茶業研究報告
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1971 巻, 36 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 簗瀬 好充, 田中 静夫, 青野 英也
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 1-11
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園の蒸発散量の日変化および季節変化について,chamber法を用いて調査した。
    茶樹の蒸散量は晴天日に多く,曇天日および雨天日にはきわめて少なかった。
    蒸発量の日変化は晴天日に大きく,曇天日および雨天日には小さく,さらに,晴天日の日変化は,日の出時より増加を始め,9時から16時までの蒸散量がきわめて多く,以後日没に向かって漸減する曲線となった。また,夜間の蒸散量はきわめて少なかった。
    うね間土壌面からの蒸発量は茶樹の蒸散量の1/2~1/3であった。
    季節による変化をみると,茶樹の蒸散量は12月~1月に最も少なく,7~8月の盛夏期に最も多かった。また,4~5月は比較的少なく、秋季は春に比べてやや多かった。
    茶芽の生育との関係についてみると,新芽の生育初期には一般に蒸発散比が小さく,摘採期および摘採直後に蒸発散比が大きくなる傾向を示した。
    茶樹の蒸散量は気象要因と密接な関係を有し,日変化については,日射量と最も高い相関を示し,気温および飽差ともきわめて高い相関を示した。また,季節変化についても,蒸散量は日射量,9時気温,9時飽差といずれも有意な相関を示した。
    日変化における,蒸散量と気象要因との一次回帰を季節別にみると,いずれの要因についても,回帰係数は冬季に最も小さく,盛夏期に最も大きい傾向を示した。
    このことは,蒸散量の季節変化の要因が,直接的な気象要素の影響とともに,気象要素の季節変化に関連した,茶樹自体の蒸散力の変化,すなわち,葉内水分の拡散や補給に関係する生理的な諸機能の変化に由来すると考えられた。
    実測された各旬の蒸発散比に,蒸発計蒸発量の10ヵ年平均を乗じて,各時期の消費水量を算出したところ,年間では約1,300mm,4月から9月末日までの,茶の生育期間については約900mm,また,新芽の発芽期から摘採までの期間については,各茶期ともほぼ同一で,120mm程度であった。
  • 高屋 茂雄, 平峯 重郎
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 12-18
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 茶樹細根褐変の一原因として亜硝酸による障害をとりあげ,切断した健全細根を用いて,障害発生の限界濃度,接続期間および土壌条件の影響などについて一連の試験を行なった。
    2. 切断した細根に褐変が生じる土壌中の亜硝酸の限界濃度は,乾土重あたりNとして50ppm付近であった。また,それらの土壌表面上に細根を保持しても褐変が発生し,これらの障害はガス態の亜硝酸によるものと思われた。亜硝酸塩の水溶液中では,細根の褐変は生じ難かった。
    3. 供試した3種類の土壌とも,亜硝酸塩の添加24時間後にはその90%以上が土壌から消失し,細根褐変の発生する期間は乾土あたり50ppmの添加ではせいぜい1日後までであった。
    4. 褐変発生の限界濃度は,土壌の温度および水分によりあまり変化がみられなかった。しかし,亜硝酸を添加したのちの障害発生の持続期間は低温時ほど,また,土壌水分が高いほど,長くなる傾向が認められた。
  • 高屋 茂雄
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 19-30
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 土壌中のCylindrocladium scoparium菌の検出に際して,アルファルファの幼苗はぎわめて好適な指標植物になるとのBUGBEEおよびTHEISらの報告に基づき,本方法が茶園土壌中に生息する2種のCylindro-cladium属菌についても適用しうるかどうかを検討した。
    2. 湿室中における接種試験の結果,C.scoparium菌は各種の条件下でアルァルファ幼苗に強い病原性を示したが,C.parvum菌の病原性は認められなかった。C.scoparium菌を土壌に接種した場合も,アルァルファ幼苗は激しく発病した。
    3. アルァルファ幼苗の発病は24~28℃で最もはやく,接種後4~5日で大部分の幼苗は地ぎわから軟腐し,倒伏するとともに,茎の一部または全面に多数の分生胞子が形成された。幼苗の品種間には発病の差異が認められなかった。土壌に対する接種量と発病の間には多少の量的な関係が認められた。
    4. 茶園土壌中からの大多数の糸状菌はアルァルファ幼苗に対して,ほとんど病原性を示さなかったが,1種のFusarium菌には,かなり強い病原性が認められた。
    5. 3種類のクローバー類の幼苗はアルァルファと同様にC.scoparium菌によって激しく発病し,とくに"テトラレッド"種の赤のクローバーは指標作物として好適な性質を備えていることが明らかとなった。
    6. 本法により接種土壌中または自然汚染土壌中からC.scopurium菌を容易に検出することができ,今後本方法は茶園土壌中のC.scoparium菌の生態研究の多数の場面で活用でぎるものと考えられる。
  • 二段式たて型貯蔵装置による生葉の貯蔵
    竹尾 忠一, 西条 了康, 小田 隆弘
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 31-35
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    生葉を1mの厚さで2段にたい積し,その底面から通風して生葉を貯蔵した。
    1. 2段に分けてたい積した場合,生葉層の圧縮程度が緩和されるため,比較的容易に通風させることができた。
    2. 生葉80kgを室温(25~27℃)で貯蔵する際に要する風量は0.011m3/sec程度で,この風量を30分間隔に通風させることによって,葉温上昇を防ぐことができた。
    3.本実験の場合には,空気の冷却・増湿を特に必要としなかった。
  • 各種フィルム包装茶の保存試験
    深津 修一, 原 利男
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 36-40
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    アルミ箔の多層フィルム,塩化ビニリデンコートポリプロピレン,塩化ビニリデン加工紙およびポリ・セロの袋に水分約3%の茶を包装し,温度25℃,相対湿度約80%の条件下で3ヵ月間の保存試験を行なった。その結果を要約するとつぎのとおりである。
    1.この条件で3ヵ月間安全に品質が保持できたものは,アルミ箔の多層フィルムと塩化ビニリデンコートポリプロピレンで,とくに,アルミ箔の多層フィルムがすぐれていた。
    2.この試験で包装した茶の品質が保持されていると判定されたものは,いずれも水分5.5%以下,ビタミンCの残存率70%以上を保っているものであった。
    3.これらの結果から,小売り包装に使うためのプラスチックフィルムの選定基準は,包装した茶が吸湿しても,所定の期間茶の水分を5.5%以下に保持できる材料を選定すればよいように考えられた(1ヵ月間くらいの短期間の保存では5%以下)。
    この研究を実施するに際し,終始ご指導をいただいた当場古谷弘三製茶部長,食糧研究所木村進企画連絡室長ならびに官能検査に協力された当場製茶部製茶第2研究室の諸氏に謝意を表する。
  • 久保田 悦郎, 原 利男
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 41-44
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶の貯蔵および包装試験のための迅速,簡便でしかも精度の高い水分定量法を確立する目的で,五酸化リンを脱湿剤として用いた減圧乾燥法による水分定量値を基準にして,常圧100℃,105℃および110℃乾燥法を比較検討した。
    その結果,熱風循環式乾燥器を用い,粉砕した試料の場合,常圧105℃で5時間乾燥する方法が,また,茶の形のままで水分定量する場合は,常圧110℃で3~5時間乾燥する方法が,茶の慣用水分定量法として適当と考えられた。
  • 荒井 藤光
    1971 年 1971 巻 36 号 p. 45-52
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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