茶業研究報告
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1990 巻, 71 号
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  • 耐寒性品種'さやまかおり'と'こまかげ'の定植2年目における根群形態の特異性について(第I群)
    鳥丸 萩夫, 渕之上 康元
    1990 年 1990 巻 71 号 p. 1-11
    発行日: 1990/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    著老らは,1987年3月より南九州の鹿児島県姶良郡溝辺町で,緑茶用主要13品種を供試して,地方適応性を試験中である。定植2年目の1988年の12月に,'や.ぶきた'を対照品種,'おくみどり'を参考品種として,耐寒性品種の'さやまかおり'と'こまかげ'の根群形態の特異性について調査したところ,次のような結果が得られた。
    (1)'さやまかおり'は深さ0~20cmで,木化根重が他の3品種に対し有意に優れた(1~5%の水準で)。
    (2)'こまかげ'は深さ60~70cmでの細根重が他の3品種に有意に優れ(5%の水準で),深根性の傾向がみられ,最も深い根は地下tmにも達していた。
    (3)これら両品種にみられた根群形態の特異性は,いずれも耐寒性,寒干害抵抗性に有利に働くように思われた。
    (4)参考品種として供試した'おくみどり'の根群形態も,'やぶきだと異なっているようで興味がもたれた。
  • 定植3年目における初回せん枝後の新枝条の発育 (第I群)
    渕之上 康元, 鳥丸 萩夫
    1990 年 1990 巻 71 号 p. 13-27
    発行日: 1990/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    第3報に引続き,I群に供試された13品種の定植3年目における初回せん枝後の新枝条の発育について調査し,品種の生育ならびに収量特性の基礎資料を得ようとした。
    結果の概要は下記のとおりである。
    1初回せん枝当時の株や枝の状態
    (1)株張りの大きさには品種間差がみられた。試験1ではとくに'ゆたかみどり'や'かなやみどり'が優れ,'あさつゆ'は劣った。試験2ではとくに'さやまかおり'が優れ,'さみどり''こまかげ''あさひ'などは劣った。
    (2)1株当たり枝数にも品種間差がみられた。試験1では'かなやみどり'が顕著に多く,'あさつゆ'は少なかった。試験2ではとくに'やぶきた''おくみどり''さやまかおり'などが多く,'こまかげ'と'さみどり'は少なかった。
    (3)せん枝部位の切口径の大きさにも品種間差がみられた。試験1では'ゆたかみどり'が最も大きく,'あさつゆ'は小さかった。試験2では'さやまかおり'が最も大きく,'ここう'と'うじひかり'は小さかった。なお,これら切口径の変異係数は,試験1で'ゆたかみどり'と'あさつゆ'の大小両品種が,共に他の品種よりも小さい値を示した。
    2初回せん枝後5月中旬までに再生した新芽数
    せん枝(古枝)1本当たりの再生新芽数を品種間で比較すると,試験1では'あさつゆ'のみが他の4品種よりも顕著に少なく,試験2では'さやまかおり'のみが他の8品種よりも多く,逆に'さみどり'と'あさひ'は少なかった。
    3初回せん枝後5月中旬~7月上旬~9月上旬の新枝条数の推移いずれの品種も7月上旬から9月上旬にかけて新枝条数の増加がみられた。品種間で比較すると,試験1では'かなやみどり'が終始最も多く推移し,'あさつゆ'は最:も少なかった。試験2では'さやまかおり'が終始最も多く推移し,'さみどり'は最も少なかった。
    49月上旬での伸育良好な新枝条の発生状況
    (1)新枝条数の品種間差
    試験1では'ゆたかみどり'が多く,逆に'あさつゆ'は極めて顕著に少なかった。試験2では'おくみどり''あさび'さやまかおり'の3品種が他の6品種よりも多く,'ここう'は最も少なかった。
    (2)同上発生部位の品種間差
    試験1では'ゆたかみどり'は'やぶきた'に比較して中部よりの発生割合が多く,上部よりの発生割合が少なかった。試験2ではとくに'さやまかおり'の下部よりの発生数が多く注目された。
    5秋の生育程度
    (1)樹高
    試験1では'あさつゆ'のみが他の4品種に顕著に劣り,試験2では'さやまかおり''やぶきた''おくみどり''あさひ'などが優れ,'ここう''さみどり''うじひかり''こまかげ'などは劣り,両群の間には極めて顕著な差がみられた。
    (2)株張り
    試験1では'かなやみどり'が最も優れ,'あさつゆ'は最も劣ったが,'やぶきだも'あさつゆ'の次に劣った。試験2では'さやまかおり'が顕著に優れ,'さみどり'は劣ったが,'ここう'の株張りは秋に好転した。
  • 種子と花粉
    武田 善行, 武弓 利雄, 池田 奈実子, 安間 舜
    1990 年 1990 巻 71 号 p. 29-35
    発行日: 1990/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    チャの生殖質である花粉と種子の長期保存の可能性について試験を行なった。
    1976年に採集したチャ花粉は-80℃の超低温で12年間貯蔵することができた。
    種子の貯蔵では3種類の方法で検討を行なった。第1は5℃の低温下に0~9年間貯蔵する方法,第2は-80℃の超低温に2日間貯蔵する方法,第3は13種類の有機溶媒中に19日間貯蔵する方法である。
    種子の低温貯蔵では,ポリエチレン袋に種子を密封し,5℃の低温条件で貯蔵すると9年間は健全な状態で保存できることが明らかになった。
    チャ種子を-80℃の超低温で2日間貯蔵した試験では,種子の含水量を貯蔵前に10~13%に下げることにより一部の種子は生存し,発芽することができた。この結果からチャ種子は将来超低温で長期間貯蔵できる可能性が得られた。
    チャ種子を13の有機溶媒中で貯蔵した試験では,ヘキサン,シクロヘキサン中に貯蔵した場合を除き全く発芽しなかった。ヘキサンとシクロヘキサンに貯蔵したチャ種子は比較的高い発芽率を示し,ヘキサン中で92.9%,シクロヘキサン中で66.7%であった。しかしながら,これらの貯蔵でも1カ月間の貯蔵ではほとんど発芽しなかった。以上の結果からチャ種子は有機溶媒中では長期間の貯蔵は難しいと考えられた。
  • 武田 善行, 簗瀬 好充
    1990 年 1990 巻 71 号 p. 37-42
    発行日: 1990/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
    1 圃場に植栽されている2品種('さやまかおり'と'やまとみどり')に対し,チャの花の咲く前の9月初旬に防虫網(#300)でトンネル状の網室を作り,中にそれぞれ0,100,200,400頭の人為的に飼育したシマハナアブ(Eristalis cerealis FABURICIUS)を放飼して交配を行なわせた。放飼には羽化直前の蛹を用い,1m2当たりの放飼密度はそれぞれ0,7.5,15,30頭である。初回放飼日は10月5日で,その後2週間おきに3回所定数を放飼した。
    2 シマハナアブは網室内で活発に受粉活動を行ない,チャの交配に有効に利用できることがわかった。
    3 シマハナアブの放飼密度と結果率との関係では,放飼頭数が増加するにつれて結果率,種子数が増加した。
    4 シマハナアブの放飼密度は1m2当たり15~30頭,放飼回数は4回で高い結果率が得られた。
    5 チャの自殖率は'さやまかおり'が0.5%,'やまとみどり'が5~7%と推定された。
  • 池ケ谷 賢次郎, 高柳 博次, 阿南 豊正
    1990 年 1990 巻 71 号 p. 43-74
    発行日: 1990/06/10
    公開日: 2009/07/31
    ジャーナル フリー
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