茶業研究報告
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1972 巻, 37 号
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  • 中山 仰
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 1-11
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
  • 淵之上 康元, 田中 万吉, 船越 昭治, 岡野 信雄
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 12-23
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    "Sayamakaori" is a new variety for green tea. It was bred by the Breeding Laboratory designated by M.A. F., Saitama Prefectural Tea Experiment Station, and registered with M. A. F. as a superior variety in May, 1971.
    "Sayamakaori" was selected from the natural crossing seeds of "Yabukita" (the superior green tea variety) introduced from Shizuoka-Prefecture.
    The superior points of this variety are as follows ;
    1. The vegetative propagation of this variety is very easy.
    2. This variety grows vigorusly from young stage, and shows high yield and has especially strong cold-resistance. Therefore, it is adapted to the northern parts of green tea region in Japan like Saitama-Prefecture and Ibaragi-Prefecture.
    3. This variety yields leaves of superior qualities for green tea, and therefore, the tea has fine quality, especially in aroma.
    4. "Sayamakaori" is a medium variety, and the plucking time is a few days earlier than that of "Yabukita". Therefore, tea growers can control the labour of tea leaf plucking by using this variety.
  • 成木茶園における茶樹生育および土壌の理化学性に及ぼす草生法ならびにマルチングの影響
    渡辺 弘, 野村 節子
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 24-31
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    著者たちは,草生および敷わらが茶樹の生育と茶園土壌に及ぼす影響について,幼木から成木に至る長期間,試験を実施してきた。その結果1960年から1962年までの試験成績については,すでに第1報として報告したのでこの報告は1963年から1968年までに得られたものである。
    (1)茶樹の生育に対する影響
    1962年までは,草生および敷わらは樹高と秋芽の生育に関して,無処理よりもすぐれていたが,1963年以後4年間には,茶芽の生育と収量についても明らかにまさることが認められ,また草生は敷わらに比べてややまさる傾向があった。しかしながら定植8年目の1968年には,逆に敷わらが株張り,摘採面幅,収量の点でまさる傾向になった。
    (2)茶品質に対する影響
    草生茶園から得られた茶の品質は3ヵ年の審査成績を総合して最もすぐれ,特に香気,水色,味においてまさった。
    (3)土壌の物理性に対する影響
    土壌の三相に及ぼす影響については,草生は空気率を高め,敷わらは水分率を高めることが判明した。土壌第1層における団粒形成率は,草生と敷わらが無処理に比べて著しく高く,草生と敷わらを比べると,粒径0.5mm以上の団粒形成率では敷わらのほうが高かった。
    (4)土壌の化学性に対する影響
    土壌のpHと塩基置換容量については,マルチングの影響は認められなかったが,土壌第I層の置換性カルシウム,マグネシウムおよびカリウムの量は,無処理よりもやや高かった。また敷わらは草生および無処理よりも置換性カリウムの量を高めたが,これは稲わらのカリウムによるものと思われる。土壌第I層の腐植含量は草生および敷わらによって約1%高まった。
  • 神屋 勇雄, 坂田 寿生, 青木 彦二
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 32-39
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶樹を定植する前の土壌処理が茶樹の生育,生葉収量,製茶品質,根の生育および土壌の理化学性におよぼす影響について,1960~'68年の9年間にわたって検討した。
    その結果を要約するとつぎのとおりである。
    1.幼木の初期生育については,土壌処理による効果は認められなかった。
    2.生葉収量は年を経るにしたがって,土壌処理区が無処理区よりよくなった。中でも,粗だ類埋込み区がよかった。しかし,製茶品質は土壌処理の処理効果がほとんど認められなかった。
    3.根の分布については,土壌処理区の細根はうね間に多く集中し,根量は土壌処理区が無深耕区より多く,下層への分布も土壌処理区がよかった。また,地上部,地下部のバランスは土壌処理区がよく,中でも,粗石礫
    .埋込み区,天地返し区がよかった。
    4.土壌の理化学性については土壌処理区が無深耕区より明らかによく,粗石礫埋込み区が土壌処理の処理効果が高かった。
    5.以上の結果から定植前の土壌処理法としては,粗石礫を投入することが好ましい。しかし,開園するに当たって,粗石礫を投入することはむずかしいので,礫か崩壊し易い岩石を含む土地を選択し,上,下層を反転するような方法での開園が望ましい。
  • 泊 純, 岡本 信義, 松久保 哲矢, 嶽崎 亮, 中村 憲夫, 松山 康甫
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 40-45
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 茶うねをまたいで走行するTea Garden Tractor-62(T.G.T.一62)に装着する摘採装置について試験した。
    2. 摘採装置の刈り刃部は往復動刃型で,曲率半径1,100mm,刈り刃幅1,600mmの一うね型で,刈り刃の切断性能は,切断速度比3.0,有効作業速度0.28m/sec程度が適当であった。
    3. 集葉装置の具備すべき条件を知るため,トラクタの作業速度,集葉量,作業規模等から生葉吸引能力を300g/sec,集葉箱の収容能力130kgを目標として,実験装置を作製し試験した結果,集葉箱一室に排風機および生葉輸送管がそれぞ'れ必要で,生葉輸送管の口径は130mm以上が必要であることがわかった。
    4. 以上の結果に基づき,T.G.T.-62に装着する送風吸引型の集葉装置を試作し,刈り刃部と連結して摘採装置とした。
    5. T.G.T.一62に装着した摘採装置の作業条件は,1生葉品質,刈り跡,運転操作等の試験結果から,刈り刃の切断速度比3.0,理論作業速0.3m/sec程度が最適条件であった。また摘採作業能率はほ場作業量9.5~13.8a/hrであった。
    6. 試作した摘採装置は,機体のバランス調整,刈り刃幅,刈り刃部の調節機構,騒音対策,生葉品質への二次的損傷対策等に改善すべぎ点が認められた。
    この研究を遂行するにあたって,ご指導とご援助を賜った農林省蚕糸園芸局畑作振興課,荒井藤光氏,元農林省茶業試験場長,加藤博氏,元同枕崎支場長故上野健二氏,茶園用トラクタと附属作業機の考案試作をしていただいた松元機工,粟ヶ窪親男氏,松元芳見氏,相良製作所,相良三次氏,以上の方々に対し深く感謝の意を表します。
    また,この報告にあたって,ご指導とご援助を賜った鹿児島県茶業試験場長,岡村克郎氏,実験その他に絶大なる協力を下さった当場職員の方々に対しても感謝いたします。
  • 野中 寿之
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 46-53
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶の炭そ病に対する薬剤の作用機作として分生胞子形成阻止効果,予防効果および治療効果について検定し,さらに作用特性に適応する新しい防除法として治療的防除法および茶芽休眠期防除法について若干検討を加えた。
    1. 伝染源病葉における分生胞子形成阻止効果はべノミル水和剤,チオファネート水和剤およびメチルチオファネート水和剤がすぐれ,90%以上の阻止率を示した。
    また,その作用は非永続的で持続期間は20~30日であった。
    2. 予防効果についてはジクロゾリン水和剤等数種のものを除き,ほとんどの薬剤で効果がみられたが,ベノミル水和剤,プロピネブ水和剤およびダイボルタン水和剤は特にすぐれ,持続効果も高かった。
    3. 感染後散布により発病を阻止する治療効果はべノミル水和剤,チオファネート水和剤およびメチルチオファネート水和剤で顕著な効果がみられた。
    4. ベノミル水和剤,チオファネート水和剤およびメチルチオファネート水和剤の潜伏期間中における散布時期と治療効果の関係は感染後早い時期の散布ほど高く,有効な散布時期は接種後7~10日程度,つまり潜伏期間の中ごろまでであった。このため降雨の続いた後などかなり感染が進んだ状態での散布でも有効であった。
    5. 分生胞子形成阻止作用を持つベノミル水和剤,チォファネート水和剤等により病葉の感染期の分生胞子形成能を低下または変化させることがでぎた。さらにこのような方法による防除,すなわち茶芽休眠期および朋芽前散布は平均防除率で60~80%の効果がみられた。
    6. 以上の試験でベノミル,チオファネート系薬剤はその特異・多様な作用機作により本病に対し幅広い適用性があることが明らかになった。
    この研究遂行にあたって有益な御助言と御指導を鹿児島大学農学部植原一雄博士,ならびに当場岡村克郎場長にいただいた。ここに厚く感謝の意を表する。
  • 鮫島 斉, 徳永 保利, 楠原 俊秋
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 54-68
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園造成から5年目までの幼木茶園における省力管理作業の体系について,1966~'70年まで5年間にわたって検討した。その結果を要約すると次のとおりである。
    1. 茶園造成では定植溝掘りに最も労力を要した。これがトラクタによる機械掘りによって人力の場合の13.1%となり,大幅に省力化でぎた。
    2. 株元雑草の幼茶樹におよぼす影響は,30日以上の草生により輻彫響が認められるので,30日以内に除苴する必要がある。一方,うね間の機械除草は雑草の草丈15cm以内で実施することにより除草効果が得られ省力化がはかられた。
    3. 病害虫防除の省力方法としてスワーススプレーヤと動力噴霧機について作業比較した結果,スワーススプレーヤの機械作業時間は10a当たり27.5分で動力噴霧機の41.8%,組作業の全投下労働時問は32.2%となり大幅に省力化された。
    4. 収量調査の結果は10a当たり3年目108.6kg,4年目395.5kg,5年目732kgであったが,多収を得る方法としては栽植密度の増加が必要と思われた。
    5. 5年間にわたる累積調査の結果から幼木茶園省力管理作業技術を総合的に組み合わせると,1ha当たりの年間所要労働時間は定植当年989.7時間,2年目621.6時間,3年目723.1時間,4年目699.8時間,5年478.2時間まで省力化できる体系が基盤整備と機械装備を前提として可能であると判断された。
    6. この管理技術体系をさらにより生産性の高いものにするために必要な残されたおもな技術的問題点は次の2点であった。
    イ 機械化専用茶園の生理特性の解明と栽培技術の確立。
    ロ 種苗費および定植費用の経営費用中に占める比重が高いので,育苗法の簡易化ならびに植いたみ防技術の確立など定植技術についての再検討。
  • 池田 重美, 中川 致之, 岩浅 潔
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 69-78
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    煎茶の味と成分組成の関係,あるいは,うまい茶の飲み方の基礎資料として茶69に対して180mlの湯量で40,60,80,95℃の温度と,2,4,6,8,10分の時間を組み合わせた条件で浸出した場合,茶成分がどのように溶出するかを調べた。次に茶の粒度を変えた場合の窒素,タンニン溶出度についても同様の実験を試みた。
    実験結果から
    1 温度60℃と80℃の間に成分溶出害胎に特に差のあることが判明した。
    2 窒素,カフェイン,タンニンは上級茶,並級茶ともに共通した傾向が認められたが,高温におけるエピガロカテキンガレート,およびカテキン合計値の溶出割合は上級茶が高かった。
    3 各種の成分中,全アミノ酸は上級茶,並級茶ともに溶出割合は高かった。
    4 粒度については窒素,タンニンともに細かいほど容易に溶出したが,タンニンは細かい粒度を除いて高温では大差がなかった。
    5 窒素に対するタンニンの比率は全体的には並級茶のほうが大きかったが,両者とも浸出温度の上昇とともに増加し上級茶は60℃と80℃の間に,特に差が認められた。
    以上の結果から高級茶は低温でゆっくり,下級茶は高温で短時間に茶を入れるのが適当と思われた。
    なお,本研究は著者の1人池田が,農林省茶業試験場に国内留学中に行なったものであり,実施にあたって種々の御指導,御協力をいただいた同場,久保田技官およびその他の方々に深く感謝します。
  • 中川 致之, 中島 花江
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 79-83
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    There is no enough data of the basic investigation which research the correlation of chemical make up of green tea with that of liquor.
    Sencha (common green tea) of high, medium and low grade manufactured in various regions in Japan were collected. The content of chemical constituents in these green teas and their liquors prepared by the method used for ordinary organoleptic test was analyzed, in which three grams of tea were infused with 180ml of boiling water for five minutes.
    The correlation coefficient values of main contituents were as follows ; nitrogen, 0.837, caffeine, 0.859, tannin, 0.562 (catechins by paper chromatographic method, 0.396), reducing sugars, 0.662, amino acids, 0.987.
    Accordingly, chemical make up of green tea coincide with that of liquor as to amino acids and caffeine. However, similar result did not obtain as to tannin because the infusing rate of tannin from green tea to liquor was considerably affected by size of tea.
    Therefore, it is desirable to analyze tasting liquor in research on correlation of chemical composition with green tea taste.
  • 池ケ谷 賢次郎
    1972 年 1972 巻 37 号 p. 84-85
    発行日: 1972/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    牧之原洪積台地の赤黄色土に由来する場内ほ場のやぶぎた園において,(1)雨落ち表層施用区,(2)うね間中央表層施用区,(3)うね間中央深さ10cm施用区,(4)うね間表層全面施用区の4区を設け,1964年秋肥と1965年春肥施用時に放射性リン酸32Pで標識したリン酸肥料を施用し,リン酸の施肥位置と茶樹によるリン酸の吸収について試験した。1964年秋肥施用時にはうね間表層全面施用区が最も多量に施肥リン酸を吸収した。1965年春肥として施用したリン酸は,一,二,三番茶期とも雨落ち表層施用区とうね間表層全面施用区間にはあまり差異がなく,いずれもよくリン酸を吸収した。したがって,茶園に対する施肥位置は作業能率およびうね間土壌の物理性の改良をもかね合わせ,うね間表層全面にすぎ込むのがよいと考えられた。
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