茶業研究報告
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1987 巻, 65 号
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  • 中村 順行
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 1-7
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    やぶきたの茎頂培養において,茎頂の伸長促進及び発根を誘導し速やかに幼植物体を得るため,種々の基本培地の影響や各種ホルモン類の添加効果及び発根培地等を検討した。
    まず,基本培地の違いが茎頂の生育に及ぼす影響を検討した結果,8種類の修正培地(表1)の中ではNITSCH, MURASHIGE & SKOOG及びGAMBORGの培地で茎頂が生育を示した。
    そこで,NITSCH培地に各種のサイトカイニン類を添加した場合,ベンジルアデニン(BA)では0.1~3.0mg/lで茎頂の生育が優れていたが,葉数の増加には0.1mg/lより3.0mg/lが効果的であった。また,アデニン,ゼアチン,イソペンテニルアデニンでは各々3.0mg/l区が,4-ピリジルウレア(4-PU)では0.1mg/1区が茎頂の生育にやや効果を示した。
    さらに,茎頂の生育を促進させるためBAにナフタレン酢酸(NAA)やジベレリン(GA)を組合わせ培養した結果,NAA添加区では茎頂部がカルス化し,生育阻害の認められるものが多かった。GAを組合わせた場合にはBA0.1~1.0mg/l+GA5.0mg/l区で茎頂の生育が優れた。
    このようにして,茎頂の生育が認められたものから,発根を誘導する場合には,できる限り伸長した芽を供試することが大切であった。また,その場合の培地は多量無機成分濃度を1/2濃度以下に減らし,インドール酪酸(IBA)濃度を0.5~1.0mg/l程度添加するのが最適と考えられた。
    以上のことから,チャの茎頂培養ではNITSCH培地やMURASHIGE & SKOOG培地などにBAとGAを組合わせ,茎頂を生育させた後,IBA添加培地に移すことにより,発根を誘導し,幼植物体を速やかに得ることが可能となった。しかし,今後チャの大量増殖法を確立するためには多芽形成についての知見が少ないため,その検討を加えて行く必要があろう。
    本論文の作成にあたり,貴重な御助言を頂いた農水省茶試茶樹第一研究室室長鳥屋尾忠之博士に深謝の意を表します。
  • 青野 英也, 田中 静夫, 佐波 哲次, 簗瀬 好充
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 8-26
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    チャの生産力,品質と気象特性との関係を知るために,大井川水系の下流域から中流域にかけて7地点の茶園を選び,1972年以降それぞれの地点で気象観測,および一番茶の萌芽,生育状況,さらには新芽の生育に伴う呈味成分の推移を検討した。
    1. 8~10年に及ぶ各地点での気象観測から,年間を通じて湿度には差が認められなかったが,気温は下流域平坦部が最も高く,中流域山間部へ遡るにつれて低下する傾向を示し,これを最高,最低気温の推移でみると,最高気温については下流域と中流域の間に大差はなかったが,最低気温では中流域のほうが低い傾向を示した。
    従って気温の昼夜較差は中流域山間部のほうが大きかったが,このような傾向は中流域山間部でも標高,地形等によって異なり,標高の最も高い峯地区は比較的較差が小さく,下流域平坦部に近い傾向を示し,一方峯地区に近い低標高で凹地の塩本地区は較差が大きかった。
    2. 以上のようなこの地域の気象特性は,一番茶の萌芽期に大きい影響を及ぼし,12月~2月にかけての積算気温と萌芽期との間にはかなり高い相関がみられ,気温の高い下流域平坦部ほど萌芽期が早い傾向を示した。さらに中流域山間部は凍霜害の発生頻度が高いため,この地域の萌芽,生長をより遅延させることが多かった。しかし中流域山間部でも,高標高の峯地区ではこうした傾向は弱く,低標高で凹地の塩本では,強くでていた。
    3. 以上のように一番茶の萌芽,生長は中流域山間部で遅れたものの,摘採期周辺における新芽の生育状況を同一出開度で比較したところ,開葉数については新芽の生長に伴って地域間に差がみられなかったが,新芽長については下流域平坦部と比べて,中流域山間部のほうが全般的にまさり,節間が長くなる傾向を示した。
    また摘採面における新芽の芽揃いを調査したところ,中流域山間部の新芽は側芽も比較的良く伸びるのに対し下流域平坦部では第2側芽の生長が劣り,芽揃いの面でも山間部のほうがまさる傾向を示した。
    4. 次に新芽の生長にしたがって,採取した生葉の緑色度や呈味成分の分析を行ったところ,生葉の緑色度は新芽の開葉後比較的若い時期から中流域山間部のほうが高く,さらに呈味成分のうちカテキン含量は地域間にそれほど差はみられなかったが,全窒素,アミノ酸含量は総じて中流域山間部のほうがまさる傾向を示した。
    5. 以上同一水系であっても各産地での茶の生育,品質特性はかなり異なり,その差異は主として気象環境特に気温特性によるところが大ぎいと推察されたものの,何がどの程度関与しているかについては,解析するまでには至らなかった。今後このような差異がより強く現れるであろう二番茶での調査や,品質面では香りの成分についての解析を続行しながら,こうした地域差に関与する具体的な気象要因を探索する必要があろう。
    本研究の実施に当っては,御前崎町新谷高塚藤八氏.小笠町古谷原宮城稔氏,川根町塩本守谷道徳氏,同町峯大橋哲雄氏,中川根町田野口田畑義次氏,同町藤川山元光氏所有の茶園を借用した。長年にわたる御厚意に記して深い謝意を表する。
  • 倉貫 幸一
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 27-37
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    気象と萌芽期ならびに摘採期との関係を分析するために,当場の気象観測と作況園の調査の20年間の結果を用いて萌芽期は9月~3月の最高・最低気温と降水量,摘採期は萌芽期と4月の最高・最低気温と降水量との関係について相関,径路係数と重回帰分析を行なった。
    1. 萌芽期
    1) 相関分析の結果,最高・最低気温と降水量の相関係数は秋から春にかけて正から負に推移した。そして2月,3月の気温と降水量は負の関係が特に強かった。
    2) 径路係数分析の結果,3月,12月と1月の気温と3月の降水量との関連性が高く,萌芽直前の気象条件が大切であるものと考えられた。
    3) 各月の直接効果の高い要因の影響の仕方から,9月~3月までの期間を9月~11月上旬,11月中旬~12月中旬,12月下旬~1月上旬と1月中旬~3月の4つの時期に分けられる。
    4) 影響の仕方の変化する11月前半は休眠に入る時期に相当し,11月中旬~12月中旬は自発休眠の時期であると考えられた。12月下旬~1月上旬は自発休眠から強制休眠へ移る時期に相当し,1月中旬~3月までは,強制休眠の時期であると考えられた。
    5) 萌芽期を予測するためには9変数による表7の式が得られ,寄与率は97%である。
    2.摘採期
    1) 相関分析の結果,萌芽期と正の相関が高いが,4月の気象要因については負の関係が多く高かった。
    2) 径路係数分析の結果から,4,月の最低気温が高く,最高気温が急激に上昇せず,そして降水量が上旬多く,中旬少なくなることで促進されるものと考えられる。
    3) 摘採期を予測するためには11変数による表8の式が得られ,寄与率は97%である。
    最後に,気象観測と作況調査の貴重な資料の提供を頂いた当場栽培研究室の皆様と,本報のとりまとめに際し,有益なご指導を頂いた農水省茶業試験場栽培部茶樹第1研究室長鳥屋尾忠之博士ならびに同場栽培部長中山仰博士に対し厚くお礼を申し上げる。
  • 堀川 知廣
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 38-45
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    Pestalotia longisetaの各種植物に対する病原性を明らかにする目的で,枝,茎から切り放した葉,および自然条件下で生育している葉に対し分生子懸濁液を有傷接種し,病斑形成の有無を調査した。前者の試験では39科80種(品種系統を含む)の植物に対し接種をした結果,11科19種の植物で病斑が形成され,かつ病斑上にP.longiseta分生子が形成された。この内,ヤポンノキ,ココヤシではすべての接種葉で病斑が形成され,イヌマキ,クロマツ,ヒノキ,クリ(5-6系統),ヒガンザクラ,オウトウ,ナシ(長十郎,新水),モチノキ,トウカエデ,タカオモミジ,カキ(富有,次郎)では接種葉の50%以上で病斑が形成された。イチゴ,ビワ,欧米系ブドウ(紅瑞宝),サザンカにおいても病斑形成が認められた。また,自然条件下で生育している葉を供試した試験では,イヌマキ,ヒガンザクラ,イチゴ,ヤポンノキ,タカオモミジ,カキ,およびチャ(やぶきた)で病斑が形成され,病斑上にP.longiseta分生子層が形成された。以上の結果からP.longisetaは多種の植物に病原性を示すことが明らかとなり,P.longisetaが茶園で突然発生し始めた原因の一つとして,チャ以外の植物からチャへの本菌の移行が考えられた。
    なお,一部植物の種の同定にあったては国立科学博物館筑波実験植物園育成研究室の松本定氏にご指導を仰いだ。厚くお礼を申し上げる。また,本報告文をまとめるにあたり,ご懇切なるご指導を賜った農林水産省茶業試験場病害研究室長成澤信吉博士に深甚なる謝意を表する。
  • 堀川 知廣
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 46-53
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    茶葉の成熟度を出来るだけ斉一にした茶園(55品種・系統)を供試し,Pestalotia longiseta分生子を可搬型摘採機により有傷接種をして,各品種のP.longisetaに対する感受性の差について検討した。感受性の差は,切断部より拡大した輪紋状病斑形成率,病斑の大きさおよび病斑上に観察される菌の種類により分類した。その結果,各品種のP.longisetaに対する感受性の差異は以下のように分類された。すなわち,(A)病斑形成率が高く,かつ大型病斑を形成し,P.longisetaに対してり病性である品種,(B)病斑形成率がAに次いで高く病斑は大型からやや大型で,ややり病性と考えられた品種,(C)病斑形成率がBと同等かそれより低く,病斑が小型で,圃場レベルではP.longisetaに対して抵抗性と判断された品種に区分できた。Aのグループにはさやまみどり,富士1号,やぶきた,大棟の4品種,Bのグループにはべにかおり,おくむさし,NN12,あさひ,おくゆたか,およびあさつゆ,Cのグループには比較的病斑形成率の高かったべにふじ,ゆたかみどりから,病斑形成が認められなかったほうりょく,静131までの45品種(系統を含む)が含まれた。なお,Bのグループのうち,おくむさし,NN12,あさひではP.longiseta単独で病斑が形成されていた比率が高かったが,べにかおり,おくゆたか,あさつゆでは1病斑内にP.longisetaとG.cingulataが混在していた比率が高く,P.longiseta感染後の病斑形成反応は品種より異なった。また,1病斑内にP.longisetaとGlomelella cingulataの両菌が混在する場合,P.longisetaは切断部付近に形成され,G.cingulataは病斑の周辺部に形成された。この傾向は病斑形成率の低い品種ほど顕著であった。このことから葉においてもP.longisetaによる病斑形成が刺激となってG.cingulataにより更に病斑が拡大する現象がみられることが明かとなった。
    以上の結果からP.longisetaの品種間差異を調査するにあたっては,圃場において接種試験を行う必要があるが,発病率,病斑の大きさだけでは不十分であり,病斑を形成している菌の種類についても観察する必要があると考えられる。
  • 堀川 知廣
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 55-60
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    新梢枯死症に対する各種薬剤の茶園における防除効果を調査した。その結果,グアザチン剤(25%LF)500倍,IKF1216剤(50%WP)1000倍,カスガマイシン塩酸塩・塩基性塩化銅剤(5.7%,75.6%WP)500倍,ジクロフルアニド剤(50%WP)500倍,ベノミル・クロロタロニル剤(10%,60%WP)500倍,クロロタロニル剤(75%WP)600倍,ベノミル剤(50%WP)2000倍はぎわめて高い防除効果を示したが,グアザチン剤では新芽の黄化,萎縮,生育不良を伴う薬害が発生した。グアザチン・塩基性塩化銅剤(2.5%,73.5%WP)は上記薬剤についで高い防除効果を示した。塩基性塩化銅剤(84.1%WP)500倍,マンゼブ剤(75%WP)500倍,カプタホル剤(80%WP)1000倍は防除率はやや低かったが本症の発生抑制効果を示した。トリホリン剤(15%EC)1000倍,ホセチル剤(80%WP)500倍,イプロジオン剤(50%WP)1000倍,塩基性硫酸銅・塩基性硫酸亜鉛・炭酸マグネシウム剤(58%,15%,6%WP)500倍,ジメチリモール(12.5%LF)500倍,トリフルミゾール剤(30%WP)1000倍,ポリカーバメート剤(75%WP)600倍,トリアジメホン剤(5%WP)2000倍では実用的な防除効果は認められなかった。
    クロロタロニル剤,カスガマイシン塩酸塩・塩基性塩化銅剤を用い,新芽の生育期に1~3回薬剤を散布した場合,散布時期は早いほど効果が高く,また散布回数が多いほど防除率が高くなる傾向にあった。しかし,防除効果,薬剤費,散布労力を考慮すると萌芽期と2葉期の2回散布が実用的であると考えられた。
  • 慣行防除がクモ類相におよぼす影響
    寺田 孝重
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 61-64
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    (1)茶園におけるクモ類の密度は,慣行防除作業によって,無防除の場合の50~80%に減少するが,絶滅状態までには陥らない。
    (2)慣行防除の影響は,好明所型徘徊性種(ササグモ類など)に顕著に現われるが,好暗所型徘徊性種(ネコグモなど)や株内空間利用型造網性種(ユウレイグモなど)はあまり左右されない。
    (3)防除作業によって,茶園めクモ相は構成種が貧弱化する。
    終りに,本研究について終始懇切な御指導,御協力を頂いた追手門大学の八木沼健夫教授ならびに農林水産省茶業試験場の浜村徹三氏に深く御礼申し上げる。また,宮崎県農試茶業支場の古野鶴吉氏には,採集の際お世話になった,記して感謝する。
  • 渡部 育夫, 池ヶ谷 賢次郎
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 65-72
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    多肥栽培下における超強酸性土壌の化学性を明らかにするため土壌診断にみられた超強酸性土壌,多肥栽培茶園の土壌および茶業試験場圃場の土壌を調査比較した。
    (1)土壌診断の土壌では塩基飽和度が比較的高いにもかかわらずpH(H2O)が3以下を示す土壌がみられた。これらの水溶性陽イオンと陰イオンの化学等量比を求めたところ,これらの土壌の多くは陰イオンが多く,そのなかでも特に硫酸イオンの多いことが判明した。
    (2)多肥栽培茶園を調査した結果では,いずれの土壌も強酸性を示していたが,塩基飽和度は茶園土壌の肥沃度基準値を満たしていた。これらの土壌の強酸性の要因はうね間第2層付近に集積した硫酸イオンによると考えられた。
    (3)茶業試験場圃場においても施肥位置に硫酸イオン,硝酸イオンが多く,標準的な施肥管理を行なっている茶園においても強酸性化のぎざしが認められた。
  • 大森 薫, 中村 晋一郎, 渡辺 敏朗, 甲木 和也
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 73-80
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    送帯式蒸機を用いて,蒸熱時間及び蒸気量の多少が荒茶の品質,測色値,化学成分にどのような影響を与えるか検討したところ次のような結果を得た。
    1) 調査した15秒から150秒までの蒸熱時間では,荒茶の外観は,時間が長くなるにつれて形状・色沢ともに評点が低下した。内質は短時間過ぎると若蒸しとなり,外観の場合よりやや長め(今回は40秒程度)の蒸熱時間が適当であり,それ以上になると同じく品質は低下した。品質がピークになる時間は原料によって若干前後した。
    2) 最低限ある程度以上の蒸気量(今回は83kg/h程度)は必要であるが,それ以上は品質への影響は非常に小さかった。
    3) 蒸葉表裏の色合が最も近似する蒸気量と生葉の表面色相より蒸葉の表面色相がやや緑みになる蒸熱時間が品質的に最も良いと考えられた。
    4) 荒茶の色相は,蒸熱時間が長くなるにつれて黄色方向に大きく変化したが,明度及び彩度の変化はほとんどなかった。クロロフィルのフェオフィチンへの変化率は,蒸熱時間が長くなるにつれて直線的に高くなった。しかも,荒茶の色沢や色相並びに蒸葉の色相と非常に高い相関が認められた。すなわち,蒸熱時間は荒茶の明度と彩度への影響はほとんどないが,色相に大きな影響を与えた。
    5) 蒸気量の多少は荒茶の色相やクロロフィルのフェオフィチンへの変化率には影響しなかったが,荒茶の明度と彩度には僅かに影響した。
    6) 化学成分量には,蒸熱時間及び蒸気量の影響は認められなかった。
    7) 荒茶は蒸葉の状態と非常に関係が深いので,生葉と蒸葉の色を比較すれば,どのような荒茶になるか推定できると考えられる。
  • 高柳 博次, 阿南 豊正, 池ヶ谷 賢次郎
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 81-85
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    緑茶製造法のうち,蒸し時間を30,60,150秒とし,茶の理化学性の変化について調べた。
    蒸し時間が長くなるほど見掛け密度が増加し,クロロフィルのフェオフィチンへの変化率も高くなり茶の色は黄みが増した。
    官能審査によると,蒸し時間が30秒では青臭味が感じられ,150秒蒸しではやや煮る臭が感じられ,水色も赤褐色みを帯びた。
    茶の全窒素,タンニン,カフェイン,遊離還元糖,熱湯可溶分および遊離アミノ酸類の含量は蒸し時間が30秒から150秒になってもほとんど変化しなかった。アスコルビン酸含量は僅かに減少する傾向がみられた。
    全ペクチン含量は変わらなかったが,蒸し時間が増加するにしたがって水溶性ペクチン含量が増加した。
  • 高柳 博次, 阿南 豊正, 池ヶ谷 賢次郎
    1987 年 1987 巻 65 号 p. 86-92
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    蒸し時間による煎汁中の化学成分組成の差異を調べた結果は次のとおりである。
    タンニン,カブエイン,可溶性窒素,遊離還元糖および,遊離アミノ酸類は,蒸し時間の差による煎汁中への溶出量の差はみられなかった。ただ,可溶分含量は明らかに蒸し時間が長くなるにしたがい増加した。
    煎汁中のペクチン含量は,蒸し時間に伴い増加した。
    浸出回数による煎汁中の化学成分の溶出量は1煎目では30秒が最も良く溶出し,2煎,3煎では蒸し時間の長いほど溶出量が多いことが認められた。
    煎汁中の茶浮遊微粒子量は蒸し時間が長くなるほど増加した。
  • 1987 年 1987 巻 65 号 p. 93-95
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 1987 巻 65 号 p. 109-120
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 1987 巻 65 号 p. 120-133
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 1987 巻 65 号 p. 134-148
    発行日: 1987/06/01
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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