茶業研究報告
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1977 巻, 46 号
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  • 増田 清志, 鈴木 由恵, 安間 舜
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 1-8
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    荒茶中におけるアミノ酸の品種間差を検討した。
    分散分析の結果品種間に有意差が認められたのは一番茶でリジン,ヒスチジン,アルギニン,アスパラギン酸,スレオニン,テアニン,グリシン,アラニン,全アミノ酸,二番茶ではヒスチジン,アルギニン,セリン,テアニン,グリシン,全アミノ酸であった。
    とくに目立った特徴を示す品種は次のとおりであった。
    一番茶
    ヒスチジンを多く含むNN48,NN49,ほとんど含有しないNN38
    アルギニンを多く含むふじみどり,なつみどり,NN47,NN48,NN49
    アラニンを多く含む やえほ,あさつゆ
    リジンを多く含むNN48
    テアニンを多く含むNN50
    全アミノ酸を多く含むNN49,NN50,二番茶
    アルギニン,セリン,テアニン,全アミノ酸をとくに多く含みグリシンもかなり多いふじみどり
  • かん水の効果および施肥,薬剤散布への利用
    此本 晴夫, 鈴木 幸隆, 木村 政美
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 9-28
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園におけるスプリンクラーの多目的利用のうち,かん水の効果,施肥,病害虫防除について検討した。
    1,かん水の効果気象条件とかん水の効果との関係はかなり明確で,降水量が少ないか降雨の分布の悪い年はかん水の効果が高い。土壌の保水性とかん水の効果との関係もかなりはっきりしており,保水性の悪いほ場はかん水回数が多く,かん水の効果も高い。茶期別のかん水の影響では,二~三番茶での効果が高い。
    品質に対する影響をみると,干ばつ時にかん水することにより品質が向上する傾向がみられた。
    土壌水分張力をもとに最適かん水点を調べた結果,pF2,3程度でかん水したものが生育は最もよかった。
    2,施肥年間液肥のみを施用した場合,慣行施肥区より収量が減少した。液肥を利用する方法としては,秋,春肥は慣行法により,夏肥のみ液肥を用いるのが適当と考えられる。
    液肥を施用することにより品質が向上した。特に開葉期の散布の効果が高かった。
    散布する液肥の濃度としては,新芽のある時は200倍(窒素濃度15%の液肥の場合),新芽のない場合は100倍程度とすればよい。
    単肥を溶かして使用する場合は尿素が適しており,硫安は被害が発生し易く不適当である。
    3.病害虫防除M2型スプリンクラーを中心に検討した。
    M2型スプリンクラーとM1型スプリンクラーを比較すると,防除効果ではM2型がやや劣るものの,いずれのスプリンクラーを使用しても実用上は問題がない。
    交差散布と無交差散布での防除効果を比較すると,交差散布の効果が高い。配管に当たっては最大限散布半径(約15m)より3~4m長い程度にするのが適当である。
    スプリンクラーによる薬剤散布は,風の影響を受け易いので,できるだけ風の弱い時を選んで散布すると同時に,噴出角度の低いスプリンクラーを使用したほうがよい。
    ダニ類の防除に当たっては,散布量を10a当たり800~1000l程度とする(一般の防除では400~500l/10aが適当とされている)。
    スプリンクラーにより周年防除を行うには,早,晩生品種が混在していると防除が困難な時期がある。品種統一が必要である。
    現地の施設について,残液量を調査した結果,濃度により差はあるが,1500倍で400l/10aを散布すると原液換算で約36%が残る。一次稀釈液槽の構造を工夫するとともに,配管内の残液を押し出す施設を併設することが必要である。
    本試験を行うに当たり,いろいろと御助言をいただいた当場環境研究の小泊重洋主任研究員,大場正明技師に厚く感謝の意を表する。なお,本報をとりまとめるに当たって,懇切なるご指導を賜った農林省茶業試験場茶樹第3研究室青野英也室長に対し厚くお礼申し上げる次第である。
  • 丹羽 千秋, 山本 良三
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 29-37
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    山間地域の茶の生産や価格に凍霜害,寒干害が及ぼした影響を,岐阜県東白川村の標高300mから650mの間に存在した茶業農家90戸について調査した。
    平年では単位出荷量の標高間差異は認められなかったが,単位出荷額は標高の高い地域ほど低下した。凍霜害年では,平年より生葉の出荷時期が遅延し,標高の低い地博ほど影響が大きく,単位出荷額は標高間に差異が少なかった。寒干害年での単位出荷量と出荷額は,ともに標高の高い地域の減少が目立った。
    総じて山間地では,標高の高い所ほど収穫期は遅く,出荷額は低く,気象災害の影響も大で,経済的にきびしいといえよう。
    本調査は,著者め一人丹羽が昭和50年4月から昭和51年3月まで,名古屋大学農学部留学研修中の課題として行ってきたものであり,その間,調査にご協力下さった作物学研究室の石川雅士技官,計算に便宜を与えられた農業経営学研究室の諸氏に対して深く感謝を表する。また,本調査の基礎は,岐阜県東白川村,農協,各茶生産組合均から提供された資料に負う所絶大であり,関係各位のご厚意に心から謝意を表する次第である。
  • 野中 寿之, 植原 一雄
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 38-47
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.鹿児島県内の各地の茶園で発生がみられた新病害・輪紋葉枯病の発生状況を調査するとともに,病原菌の形態,性状および若干の発生生態について試験を行った。
    2.本病の病徴は,葉に典型的な輪紋を生じる赤褐色の病斑を形成し,激しく落葉する。病斑部には標兆である病原菌の菌糸塊が形成される。
    3,病斑上に形成される菌糸塊は,白色キノコ形で,直径400~500μ,高さ200μ位で,病斑,培地とも光照射で形成が誘起され,感染はこれによっておこる。
    4.本病の病原は菌類(糸状菌)の一種であるが,繁殖器官である胞子が未確認であるため,その分類学的位置は明らかでない。
    5.古くなり黒変した菌糸塊の内部,培養菌叢の表面および湿室においた病斑の表面には,2~3μの胞子様球状粒子の形成が認められるが,発芽は認められず,これを胞子と判断することはできなかった。
    6.本病の発生は3月から5月に多く,夏季には減少する。発生誘因としては春季の降雨の影響が推察され,夏季の発生減少は病原菌の生育適温がやや低いこと,病斑の小さい新葉の増加で菌糸塊形成量が減少することが原因と思われる。
    7.接種における葉の発病率は,新葉が古葉に比較して高いのに対し,病斑拡大はこれと反対に古葉で高かった。この原因としては,葉の侵入抵抗と機能抵抗の関与が示唆された。
    8,接種試験の結果,菌糸塊は無傷で,菌叢では付傷した場合にのみ発病がみられたが,胞子様球状粒子および黒変した菌糸塊の病原性は認められなかった。潜伏期間は2~3日であった。
    9.本病の発病と温湿度との関係を調べた結果,発病は温度の場合10~25℃の範囲でみられ,発病率は低温側で高く,病斑拡大は高温側で大であった。空気湿度との関係では98%以上の湿度で,湿室時間が36時間以上において発病がみられた。
    10.接種試験において発病の品種間差異はみられなかった。
    11.本病原菌の寄主範囲を調べた結果,ツバキ科を中心にかなり多数の植物で発病がみられ,本病原菌が比較的多犯性であることが判明した。チャ以外では,緑化樹として栽培されるハマヒサカキの苗木に対しても激しい被害がみられた。
    終りに,本研究の遂行にご便宜と終始ご指導をいただいた当場岡村克郎場長ほか場研究員の方々に,深く感謝する。
  • 寺田 孝重, 信濃 和喜, 今西 実
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 49-53
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.従来クワシロカイガラムシと呼ばれた種をクワシロカイガラムシとウメシロカイガラムシに分割すべきであるとの意見が出されたので,奈良県の茶産地を中心にこれの同定を行った。
    2.チャに寄生していたものは,従来のクワシロカイガラムシであり,クワ,カキ,クズからも同じ種が検出された。
    サクラ,ウメからはウメシロカイガラムシが採集され,また,同一地域内における両種の発生が認められた。
    3.モモ,ヒイラギ,キンモクセイには両種の寄生が認められたが,同一樹での混在は見られなかった。
    4.同一地点におけるクワシロカイガラムシとウメシロカイガラムシの産卵期,フ化期等は,ほぼ同一で差がないものと思われた。
    おわりに,吉野地域の標本採集に協力して下さった宇陀農業改良普及所の稲村義文技師ならびに色々御助言を頂いた農林省茶試の高木一夫技官に感謝の意を表する。
  • 原 利男, 久保田 悦郎
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 54-57
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    市販煎茶の品質評価のための官能検査法を検討した。その結果,6段階のカテゴリ一によって外観と香味を判定する方法が簡便で,市販煎茶の等級別の区別などは十分に信頼できる精度で行うことができた。
    この方法と別報で報告した物理的および化学的評価法を併用すれば,市販煎茶の品質解析なども十分できるものと考える。
    この調査を行うに際し,試料の入手にご協力いただいた静岡県茶業会議所矢野禎一氏,官能検査をお願いした農林省茶業試験場製茶部の研究員各位に深く感謝いたします。
  • 泊 純, 松久保 哲矢, 嶽崎 亮, 中村 憲夫, 松山 康甫
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 58-65
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園の大型機械化作業体系を確立するため,茶うねをまたぐハイクリヤランス型Tea Garden Tractor-62(TGT-62)と,これに装着する各種作業機を考案試作し,それぞれについて試験した。その中で摘採整枝機については,本研究報告第37号にすでに報告したが,引き続き中耕機,防除機,除草剤散布機,作条機,覆土機についてその性能試験を行った。
    1.中耕機のほ場作業量は,1年生園で10.5a/hr,2年生園で19.6a/hrであったが,旋回時に中耕機を上げるのに補助者を要した。さらに耕うん幅が450mmで耕深が100mmであり,耕うん幅が狭いことから,幼木園は2~3行程で作業した。また,耕深は100mmが限度であるため,深耕作業はできなかった。
    2.防除機(工型)は作業性能が悪く改造した。改造した防除機(II型)のほ場作業量は90.6a/hrであったが,ブームノズルの調節装置やタンク容量,給水ポンプの装着等の検討が必要であると思われた。
    3.除草剤散布機のほ場作業量は,2年生園で29.9a/hrであったが,成木園用除草剤散布機の試作が必要であると思われた。
    4.作条機のほ場作業量は,定植前の施肥溝の作条で24.9a/hr(2行程)であり,定植溝の作条で20.0a/hrであった。覆土機のほ場作業量は34.2a/hrであった。
    5.TGT-62の機関は,軽自動車の4サイクル空冷ガソリンエンジンであり,作業中の負荷変動や燃料経済性等が問題である。さらに機関の最大出力は10PS(農用トラクタとして推定)であるが,トランスミッション,PTO,ブレイキ(旋回)等の機構が農用機として不十分であった。
    次に茶園のうね幅が180Cmであることから,輪距が1,700mmでは茶園のすそ部に損傷が見られるので,うね幅に見合った輪距とすべきことがわかった。
    この研究を遂行するにあたって,ご指導とご援助を賜った元農林省蚕糸園芸局畑作振興課荒井藤光氏,元農林省茶業試験場長加藤博氏,元同枕崎支場長故上野健二氏,TGT-62の附属作業機の製作をしていただいた瑞穂産業株式会社,株式会社有馬虎夫商店,松元機工の方々に対し深く感謝の意を表します。
    また,この報告の取りまとめにあたって,ご指導とご援助を賜った鹿児島県茶業試験場長岡村克郎氏,同栽培研究室長岡本信義氏,実験その他に絶大なる協力を下さった当場職員の方々に対しても感謝いたします。
  • 中川 致之, 天野 いね, 阿南 豊正, 小野田 恭久, 向笠 芳郎, 大森 薫, 太田 勇夫
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 66-73
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    カフェイン,カテキン,遊離還元糖,ビタミンC.水溶性ペクチン,アミノ酸分析法,クロロフィルのフェオフィチンへの変化率の測定法の精度を明らかにするため,3国公立試験場所の分析試験室において,それぞれ4種の煎茶試料を3平行,3反復で測定し,クロスチェク試験を行った。
    上記7分析法の測定値について,試料,試験室を要因とする二元配置の分散分析,変動係数の計算,試験室,繰り返し,平行試験を要因とする一元配置の分散分析,室内,室間許容差の計算の統計的処理を行い,精度を検討した。
    その結果,カフェイン分析法は変動係数が小さく,室内,室蘭の精度がともに高かったので,茶の標準分析法として適用できると考えられた。
    アミノ酸分析法は変動係数が比較的小さく,室内,室間精度が比較的高かったが,若干の問題点があるので,目的を限定した分析法として適用すべきであると考えられた。
    カテキン,ビタミンC分析法は,室内精度は高かったが,室間精度がよくないので,室間精度を高くするよう改良が必要であると考えられた。
    遊離還元糖,水溶性ペクチン分析法は,測定値の変動係数が大きく,分析法全般にわたる再検討が必要と考えられた。
    クロロフィルのフェオフィチンへの変化率の測定法は,分析試験室による測定値の相違が大きく,分析方法の再検討が必要であった。
    この実験を行うに当たり,種々御助言を仰いだ茶業試験場岩浅潔技官,田中伸三技官に深く感謝します。
  • (摘採,整枝に関するアンケートの集約)
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 74-77
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 西条 了康
    1977 年 1977 巻 46 号 p. 83-88
    発行日: 1977/09/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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