かったが,このことと酸度,活性アルミニウム含量との関係は認められなかった。
    5. 普通畑における土壌リン酸の分布は,作土層内ではきわめて均一であったが,シラス,黒ボクの両茶園土壌では全リン酸は表層に多く,特に中央部には多量の無機態リン酸の集積がみられたにもかかわらずII層以下へその含量は急減した。他方,有機態リン酸の相対含量は下層へ漸増する傾向がみられた。なお,リン酸の形態別組成とその断面分布にシラス,黒ボク両土壌のリン酸の固定力,土壌中における可動性の差異が示された。
    6. シラスの茶園土壌ではうね間.中央部において活性アルミニウムが下層へ移動集積することが認められたが,黒ボクの茶園土壌ではこのことは明らかでなく,また,普通畑との差異も認められなかった。
  • カテキンの酵素酸化
    中川 致之, 鳥井 秀一
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 121-128
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    The enzymic oxidations of various flavanols were studied, alone or in combination of them. The results confirmed that the oxidation of mixtures containing the catechol flavanols and (-)-epigallocatechin developed remarkable red colors. In addition to the current informations some other courses producing the theaflavin-like-substance were found : i. e. Y was produced from aa mixture of (-)-epicatechin gallate and (-)-epigallocatechin or that of (-) -epicatechin gallate and (-)-epigallocatechin gallate, and X was produced from the former mixture. A red pigment like theaflavin was derived from a mixture of (+)-catechin and (-)-epigal-locatechin. Further it was suggested that there exist at least three kinds of substance that was so-called theaflavin gallate (or gallate of pigment P).
  • 茶葉の水不溶性ポリフェノールオキシダーゼの可溶化と可溶化された酵素の性質
    竹尾 忠一
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 129-134
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶葉摩砕液からポリフェノールオキシダーゼを,水可溶性タンパクとして取り出した。
    この溶出した酵素は,セファデックスG-25のゲルロ過と,硫酸アンモニウム分画によって,部分的に精製し,茶葉摩砕液の酵素比活性の4~5倍の比活性を示す酵素を得た。
    この可溶化された酵素は,至適pH5.5で,オルソジフェノールに特異的に反応した。(+)-カテキン,(-)-エピガロカテキンガレート,(-)-エピガロカテキンを,この酵素で酸化すると,(+)-カテキンの場合は赤橙色の反応生成物を作り,その一部はタンパクと結合して赤橙色の沈殿となった。後2者では黄色の反応生成物を作り,白色沈殿を生じた。
    この酸素はDIECAによって阻害された。
    最後に本報告を取りまとめるに当たり,種々ご指導いただいた名古屋大学農学部瓜谷教授に厚く感謝するとともに,本試験を行なうに当たりご助言その他を得た。茶試鳥井部長,桑原室長に感謝する。また,貴重なカテキン類をいただいた茶試中川技官に感謝する。
  • 茶樹の各部分におけるポリフェノール成分の分布
    岩浅 潔, 中川 致之
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 135-139
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    The distribution of polyphenolic compounds in the various parts of the tea plant was examined by paperchromatography.
    Catechins, (-)-epicatechin, (-)-epicatechin gallate, (-)-epigallocatechin, (-)-epigallocatechin gallate, (+)-catechin, and (+)-gallocatechin were present in leaves and other green parts of the plant.: Flavonols, several kinds'of glycosides of kempferol, quercetin, and myricetin were also contained to a varying degree in the above parts. Leucoanthocyanins yielding cyanidin on heating with hydrochloric acid existed in wood-tissue as a major component of polyphenolic substances. Epicatechin was present in seed, trunk and root in addition to the green parts, and provisionally determined to be (-)-isomer by co-chromatography, therefore, this compound was seemed to be the generally occurring catechin in every part of the tea plant.
  • 全窒素定量法の検討
    鳥井 秀一, 太田 勇夫
    1965 年 1965 巻 24 号 p. 139-146
    発行日: 1965/11/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶の全窒素定量に用いられるケルダール法の縮分誤差,分析法精度,分析者の個入誤葦を検討した。.
    試料の縮分誤差は,茶を原形のまま分割した場合,分析法精度の約1.5倍であるが,茶を粉砕してから分割すれば,十分混合しない場合で1.1倍,混合した場合は0.3倍と縮少した。
    分析法の精度はC.V.約0.6%であるが,分析者の個人誤葦は意外に大きぐ,分析者によってはその数値になんらかの系統的誤差を含む疑があったが,その原因は明確でなかった。集められたデータから,分析者1人が1回分析した数漉に伴う誤差はC..V.2.02%,分析者1人が2回測定した平均値に伴う誤差はC.V.1.97%と計算された。
    分析法操作については分解剤の添加量と分解時間を修正して次のように定め,これを茶における全窒素定量の公定法とする。
    茶粉末試料をよく混合して.その100mgを容量約100mlの分解びんに取り,分解剤(硫酸銅1:硫酸カリウム9)1,5gと濃硫酸3mlを加え,電熱あるいはガスで加熱し,分解液が青緑色透明になってから,さらに1.5~2.0時間煮沸して分解を完了させる。冷却後,分解液を水で希釈し,30%カセイソーダ溶液でアルカリ性とし,その全量を10分間水蒸気蒸留して,発生するアンーモニアをN/25硫酸10ml中に吸収させ凱これに混合指示薬(0.2%メチルレッドアルコール(90%)溶液と0.1%メチレンブルーアルコール(90%)溶液の等量:混合液)1~2滴加え,N/25カセイソーダ溶液で滴定し,滴定液の色相が赤紫色からほとんど無色になったところを終点とする(アルカリが過ぎると緑色となる)。
  • 1965 年 1965 巻 24 号 p. e1a
    発行日: 1965年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1965 年 1965 巻 24 号 p. e1b
    発行日: 1965年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1965 年 1965 巻 24 号 p. e1c
    発行日: 1965年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1965 年 1965 巻 24 号 p. e1d
    発行日: 1965年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1965 年 1965 巻 24 号 p. e1e
    発行日: 1965年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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