茶園におけるスプリンクリーの多目的利用のうち,凍霜害防止,潮風害防止について検討した。
1凍霜害防止
(1)1970年3月23~24日と1971年1A22~23日の2回散水試験を行った。1970年のとぎは最低気温-5.2℃,無風,湿度80~90%といった気象条件で,3.1mm/hの強度で散水し,葉温を0℃前後に保つことができた。1971年の場合は最低気温-0.1℃(株面最低温度-2.0℃),無風,湿度80~90%という気象条件で,散水強度4.3mm/hで散水した結果,葉温を0℃前後に保つことができた。
(2)1971年の試験の際,放射量を測定した結果,ほぼ0.1cal./cm2minであった。
(3)1971年の試験で,水滴捕そく率(付着水:量/散水量)を測定した結果,散水強度により差があり,2.8mm/hの時0.5,4.3mm/hで0.3,9.1mm/hで0.2となった。また,氷結量は散水強度4mm/h程度での1.3~1.4mm/11ほどであり,散水強度9mm/hのとぎは1.8mm/h程度であった。
(4)1971年の試験当夜の気象条件をもとに,NIEMANの関係図を利用して必要水量を算出すると1.1mm/hとなった。さらに水滴捕そく率(0.4),散水効率(0.7)を考慮すると、必要散水量は2.6mm/hとなった。
(5)過去の凍霜害時の気象条件(株面温度-3~-5℃,風速0~1m/s,湿度80~90%)をもとに必要水量を算出すると,2.6~4.0mm/hと考えられる。
2潮風害防止
(1)散水量と除塩効果との関係では,無散水区を100とすると,1mm散水で63,2mmで44,4mmで23,10mmで6と減少した。
(2)洗じょうによる葉層別の除塩効果をみると,上層(株面より3cmの深さ)は1mm散水で無散水区の60%,4mmで10%以下となる。中層,下層では無散水区の15~30%の塩分が残るが実害は少ない。
(3)塩分付着後散水までの時間は,4時間以内に行えば効果は高い。しかし,8時間以内であればある程度の効果は期待できる。
以上の結果より,潮風害防止を行うには,4mm以上の水を4時間以内に散水する必要がある。8時間以内であればある程度の効果は期待できる。
抄録全体を表示