茶業研究報告
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1974 巻, 41 号
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  • 中山 仰
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 1-7
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 梶田 武俊, 今西 実
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 8-11
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    奈良県下における茶産地別と品質との関係を調べ,次のような結果を得た。
    1)同一産地内においては,一番茶は二番茶よりも全窒素,モリブデン,マグネシウム,ニッケルの含有量が高く,これとは逆に二番茶ではタンニン,ビタミンC,カルシウム,鉄,マンガン量が高い傾向にあった。
    全窒素,タンニン,ビタミンC量については産地別での差はあまり顕著でなかったが,カルシウム,鉄,マンガンは一番茶,二番茶を通じて山添産のものが最高値であった。
    2)各産地とも一番茶は二番茶に比して品質はすぐれており,産地別では月瀬産のものが最良であった。
    なお,分析結果と官能試験結果との間には密接な関係のあることを認めた。
    3)産地の異なる茶について溶出成分量を調べたところ,可溶性窒素量は概して品質良好な茶に多く,溶出率との間に正の関係を認めたが,マンガンは負の関係にあり,カルシウムでは」定の傾向を認めることはできなった。
  • 簗瀬 好充
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 12-15
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    2年生苗,1年生苗およびさし木当年苗を用い,硬質塩ビ製暗箱内に根系部を吊り,水耕培養液を噴霧して栽培したところ,地上部・地下部ともに,土壌に定植した場合とほぼ同様な生育を示した。
    定植後の新根の発生は,約1ヵ月後から観察されたが,定植時に損傷を受けた細根は枯死し,そのまま付着するのみで,定植後の根系は木化根の先端かあるいは基部から発生した新根によって形成された。
    細根の伸長量は6~8月に少なく,8~9月に最も多い傾向を示し,9月以後も12月まで生長を続け,さらに12月頃から木化根への移行がみられた。しかし,さし木当年苗の場合は,木化根への移行までにほぼ1ヵ年を要した。
    地上部と地下部の生長は交互に行なわれ,新芽の生長がおおよそ停止した後に新根の発生がみられた。また,仕立てのために,地上部を強くせん枝した場合は,新芽が発生し,それが生長を完了した後に始めて根の生長が再開された。
  • 青野 英也, 簗瀬 好充, 田中 静夫
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 16-36
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.1972年の春は,3月中旬~5月下旬にかけて,全国的に凍霜害が発生し,近年まれにみる被害を与えたので,その実態のは握と,防止対策の現状,および問題点を検討した。
    2.凍霜害の発生が広範囲に及んだ日は,4月2日,3日,10日および5月3日で,発生日の低極気温は,宮崎,長野両県で-6.0℃に達した。また,この凍霜害によって,摘採期はいずれも遅れ,茨城県大子では約40日も遅延した。さらに,収量も,一部の地域を除いて減収し,茶の価格は上昇したものの,収益減は免れ得なかった。
    3.立地条件,栽培条件と被害発生との関係は,すでに1950年代に得られた被害時の知見と,ほとんど変化はみられなかった。しかし,凍霜害防止対策については,当時は被覆法,燃焼法あるいは煙霧法など,古くから行なわれていた方法が用いられていたのに対し,この年の場合には送風法,散水法などの新しい方法の導入がめだった。
    4,各種防箱法の効果については,被覆法の場合,こも,かんれいしゃなどしゃ閉度の強い材料は,かなり効果がみられたが,低温の度合いが強い場合には,完全には防ぎ切れなかった。しかし,その場合でも被覆を行なったものは,回復がかなり早いようであった。さらに,送風法,散水法についても,それぞれ効果が認められているが,まだ実用上では問題点を残しており,失敗例もかなりみられた。そのほか燃焼法,煙霧法等も実施例がみられたが,ほとんど効果はみられていなかった。
    なお,本調査に当たっては,農林水産技術会議事務局からご高配を賜わり,また,各府県の実態については,それぞれの研究指導機関に多大のご迷惑をおかけした。記して深甚なる謝意を表する次第である。
  • 木伏 秀夫, 江塚 昭典, 笠井 久三
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 37-43
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1954年,静岡県下でチャ輪斑病の病徴を呈するチャ品種なつみどりの葉および若い茎に2種のPestalotia属菌が寄生しているのが認められた。
    そのうち1種は,従来チャ輪斑病の病原菌とされてきたPestalotia theae SAW.と形態的性質がよく一致した。他の1種は沢田(1913,'15)が台湾においてチャに弱い寄生性を示すことを報告したPestalotiap palmarumCKE.の沢田による記載にきわめて類似していた。
    GUBA(1929,'32)はPestalotta属菌の寄主特異性を強調し,本属菌の種の寄主範囲は1種ないし近縁の属に含まれる数種の植物に限定されると述べた。彼によれば,P.palmarum CKE.の寄主植物はヤシ類に限られ,チャを侵すPcstalotia属菌はP.theae SAW.に限られるという。
    しかし,GUBAの主張とは相反するが,わが国およびおそらくは台湾において,チャを侵す他種のPestalotia属菌が存在することは事実である。この著者らの菌はP.theae SAW.に比べて,分生胞子が短小であること,有色3細胞のうち上部2胞が他の1胞よりもつねに濃色であること,ならびに付属系の先端が膨大しないことにおいて明らかに異なる。本菌の形態はむしろGUBAによってヤシ類上の菌について注意深く記載されたP.palmarum CKE.の形態に近い。しかし,GUBAの記載によるP.palmarumCKE.は有色細胞の上部2胞が他の1胞よりも「ときに濃色」であること,および付属糸の先端が「しばしば膨大」することにおいて,著者らの菌とはやや異なる。この程度の軽微な差異によって種を分けてよいかどうかはむずかしい問題である。その判断はGUBAの提唱したPestalotia属菌の寄主特異性がどの程度妥当なものであるかにかかってくるであろう。この研究においては,著者らのチャの菌とヤシ類のP.palmzarum CKE.との交互接種試験の成績を欠くため,その点についての考察を進めることができない。よって著者らのチャの菌についての結論的な同定はここでは保留することとしたい。
    この未同定のPestalotia sp.とP.tleeue SAW.とによるチャの病徴には全く差がみられず,両者の肉眼判別は不可能である。したがって,今後は両菌による病害を含めてチャ輪斑病(grey blight)の病名をあてることとし,原(1956)が著者らの未同定菌による病害に対して与えたチャ輪紋病の呼称は抹消することを提唱する。
  • 寺田 孝重, 今西 実
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 44-47
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    奈良県において茶樹に発生するクワシロカイガラムシ(Psendaulacaspis pentagona TRAG.& Tozz.)雌成虫上に,濃紅色の子のう殻や,赤橙色の分生子褥が形成されているのが観察された。
    分生子褥は,クワシロカイガラムシの増殖する梅雨期より散見されるようになり,これができるとクワシロカイガラムシの密度は低下する。このため本病菌の分離,同定を試みた。
    虫体上の子のう胞子はだ円形で,中央に1隔膜を有し,大きさは15~22×8~9μ,分生胞子は新月形で7~11隔膜があり,大きさは89~131×5~7μであった。この子のう胞子および分生胞子の単胞子分離株をmalt agarやpeptone glucose agar等の培地に25℃で培養すると,白色の菌そうを作り分生子褥上に分生胞子を形成する。この分生胞子の大きさは101~153×6~8μで虫体上の分生胞子と形態もほぼ同じであった。
    DINGLEYおよびBOOTHの分類に従うと,本菌の完全世代は,子のう胞子の形態よりNectrian flammea(Tulasne)DINGLEYと同定され,分生胞子より見た不完全世代はFusariumz coccophilum (Desln.) Wollenw, & Reink.に所属する。
    本菌の和名については,野村の言うカイガラムシ猩紅病菌が適当と考えられる。
    本菌は,常発的に出現することから,微生物防除に利用する方向が考えられる。
    本研究に当たり,分離菌株の分与と御助言を頂いた財団法人醗酵研究所の横山竜夫博士,文献の提供と御指導を頂いた京都大学の内田俊郎教授ならびに住友化学の藤本敬明氏に深く感謝する。
  • 山西 貞, 内田 温子, 川島 洋子, 藤波 大和, 宮本 眞紀子
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 48-53
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    さやまみどりの煎茶製造には萎凋操作を加えて,独特の芳香を発揚することが行なわれている。この現象とさやまみどりの特殊香気の本質について研究し,次のことが明らかとなった。
    1)さやまみどりはやぶきたに比べ,リナロール,α-テルピネオ~ル等のモノテルペンアルコールは少ないが,甘い花香を有するネロリドールが著しく多い。
    2)さやまみどりには木のにおいをもつ1種の未知物質が存在するが,萎凋によりこれはエステル(菊またはセリ様の香)に変わる。
    3)インドールはさやまみどりに多く,これが多すぎると不快なにおいになる。萎凋により,インドールは減少する傾向があり,この処理により香りのバランスが好ましいものになると考えられる。
    4)酸の中,不快臭であるカプロン酸は萎凋によって著しく減少し,好ましい香りのエステルに変わる。
  • 増沢 武雄
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 54-58
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    光線を照射した茶の品質の変化を官能検査,ガスクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィー,茶の表面色およびフェオフィチンの変化などの分析手法を用いて検討した。
    その結果,茶に光線を照射することにより香気と滋味が著しく劣化したが,色沢および水色は影響が少なかった。
    変質した香気成分をガスクロマトグラムで分析すると,ヘッドスペースガス分析で大きく変化したものは,6個のピークで,減圧蒸留・エーテル抽出した香気濃縮物のガスクロマトグラムの結果から,13個のピークが増加し,リナロールに相当するピークが減少することを認めた。
    薄層クロマトグラムによりクロロフィル類の変化,測色々差計で茶の表面色の変化を検討したが,ほとんど差が認められなかった。
    また,クロロフィルのフェオフィチンへの変化は,きわめてわずかであり,光線により茶の外観の変化は少ないことを確認した。
  • 塩野 輝雄
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 59-67
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.火入れによる茶の経時変化は,棚式,透気式乾燥機と,胴あぶり式火入れ機の3機種を用い,水分,茶温の経時変化と,茶の品.質に関連の深い固形緑色とクロロフィル,水色濃度,可溶分,水溶性窒素,タンニン含量などの推移を調査した。
    棚式の火入れ工程中の水分減は,応用時間が長くなるに従い乾燥速度は鈍くなり,茶温は4時間後に恒温に達する。緑色の減退は3時間,水色濃度の増加は21時間,可溶分,水溶性窒素の増量は1時間火入れ時に顕著にあらわれ,タンニンは経時的に減少する。胴あぶり式の乾燥速度は1時間経過後に水分はほぼ恒量となり,茶温の上昇も鈍化,退色と水色濃度の増加もこの時点が大きい。可溶分,水溶性窒素は火入れ度が高くなるに従い浸出度は増し,タンニンは少なくなる。透気式は25分以内の応用では経時的に水分は減少し,茶温が高くなることは前2法と異なる。緑色と水色変化は少なく,可溶分の増加もわずかである。
    2.茶の火入れ温度と時間については,(1)透気式では機内温度9℃~110℃で20分~25分,(2)胴あぶり式はかくはん操作による外観の劣変状況から,応用時闇は60分が限度で温度は排気で上茶140℃,並茶は150℃が良い。(3)外観の劣変を防ぎ香味の発揚を図るためには,透気式と胴あぶり式の併用が有効なので,この方法を分析細分化して行なった結果,透気式で90℃,20分間,胴あぶり式で150℃,40分間の応用が適切である。
    3,使用原料と火入れとの関連は(1)茶葉の蒸熱度と火入れについてみると,若蒸し茶よりも蒸度の高い荒茶のほうが火入れ効果は大きく香味の発揚が期待できる。(2)茶の粒度の大小と火入れとの関連は,加熱方法の違いから透気式では荒茶,胴あぶり式では再製茶のほうが火入れ効果が高い。
    4,茶火入れの省力化と品質の改善を目的として,透気式と胴あぶり式の両者を連結した構造の火入れ機を試作した。一応の成果は収めたが胴あぶり式に比較して濃厚味に乏しく,改善の余地がある。
  • 河合 惣吾, 坂本 裕, 松尾 勇
    1974 年 1974 巻 41 号 p. 68-78
    発行日: 1974/06/20
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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