茶業研究報告
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1984 巻, 59 号
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  • 青木 智
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 1-6
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    あさつゆから得られた自然突然突異体(AM)の生育,葉の形態,葉内成分などの諸特性を調べた。
    AMの生育はさし木床では原品種より劣り,樹高はあさつゆの60~80%であったが,定植後には生育の差は小さくなった。
    摘採期(一番茶)の新芽の諸特性をみると,新芽長と開葉数には差が見られなかったが,葉重と葉面積はそれぞれ,あさつゆの88%と91%(ともに平均値)であり,葉は小形であった。この差も成熟葉になると小さくなった。また,AMの出開度は低く,葉面積重は小さく,水分含量は高く保たれており,新芽熟度はあさつゆより若いことを示した。
    葉緑素量をみると,一番茶の摘採期にはあさつゆの50%程度であり,成熟葉では90%であった。二番茶期葉では新芽でもあさつゆの80%程度の値を示した。
    官能審査による香味特性は,香気,滋味ともあさつゆより優れていたが,水色は黄色味を帯びていた。
    一番茶の新芽成分はあさつゆに対する相対値で示すと,タンニン,遊離アミノ酸,全窒素含量はそれぞれ,64.8~95,5%(平均82.4%),105.8~332.9%(153.0%),102.7~153.0%(111.4%)であった。しかし,アミノ酸組成には大差はみられなかった。カフェインは生育初期にはAMで多かった。
    以上の結果から,AMの品質はあさつゆ以上に良質であったが,それは新芽熟度が若いことに起因している可能性があり,一方,一番茶の新芽生育はあさつゆより劣ることが明らかとなった。
  • 土井 芳憲, 鳥屋尾 忠之, 青木 智
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 7-12
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    強および弱せん枝ならびに環状はく皮によって,根の褐変が著しく増大した。せん枝および環状はく皮によって,細根のTTC還元力が低下し,木化根および細根のTAC含量も低下した。これらのことより,せん枝による根の褐変壊死の増大には,地上部から地下部への光合成産物の転流の減少が関係しているものと考察した。
    また,湛水3日間および15日間処理によっても,根の褐変率が増大した。さらに,せん枝に湛水が加わることによって,木化根および細根の褐変率は加算的に増大した。湛水によって,一番茶成熟葉の葉緑素含量の低下および新梢の伸育の抑制も認められた。
    これら地上部および地下部に認められた現象は,チャ立枯症の初期症状と類似していた。
  • 鳥屋尾 忠之, 土井 芳憲
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 13-18
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    チャ立枯症の発生の品種間差異と,幼木における挿穂母茎の地際部発根性との関係を明らかにすることによって,立枯症の発生機構解明の手がかりを得ようとした。
    1) チャ立枯症の発生率には顕著な品種間差異が,品種比較試験等で認められ,感受性品種はやぶぎたとその後代であるおくみどり,かなやみどりであり,抵抗性品種はふじみどり,おくむさし,さやまかおりであった。
    2) 地際部の母茎上部からの細根発生と,それに伴う肥大には,主要品種の間で明らかな差異が認められた。また,細根から木化根への発達の早遅にも品種間差異が
    認められた。細根が発生し易く,木化根への発達の遅れる品種は,立枯症の抵抗性が弱く,逆に細根の発生の少ない品種は,立枯症に対して概ね抵抗性を示した。
    3) このような品種間差異から,幼木における地際部発根性は,立枯症に関与する最も重要な要因の一つと考えられた。
    立枯症の発生率の品種間差異の集約に当って,未発表の成績の引用を許可していただいた静岡県茶業試験場,ならびに,終始ご指導を賜った茶業試験場栽培部長中山仰博士,調査に協力を仰いだ枕崎支場田中勝夫技官(現:西富勝夫技師,山口県農林部),根の形態調査に試料を提供していただいた茶業試験場業務科にお礼を申し上げる。
  • 山下 正隆
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 19-27
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    収量は基本的に摘採面積,単位面積当り芽数および一芽重の3要素によって構成される。しかし,成園化して摘採面積がほぼ一定化すると,芽数および芽重が収量を構成する主な要素となる。本報告では,これまでの3~5年にわたる収量試験結果および各地域での過去11年間の作況報告をもとに成木園での本茶収量と両要素との相関を明らかにし,収量構成要素からみた一番茶の多収条件を検討した。
    芽数および芽重に対応する収量の分布はいずれも大きなばらつきを示した。しかし,両要素ともその分布の中央部付近から両側へ離れるにつれて収量のばらつきは減少し,また収量は低下する傾向を示した。これらの傾向はある最大収量を持つ二次曲線で表わすことができた。この曲線関係から,収量が最大となる芽数は1800~2100本/m2,百芽重は43~58gの値が得られ,収量面からみた両要素の最適条件は芽数が2000本/m2前後,百芽重が50g前後と推定された。
    また,これらやぶきたを用いて得られた最適条件は17品種を用いて得られた両要素の最適値とほぼ一致した。
    芽数に対する芽重の割合すなわち芽重一芽数比(首芽重/1m2当り芽数×100)によつて収量構成型を芽数型<2.0, 2.0≦中間型≦3.0,芽重型>3.0として区別した結果,これらは従来の経験的な判断とよく一致した。
  • 松山 康甫, 岡村 克郎
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 28-40
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    南九州畑作地帯における平坦地茶園の機械化栽培技術体系を確立するため,荒茶工場の標準的規模とみられる20haの茶園を対象に,履帯形の茶園専用作業機(摘採機,防除機,施肥中耕機等)を中心に共同作業を行うこととして試験した。
    集団規模の20haは1戸平均2.5haの茶園を持つ農家8戸で構成するものとして想定し,その中の1戸当りについて目標とする技術水準を検討した。
    そこで,1戸の家族労働力を男女2名とし,年間に労働する日は,日曜・祝日を除いた日で作業時間を8時間/日と設定した。
    目標とする技術水準のなかの,成園時1ha当り労働時間を609時間とし,さらに試験を行ったところ次の結果を得た。
    (1) 乗用履帯作業機を基幹として各作業を行った結果,強い晩霜害によって摘採計画の変更を行った年もあったものの,いずれも適期内に実施できた。
    (2) 体系化における各作業精度は,個別試験時と変わらなかった。従って,当機械化栽培体系で実施した場合,現行技術より作業精度は低下せず,むしろ部分的に向上するものが認められた。
    (3) 体系化における総合労働時間は,第1年目が1973時間(樹令8年生45a,6年生100a,4年生105a,計250a),第2年目が1596時間,第3年目が1420時間,第4年目が1407時間で,第3年目以降はha当り約565時間となり,成園時の目標時間である609時間の93%となった。また,その実ほ場作業率は80~87%であった。
    このように,総合労働時間が少なくなったのは,茶園の成園化に伴い,雑草の発生が減少したことが主な要因である。
    次に,総合機械利用時間は,第2年目以降471~472時間であり,1ha当り約180時間となって成園時の目標時間235時間の77%となった。また,その実ほ場作業率は77~80%であった。
    なお,1ha当り労働時間は被覆の有無によって差が大きく,特に被覆巻取り作業に要する時間が摘採作業の約2倍に相当する200時間と大きかった。
    (4) 作業体系と労働配分の関係は,2.5haを基幹労働力2人のみでほぼ全作業ができたが,一番茶は4月末から5月初めの連休と重なるので,この時期のみは日曜・祝日に作業を要し,他に時間外労働を一部に要するのみであった。また,雇用労働については,第1年目の被覆巻取り作業に93時間,第3年目には台風が接近し,被覆してあった寒冷しゃが吹き飛び,これを補正するのに12時間を要した。
    以上の結果を総合すると晩霜害の強い年があったにもかかわらず,第2年目以降の労働配分とその労働投入はスムーズに行われた。また,作業精度,総合労働時間等については,目標値を上回り1ha当り労働時間は550~560時間となった。更に,この外の想定した経営目標値をすべて達成でき,乗用履帯作業機を中心とした作業体系を確立することができた。
    本研究は,鹿児島県茶業試験場において1974年1月から4年間にわたり,農林水産省総合助成試験事業実用化技術組立試験として実施した。
    この研究に対し,終始適切な指導助言を賜った元農林水産省茶試企画連絡室長,杉井四郎氏,同茶試枕崎支場長前原三利氏,推進委員の方々,鹿児島県農試企画経営部,同農試大隅支場農機研究室の方々に対し,ここに謹んで感謝の意を表する。
    また,この報告のとりまとめに懇篤なる援助と協力をいただいた,当場環境研究室長藤島哲男氏,鹿児島県農業改良専門技術員原之園親男氏に心から感謝する。なお,本研究中,終始助言指導を賜った当場職員で構成された推進グループおよび加工研究室の方々に謝意を表するとともに,基幹労働力として協力された中木原末孝氏,福田サチ氏に厚く御礼申し上げる。
  • 将積 祝子, 池ケ谷 賢次郎, 高柳 博次, 阿南 豊正
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 41-44
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    黒茶の製造過程における化学成分の変化について調べた。
    黒茶は木茎を含んだ新芽(夏期)を原料として製造する。すなわち,この新芽を蒸した後,稲わらを内張りした木箱に厚くつめ,軽くおもしをし25日間発酵させた後これを天日乾燥する。
    全窒素含量,可溶性窒素含量およびカフェイン含量は原料葉の含量より増加したが,全遊離アミノ酸,アマイド含量,カテキン類含量,遊離還元糖含量および可溶分含量はぎわめて少なくなった。
    カテキン類の変化についてペーパークロマトグラフィーにより調べた結果,7日目には(-)EGCGと(-)ECが減少すると共に,(-)ECGは消滅し,GAが増加した。14日目には(-)EGCGと(-)ECが消滅し,(-)EGCが僅かに残りGAはさらに増加した。また,酸化重合物も増加した。
    黒茶にはGAと多量の酸化重合物のみが検出された。
  • 大森 薫, 太田 勇夫, 坂田 寿生, 中村 晋一郎, 渡辺 敏朗
    1984 年 1984 巻 59 号 p. 45-49
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    柔軟で水分の多い玉露原料は粗揉工程での揉底等への付着から攪拌乾燥に難がみられ,これが品質低下につながっている。これを防止するために,葉ざらいに葉ざらい調整具を装着して製茶品質に及ぼす影響を検討した。その結果は次のとおりであった。
    (1) 葉ざらい調整具を装着すれば品質低下が防止された。特に全葉ざらいに装着した方が効果が高かった。
    また,葉ざらい調整具を装着すれば,ぬれ葉原料などでは粗揉時間が短縮できた。しかし,一般原料の場合はほとんど変らなかった。
    (2) 葉ざらい調整具を装着しても上乾き及び揉み不足の傾向は認められなかった。
    最後に,取りまとめにあたり御指導頂いた農林水産省茶業試験場の岩浅潔博士,深津修一技官及び阿南豊正技官に深甚なる謝意を表します。
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. 55-66
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. 66-81
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. 81-93
    発行日: 1984/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. e1a
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. e1b
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. e1c
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 1984 巻 59 号 p. e1d
    発行日: 1984年
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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