茶業研究報告
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1973 巻, 40 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 中川 致之
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 1-9
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 淵之上 弘子, 八木 勇
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 10-19
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.寒冷地での品種茶園において,目的と程度の異なる更新処理を行ない,更新後の収量や収量構成要素の変化過程を調べた。
    2.寒冷地茶園でも,摘採面から5~10cmの深さの浅刈りでは,一番茶摘採直後の5月下旬に実施すれば.翌年一番茶から摘採でき,年間収量は無更新区の8~9割で,3年目には全く回復する。
    3.浅刈りは経済的な損失が少なく,上方の細枝の更新。樹高調節のために容易に実施できる。
    4.中切り・台切り更新は,中切りのほうが当然回復は早いが,更新4年目での年間収量は,台切りで6割内外,中切りで8~9割まで回復する。中切り・台切りは回復に長期間を要するので,計画的に小面積ずつ実施するほうがよい。
    5.台切りの時期は,5月より3月のほうがよいが,一番茶の摘採ができる点からは,5月のほうが有利である場合が多い。
  • 江塚 昭典, 吉田 勝正, 牛島 慶一郎
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 20-25
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.チャ萎黄病は従来アリ類の根部食害による栄養障害とされてきたが,病徴からみて疑問があるので,再検討を試みた。
    2.本病の特徴は葉に黄色ないし黄白色,不整形の著しい退色斑を生じることである。萎縮,叢生,奇形化などの症状.は伴わない。枝変わりによるふ入り,ニッケル過剰症による「斑葉」,マンガン過剰症による「黄化葉」,そのほか原因不明とされているモザイク症状などとは明らかに病徴が異なる。
    3.病株から採取した穂木を未耕土にさし木したところ,活着後2年を経ても病状回復の兆候はみられなかった。同じ床土にさし木した健全穂木は全く発病しなかった。
    4.つぎ木伝染は罹病穂一健全台,健全穂一罹病台のいずれの組合せにおいても確認され,つぎ木後2~4ヵ月目に健全側の新芽に典型的な病徴が発現した。罹病穂一健全台の組合せでは,つぎ木が不成功であったのに伝染は行なわれた例もみられた。
    5.以上の結果から,本病は栄養障害や遺伝的原因ではなく,伝染性の病因によることが明らかになった。光顕レベルの病原体は見出されないので,ウイルスまたはマイコプラズマ様微生物のいずれかによると思われるが,病徴からみるとウイルスの可能性が大きい。
    6.本病の分布は佐賀県の一部に限られているが,ツバキ,サザンカの園芸品種には本病に酷似したウイルス性ふ入り(斑葉病)が知られている。また,佐賀県の現地では本病と同様の病徴が周辺の野生サザンカに発生している。本病がツバキ,サザンカのふ入りと同じウイルスによるものかどうか,また,その自然条下での伝染経路が何であるかについては,今後さらに検討を要する。
  • 江塚 昭典, 笠井 久三, 木伏 秀夫
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 26-30
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    わが国におけるチャ白紋羽病の病原菌は従来Rosellinia necatrix (HART.) BERL.とされているが,実際にその完全時代の観察にもとついた報告はきわめて少ない。渡辺(1963)はそのため,わが国に発生する白紋羽病のすべてがR.necatrixによるものかどうかは明らかでないとした。
    本研究ではRoselliniaの完全時代を形成したチャ白紋羽病の標本2点についてその形態的性質を調査した。うち1点は,従来報告されているR.necatrixの記載とよく一致した。しかし,他の1点,すわなち静岡県金谷町産の菌は,子のう胞子の形と大きさがやや異なり,R.necatrixに比べて子のう胞子の長さが長く,その両端は漸尖頭を呈していた。
    この金谷産の菌は,PETCH(1923)がセイロンでチャに寄生することを報告したR.arcuata PETCHに子のう胞子の形が似ているが,長さは一致しない。BUTLER(1918)の図ではR.arcuataの子のう胞子の形は金谷産菌よりもむしろR.necatrixに類似する。なお,チャを侵す他の本属菌としてPETCH(1923)はR.bunodes(B.et BR.)SACC.をあげているが,この菌は子のう殻の表面が小突起におおわれること,ならびに子のう胞子が著しく長くその両端が糸状を呈することにおいて,著者らの菌とは全く異なる。
    結局,金谷産菌の同定はその類似種,とくにR.arcuataとの標本の直接比較を行なったうえでないと困難とみられるので,ここでは保留することとし,未同定のRosellinia sp.として記録にとどめることとしたい。なお,チャ白紋羽病の病名は今後R.necatrixおよびこの未同定のRosellinia sp.の両者に対して適用することを提案する。
  • 長友 繁
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 31-36
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 1970年4月末に新たな茶樹害虫としてコウノシロハダニ(Eotetranychus sexmaculatus RILEY)が鹿児島県川辺郡知覧町に発生した。
    2. 本種の発生と侵入経路の関係は明らかにできなかったが,茶園にも従来から潜在的に発生していたものと推察される。
    3.コウノシロハダニの脱皮回数は雌雄ともに3回で,発育所要日数は1番茶期で卵期間6.6日,幼虫期間雌3.9日,雄4.0日,若虫期間雌6.0日,雄5.3日,卵から成虫までの所要日数は雌16.2日,雄15.0日で雄が雌より約1日短く,これをカンザワハダニと比較すると雌雄それぞれ2.5日短かった。
    4.越冬形態は各態がみられ,年間発生消長はカンザワハダニの場合とほぼ同一傾向を示した。越冬成虫は2月中旬から産卵を開始し,発生は4月中~下旬にピークとなり,5月上旬から減少し夏季の発生は認められず,11月下旬に僅かに発生した。また,被害は一番茶期のみ発生し,4月下旬の摘採期には一番茶芽の下位葉が落葉した。その症状は外観的にはカンザワハダニのものと同一であった。
  • 向笠 芳郎, 小川 茂, 河原崎 邦男
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 37-42
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    施用窒素肥料の土壌中における消長を知るために硫安,硝安,リン安,菜種かす,有機化成肥料を窒素成分で10a当たり30kgに相当する量をうね間に施用し,各施用区から施用後10日ごとに6回,深さ15cmまでと15cmから30cmまでの2個所の土壌を採取してNH4-NおよびNO3-Nの消長を調査した。
    1. NH4-Nは上層に多く,15cm以下の部分では常に上層の含量の半分以下であらた。NH4-Nは上層では施用後10~20日で最も多くなり,40~50日後で半分以下に,60日後ではきわめて少量になる場合が多からた。
    2. NO3-Nの含量はNH4-Nの含量に比べ硝安区以外では常に少なかった。気温の低い時期の施用では硝安区以外では50~60日後でも増加する傾向を示した。NO3-NはNH4-Nのように上層に特に多く含まれることはなく,上層,下層ともに同程度含まれる場合が多かった。
    3. 肥料の種類によりNH4-Nの上層における消長には若干の相違があった。硫安区,有機化成区ではNH4-Nは他区に比べるとおそくまで多く含まれる傾向があった。菜種かす区の上層におけるNH4-N含量は,1972年度は施用10日後から他区に比し少ない場合が多かった。NO3-Nでは,このような傾向がみられなかった。
    4. 1971年度と1972年度におけるNH4-NとNO3-Nの消長はやや相違していたが,これは土壌の採取方法の相違によるものと考えられる。
  • 野原 定夫, 石垣 和義
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 43-52
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    岐阜県下の主要茶産地の土壌である黄褐色粘土・礫質砂壌土および黒ボク粘土において,開園時における"ようリン"による土壌改良法および幼木園の施肥法を確立するため試験を行なった。この結果
    (1) 各土壌ともリン酸吸収力の5%に相当する"ようリン"を施用した5%改良区が生育,収量とも最も良好であることが認められた。
    (2) 幼木園の施肥法については,標準肥・増肥・減肥の3段階と施肥回数6回と12回を組合わせて試験を行なったが,施肥量については標準肥と増肥の差はきわめて小さく,減肥が生育収量ともかなり劣っているのが認められた。
    また,同一施肥量での施肥回数については,増肥では12回が減肥では6回分施が多収を示したが,標準肥では施肥回数による差は認められなかった。
  • 大西 市造
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 53-57
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1. 茶葉温度測定プローブの設定位置を揉盤底部に取り付けた場合は,茶葉との摩擦が強く検出部が破損しやすいことと,茶温よりむしろ揉盤の加熱温度の測定になりかねないので,茶葉の上面と接触している加圧盤に取り付けた。なお,プローブは小型堅牢であることと同時に,指示おくれの比較的少ない高感度の器材を選定する必要がある。
    水分の測定は茶葉との接触頻度の最も高い揉盤の中山から両側2~3枚目の「カシ木」部分にこれと同型のプローブを固定し,作業の便利さから極板は稜線に対し並列に貼り付け,指示計器は電気抵抗式が良好であった。
    2. 茶葉温度および水分は工程初期にバラツキが多く,加圧前と加圧後の測定値に昇降がみられるが,工程の進捗とともにその変動は減少の傾向をたどり,末期には両者とも加圧による影響も少なく,変動の振幅は微少となった。取り出し時における適正な茶葉温度は煎茶の場合56~57℃付近にあり,玉露のほうがこれよりも多少低温(53~55℃)で操作されていた。一方,茶葉水分については,10~13%(WB)の範囲と考えられ,一般に煎茶よりも玉露のほうが幾分多目に,また,みる芽より硬化葉のほうが取り出し時の水分量は少ないようであった。
    試作した茶温および水分検出報知器による取り出し時の測定精度は,茶葉温度の場合,若干指示のおくれがみられるので,水分量の検出に主体を置くほうが適切と考えられる。ここで,本装置の実用化の見通しは得られたが,今後さらに多点切り換えボックスなどの活用により測定範囲の拡大を図るなど,普及に移すための改良を考える必要がある。
  • 1973 年 1973 巻 40 号 p. 58-66
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1) 茶のおいしいいれかたについて,玉露,煎茶,番茶,ほうじ茶の代表的な市販品を用い,夏と冬の2回,茶量,湯量,浸出時間を変えてだしたものを7~11人のパネルに飲ませ順位法で評価し,標準浸出法を決定した。その結果,高級茶ほど,湯量を少なくし,湯温を低くしてゆっくり浸出したほうがうまく,下級茶は湯量を多くし,熱湯もしくは高温の湯で短時間に浸出したものがうまかった。
    2) 標準浸出法を用いるに当って必要な,湯温の調整,得られる液量,液温等を計測した結果,上級茶では用いる湯量が少ないためその20~40%が茶に吸収され浸出液量が少なくなるが,下級茶では湯量が多いため10%程度しか吸収されないので用いる湯量と浸出液量があまり変わらないこと,室温15℃では上級茶の飲用温度が低くなり過ぎ,25℃では下級茶の飲用温度が高すぎる場合があった。
    3)この研究に供試した茶と本会で決めた標準浸出法で得た浸出液について,タンニン,アミノ酸,可溶分を定量した結果,高級茶の標準浸出液は濃度が高く,低温浸出によってタンニンの溶出がおさえられるためタンニンに対するアミノ酸の比率が高いこと,下級茶の標準浸出液は濃度が低く,アミノ酸が少ないことが認められた。
  • 酒井 慎介, 中山 仰, 土井 芳憲
    1973 年 1973 巻 40 号 p. 67-68
    発行日: 1973/12/26
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    幼茶樹の地上部重と静電容量との関係を調査し,両者間に密接な関係を認めた。ただし,茎・葉比率あるいは樹型を著しく異にする個体を含む場合は,なお,検討を要すると考えられた。茎・葉比率,樹型などの条件が近似した材料については,静電容量測定による地上部重推定および苗床選抜への利用は十分可能と考えられた。
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