茶業研究報告
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1978 巻, 47 号
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  • 日高 保, 倉貫 幸一
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 1-10
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    A new tea variety named "Ooiwase" is a clone suitable for green tea. It was bred by the Cultivation Laboratory of Shizuoka Tea Experiment Station and was adopted as a recommended variety of Shizuoka prefecture in February, 1977. "Ooiwase" originated from the F, hybrid of "Yaeho" (the superior early variety) ×"Yabukita" (the superior medium variety).
    "Ooiwase" is a early variety with a intermediate growth habit and numerous shoots. The sprouting time of this variety is about ten days earlier, and the plucking time is about five days earlier than those of "Yabukita", respectively.
    The superior characteristics of this variety are vigorous growth, high yield and fine quality. The yield is greater than that of "Yabukita", and its quality is as good as that of the "Yabukita" and it is the best among early varieties and clones. Cuttings of this variety root readily and show good growth after rooting and planting.
    The warm areas of Tokai, Kinki and Kyushu regions are adapted to cultivation of this variety. As "Ooiwase" is a early variety, the cultivation is recommended in the warm areas where the tea plant rarely suffers from frost injury or in frostless zones.
    One case of the varieties combination for the rational management of the tea industry is as follows ; a early variety "Ooiwase"-a medium variety "Yabukita" - a slightly late variety "Kanayamidori"- a late variety "Okumidori".
  • 家弓 実行, 鳥屋尾 忠之, 黒木 重光
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 11-16
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    枕崎支場に栽培している主要品種の萌芽期を調査し,この結果と各地の作況試験成績をもとに,やぶきたの晩霜害の再現期間を求め,また早晩性品種の晩霜害の再現期間を推定した。
    1)品種の萌芽期の早晩は,最も早い品種と遅い品種とでは約25日間のひらぎがあった。この萌芽期と摘採期の早晩は,品種固有のもので,霜害を受けなければ年次や場所は変わっても,品種相互の関係は大きくは変わらない。
    2)平均終霜日(A)と平均萌芽日(B)から霜害危険度を(A-B)とすると,各地作況試験におけるやぶきたの平均萌芽日は多くの地域で平均終霜日に接近し,霜害の危険度がかなり大きいことがわかった。また,この危険度と霜害程度との相関係数は0.960できわめて密接で,これによる霜害危険地の判定ができることがわかった。
    3)各地の霜害危険度に対するやぶきたの霜害の再現期間から,次式の指数回帰式(一致係数0.832)に当てはめて晩霜害の再現期間をプロットした(図4)。
    y=3.49e-0.0086x
    y=晩霜害の再現期間(年)
    x=晩霜害の危険度(日)
    4)ここで得られた式から,作況試験地の霜害危険度の日数を品種の早晩性に置き換えれば,品種の晩霜害の再現期間が推定できることを明らかにした。
    5)最近各地で晩霜害が多くなった原因として,在来種から品種(やぶきた)に変わったことがあげられ,これまでより1,8~2.4倍の頻度で霜害を受けていることを指摘した。
    本報では,各府県茶業試験場の作況試験成績ならびに鹿児島県茶業試験場の「茶樹品種の地域別特性調査」のデータを使わせて頂いた。ここに厚くお礼申し上げる。また,種々ご協力を賜った枕崎支場茶樹第1研究室松下繁,武田善行両技官に厚く感謝の意を表する。
  • 凍霜害防止と潮風害防止への利用
    此本 晴夫, 鈴木 幸隆, 木村 政美, 竹中 肇
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 17-23
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園におけるスプリンクリーの多目的利用のうち,凍霜害防止,潮風害防止について検討した。
    1凍霜害防止
    (1)1970年3月23~24日と1971年1A22~23日の2回散水試験を行った。1970年のとぎは最低気温-5.2℃,無風,湿度80~90%といった気象条件で,3.1mm/hの強度で散水し,葉温を0℃前後に保つことができた。1971年の場合は最低気温-0.1℃(株面最低温度-2.0℃),無風,湿度80~90%という気象条件で,散水強度4.3mm/hで散水した結果,葉温を0℃前後に保つことができた。
    (2)1971年の試験の際,放射量を測定した結果,ほぼ0.1cal./cm2minであった。
    (3)1971年の試験で,水滴捕そく率(付着水:量/散水量)を測定した結果,散水強度により差があり,2.8mm/hの時0.5,4.3mm/hで0.3,9.1mm/hで0.2となった。また,氷結量は散水強度4mm/h程度での1.3~1.4mm/11ほどであり,散水強度9mm/hのとぎは1.8mm/h程度であった。
    (4)1971年の試験当夜の気象条件をもとに,NIEMANの関係図を利用して必要水量を算出すると1.1mm/hとなった。さらに水滴捕そく率(0.4),散水効率(0.7)を考慮すると、必要散水量は2.6mm/hとなった。
    (5)過去の凍霜害時の気象条件(株面温度-3~-5℃,風速0~1m/s,湿度80~90%)をもとに必要水量を算出すると,2.6~4.0mm/hと考えられる。
    2潮風害防止
    (1)散水量と除塩効果との関係では,無散水区を100とすると,1mm散水で63,2mmで44,4mmで23,10mmで6と減少した。
    (2)洗じょうによる葉層別の除塩効果をみると,上層(株面より3cmの深さ)は1mm散水で無散水区の60%,4mmで10%以下となる。中層,下層では無散水区の15~30%の塩分が残るが実害は少ない。
    (3)塩分付着後散水までの時間は,4時間以内に行えば効果は高い。しかし,8時間以内であればある程度の効果は期待できる。
    以上の結果より,潮風害防止を行うには,4mm以上の水を4時間以内に散水する必要がある。8時間以内であればある程度の効果は期待できる。
  • 野中 寿之, 植原 一雄
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 24-32
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.本病の発生上重要な菌糸塊の形成条件と病原菌の越冬,一次伝染の方法などについて調査,検討を行った。
    2.病斑上の菌糸塊形成は4~5月頃に最も多く,新葉病斑での形成はきわめて少なく,これは夏季の発生減少の一要因と推察された。
    3.病斑における菌糸塊形成には,適度の水分と自然光またはBLBライトの照射が必要であったが,密閉した容器中での形成はみられなかった。
    4.培養菌における菌糸塊形成は,光照射,特に近紫外光であるBLBライトの照射で良好であり,自然光の場合,7,000~20,000Lux,照射時間は長いほど形成量は増加した。
    5.培養条件と菌糸塊形成との関係について検討した結果,菌叢生育の良好なPDA培地で形成量は多かった。培地の庶糖濃度が2.0~3.0%で,菌叢が若い生育旺盛なもの,さらに培養温度が15~27.5℃で菌糸塊の形成が最も多かった。
    6.菌糸塊の発芽は20~25℃が適温で,空気湿度は87%以上で認められたが,その発芽能力,病原力は短期間であっても,その保存条件によって変化した。
    7.病原菌の各種環境条件における耐性をしらべた結果,低温,乾燥および日光に対しては安定で,高温に対する死滅点は菌糸塊が65~70℃,菌叢が50~55℃で,菌糸塊は高温に対しても比較的安定であった。
    8.菌糸塊の生存期間をしらべた結果,乾燥条件で,10℃以下の低温では500日後においても発芽がみられたが,多湿,高温条件では短期間に発芽力を失った。
    9.前年落葉した病葉での病原菌の生存は確認されなかった。病原菌の越冬は樹上に残った越冬病葉中で行われ,春季この大型病斑に形成された少量の菌糸塊で一次伝染がおこり,発病した新発病葉に形成される多量の菌糸塊で発生が拡大していくものと推察された。
  • 大場 正明
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 33-38
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶園におけるカンザワハダニの増殖と平均気温との関係について,1966~1977年の調査結果を用いて解析した。
    1.カンザワハダニの増殖密度とその間の経過日数との関係は,密度を対数に変換することにより回帰式で近似的に表わすことができた。
    2.これらの回帰式の方向係数とそめ間の平均気温との関係も,Y=aX+bなる一次式で表わすことができた。この式より増殖率0の平均気温を求めると,両園を合わせた調査結果からでは8.0℃となり,卵の発育限界温度8.7℃に比較的近かった。それぞれの茶園についてみると,分場のやぶきた園では8.7℃で一致しているが,本場の在来園では7.0℃でやや低くかった。
    3.両茶園を合わせた回帰式を用いて各平均気温における10日間の増殖率を求めると,15℃-1.8倍,20℃-2.8倍,30℃-3.8倍となった。また,分場のやぶきた園の方が本場の在来園より気温が高くなるほど増殖率が大きくなった。
    4.以上のことから,増殖には温度条件の支配が大きく,また安定的な増殖は少なくとも平均気温が16~26℃ぐらいの間に起る。
  • 刈屋 明
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 39-41
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    チャノコカクモンハマキ卵塊の簡易冷蔵による孵化率の変化を検討した。
    家庭用冷蔵庫(5±1.5℃)に冷蔵した場合,5日間の冷蔵ならば,産卵後26℃で0~5日経過した卵塊は91.7~80.0%孵化した。10~15日間冷蔵した場合,産卵後0~2日までの卵塊は91.7~50.0%が孵化した。20日間以上の冷蔵は困難であった。
    以上の結果から,2組の累代飼育の系統を維持し,それに15日間の卵塊の簡易冷蔵を組合わせれば,ほぼ常時必要とする供試材料が入手できると考えられた。
  • 奈良県茶園における優占種とその季節的消長
    寺田 孝重, 今西 実, 信濃 和喜
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 42-47
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1.茶園におけるクモ類相は柑橘園等と共通な要素(アサヒエビグモ,ハエトリグモ類),水田等と共通する要素(ヤミイロカニグモ,ニセァカムネグモ等)および茶園に独特な要素(ユウレイグモ,ネコグモ)の三つの要素から構成されているものと考えられた。
    2.茶園における優占種と考えられるものの中で,ネコグモ,ユウレイグモ,ササグモ,クリチャササグモ,アサヒエビグモ,ヤミイロカニグモおよびフクログモsp.について,その年間消長と生態について観察を行い,ササグモ,クリチャササグモ等については,その産卵期等の検討を行った。
    終りに,本研究について終始懇切な御指導,御協力を頂いた追手門学院大学の八木沼健夫教授に深く御礼申上げます。
  • 三輪 悦夫, 高柳 博次, 中川 致之
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 48-52
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    葉位による化学成分含量の相違について,一番茶,二番茶を対象に検討した。
    (1) 葉位が下がるほど含量が減少した成分は,全窒素,タンニン,カフエインであった。茶期別にみると,一番茶に全窒素が多く,二番茶ではタンニン,カフエイン含量が多かった。
    (2) 葉位が下がるほど含量が増加した成分は,遊離還元糖,フラボノール類,塩類可溶性ペクチン,全ペクチンであった。
    (3) カテキン類のうち,特にエピガロカテキンガレートは,上位の葉および二番茶に多かった。
    (4) アミノ酸類のうち,テアニン,グルタミン酸,アルギニン,アスパラギン酸,セリンは,一番茶の上位の葉に多く,二番茶では著しく減少が認められた。
    (5) 無機成分含量のうち,上位の葉に比較的多く含まれる成分は,カリウム,リン酸,マグネシウム,亜鉛であった。下位の葉に多く含まれる成分は,カルシウム,マンガン,アルミニウムであった。
    本研究は,著者の1人三輪が,農林省茶業試験場において,国内留学中に行ったものであり,実施にあたり御指導,御協力をいただいた阿南技官,天野氏に,また,無機成分分析で御指導をいただいた池ケ谷技官に深く感謝いたします。
  • 鈴木 勝弘, 滝谷 洋, 中野 不二雄
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 53-55
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶葉管理上および製茶機械の改善,開発の資料を整備するため,茶葉の基礎的物性値である安息角,かさ密度および実比重を製茶工程別の茶葉について測定した。その結果を要約すると次のとおりである。
    1. 製茶工程別の安息角には一定の傾向はなく,42.6~52.1°の範囲内であった。
    2. かさ密度は,製茶工程によって大きく変化することは認められないが,生葉の約4倍に増大する。
    3. 実比重:は,製茶工程が進み含水率の減少することによって漸増し,その範囲は1.17~1.35であった。
    4. 製茶工程中に変化するボリュームは,乾量基準比容積を基調とした指数で表現することができる。
  • 斎藤 嘉, 落合 勝義, 松本 五十生
    1978 年 1978 巻 47 号 p. 56-61
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    狭山茶の火入れによる香味の改善策として,和紙利用による火入れ機を開発したので,その使用方法について検討を加た。
    1) 試作した火入れ機では,毎分胴1回転×扇風機70回
    転(茶温97℃)と,胴3回転×扇風機70回転(茶温95℃)の火入れ処理が最も火入れ香が良好であり,茶温の推移から良い火入れ香味の発揚を促すためには,茶温で95℃前後が最も適切で,90℃以下では火入れ不足の傾向を認めた。
    品質の総合的な見知から,攪拌型(胴あぶり式)火入れに比べ試作機による火入れ香味が優れており,焙炉火入れに似た特徴のある香気が得られ,火入れ香の強い中にも柔らかい深みのある香気で,味は甘味を増すことが認められた。
    2) 試作火入れ機による火入れの目的は,上級茶に応用するため開発したもので,従来の胴あぶり式と比べ,締り度の強い茶ほど外観で色沢をそこなわずに火入れを行い,香味の発揚も容易である。また,茶が大型になるほど白ずれし,色沢を損なう傾向が認められた。
    おわりに,本試験遂行にあたり,火入れ機の試作については伊達機販株式会社,ならびに同社元埼玉出張所長成岡武司氏に深く感謝の意を表します。
    また,本試験中の火入れ香など分析および助言をいただいた農林省茶業試験場原利男室長ならびに久保田悦郎技官に深じんなる謝意を表します。
  • 1978 年 1978 巻 47 号 p. e1a
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 47 号 p. e1b
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 47 号 p. e1c
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 47 号 p. e1d
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 47 号 p. e1e
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 1978 巻 47 号 p. e1f
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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