茶の耐凍性に,凍結処理した葉の浸出液の電導率で,凍害の程度を測定する方法を明らかにした。
約39の処理葉をひょう量し,150mlの蒸留水中で20℃,20時間浸出し,この液の電導率(μΩ/cm2)を測定し,電導率Aとする。無処理の試料の電導率も同様に測定してBとし,さらに完全凍死で溶出する電解質に相当するものとして,煮沸処理の電導率を測定し,この値をCとした。いま,これらの値に,次のようなモデルを与える。
A=a(1-β)e+βe
B=βe
C=e
ここで,αは凍害率で,凍害を受けたために増加した溶出電解質量の,完全凍死によって増加した溶出電解質量に対する割合を示し,βは無処理の試料で溶出する電餌質の,完全凍死のときに溶出する電解質に対する割合を,またeは,完全凍死葉で溶出する電解質とすれば,凍害率αは次式で推定される。
α=A-B/C-B×100
この方法で,多数の品種・系統の厳寒期の耐凍性を検定したところ,αの値と,肉眼観察による凍害の判定とは,ほぼ一致するが,かなり値の開く場合もあった。これは,凍害程度がとくに少ないか,または大きい場合,いたんだり変色した葉を使用した場合には,肉眼観察がぱらつきやすいことを示していると考えられた。
凍害率の代用値としては,(A-B)の値がすぐれている。
抄録全体を表示